M&Aとは?メリット・手法・最新動向を専門家がわかりやすく徹底解説
2025年12月19日公開業種別M&A
レンタカー業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例5選や流れと注意点も解説!
レンタカー業界でのM&A事情についてまとめました。説明している内容は、レンタカー業界の概要・市場動向・M&A動向、M&Aを行う際の流れ、売却・譲渡・買収におけるメリットと注意点、そして実際に行われたレンタカー業界関連のM&A事例の紹介などです。
目次
レンタカー業界の概要と動向
自家用自動車有償貸渡業というのが、レンタカー事業の正式名称です。レンタカー事業を行うには国土交通大臣の許可を得なければなりません。レンタカー事業の許可は、法人だけでなく個人事業主が得ることも可能です。ここでは、レンタカー事業のM&Aの話の前に、レンタカー業界の概要や市場規模、動向などを確認しましょう。
レンタカー業界とは
道路運送法の定めにより、レンタカー事業の許可を得るには、全国各地にある運輸局または運輸支局に申請を行います。運輸局・運輸支局は国土交通省の地方支分部局です。運輸局・運輸支局では管轄地域が決まっており、それに応じた所掌事務を担当しています。
レンタカー事業の申請を行う際には、車両の台数や種類などに応じて異なる条件であることが手続き上の注意点です。また、申請者が要件を満たさない場合には、レンタカー事業の許可は得られません。
レンタカー業界の市場規模と動向
矢野経済研究所が2023(令和5)年12月に発表した「レンタカー&カーシェアリング市場に関する調査を実施(2023年)」では、直近5年間のレンタカー市場規模を以下のような動向としています。ただし、2023年は見込値、2024(令和6)年は予測値です。
- 2020年:7,144億円
- 2021年:6,335億円
- 2022年:7,104億円
- 2023年:7,736億円
- 2024年:8,239億円
新型コロナウイルス感染拡大の影響で落ち込んだレンタカー業界の市場動向は回復傾向にあります。今後は、外国人も含めた旅行者の増加と、自家用車を所有することに消極的な若年層のレンタカー利用が進むことで、市場動向は右肩上がりになると予想されています。
レンタカー業界のM&A動向
レンタカー業界で目立つM&A動向の1つは、同業者が他の営業エリアに進出するため、あるいは異業者が新規参入するため、観光地や空港設置地域で営業を行うレンタカー事業者を買収するケースです。
また近年は、レンタカー事業の隣接業種であるカーシェアリング業の市場規模が増加傾向にあり、カーシェアリング事業者との間のM&Aも行われています。
レンタカー業界のM&Aの流れ
通常、レンタカー会社のM&Aを行う場合、以下のような流れで進められます。
- M&Aの検討・実施決定
- M&A業務委託先の選定
- M&A交渉相手探し
- M&A交渉相手との秘密保持契約締結
- M&A交渉開始
- トップ面談
- 基本合意書の取りまとめ
- デューデリジェンス
- 最終交渉
- M&A契約の締結
- クロージングに向けた諸手続き
- クロージング
- PMI
各プロセス中、「トップ面談」とは、M&Aの売却・譲渡側と買収側の経営トップが面会して、自社の紹介やM&Aの方針などを説明し合うものです。「基本合意書」はその時点での合意内容確認書であり、契約書ではありません。
「デューデリジェンス(Due Diligence)」とは、売却・譲渡側の経営や事業の状況を買収側が精査するものです。「クロージング(Closing)」はM&A契約の履行を意味し、具体的には対価の支払い(買収側)、株式・資産の引渡し(売却・譲渡側)などを行います。
「PMI(Post Merger Integrationの略称)」とは、M&Aの成立後、買収側が売却側との間で行う経営統合プロセスのことです。
以下の動画ではM&Aの基本的な流れを解説しています。ご参考まで掲載します。
M&Aの流れの中で、ポイントとなるプロセスについて解説している動画もいくつか紹介いたしますので、ご参考になさってください。まずは「M&A検討段階」の解説動画です。
次は「M&Aアドバイザーの見極め方」の解説動画です。
続きまして「M&Aにおける譲渡先の探し方」解説動画です。
続いては「トップ面談」の解説動画です。
こちらの動画は「デューデリジェンスの種類」について解説しています。
こちらは「デューデリジェンスにおける売却・譲渡側の注意点」を解説しています。
以下の動画では「M&A成約当日の流れ」を解説しています。
こちらは「M&Aの契約書」に関する解説動画です。
レンタカー会社をM&Aで売却・買収するメリット
レンタカー会社をM&Aで売却・買収することで得られるメリットについて確認します。レンタカー会社のM&Aにおける主なメリットは以下のとおりです。
- 事業承継の実現
- 従業員の雇用維持
- 売却益の獲得
- デジタル化の充実
- シェア拡大
レンタカー会社のM&Aにおけるメリットの内容を説明します。
事業承継の実現
後継者がいないレンタカー会社は、M&Aで売却・譲渡を行うことで事業承継が実現するメリットが得られます。後継者不在は、会社の廃業に直結する深刻な問題です。実際に、後継者不在を理由とする廃業は少なくありません。
しかし、親族や社内に後継者がいないレンタカー会社でも、M&Aで売却・譲渡を行えば買収側が新たな経営者となり会社は存続できるのです。
従業員の雇用維持
レンタカー会社のM&Aによる売却・譲渡には、従業員の雇用維持というメリットもあります。経営不振や後継者不在などの理由で会社が廃業になれば、従業員との雇用契約も継続できません。
解雇扱いとなった従業員は転職活動をしなければならなくなります。しかし、M&Aによる売却・譲渡によってレンタカー会社が存続すれば、従業員の雇用も継続されるのです。
売却益の獲得
レンタカー会社をM&Aで売却・譲渡する側は、対価を得て売却益を手にできるメリットもあります。レンタカー会社の経営者が所有する自社株式をM&Aで売却・譲渡して得た対価は、自由使途の資金です。老後の生活に充てるもよし、新たな事業資金にもできます。
ただし、会社の経営権はそのままに事業譲渡をした場合、対価を受取るのは会社となるのが注意点です。
デジタル化の充実
レンタカー会社のM&Aは、業務や予約システムなどのデジタル化を進められるメリットがあります。デジタル化が進んでいないレンタカー会社が、デジタル技術やシステムを有する企業を買収すれば、それらを取り込めるのです。
また逆に、M&Aでの売却・譲渡によってデジタル化が進んでいるレンタカー会社の傘下になれば、それを活用できるようになります。
シェア拡大
レンタカー会社が同業者をM&Aで買収した場合、シェアを一気に拡大できるメリットを得られます。シェア拡大には2種類あり、事業譲渡や会社分割、合併などで売却・譲渡側のレンタカー事業を自社内に取り込んだ場合、自社1社によるシェアの拡大です。
株式譲渡や株式交換などによって売却・譲渡側を子会社化した場合は、企業グループとしてシェア拡大になります。
レンタカー会社のM&A・売却・買収事例5選
実際のレンタカー会社のM&Aによる売却・買収事例を紹介します。以下の5つのM&A事例を選びました。
- エアトリによるミナトの買収事例
- ソニックオートモービルによる豪自動車の買収事例
- オリックス自動車によるダイツーへの事業譲渡事例
- エンジョイレンタカーによるグッドスピードへの事業譲渡事例
- HANATOUR JAPANによるマルエイカーズとマルエイコーポレーションへの事業譲渡事例
それぞれのM&A事例の内容を説明します。表中に売上高を記載している場合、それはM&Aが実施された時期の直前期決算の数値です。最新の決算数値とは違う点にご留意ください。
エアトリによるミナトの買収事例
| 事例1 | 売却側 | 買収側 |
|---|---|---|
| 法人名 | ミナト | エアトリ |
| 所在地 | 東京都港区 | 東京都港区 |
| 事業内容 | レンタカー事業 | メディア事業、海外ツアー事業 ITオフショア開発事業 訪日旅行事業、Wi-Fiレンタル事業 クラウド事業、地方創生事業 マッチングプラットフォーム事業 CXOコミュニティ事業、投資事業 HRコンサルティング事業 航空会社総代理店事業、旅行事業 |
| 売上高 | 非公開 | 1,235億円(連結) |
2025(令和7)年2月、エアトリは、ミナトとの間で株式譲渡契約書を締結し同社の子会社化を発表しました。譲渡額は非公表です。ミナトは沖縄県でレンタカー事業を行っています。旅行関連ビジネスを中心に多角経営を行っているエアトリとしては、19番目の事業としてレンタカー事業に参入するため、M&Aを実施しました。
ソニックオートモービルによる豪自動車の買収事例
| 事例2 | 売却側 | 買収側 |
|---|---|---|
| 法人名 | 豪自動車 | ソニックオートモービル |
| 所在地 | 沖縄県豊見城市 | 沖縄県那覇市 |
| 事業内容 | 民間車検場事業 | レンタカー事業 |
| 売上高 | 非公開 | 非公開 |
2025年1月、ソニックオートモービルは、豪自動車が行ってきた民間車検場事業の営業権をM&Aで取得しました。買収額やM&Aの詳細は公表されていません。民間車検場事業に参入したかったソニックオートモービルが、創業代表者が死去して後継者不在だった豪自動車の事業承継ニーズに呼応したM&Aです。
オリックス自動車によるダイツーへの事業譲渡事例
| 事例3 | 売却側 | 買収側 |
|---|---|---|
| 法人名 | オリックス自動車 | ダイツー |
| 所在地 | 東京都港区 | 大阪府大阪市 |
| 事業内容 | 自動車リース、レンタカー、 カーシェアリング、 中古車販売・売却サポート |
レンタカー、保険、自動車販売、 オートリース、サイクルショップ、 ベーカリーショップ |
| 売上高 | 非公開 | 非公開 |
2024(令和6)年8月、ダイツーは、オリックス自動車が運営してきたオリックスレンタカーグランフロント大阪店の運営を譲渡されました。同様に同年11月、オリックスレンタカー心斎橋駅前店の運営も譲渡されています。譲渡額やM&Aの詳細は公表されていません。
エンジョイレンタカーによるグッドスピードへの事業譲渡事例
| 事例4 | 売却側 | 買収側 |
|---|---|---|
| 法人名 | エンジョイレンタカー | グッドスピード |
| 所在地 | 沖縄県那覇市 | 愛知県名古屋市 |
| 事業内容 | レンタカー | 中古車販売、自動車買取、整備・ 鈑金、保険代理店、レンタカー |
| 売上高 | 非公開 | 323億9,300万円 |
2020(令和2)年4月、グッドスピードは、エンジョイレンタカーが沖縄県で行ってきたレンタカー事業を譲渡されました。譲渡額は非公表です。東海地域でレンタカー事業を行うグッドスピードとしては、他の地域へ進出するのに先駆けて沖縄県でのレンタカー事業に参入するためM&Aを実施しました。
HANATOUR JAPANによるマルエイカーズとマルエイコーポレーションへの事業譲渡事例
| 事例5 | 売却側 | 買収側 | 買収側 |
|---|---|---|---|
| 法人名 | HANATOUR JAPAN | マルエイカーズ | マルエイコーポレーション |
| 所在地 | 東京都港区 | 東京都港区 | 千葉県千葉市 |
| 事業内容 | インバウンド事業 | 自動車販売事業、自動車賃貸借 事業加盟店の事業・経営管理 |
不動産運用、ビル賃貸事業 |
| 売上高 | 65億9,300万円(連結) | 非公開 | 非公開 |
2020年2月、HANATOUR JAPANは、マルエイカーズとマルエイコーポレーションにレンタカー事業を譲渡しました。譲渡額は非公表です。マルエイカーズとマルエイコーポレーションは、ともにマルエイホールディングスの完全子会社であり、マルエイコーポレーションが車両、マルエイカーズが車両以外の資産を買収しました。
HANATOUR JAPANは、事業の選択と集中を検討した結果、他の事業に経営資源を集中させるため、レンタカー事業のM&Aによる譲渡を決めています。
レンタカー会社のM&Aにおける注意点
レンタカー会社のM&Aにおいて、いくつか注意点があります。具体的な注意点は以下のとおりです。
- M&Aの専門家に相談をする
- 情報漏えいしない
- 事業譲渡では許認可を引継げない
- 事業譲渡における競業避止義務
レンタカー会社のM&Aにおける各注意点について説明します。
M&Aの専門家に相談をする
レンタカー会社のM&Aを進める場合、早期からM&Aの専門家に相談するのが得策です。
M&Aの戦略策定や交渉相手探しなど初期のM&Aプロセスが重要なポイントとなるため、それらに際してアドバイスが得られます。特にM&A交渉相手探しは専門家に任せるしかありません。また、M&Aの専門家選びでは、無料相談を活用するとよいでしょう。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
レンタカー業界のM&Aを相談できる専門家をお探しであれば、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は多くのM&A成約実績を有しており、知識・経験ともに豊富なアドバイザーによる専任フルサポートを行っています。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(ただし譲受側企業様には中間金が発生します)。随時、無料相談を承っておりますので、お気軽にご連絡ください。
情報漏えいしない
M&A交渉過程における重要な注意点は「情報漏えいしない」ことです。この場合の情報とは、M&A交渉過程で知り得た相手側の重要な経営情報と、M&A交渉中である状況を指します。
M&A交渉時には必ず秘密保持契約を締結するため、情報漏えいすると損害賠償の対象です。また、M&A交渉の破談を避けるためにも情報管理を徹底する必要があります。
以下の動画は、M&Aにおける秘密保持契約と情報漏えいについて解説したものです。ご参考まで掲載します。
事業譲渡では許認可を引継げない
異業者がレンタカー会社をM&Aで買収する際の注意点は、用いるM&Aスキーム(手法)です。レンタカー事業の許可は、申請した事業者に与えられます。M&Aスキームで事業譲渡を用いた場合、事業者の経営権はそのままで事業用資産の譲渡だけが行われるため、許可は引継げません。
ただし、個人事業主とのM&A取引は事業譲渡しか用いられないため、そのようなケースでは買収側がM&A交渉と並行してレンタカー事業の許可申請手続きが必要です。
事業譲渡における競業避止義務
M&Aスキームの事業譲渡には、売却・譲渡側にも注意点があります。会社法の規定により、事業譲渡側は譲渡した事業と同一の事業を、買収側の所在区市町村および隣接区市町村で20年間、行えない競業避止義務を負わなければなりません。
ただし、買収側との協議で合意が得られれば、禁止期間の短縮や義務の免除を契約書に記載可能です。
以下の動画では、M&Aで用いられることの多いスキームである株式譲渡と事業譲渡の比較解説をしています。ご参考まで掲載します。
レンタカー業界のM&Aまとめ
レンタカー事業市場は拡大動向となっており、それに比例してM&Aも盛んに行われていくでしょう。レンタカー会社のM&A成功確度を上げるには、業務委託するM&A専門家選びが重要です。
レンタカー会社のM&A支援実績があること、特定のエリアに強いか全国対応していること、自社と同規模のM&A支援実績があることなどが選び方のポイントになります。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。