M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年9月30日公開業種別M&A
ボイラ・熱交換器業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!
ボイラ・熱交換器業界でもM&Aが活発化しています。環境規制が厳しくなったり、後継者問題で、ボイラ・熱交換器業界では将来的な会社の存続に危機感を覚えう経営者がM&Aを検討し始めています。M&Aのメリットや事例などについてみていきましょう。
目次
ボイラ・熱交換器業界の動向
ボイラ・熱交換器業界では、空調関連の熱交換器の需要は高まっています。これは、工業用、商業用、住宅用と用途に関係なく、建物の空調と換気の必要が高まっているためです。
一方、大規模な向上などで使われる大型のボイラや熱交換器の受注額は、2022年度には前年比0.8%減の1兆2,582億8,100万円でした。減少した背景には、再生可能エネルギー等への転換が進む電力関連からの受注が前年比26%減と大幅に減少したことが挙げられます。
参考:NIKKEI COMPASS「ボイラー・工業炉」
ボイラ・熱交換器会社をM&Aするメリット
ボイラ・熱交換器会社をM&Aで売却したり買収したりするメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。M&Aのメリットは、売却側と買収側にそれぞれ考えられます。
会社を売却する側のメリットとは次のようなことです。
- 後継者問題の解決
- 経営基盤の強化
- 売却益の獲得
ボイラ・熱交換器会社でも、経営の後を継ぐ人がいなくて、会社の将来的な存続が危ぶまれているところが増えています。M&Aで会社を売却することで、後継者がいなくても会社を存続させることが可能です。
大手企業の傘下に入ったり、不採算事業を事業譲渡することで、大手企業のリソースを利用できるようになったり、採算が取れる事業へリソースを集中できるようになります。
会社を売却すれば利益を得られるのも大きなメリットです。
会社を買収する側のM&Aのメリットは次の通りです。
- 事業の強化とシェア向上
- 新規事業への参入
- シナジー効果の創出
同業他社を買収した場合には、その会社の顧客を自社に取り込むことができるのでシェア拡大に繋がります。
ボイラ・熱交換器事業を立ち上げたいのなら、ゼロから立ち上げるよりもM&Aで実績のある会社を買った方が早いでしょう。
人材や技術、特許など自社にない強みを持つ会社を買収することで、シナジー効果も期待できます。
ボイラ・熱交換器業界のM&Aにおける買収・売却事例3選
ボイラ・熱交換器業界で実際に行われた、M&Aでの会社の売却や売却の事例を紹介します。
ティラドがTRM B.V.をM&Aした事例
2022年4月に、株式会社ティラドが、ロシアにある子会社、TRM LLCの全株式を所有するオランダ持株会社TRM BVの持分の全株式を無議決権化して、ロシア側株主であるAutomobile Plant GAZ LLCに経営権を譲渡するM&Aを発表しました。
ティラドは、東京に本社がある1936年創業の熱交換器の老舗メーカーです。主に自動車向けの熱交換器を製造しています。
日本を開発拠点として、欧州、アジア、中国、北米でグローバルマーケットを展開していて、2009年からロシア事業を展開していました。
しかし、ロシアによるウクライナ侵攻での経済制裁措置で資金の移動などが難しくなったことから事業の継続が難しくなり、ロシア事業から撤退することになりました。
参考:株式会社ティラド「ロシア事業撤退に関するお知らせ」
ノーリツがPB Heat, LLCをM&Aした事例
平成31(2019)年1月に、株式会社ノーリツが、米国のAtlanticShoresCorporationと、同社が保有するPBHeat,LLCの全株式を取得するM&Aを発表しました。
ノーリツは、兵庫県神戸市に本社のある、給湯機器、温水暖房機器などの住宅設備機器の製造販売を行っている1951年に創業したメーカーです。
AtlanticShoresCorporationは、米国のガス・石油ボイラーメーカーで、北米市場において高いブランド力を有しています。
ノーリツでは、海外事業での売上高を増加させることを目標としており、米国で知名度の高い同社を傘下に置くことで、北米市場での販売拡大を目指すとのことです。
参考:株式会社ノーリツ「米国ボイラーメーカーPBHeat,LLCの買収に関するお知らせ」
ティラドが中国の自動車用熱交換器メーカーをM&Aした事例
平成29(2017)年10月に、株式会社ティラドが青島東洋熱交換器有限公司の株式を取得して連結子会社化するM&Aを発表しました。
すでにティラドは同社の株式を39%所有していましたが、この株式取得により64%の持分比率となります。
ティラドは日本の熱交換器の老舗メーカーです。青島東洋熱交換器有限公司は、中国国内向けに自動車やトラック用の熱交換器などの製造販売を行っているメーカーです。
同社を傘下に入れることで、ティラドとしては中国ローカル客向けのビジネスのさらなる拡充を目指すとしています。
参考:株式会社ティラド「青島東洋熱交換器有限公司の連結子会社化に関するお知らせ」
ボイラ・熱交換器会社をM&Aする際の流れ
ボイラ・熱交換器会社をM&Aするときの流れについてみていきましょう。
M&Aの専門家への相談
ボイラ・熱交換器会社のM&Aでの売却を考え始めたら、まずはM&Aの専門家へ相談しましょう。日本には、中小企業のM&Aの相談と仲介を専門的に行うM&Aの専門家がいます。
専門家に相談することで、M&Aが会社の将来のためにとって最もベストな答えなのかどうか、といったところから親身になって相談に乗ってくれるでしょう。
M&Aの素人には難しい法律や財務の専門的な知識が必要なM&Aの手続きもサポートしてもらえます。M&Aについて迷っているのであれば、まずはM&Aの専門家への相談がおすすめです。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
ボイラ・熱交換器業界で事業譲渡を適切に行うには、各業界に精通した専門家によるサポートを受けるのがおすすめです。
M&A総合研究所では、M&Aの支援経験豊富なM&Aアドバイザーが専任につき、事業譲渡を丁寧にフルサポートいたします。
また、料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)
無料相談も随時受け付けておりますので、こちらの業界で事業譲渡をご検討の際はM&A総合研究所までお気軽にご相談ください。
売却先の選定
M&Aの専門家に仲介を依頼したら、専門家は売却先の選定を始めます。
会社名などを記載しないノンネームシートをM&Aの情報サイトに掲載して、買収を希望する会社を募ったり、ボイラ・熱交換器会社に興味のある顧客に声をかけたりして、売却先の候補を見つけていきます。
候補企業が数社みつかったところで、会社の状況や経営者が希望する条件等から、さらに数社に絞り込み、最終的に経営者本人が交渉相手を決めるのです。
トップ面談・条件交渉
交渉相手を決めたら、次にトップ面談です。
トップ面談では、売却側と買収側の会社の経営者同士が直接あって話し合います。結婚でのお見合いのようなもので、会計資料などの数字ではわからない、企業文化や経営理念などについて語り、お互いの相性を探ります。
トップ面談の結果、M&Aを進めることに両者が合意したら、最初の条件交渉に入ります。
秘密保持契約の締結
買収側の会社が売却側の会社の企業価値を算定したり、M&Aの専門家が会社の状態を分析して最適な相手を探すためには、会社の会計や人事、ノウハウなどの機密資料を相手に開示する必要があります。
外部に流出すると大きな問題となるような資料を相手に開示する前には、必ず秘密保持契約を締結しましょう。
機密保持契約には、開示する資料の種類と、資料の利用用途、期限、返却方法等、秘密保持義務に違反した場合の処分などについて記載します。自社に不利な条項がないかどうかよく確認した上で、署名しましょう。
基本合意の締結
M&Aに向けた最初の交渉がまとまったら、基本合意書を締結します。M&Aの基本合意書に記載するのは一般的に次の項目です。
- M&Aのスキーム
- クロージングの時期の目安
- 譲渡金額
- 従業員や役員の待遇
- デューデリジェンスの実施方法
- 独占交渉権
- 秘密保持義務
この中で、独占交渉権と秘密保持義務以外の項目には、基本合意書の段階では法的拘束力をかけないことが一般的です。
デューデリジェンスの実施
基本合意書を締結したら、次にデューデリジェンスを実施します。デューデリジェンスとは、買収側が売却側の会社のリスクを調査することです。
M&Aについて詳しい弁護士や会計士などの買収側の会社のチームが入り、売却側の会社の、財務、法務、人事などについて徹底的に調べます。
基本意書を締結する時に開示されていなかった重大な問題がここで発見された場合には、M&Aの破談や大幅な減額交渉を打診される可能性もあるようです。
最終交渉と最終契約の締結
デューデリジェンスの結果に基づいて最終交渉が行われます。最終交渉では次のような項目が決定されて、最終契約書に記載されます。
- 株価
- 経営者への退職金(株価+退職金が譲渡金額)
- 従業員や役員の待遇
- 売却側の社長の処遇
- 代金の支払い方法
- 売却側の社長の連帯保証や担保提供の解除方法
また、経営体制の変更に向けた準備として、クロージング前の買収側からの役員派遣難度についても決定されます。
最終契約書では全ての項目に法的拘束力がかけられて、サイン後の変更はできなくなるので、自社に不利な点がないか、よくサイン前に確認しましょう。
クロージング
最終契約書の締結から1ヶ月から1年程度の期間を置いてクロージング、経営権の引き渡しとなります。
クロージングまで期間を置くのは、従業員や取引先の理解を得るための期間が必要なことと、経営体制の変更に向けて準備を進めるためです。
クロージング日になったら、株式など譲渡するものを引き渡し、代金を決済して、M&Aが完了します。
ボイラ・熱交換器会社のM&Aにおける注意点
ボイラ・熱交換器会社をM&Aする時に注意するべき点をみておきましょう。
情報漏えいによる損失のリスク
M&Aについての情報は、最終契約書を締結するまで必要最低限の関係者以外には、一切漏洩しないように気をつけましょう。
特に、M&Aの噂が従業員や取引先の間に流れてしまうと、買収側が期待していた従業員の離職や、取引先からの取引停止等を招き、M&A自体が破談になる恐れがあります。
M&Aは徹底的な秘密保持がもっとも重要です。
従業員や取引先に対して十分な説明をする
買収側にとって、高額な金額で会社を買収するのは、優秀な従業員や取引先を自社に取り込めるというメリットがあるためでもあります。
万が一、M&Aを理由に離職や取引停止が起きてしまうと、買収側にとってもM&Aの意味がなくなってしまいます。
最終契約書の締結からクロージング日の間に、丁寧にM&Aの必要性や会社の将来について、従業員や取引先に丁寧に説明して、しっかりと理解してもらうように努めましょう。
企業価値評価の妥当性を確認
譲渡金額を決めるための企業価値評価の方法にはいくつかの手法があります。買収側はデューデリジェンスで企業価値評価も行いますが、買収側が提示する企業価値評価の結果が妥当なものかどうか、よく確認しましょう。
買収側の言い値でサインしてしまい、後になってから不当に買い叩かれていたことがわかった、ということもあるようです。
M&Aの専門家のサポートを受けていれば、買収側が提示する評価方法や価格が適正なものかどうか、専門的な知見から判断してくれます。自分一人でM&Aを進めるのではなく、専門家のサポートを受けた方がいい理由の一つがこの点です。
ボイラ・熱交換器業界のM&A・事業売却まとめ
ボイラ・熱交換器業界でも、経営者の高齢化や、海外からの安い商品の流入による経営環境の悪化で、M&Aを検討するしかない、という企業が増加しています。
しかし、M&Aは専門的な知識がないと、進めるのがとても難しいものです。ぜひ、M&Aの専門家の助けを借りて、適正価格で会社を売却できるように、しっかりとしたサポートを受けましょう。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。