2024年10月26日更新業種別M&A

金属製品・材料卸売のM&A・事業承継の事例!案件例・動向も解説

本記事では、金属製品・材料卸売のM&A・事業承継の事例から、M&A・事業承継に強い相談先まで詳しく紹介します。また、金属製品・材料卸売業界の市場特性や、金属製品・材料卸売をM&A・事業承継する際のポイントもあわせて解説します。M&Aを検討中の方は必見です。

目次
  1. 金属製品・材料卸売の市場動向
  2. 金属製品・材料卸売のM&A・事業承継の動向
  3. 金属製品・材料卸売のM&A・事業承継の案件例
  4. 金属製品・材料卸売のM&A・事業承継の事例
  5. 金属製品・材料卸売をM&A・事業承継する5つのメリット
  6. 金属製品・材料卸売のM&A・事業承継の売却相場
  7. 金属製品・材料卸売をM&A・事業承継する際の3つのポイント
  8. 金属製品・材料卸売をM&A・事業承継する際の相談先
  9. 金属製品・材料卸売をM&A・事業承継の相談先を選ぶ基準
  10. 金属製品・材料卸売のM&A・事業承継のまとめ
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金属製品・材料卸売の市場動向

鉄鋼製品を取り扱う商社は、最近ではコイルセンターの機能を取り入れる動きを強めています。コイルセンターとは、鉄鋼メーカーからコイル状に巻かれて出荷される薄板を、顧客のニーズに合わせて特定の長さやサイズに加工して納品する加工業者です。

通常、コイル状の薄い鋼板を高精度で平滑化し、顧客の指定する寸法にカットしながら、在庫管理や出荷タイミングの調整なども行う重要な役割を果たしています。自動車業界や電機メーカーなど、鉄鋼製品の主要ユーザーが迅速な鋼材供給を求める中で、コイルセンターの役割がさらに重要となっています。

また、商社の物流面での関与も増大しています。海外でも同様の動きが見られ、JFE商事は2015年にタイで鋼材加工センターを稼働させ、伊藤忠丸紅鉄鋼はパキスタンのカラチ郊外で鋼材加工センターを運営しています。

日鉄物産は国内のコイルセンター再編を進め、2021年4月にNSMコイルセンター(東京・江東)がNSTコイルセンター(大阪市)を吸収合併し、NSMの関西事業所と大阪製造部を閉鎖しました。

金属製品・材料卸売のM&A・事業承継の動向

近年、鉄鋼商社の再編が加速しています。三菱商事グループのメタルワン(2003年に三菱商事と旧日商岩井(現・双日)の鋼材販売事業を統合して設立)と、三井物産グループの三井物産スチールは、2014年に国内の建設用鋼材および金属スクラップ事業を統合し、新たに三井物産メタルワン建材を発足させました。

この会社は2015年11月にエムエム建材に社名を変更しています。また、三井物産は2018年4月、日本製鉄系列の鉄鋼商社である日鉄物産の株式を追加取得し、出資比率を20.04%に引き上げ、持ち分法適用会社としました。

同時に、三井物産とその関係会社が運営していた鉄鋼販売事業の一部を600億円で日鉄物産に売却し、重複部分の効率化を図りました。さらに、日本製鉄が日鉄物産の株式公開買い付けを実施し、2023年4月に買収が成立、日鉄物産は日本製鉄の連結子会社となり、6月21日に上場廃止となりました。

一方、住友商事も国内の鉄鋼建材事業を伊藤忠丸紅鉄鋼と統合しました。伊藤忠丸紅鉄鋼の子会社である伊藤忠丸紅テクノスチールが存続会社となり、2016年1月1日に新会社「伊藤忠丸紅住商テクノスチール」を設立し、住友商事の子会社である住商鉄鋼販売を吸収合併しました。住友商事の出資比率は33.3%です。

金属製品・材料卸売のM&A・事業承継の案件例

弊社M&A総合研究所が取り扱っている金属製品・材料卸売のM&A・事業承継の案件例として、東北地方の金属スクラップ卸売業をご紹介します。

関東以北の各業者からの強固な仕入基盤により県下有数の集荷量を持っています。販売では各商社など大手筋との取引基盤も確立しており、海外輸出も実施しています。

エリア 東北
売上高 25億円〜50億円
譲渡希望額 2.5億円〜5億円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

【県内TOPクラスの集荷量】東北地方の金属スクラップ卸売業(その他サービス等) | M&A総合研究所

金属製品・材料卸売のM&A・事業承継の事例

本章では、金属製品・材料卸売のM&A・事業承継事例を紹介します

神鋼商事による稲垣商店のM&A・事業承継

2023年7月31日、神鋼商事は、大阪府の株式会社稲垣商店が設立する吸収分割承継会社(以下「新・稲垣商店」)の全株式を取得し、連結子会社化すると発表しました。神鋼商事は、鉄鋼製品や非鉄金属製品の卸売などを行っており、稲垣商店は非鉄金属や鉄鋼の圧延品の販売と加工を手掛けています。

今回の子会社化により、神鋼商事は稲垣商店が持つ少量多品種の卸売事業モデルを取り入れ、新たな取引先の開拓と商材の拡充を目指しています。これにより、様々な業界や地域への販路拡大を図る狙いがあります。

株式会社稲垣商店との株式譲渡契約締結に関するお知らせ

和田電機と横山金属の資本業務提携

2021年10月11日、和田電機は、非鉄金属製品の卸売事業を行う横山金属およびその親会社であるアイアンゲート(両社とも東京都港区)と資本業務提携契約を締結しました。

和田電機は電機・電子・機械の専門商社であり、アイアンゲートは持株会社として横山金属を傘下に持っています。横山金属は、非鉄金属の購入販売や電子機器の設計・販売、金属の表面処理などを行っています。

この提携により、和田電機は新たな事業領域に進出し、グループシナジーを活用して基盤ビジネスの強化と新規ビジネスの創出を目指します。

和田電機株式会社との資本業務提携について

神鋼商事メタルズによる堤伸銅軽金の非鉄金属製品卸売事業の承継

2020年1月8日、神鋼商事は、完全子会社である神鋼商事メタルズが、堤伸銅軽金(東京都目黒区)の事業を譲り受けることを決定しました。

堤伸銅は非鉄金属製品の卸売とブラインド関連製品の販売および内装工事を手掛けており、非鉄金属分野で多くの優良顧客を有しています。本件では、非鉄金属製品卸売事業のみが譲渡対象となります。神鋼商事は、これによりグループ全体で非鉄金属事業の強化を図る意向です。

神鋼商事メタルズ 堤伸銅軽金の事業譲受
【関連】電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継の事例!動向や案件例も紹介

金属製品・材料卸売をM&A・事業承継する5つのメリット

金属製品・材料卸売会社がM&A・事業承継を行う場合、以下のメリットが期待できます。

①後継者問題の解決

金属製品・材料卸売業界でも、中小企業の後継者問題は深刻化しています。M&A・事業承継であれば会社が生き残れるため、廃業や倒産よりも関係各所に迷惑をかけずに済みます。

②大手の傘下に入れば安定した仕入れ価格を実現

仕入れ価格の上昇が続いている金属製品・材料卸売業界で、中小企業が安定して生き残っていくためには、単独の力のみでは難しい面があります。

M&A・事業承継によって大手傘下に入れれば、仕入れ価格の抑制により利益を確保しやすくなります。

③新しい事業の開始

新事業を始めようと思っても、資金不足などの理由により始められないケースは少なくありません。

しかし、M&A・事業承継によって資金を得れば、より収益性の高い新事業を始められる可能性があります。

④従業員の雇用を守るため

長く共に働いてきた従業員を、廃業や倒産で露頭に迷わせることだけは避けたいと考えて悩む経営者は多いです。

従業員の雇用を守ることを最優先にM&A・事業承継を行う経営者もいるほど、従業員の雇用確保は重要な目的とされています。

⑤M&Aによる譲渡・売却益の獲得

廃業によって収入が途絶えるリスクを考え、なかなか廃業に踏み切れないケースも少なくありません。

M&A・事業承継によって譲渡・売却益を得ることで、経営者は精神的な安心感を得られます。

金属製品・材料卸売のM&A・事業承継の売却相場

金属製品卸売・金属材料卸売業界だけでなく、M&A・事業承継の売却相場がいくらなのかと示すことは非常に難しいです。というのは、M&A・事業承継の規模・保有資産・強みによって、売却・譲渡価格は大きく変動するためです。

とはいえ、金属製品卸売・金属材料卸売会社の経営者の方であれば、売却価格を知りたいと思うのが一般的です。

こうしたケースでは、自社と類似する規模の金属製品卸売・金属材料卸売会社のM&A事例を確認するとよいでしょう。同規模の会社の売却・譲渡事例を確認しておけば、ある程度の相場価格を把握できます。

事業譲渡・事業売却の相場については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】事業譲渡・事業売却の相場は?金額の算出方法や高いバリュエーションを算定するコツ・実例も解説

金属製品・材料卸売をM&A・事業承継する際の3つのポイント

金属製品・材料卸売業界でM&A・事業承継を行う場合、以下の強みを持つと優良な買い手が付きやすくなり、交渉が円滑に進みやすくなります。

  • 特定商品の仕入れ力・利幅の安定
  • 特定地域での販売力
  • 一次商社・二次商社との信頼関係

これらの強みをアピールできるよう、M&A・事業承継の準備を進めることが望ましいです。M&A・事業承継までに期間がある場合は、これらの強みを持てるよう企業価値の向上を図ることが重要です。

企業価値向上支援やM&A・事業承継の戦略策定に強みを持つ、M&A仲介会社などの専門家に相談することで効率的に準備できます。

地方の中小企業のM&Aについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】地方のM&A動向とは?中小企業のM&Aが難しい理由・後継者問題を解説【成功・失敗事例】

金属製品・材料卸売をM&A・事業承継する際の相談先

金属製品・材料卸売業界でM&A・事業承継を行う際は、以下の相談先に相談するのが一般的です。

  1. 地元の金融機関
  2. 地元の公的機関
  3. 地元の弁護士・税理士・会計士など
  4. マッチングサイト
  5. M&A仲介会社

①地元の金融機関

近年、金属製品業界の大手メーカーは工場閉鎖などにより生産能力削減を進めているため、供給量が減少し製品価格が上昇しています。

そのため、中小金属製品・材料卸売会社の業績が悪化し、廃業・倒産に追い込まれるケースも増加しています。

地方金融機関は地元経済の衰退を防ぐためにM&A・事業承継を推進しており、相談すればM&A・事業承継による事業立て直しを図れる可能性があります。

ただし、M&A・事業承継の実務面は提携先M&A仲介会社に依頼するケースが多いので、金属製品・材料卸売のM&A・事業承継に精通している専門家かどうか確認する必要があります。

②地元の公的機関

金属製品・材料卸売業界でも中小企業の後継者難が深刻になっており、将来的に大幅な業界再編が進むと見られる金属製品業界の大手・中堅企業では、中小企業の事業承継需要をきっかけにM&A・事業承継を積極的に進めていくと予測されています。

各都道府県に設置されている事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的機関は、国の支援により中小企業の事業承継を推進しています。地元の公的機関に相談することで、事業承継のアドバイスをもらったり後継者を探したりできます。

ただし、M&A・事業承継の実務面に関しては、一部小規模の案件を除いて、M&A仲介会社などの専門家に紹介する形になるため、紹介される専門家との適性・相性などの確認が必要です。

③地元の弁護士・税理士・会計士など

経営コンサルティング事業の一貫として、M&A・事業承継サポートを行っている税理士・会計士や中小企業診断士、契約面のサポートやトラブル解決などを行う弁護士・司法書士など、士業専門家への相談も可能です。

ただし、士業専門家の場合もM&A仲介会社と提携して実務面を任せているケースが多いため、自社のM&A・事業承継を任せられる専門家かどうかの確認が必要です。

④マッチングサイト

近年は信頼性の高いマッチングサイト運営元が増えたことで、マッチングサイトに登録する企業が増えており、これに伴いマッチングサイトを通じたM&A・事業承継成約数も増加しました。

M&A・事業承継の相談に応じているマッチングサイト運営会社もあるため、運営元の確認したうえで相談すると良いでしょう。

⑤M&A仲介会社

M&A仲介会社は、M&A・事業承継を全面的にサポートできるスペシャリストです。幅広い業種・案件規模・地域に対応している仲介会社も多いため、的確なアドバイスをもらえる可能性が高いです。

また、M&A仲介会社の強みは、独自の情報ネットワークです。他の専門家が持っていない情報やM&A案件を保有しているケースが多く、相談するだけでも有益な情報が得られる可能性があります。

事業承継コンサルについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】事業承継コンサルとは?業務内容・報酬相場やメリットデメリットを解説!

金属製品・材料卸売をM&A・事業承継の相談先を選ぶ基準

金属製品卸売・金属材料卸売会社のM&A・事業承継の成功を目指す際は、M&A仲介会社の活用が望ましいです。仲介会社を選ぶときは、以下のポイントを意識しておくと自社に適したところを選びやすくなります。

  • これまでに同規模のM&A案件を成功させた実績を持っている
  • 同じ業界のM&A実績を抱えている
  • M&Aに関する知識・経験を豊富に持っている
  • わかりやすい手数料・相談料・報酬体系を設定している
  • 担当スタッフとの対応・相性がよい

これらを意識して仲介会社を選ぶことで、M&A・事業承継の成功可能性も高まります。

金属製品・材料卸売のM&A・事業承継のまとめ

本記事では、金属製品・材料卸売のM&A・事業承継事例や相談先などを紹介しました。金属製品・材料卸売業界でM&A・事業承継を成功させるには、市場特性を把握したうえで、計画的に進めていくことが大切です。

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