2024年9月18日更新都道府県別M&A

鳥取県の事業承継・M&A案件!事例や動向・相談先まで詳しく紹介

本記事では、鳥取県のM&Aによる事業承継の説明とともに、公的事業承継支援などを解説します。全国と同様に鳥取県も後継者不在の中小企業が多く、廃業が多発する可能性が否定できません。鳥取県で事業承継・M&Aを検討している方は必見です。

目次
  1. 鳥取県の産業に見られる特徴
  2. 鳥取県における事業承継とは
  3. 鳥取県近郊の事業承継・M&A案件一覧
  4. 鳥取県の事業承継・M&A事例
  5. 事業承継・M&A時におすすめの相談先
  6. 鳥取県の公的事業承継支援
  7. 鳥取県の事業承継・M&Aまとめ

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鳥取県の産業に見られる特徴

鳥取県は、豊かな自然に恵まれ、果物や魚、カニなどの海産物や山の幸が豊富にあります。特に、海岸沿いでは砂地を利用した独特の農業が行われており、全国的に知られる名産品「砂丘らっきょう」が生産されています。また、伝統産業としては、千年以上の歴史を持つ因州和紙が有名です。

近年注目されているのが、鳥取県内外の企業や大学などで話題になっている「コリドール構想」です。コリドールとは「回廊」を意味し、鳥取県全体を空から見ると、食品産業や液晶関連企業が集積し、それぞれのエリアで回廊のようなネットワークが形成されています。「コリドール構想」は、こうした企業の連携を強化し、付加価値の高い「鳥取ブランド」を育てようという計画です。

鳥取県には、エプソンイメージングデバイスやシャープ米子といった液晶産業関連の企業が集まり、地域の基盤産業を形成しています。この強みを生かし、鳥取県を「液晶王国」にする「クリスタル・コリドール構想」も進行中です。

さらに、産業の活性化を図るため、企業、大学、金融機関、行政が連携する「産学金官連携」が進められています。鳥取県では「産学金官連携企画推進会議」を開催し、これらの分野を超えた情報交換や協力体制を強化しています。

参考:鳥取県「産業・学術」

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鳥取県における事業承継とは

2023年の帝国データバンクにおける鳥取県での「後継者問題に関する企業の実態調査」によると、後継者不在という回答が全体の71.5%と全国で1番に高く、後継者不在問題が高い水準であることを示しています。

参考:帝国データバンク「鳥取県 後継者不在に関する企業の実態調査(2023年)」

業種・社長年齢における状況

業種別に見ると、後継者不在率が最も高かったのは『サービス業』で、全体の77.6%(111社)を占めました。次いで、『その他』が77.1%(27社)、『卸売業』が76.4%(133社)、『不動産業』が76.2%(16社)、『建設業』が70.4%(140社)と、いずれも7割を超えています。『製造業』は69.9%(116社)、『運輸・通信業』は65.4%(34社)と続き、最も低かったのは『小売業』で62.2%(79社)となりました。前回の2022年調査と比較すると、『その他』が9.1ポイント、『小売業』が2.6ポイント、『製造業』が2.0ポイント、『建設業』が0.4ポイントそれぞれ減少しています。

社長の年齢別に見ると、後継者選定が必要とされる『60代』が59.9%(133社)で最も多く、次いで『70代』が37.6%(50社)、『80歳以上』が40.0%(6社)となっています。60歳以上の社長がいる企業では、全体の51.1%で後継者が決まっていないことが判明しました。特に『70代』では、2014年の調査開始以来初めて後継者不在率が4割を下回り、改善の兆しが見られます。

後継者の属性について

後継者が「いる」企業238社を後継者の属性別に分類すると、最も多かったのは『子供』で、全体の60.1%(143社)を占めています。次いで、『親族』が19.3%(46社)、『非同族』が18.5%(44社)、『配偶者』が2.1%(5社)となっています。

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鳥取県企業の休廃業件数

後継者不在の問題は、企業の休廃業につながっています。

2023年、鳥取県で休廃業や解散に至った企業(個人事業主を含む)は合計232件となり、前年より22件(10.5%)増加しました。これは5年ぶりの増加傾向となります。また、2023年の倒産件数(19件)に比べ、その約12.2倍にあたり、2年ぶりに10倍以上の差が見られました。

参考:帝国データバンク「鳥取県 企業の休廃業・解散動向調査(2023年)」

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鳥取県近郊の事業承継・M&A案件一覧

弊社M&A総合研究所が取り扱っている鳥取県近郊の事業承継・M&A案件一覧をご紹介します。

【中国地方】業歴数十年以上の給食サービス事業

高齢者向け施設への提供のみでなく、学校給食など幅広く取引しています。進行期は2024年3月期比で+2,000万円以上の営業利益で推移しています。

エリア 中国・四国
売上高 5億円〜10億円
譲渡希望額 2億円(応相談)
譲渡理由 自身での事業継続・拡大に限界を感じているため

【中国地方】業歴数十年以上の給食サービス事業(商社・小売・流通) | M&A総合研究所

【中国地方/財務内容良好/業歴50年以上】学生用シャツ、学生服卸売業

人件費効率が高く、安定した収益性を継続させ、財務内容が良好です。縫製環境を有しており、人的リソースの投下で生産機能を持つこと可能です。

エリア 中国・四国
売上高 1億円〜2.5億円
譲渡希望額 2.5億円〜5億円
譲渡理由 財務的理由、後継者不在(事業承継)

【中国地方/財務内容良好/業歴50年以上】学生用シャツ、学生服卸売業(ものづくり・メーカー) | M&A総合研究所

【財務安定】中国地方/総合電気工事業

第一種電気工事士2名、1級電気工事施工管理技士1名在籍しています。前オーナーが創業以来、一貫して地場にて業務を続けてきたことにより官公庁とは付き合いが長く非常に高い信頼を得ています。

エリア 中国・四国
売上高 1億円〜2.5億円
譲渡希望額 1億円〜2.5億円
譲渡理由 非公開

【財務安定】中国地方/総合電気工事業(住宅・不動産・建設) | M&A総合研究所

鳥取県の事業承継・M&A事例

鳥取県の事業承継・M&A事例をピックアップしてご紹介します。

いないホールディングスによるアリーの事業承継・M&A

2023年9月1日、いないホールディングス株式会社(鳥取県倉吉市)は、株式会社アリー(岡山県岡山市)の全発行済株式を取得し、完全子会社化することを決定しました。これに先立ち、令和5年8月20日に株式譲渡契約を締結し、9月1日付でアリーの株式を正式に取得しました。

いないホールディングスは、山陰地方を中心に岡山県や兵庫県でホームセンターを展開しており、さらにドラッグストアやペット専門店「ペッツパーク」、コスメと雑貨の大型専門店「ミモザ」なども運営しています。今後は、主力であるホームセンター事業に加え、コスメと雑貨に特化した「ミモザ」業態の事業拡大を目指しています。

アリーは、全国のイオンモールで化粧品の小売事業を展開しています。今回のアリーの完全子会社化によって、いないホールディングスは「ミモザ」業態とアリーの事業を統合し、新しいビジネスモデルを確立することを目指しています。これにより、全国での新規店舗の展開を加速させる方針です。

いないホールディングス、株式会社アリーの株式取得(完全子会社化)に関するお知らせ

KYORITSUによる山陰クリエートの事業承継・M&A

2023年3月1日、KYORITSUは、山陰クリエート(鳥取県米子市)の全株式を取得し、同社を連結子会社化しました。

KYORITSUは、印刷、BPO、デジタル、環境事業などをグループ全体で展開しています。一方、山陰クリエートは、リサイクルプラスチックの開発・製造・販売を手がける企業です。

今回のM&Aによって、KYORITSUはグループの広範なネットワークを活用し、リサイクル製品の原材料となるポリプロピレン(PP)の収集や、農業資材の回収システムを整備する計画です。さらに、製造されたリサイクルプラスチック製品の全国販売を推進し、リサイクルプラスチック事業のさらなる拡大を目指しています。

株式取得(子会社化)に関する株式譲渡契約締結のお知らせ

星光PMCによるマリンナノファイバーの事業承継・M&A

2022年11月29日、星光PMC株式会社(4963)は、株式会社マリンナノファイバー(鳥取県鳥取市)の発行済株式の過半数を取得し、子会社化することを発表しました。今回の取得により、星光PMCはマリンナノファイバーの議決権の85.4%を保有することになります。

星光PMCは、製紙用化学薬品や樹脂の製造販売を行うメーカーで、近年では木材由来のセルロースをナノレベルに分解した「セルロースナノファイバー」の開発に注力しています。

一方、マリンナノファイバーは、鳥取大学発のベンチャー企業で、キチンナノファイバーの研究、開発、製造販売を手がけています。

このM&Aにより、両社はそれぞれの強みを活かし、ナノファイバーの特性を最大限に活かした新たなアプリケーション開発を目指します。また、星光PMCが得意とする工業分野と、マリンナノファイバーが強みを持つヘルスケア分野での技術やネットワークの相互活用を進め、ナノファイバー技術を軸に事業ポートフォリオの拡大を図る計画です。

株式会社マリンナノファイバーの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

事業承継・M&A時におすすめの相談先

鳥取県での事業承継・M&A時におすすめの相談先を3つご紹介します。

金融機関

近年、金融機関がM&Aサポートに特化した専用部署を設置する事例が増加しています。特に、投資銀行やメガバンクがファイナンシャルアドバイザー(FA)として、M&Aの過程で重要な役割を果たすケースが目立ちます。買収を進める際、資金調達のために金融機関との協議が不可欠であり、通常は既存の取引がある金融機関が最初の相談先になることが一般的です。

金融機関を通じて資金調達に関する専門的なアドバイスを受けることができるため、事業承継においても大きなメリットがあります。また、一部の金融機関では、M&Aに特化した専門部署や専門家を紹介することもあります。

しかし、こうした大手金融機関は大規模な案件を中心に取り扱う傾向が強く、中小規模の案件には対応が難しい場合があるほか、アドバイザリー形式のため報酬が高額になるというデメリットもあります。

公的機関

近年、事業承継やM&Aに関する相談が公的機関でも行える環境が整備されています。例えば、「事業承継・引継ぎ支援センター」は、中小企業が直面する後継者不足などの問題を解決するための相談窓口として、無料で情報提供やアドバイス、さらに企業間のマッチングサービスを提供しています。

このセンターは全国47都道府県に展開されており、地方にある中小企業でも気軽に利用できるのが大きな利点です。

公的機関による運営のため、無料で公正なアドバイスが受けられ、必要に応じてM&A仲介会社や専門家を紹介してもらうことも可能です。ただし、公的機関であるがゆえに対応スピードに限界があり、民間の仲介会社に比べるとサポート内容が劣ることがある点がデメリットとして挙げられます。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、企業の買収や売却を専門的にサポートし、売り手と買い手の双方と契約を結びながら交渉を進めていく役割を担います。これらの会社は、初期段階の相談から、相手企業の選定、スケジュール管理、企業価値の評価、書類作成に至るまで、M&Aの全プロセスをトータルで支援します。

仲介会社の強みは、豊富な候補企業の中から最適なパートナーを見つけ出し、売り手と買い手の双方にとって納得のいく取引を実現できる可能性を高める点にあります。特に、M&Aに不慣れな企業に対しては、交渉やコミュニケーションをスムーズに進め、一貫したサポートを提供することで、成功率を大きく向上させることができます。

ただし、着手金や中間金などの費用が発生する場合があり、コスト負担が懸念されることもあるため、成功報酬型の契約を導入している会社を選ぶことが推奨されます。

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鳥取県の公的事業承継支援

ここでは、鳥取県における公的事業承継支援をご紹介します。

鳥取県事業承継ネットワーク事務局

鳥取県では、県内金融機関・行政など関係機関と連携して事業承継をサポートしています。事業承継で困っている経営者などに対し、弁護士、公認会計士、中小企業診断士、税理士などの専門家を派遣して、スムーズに事業承継が行えるよう支援してくれるのです。

東部(鳥取市・八頭郡・岩美郡)の事業承継ネットワーク事務局は鳥取県事業引継ぎ支援センター内、鳥取県事業承継ネットワーク 西部拠点(米子市・境港市・西伯郡)は米子商工会議所内に位置しています。相談は無料で秘密厳守なので、安心して相談できるでしょう。

鳥取県事業承継・引継ぎ支援センター

鳥取県事業承継・引継ぎ支援センターは、公益財団法人 鳥取県産業振興機構が経済産業省から委託している公的相談窓口です。

今まで培ってきた経営資源を、親族内承継だけでなく意欲のある事業の担い手へとつなぐためのサポートを行っています。特に後継者不在で存続が危ぶまれる中小企業に、従業員や第三者へ承継して経営を引継ぎ、従業員の雇用を維持するためのサポートをしています。

後継者不在で悩んでいたり事業の引継ぎに不安があったりする中小企業の経営者に対して、事業承継に関する専門家が相談にのってくれる機関です。秘密厳守での対応となっており、無料で相談できます。

鳥取県商工労働部産業未来創造課

現在、経営者の高齢化や後継者がいないために廃業を考えている事業者が多くいます。鳥取県商工労働部産業未来創造課は、これらの事業者の資源を利用して新しいビジネスを始めることを支援しています。

具体的には、「relay」というプログラムを利用して、後継者がいない鳥取県内の事業者と、全国の起業を希望する人たちを結びつけています。これにより、後継者のいない県内の事業者を支援し、鳥取県で新しいビジネスに挑戦したい人々を助けています。

鳥取県の事業承継・M&Aまとめ

鳥取県内の中小企業は、後継者がいないところが多く、事業承継が思うように進んでいない地域だといえるでしょう。このままでは、鳥取県内の経済も衰退の一途をたどる可能性が高くなるので、事業承継について現経営者が対応を早く行う必要があります。

事業承継について、後継者がいないという問題は深刻ではありますが、親族や従業員・役員からの選任が難しいのであれば、M&Aを活用する方法もあります。M&Aを活用すれば、後継者がいないという問題も解決できるのです。

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