M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年9月18日更新都道府県別M&A
山口県の事業承継・M&A動向!事例や案件一覧・相談先まで紹介
本記事では、山口県の事業承継・M&Aの現状や事業承継支援事業について解説します。山口県は本州と九州地方を結ぶ拠点でもあり、さまざまな産業を事業とする中小企業が多いことが特徴です。山口県で事業承継・M&Aを検討している方は必見の内容になっています。
山口県における事業承継の動向
2023年の帝国データバンクの情報によると、山口県における事業承継は、後継者不在率が60.3%で、2014年の調査開始以降で最も低い状況です。とはいえ、約6割の企業が後継者不在の問題を抱えています。
事業承継において、後継者がいないという問題はその後の会社の存続にも大きな影響を与えるので、後継者がいなければM&Aを実施するのか、廃業をするのかなどの選択となるでしょう。
年代別における状況
社長の年齢別に後継者不在率を分析すると、事業承継を検討し始める必要があるとされる「60代」が43.0%(256社)で最も多くなっています。
次いで「70代」が39.2%(133社)、「80歳以上」が25.0%(14社)となっており、「60歳以上」の企業全体では、40.7%が後継者を確保できていないことが明らかになっています。特に「60代」に関しては、2014年の調査開始以来、初めて45%を下回り、後継者問題の改善傾向が見られました。
業種・後継者の属性における状況
業種別に見ると、後継者不在率が最も高かったのは「建設業」で68.1%(449社)、次いで「小売業」が66.0%(208社)と、これらの業種では6割を超える企業が後継者不在でした。続いて、「その他」58.1%(25社)、「サービス業」58.0%(228社)、「卸売業」57.5%(262社)、「不動産業」55.4%(31社)、「運輸・通信業」54.7%(105社)と続きました。一方、最も低いのは「製造業」で52.6%(234社)でした。2022年の調査結果と比較すると、全8業種で後継者不在率が改善され、特に「その他」で10.1ポイント、「不動産業」で7.1ポイントの大きな減少が見られました。
後継者がいる企業886社を属性別に見ると、「子供」が43.5%(385社)で最多、次に「非同族」が29.7%(263社)、「親族」が24.5%(217社)、「配偶者」が2.4%(21社)という結果でした。
山口県企業の休廃業件数
2023年に山口県で休廃業や解散を行った企業(個人事業主を含む)の件数は577件で、前年から16件(2.9%)増加し、2年連続の増加となりました。この件数は過去5年間で最も多く、2023年の倒産件数(57件)の10.1倍に達し、3年連続で10倍を超えました。
2023年はコロナ禍から回復し国内経済が正常化に向かいましたが、原材料費やエネルギー価格の高騰が企業の収益を圧迫し、休廃業や解散が前年を上回る結果となりました。後継者不在や代表者の高齢化が進む中小企業では、経営改善が難しいと判断される「あきらめ廃業」が高水準で続く見通しです。一方で、事業を第三者に引き継いで廃業する「前向きな廃業」に対する支援も広がっています。
山口県近郊の事業承継・M&A案件一覧
弊社M&A総合研究所が取り扱っている山口県近郊の事業承継・M&A案件一覧をご紹介します。
【ライセンス複数保有/高品質】オリジナルギフトの企画制作・販売業
長年、著名なホテルでも使用される上質で品格ある記念品を制作し、信頼と実績を有しています。グッズの制作販売におけるライセンスを複数保有しており、EC販売の需要も高いです。
エリア | 中国・四国 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 4,000万円(応相談) |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【EBITDA100M】中国・四国地方の産業廃棄物処理業
解体工事から収集運搬、中間処理まで一貫して対応しています。解体工事のほか土木工事、舗装工事、管工事など幅広く対応可能です。
エリア | 中国・四国 |
売上高 | 5億円〜10億円 |
譲渡希望額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡理由 | 戦略の見直し |
【中国・四国地方】クラフトビール醸造所×その場でビールを楽しめる直売所
オリジナルのビールだけではなく、各メーカーのOEMにも対応しています。直売所を併設しており、醸造所のグッズ等も販売し、同県の観光地として機能しています。
エリア | 中国・四国 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 株価1円+役員借入金の返済(応相談) |
譲渡理由 | 財務的理由 |
山口県の事業承継・M&A事例
山口県の事業承継・M&A事例をピックアップしてご紹介します。
岩国メディカルサポートによる深田商店の事業承継・M&A
岩国メディカルサポート(山口県岩国市、以下「IMS」)は、2024年7月25日に深田商店(福岡県北九州市)の全ての株式を取得しました。これにより、深田商店が運営するグループホーム2か所、デイサービス2か所、居宅支援事業所2か所がIMSの傘下に入りました。
この買収に伴い、深田商店はインクルーケア株式会社(福岡県北九州市)へと社名を変更し、IMSの完全子会社となりました。
IMSは、山口県岩国市で介護事業、障害者支援、保育、医療など幅広い分野で活動しています。一方、深田商店も介護サービスを中心に事業を展開してきました。
深田商店は、経営者の高齢化という課題を抱えており、IMSがその事業を引き継ぐことになりました。深田商店が行ってきた介護事業の内容はIMSの提供するサービスと似通っており、買収後は双方が協力し、さらに質の高い介護サービスを提供できると見込まれています。
THE WHY HOW DO COMPANYによる宇部整環リサイクルセンターの事業承継・M&A
2023年08月29日、THE WHY HOW DO COMPANYは、宇部整環リサイクルセンター(山口県宇部市)の株式を取得し、同社を自社の子会社とすることを決定しました。
THE WHY HOW DO COMPANYは、主にスマートフォン向けのサービスやソリューションを提供している企業です。一方、宇部整環リサイクルセンターは、産業廃棄物や特別管理産業廃棄物、一般廃棄物、さらには特別管理一般廃棄物の収集、運搬、処理、廃棄を行っている会社です。
今回の子会社化により、THE WHY HOW DO COMPANYは宇部整環リサイクルセンターを完全に自社グループの一部とし、焼却処理施設を建設します。
また、焼却炉から生まれる熱を電力に変換する設備(サーマルリサイクル設備)も導入し、地球温暖化対策の一環として環境省が定めた方針(1999年4月9日公布)に従い、持続可能な経済と低炭素社会に貢献する企業を目指していきます。
事業承継・M&A時におすすめの相談先
山口県での事業承継・M&A時におすすめの相談先を3つご紹介します。
金融機関
最近では、金融機関がM&A支援に特化した専門部署を設置するケースが増えています。特に、投資銀行や大手の銀行がM&Aの場面でファイナンシャルアドバイザー(FA)として重要な役割を担うことが多く見られます。買収側企業は資金調達のために金融機関との協議が必要不可欠であり、通常は既に取引関係のある銀行にまず相談することが一般的です。
金融機関に相談することで、資金調達に関する専門的な助言を得ることができるため、事業承継の際にも非常に役立ちます。また、M&Aに特化した部署を設けている銀行では、専門家の紹介などのサポートも受けられることがあります。
ただし、大手の金融機関は主に規模の大きな案件を扱う傾向が強く、規模の小さい取引にはあまり対応していないことが多いです。また、これらの金融機関はアドバイザーとしての役割を果たすため、報酬が高額になりやすいという点もデメリットとして挙げられます。
公的機関
最近では、公的機関でも事業承継やM&Aに関する相談ができる環境が整いつつあります。例えば、事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業が直面する後継者不足などの問題を解決するための窓口として、無料で情報提供やアドバイスを行い、さらに企業間のマッチングサービスも提供しています。
このセンターは全国47都道府県に展開しており、地方にある企業でも簡単にアクセスできるという利点があります。
また、運営が公的機関であるため、無料で公平なアドバイスを受けられるのが特徴です。M&A仲介会社や専門家の紹介も行っており、利用者にとっては安心感があります。ただし、公的機関の特性上、対応のスピードが限られることがあり、民間の仲介会社に比べてサポート内容が充実していない場合がある点は、デメリットとなることがあります。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業の買収や売却を専門的にサポートする業者で、売り手と買い手の双方と契約を結び、交渉を進めていきます。これらの会社は、初期の相談から相手企業の選定、進行スケジュールの管理、企業価値の評価、書類の準備に至るまで、M&Aの全プロセスを一貫してサポートします。
仲介会社の最大の強みは、多くの候補企業から最適な取引相手を見つけることができる点です。これにより、売り手と買い手の双方が満足できるM&Aの実現に大きく貢献します。また、M&Aの経験がない企業に対しても、仲介会社は交渉や連絡を円滑に進め、取引の成功率を高めるための一貫した支援を提供します。
ただし、仲介会社を利用する際には、着手金や中間金といったコストがかかる場合があり、これが負担になることもあります。そこで、成功報酬制を導入している会社を選ぶと、コスト面のリスクを軽減できます。
山口県の公的事業承継支援
ここでは、山口県における公的事業承継支援をご紹介します。
山口県事業承継ネットワーク会議 事務局
山口県の中小企業における事業承継に関する現状と支援機関などの制作や支援ツールに関する情報を共有することで、後継者不在などの課題や課題を持つ山口県の中小企業へ適切なサポートを提供しながら、支援機関などの連携強化を行うために設けられている公的機関です。
【行政など】
- 山口県商工労働部(経営金融課)
- 公益財団法人やまぐち産業振興財団
【金融機関】
- 商工組合中央金庫下関支店
- 山口銀行
- 西京銀行
- 萩山口信用金庫
- 西中国信用金庫
- 東山口信用金庫
- 山口県信用組合
- 山口県信用保証協会(業務部 経営支援課)
- 日本政策金融公庫下関支店
- 日本政策金融公庫山口支店
【士業など専門家】
- 一般社団法人山口県中小企業診断協会
- 山口県弁護士会
- 中国税理士会山口県支部連合会
- 一般社団法人日本経営士会中国支部
山口県事業承継・引継ぎ支援センター
山口県事業承継・引継ぎ支援センターは、親族内承継だけでなく従業員承継や第三者への承継(M&A)をサポートする公的機関です。事業承継に関する幅広い相談を受け付けています。
山口県事業承継・引継ぎ支援センターは、公益財団法人やまぐち産業振興財団内に設けられており、相談は無料です。専門の相談員が秘密を厳守して相談に乗ります。
また、国や地方行政、地域の支援機関、外部専門家などいろいろな機関とネットワークを築いており、地域の事業承継に関する課題を解決できるようサポートしている機関です。
山口商工会議所
山口商工会議所は、後継者不在に悩む中小企業の経営者をサポートし、地域での活力維持や雇用保持を進めるために、山口商工会議所事業承継支援システムを構築しています。
有用な顧客、設備、技術、ノウハウ、技能、人材などの経営資源があるにもかかわらず、後継者不在のために、廃業を検討する経営者が増加しているのが現在の状況です。
一方、新規創業や新分野進出を目指して準備を進めていても、資金や人材、販路などで経営資源を確保することに困っている人もいます。
そこで山口商工会議所では、双方の必要性のマッチングをサポートして、価値ある経営資源が円滑に引き継げるよう情報を提供し、スムーズな事業承継と創業を支援しているのです。
山口県の事業承継・M&Aまとめ
山口県は本州と九州地方を結ぶ拠点でもあり、さまざまな産業を事業としている中小企業が多くあります。事業承継に関していえば、会社の規模が小さいことで「自分の代で廃業しよう」と考える経営者が多いようです。
しかし、廃業してしまえばそこで働いていた人の雇用が失われます。規模の小さな会社でも、そこで働く従業員がいます。
会社の経営状態が良いのであれば、M&Aも視野に入れた考え方をしていく必要があるでしょう。会社の業績が悪く、今後の事業の将来性を感じられないとしてもM&Aを活用すれば会社を存続できる可能性があります。
会社の規模に関係なく、事業承継ができる方法を検討すべきでしょう。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。