2024年3月17日更新業種別M&A

障害者施設・就労継続支援施設A型・B型のM&A事例を紹介!案件一覧も解説!

本記事では、障害者施設・就労継続施設の概要を解説したうえで、現状やM&A事例、案件を紹介します。最近では、障害者施設・就労継続支援施設においてもM&Aの実施件数が増加しています。障害者施設のM&Aを検討している方は、必見の内容です。

目次
  1. 障害者施設・就労継続支援施設のM&Aの現状
  2. 障害者施設・就労継続支援施設A型・B型のM&Aの可否
  3. 障害者施設・就労継続支援施設A型・B型のM&A案件5選
  4. 障害者施設・就労継続支援施設A型・B型のM&Aの事例3選
  5. 障害者施設・就労継続支援施設A型・B型をM&Aする理由3選
  6. 障害者施設・就労継続支援施設A型・B型のM&Aは事業譲渡がおすすめ
  7. 障害者施設・就労継続支援施設A型・B型をM&Aする際の注意点6選
  8. 障害者施設・就労継続支援施設A型・B型をM&Aする際におすすめの仲介会社
  9. 障害者施設・就労継続支援施設A型・B型のM&Aのまとめ
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障害者施設  就労継続支援施設のM&A・事業承継

障害者施設・就労継続支援施設のM&Aの現状

障害者施設・就労継続支援施設では、経営困難や労働人口減少などを理由とする人材不足の課題が深刻化しています。倒産・休廃業・解散などを仕方なく選ぶ施設は少なくありません。

M&Aを活用すれば、障害者施設・就労継続支援施設を存続させられる可能性があります。最近は、障害者支援・就労継続支援施設においても、M&Aの実施件数が増加している状況です。ここでは、障害者施設・就労継続支援施設とM&Aの概要について順番に解説します。

障害者施設とは

利用者数の推移(6ヶ月毎の利用者数推移)(障害福祉サービスと障害児サービス)

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000918838.pdf

障害者施設(別名:障害者支援施設)とは、知的障害・身体障害・精神障害を持つ人の日常生活および社会生活を総合的に支援する社会福祉施設のことです。

障害者施設について規定する障害者総合支援法によると、「障害者につき、施設入所支援を行うとともに、施設入所支援以外の施設障害福祉サービスを行う施設」と定義されています。

障害者施設は基本的に入所型であり、2006年に施行された障害者自立支援法のもと、身体障害・知的障害・精神障害・発達障害などに対するサービス統合化に伴って誕生した種別です。

施設の多くは、旧知的障害福祉法による「知的障害者更生施設(入所)」や旧身体障碍者福祉法による「身体障害者療養施設」などの入所型施設から移行する形で、現在も事業を行っています。

具体的なサービス内容は、夜間から早朝にかけて提供される施設入所支援と、昼間に提供される生活介護などの日中活動系サービス(昼間実施サービス)の2種類です。

施設入所支援は夜間から早朝のみ実施されることから、2種類を組み合わせて24時間利用する人も少なくありません。日中活動系サービスには、生活介護・自立訓練(生活訓練・機能訓練)・就労移行支援などが該当します。

人員と設備は、「障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害者支援施設の設備及び運営に関する基準」によりサービスごとに基準・制限が設けられています。

子供向けの障害者施設

子供向けの障害施設(障害児入所施設)は、入所する障害のある児童に対して、保護・日常生活の指導・自活に必要な知識や技能の付与などを行う施設です。提供されるサービスは、福祉サービスを実施する「福祉型」と、合わせて治療も実施する「医療型」の2種類に分けられます。

2014年以降、障害児入所施設では、一元化により複数の障害を持つ児童にも対応可能となりました。福祉型の対象者は、身体に障害のある児童・知的障害のある児童または精神に障害のある児童(発達障害を含む)です。

医療型は、知的障害児(自閉症)・肢体不自由児・重度心身障害児などを対象としています。いずれのサービスも、児童相談所・市町村保健センター・医師などに療育の必要性が認められた児童のみ利用可能です。

大人向けの障害者施設

大人向けの障害者施設には、通所・入所の2種類があります。通所施設では、施設に通う障害者にサービスを提供します。サービスの具体例は、入所施設が行う日常生活・自立訓練(生活訓練・機能訓練)に対する自立支援や、地域活動センターの行う相談・コミュニケーション活動などです。

上記のほか、日常生活に必要な食事・入浴・排泄などの支援も通所施設のサービスに該当します。施設によっては、障害者による創作や生産活動の支援・身体的能力向上に向けた支援・生活能力を向上させる支援なども実施している状況です。

入所施設では、滞在する障害者にサービスを提供します。一般企業で就労・障害者福祉サービスを受ける人に向けて、夜間の宿泊場所・共同生活の場所などを提供する施設です。入所施設には、介護者の都合に合わせて、夜間のみ入所対応を行う短期入所施設も含まれます。

就労継続支援施設とは

就労継続支援施設とは、通常の事業所での雇用が困難となった就労経験のある障害者に対して、生産活動の機会を提供しつつ、知識・能力向上のために必要な訓練などを行う施設です。就労継続支援施設では、援助付きの雇用として、障害者総合支援法を根拠とする就労継続支援をしています。

つまり、一般企業・公益法人などの団体への就職が困難な障害者を対象とする職場ともいえるのです。とはいえ、最終的には利用する障害者の一般企業・団体での就労が目指されており、就労に必要な最低限の能力・技術の習得が目的とされています。

就労継続支援施設は都道府県知事の指定制です。指定を受けた事業所には政令で定められた額の介護給付費・訓練等給付費が支給されます。厚生労働省によると、指定を受けた事業所は全国に15,880社存在し、就労継続支援施設には318,355人の利用者がいる状況(2018年時点)です。

就労継続支援施設はA型とB型の2種類に分かれるため、ここからはそれぞれの特徴を解説します。

参考URL:厚生労働省「説明資料(障害福祉サービスにおける就労支援)」

就労継続支援施設A型の特徴

就労継続支援施設A型とは、雇用契約を締結したうえで、障害や難病のある人が支援付きの職場で働ける施設です。一般企業での就労が難しい人に対して、継続して働ける職場を提供・支援しています。障害者総合支援法にもとづく福祉サービスです。

就労継続支援施設A型の対象者は、以下のとおりです。

  • 移行支援事業を利用したが、雇用に結びつかなかった人
  • 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、雇用に結びつかなかった人
  • 就労経験のある者で、現に雇用関係の状態にない人

利用者の傾向を見ると、以前は知的障害者の割合が高かった一方で、現在は精神障害者の割合が高いです。雇用契約は就労継続支援施設A型事業所との間で締結され、原則的に最低賃金以上の給料が支給されます。

基本的には一般就労と変わりません。しかし、一般就労と比べて就労時間が短時間であるほか、給料が安価となるケースも少なくありません。厚生労働省によると、A型事業所は2018年時点で3,781事業所存在し、利用者は69,326人です。

参考URL:厚生労働省「説明資料(障害福祉サービスにおける就労支援)」

就労継続支援施設B型の特徴

就労継続支援施設B型は、年齢・体力面で雇用契約を締結した就労が困難な人が軽作業などの就労訓練を行える施設です。作業に対して工賃を支払いながら自身のペースで働ける職場を提供しています。A型と同様に福祉サービスの一つです。

就労継続支援施設B型では、比較的に簡単な作業を短時間から行うことが可能です。年齢制限はなく、障害・体調に合わせて自身のペースで働けます。事業所と雇用関係を締結しないため、賃金ではなく生産物に対する成果報酬として工賃が支払われる仕組みです。就労の能力向上が期待できます。

就労継続支援施設B型の対象者は、下記になります。

  • 就労経験者で、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
  • 50歳に達している者または障害基礎年金1級受給者
  • 上記に該当しない者で、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に係る課題などの把握が行われている者

利用者の傾向を見ると、知的障害者の割合が高い状況です。厚生労働省によると、B型事業所は2018年時点で12,099事業所存在しており、利用者は249,029人とされています。

参考URL:厚生労働省「説明資料(障害福祉サービスにおける就労支援)」

障害者施設・就労継続支援施設の違い

障害者施設と就労継続支援施設における相違点は、就労支援の有無にあります。障害者施設では、生活・学習・コミュニケーション支援のほか、宿泊場所や生活維持に欠かせない看護・医療などのサービスを提供しています。

就労継続支援施設では、障害者に継続的な仕事を提供するほか、一般就労のサポートも行う施設です。障害者施設は生活に関わる部分を支援する一方で、就労継続支援施設は生活支援と就労支援を実施します。

就労継続支援施設A型・B型の違い

就労継続支援施設A型とB型における相違点は、雇用契約の有無にあります。就労継続支援施設A型では、利用者と雇用契約を締結します。B型では雇用契約を結ばず、生産物に対する成果報酬を支払う仕組みです。

就労継続支援施設A型では、一般企業での就労が難しいと判断されたものの、雇用契約に応じた就労は可能と判断された障害者に対して就労支援を行っています。

就労継続支援施設B型は、一般企業での就労だけでなく、雇用契約に応じた就労自体も困難と判断される障害者を対象に支援を行う福祉サービスです。

M&Aとは

M&A(Mergers and Acquisitions)とは、合併と買収を意味する言葉で、会社の売買や合併を実施する行為を表しています。最近では企業が採用する経営戦略の一つとして浸透しています。

売り手からすると、事業承継・資金調達・コア事業への集中・自社の存続などを目的にM&Aを実施するケースが多いです。対する買い手は、一般的に事業規模の拡大・新規事業への参入などを目的にM&Aを検討します。

かつては大手企業を中心に実施されていました。近年では中小企業によるM&A実施件数の増加が顕著です。背景には、日本企業で深刻化する後継者不在問題が深く関係していると見られます。

現経営者の高齢化・職業選択の多様化などの影響で、後継者不在の中小企業が、会社存続のためにM&Aを実施する事例が増えています。かつては後継者がいなければ廃業を選択するケースもありました。

国としても、中小企業の廃業件数増加による日本経済への影響を問題視し、中小企業に対してM&A実施を推進する動きが見られます。こうした施策の1つが、中小企業庁が作成する「事業承継ガイドライン」です。

このガイドラインでは、M&Aを用いた事業承継が有効策であると紹介し、経営者への周知が図られています。M&Aの実施件数が増加したことで、M&A仲介会社も多く設立されました。M&Aに関するサポート・アドバイスを受けやすい環境が整備されたのです。

M&Aは経営者が単独で取り組むのは困難です。M&A仲介会社などの専門家からサポートを受けつつ手続きを進めることで成功確率を高められるでしょう。

障害者施設・就労継続支援施設A型・B型のM&Aの可否

結論からいうと、障害者施設・就労継続支援施設でもM&Aは実施できます。厚生労働省によると、障害者施設の在所率は、2017年10月1日時点で94.3%と、ほぼ満員の状態です。

買い手の会社・団体などは契約が継続される限り利用者を確保できるため、障害者施設・就労継続支援施設の事業はM&Aの取引対象となるだけの魅力があります。特に就労継続支援施設を対象とするM&Aは、売り手市場となっています。

就労継続支援施設A型の利用者数は、62,532人(2016年)から69,326人(2018年)にまで増加している状況です。就労継続支援施設B型でも、216,887人(2016年)から249,029人(2018年)にまで利用者数を増やしています。

利用者数が増加した背景には、身体障害・知的障害に加えて、精神障害・発達障害などの利用ケースが増えていることも関係しています。今後も就労継続支援施設の市場は拡大する見込みです。関連業種・新規参入の増加も見通せることから、M&Aの実施は可能だといえます。

参考URL:厚生労働省「平成29年 社会福祉施設等調査の概況」
     厚生労働省「就労継続支援A型、B型に係る報酬について」


社会福祉法人の事業譲渡と合併については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】社会福祉法人の事業譲渡と合併

障害者施設・就労継続支援施設A型・B型のM&A案件5選

実際に障害者施設・就労継続支援施設のM&Aを希望している案件を紹介します。

  1. 西日本の就労継続支援業の会社譲渡
  2. 福岡県内のグループホーム2ユニットの事業譲渡
  3. 【満床・高収益】グループホームの事業譲渡
  4. 就労継続支援B型事業所の会社譲渡
  5. 就労継続支援B型里山ネィチャー楽校の事業譲渡 

①西日本の就労継続支援業の会社譲渡

中国・四国地方にあるIT事業を行っている複数法人同時譲渡案件です。譲渡を決めた理由を、後継者は従業員にいるが、譲り受ける資金がないためM&Aすると発表しています。

従業員は高学歴の軽度障がい者で、就労継続支援では稀なITに特化しています。社長の属人性は低く、譲渡後も自立した運営が可能です。組織体制が整っており譲渡後もスムーズに進められるでしょう。

②福岡県内のグループホーム2ユニットの事業譲渡

福岡県内にあるグループホーム2ユニットの事業売却案件です。譲渡を決めた理由を、経営戦略の見直しであると発表しています。利用者は、近隣地域に住む認知症を患う高齢者です。

譲渡対象の稼働率は、年間平均で80%〜90%程度と高水準を保っています。従業員は介護福祉士7名とヘルパー2級6名を中心に構成されています。平均年齢30代の若手スタッフによる安心感あるサービス提供が強みです。

労務管理・ICT導入への意識も高く無駄な事務作業をカットできているため、スタッフの月間残業時間を1人あたり15時間以内に収められています。

③【満床・高収益】グループホームの事業譲渡

東京都23区で運営する障害者グループホームと、認知症対応型高齢者グループホームという2つの事業譲渡案件です。譲渡理由は、後継者不在・経営戦略の見直しにあります。利用者は、近隣に住む認知症を患う高齢者・障害者などです。

この施設では経験豊富なスタッフが利用者ごとの状況に合わせて対応しているほか、パート・アルバイトの育成も行っています。正社員のように活躍するパート・アルバイトもいるため、人件費を抑えた運営を目指せる点が強みです。

④就労継続支援B型事業所の会社譲渡

埼玉県にある就労継続支援B型事業所の会社譲渡の案件です。立ち上げて間もない事業所ですが、本業が忙しいために譲渡を希望しています。譲渡対象は就労継続支援施設です。一般就労を目指す障害者のために事業を運営しています。

従業員は現在2名で、作業内容は簡単なPCデータ入力および軽作業となります。利用対象は、近隣に住む精神障害者・知的障害者です。福祉関係の生活指導員に連絡済みで、今後は紹介を受けた障害者の方が追加で利用する予定があります。

通常どおり稼働すれば、最大で20人程度は受け入れられる見込みです。

⑤就労継続支援B型里山ネィチャー楽校の事業譲渡

広島県南部にある就労継続支援B型事業所「里山ネィチャー楽校」の譲渡案件です。財務的な理由による譲渡とされています。譲渡対象は、知的障害者などに対し生活支援・就労対策としてシイタケ・花木の栽培を共同作業で実体験させて自立を図っている施設です。

障害者施設・就労継続支援施設A型・B型のM&Aの事例3選

障害者施設  就労継続支援施設のM&A・事業承継
障害者施設  就労継続支援施設のM&A・事業承継

障害者施設・就労継続支援施設A型・B型のM&A事例として、以下の3件を紹介します。

  1. 障害者グループホームを運営する会社の譲渡
  2. 就労継続支援施設A型事業所を運営する会社の譲渡
  3. 障害者グループホーム事業の譲渡
それぞれの事例を順番に見ていきます。

①障害者グループホームを運営する会社の譲渡

障害者グループホームを運営するA社は、地元密着型の経営と丁寧なサービスに強みを持っている会社です。常に満室を維持するなど安定した経営を継続していました。しかし、A社の経営者は会社売却を決断したのです。

障害者グループホームとは、知的障害者と精神障害者の人を対象に健康管理・生活支援を実施することで、利用者の自立を目指す施設をさします。買い手は、調剤薬局を運営する成長企業B社です。かねてから介護・福祉分野への進出を模索していました。

A社経営者は、リタイア後に学業に専念したいという希望をもっていました。売り手であるA社の意向とニーズが一致したため、順調に交渉が進み約2ヶ月で譲渡契約を成立させています。

②就労継続支援施設A型事業所を運営する会社の譲渡

東京・神奈川エリアで障害者就労支援事業を展開するC社は、就労継続支援施設A型事業所を運営していました。自社での店舗展開に加えてフランチャイズの店舗も増やし、グループ全体で20店舗以上・売上5億円を超える規模にまで成長させています。

しかし、C社の経営者は、自社では人材採用・店舗運営のノウハウが不足しており、サービスを全国展開するには課題が多すぎると考えました。利用者の仕事を確保する営業活動も経営者自身が行い、迅速な売上拡大は困難であると感じたのです。

資金面にも問題を抱えており、全国展開の資金を借り入れようとしても限界を迎えていました。そこで事業所の譲渡を検討し、教育サービスを手掛ける大手D社とのM&Aを決意したのです。

C社は譲渡後も社名を継続させています。D社でもC社の顧客・従業員などをそのまま引き継ぐことに成功し、双方が多くのメリットを享受できたM&A事例です。

③障害者グループホーム事業の譲渡

長野県のE社は、グループホームを1ユニット運営するほか、不動産事業も手掛けていました。不動産事業が軌道に乗っていたうえにプライベート時間の確保を希望していたこともあり、グループホーム事業の譲渡を決断したのです。

買い手企業の詳細は公表されていないものの、E社は希望する価格での売却に成功しています。

障害者施設・就労継続支援施設A型・B型をM&Aする理由3選

障害者施設・就労継続支援施設A型・B型をM&Aする主な理由は、以下のとおりです。

  1. 後継者問題の解決
  2. 従業員や利用者の減少
  3. 新しい事業へと転換したい
それぞれの理由について詳しく見ていきます。

①後継者問題の解決

障害者施設・就労継続支援施設A型・B型がM&Aする理由の一つに、後継者問題の解決が挙げられます。後継者不在問題は、中小企業などさまざまな業種で問題視されている状況です。

厚生労働省が2018年〜2019年に実施したアンケートによると、合併した社会福祉法人のうち約20%が後継者不在を理由に挙げています。役員・従業員の中に相応しい人材がいなかったからです。

親族外承継ではなく第三者との合併を選択して後継者問題を解決するケースが少なくありません。

参考URL:厚生労働省「社会福祉法人の事業展開等の在り方について」

②従業員や利用者の減少

障害者施設・就労継続支援施設A型・B型がM&Aする理由には、従業員や利用者の減少も挙げられます。待遇面への不満や肉体的な負担の大きさなどを理由に、長期的に勤務する従業員が少なく退職者が多い状況です。

身体障害・知的障害・発達障害・精神障害を持つ利用者のケアには、根気強さも求められます。こうした状況の中で、労働に見合う待遇を受けられないと感じる従業員が多いために、従業員の確保が困難となっているのです。

2018年以降は、障害福祉サービス等の報酬改正に伴う追加対応が必要となりました。重度・高齢の障害者・医療ケアが必要な子供・精神障害で長期入院者の地域移行・就労継続支援施設で支払う工賃の引き上げなどの対応です。

上記の影響によって、利用者の管理体制について変更対応を余儀なくされる施設も多く、対応の難しさから利用者を減少させたことで運営が困難となり、M&Aを検討するケースも増加中です。

③新しい事業へと転換したい

障害者施設・就労継続支援施設を思うように運営できない場合は、新しい事業へと転換したいと感じる経営者も多いです。障害者施設や就労継続支援施設などの運営はボランティアとしての性質もあり、想像よりも過酷に感じるケースもあります。

こうした中で施設運営の継続が困難であれば、新規事業への転換が望ましい場合も少なくありません。M&Aを実施すれば売却利益の獲得が期待できるため、この資金をもとに新規事業を開拓するケースも見られます。

障害者施設・就労継続支援施設A型・B型のM&Aは事業譲渡がおすすめ

障害者施設・就労継続支援施設A型・B型のM&Aでは、事業譲渡の手法がおすすめです。ここでは、事業譲渡を選ぶメリット・デメリットを順番に解説します。

障害者施設・就労継続支援施設をM&Aする際に事業譲渡を選ぶメリット3選

障害者施設・就労継続支援施設A型・B型をM&Aする際に事業譲渡を選ぶメリットは、以下のとおりです。

  1. 後継者問題を解決できる
  2. 従業員の確保・利用者の減少など将来的リスクの回避
  3. 事業譲渡利益が得られる
それぞれのメリットを順番に見ていきます。

①後継者問題を解決できる

障害者施設・就労継続支援施設を事業譲渡する最も大きなメリットは、後継者問題を解決できる点にあります。施設の経営者が高齢となり運営が困難になると事業承継の選択が検討されますが、自身の周囲で適任となる後継者を確保できるとは限りません。

M&Aによる事業譲渡では、第三者に事業を引き継げるため、後継者不在の問題を解決できます。事業譲渡は事業のみの譲渡となりますが、第三者に引き継いで運営してもらえれば、経営者自身は引退が可能です。

②従業員の確保・利用者の減少など将来的リスクの回避

障害者施設・就労継続支援施設はボランティアとしての性質もあります。在籍するスタッフが過酷に感じやすく離職率の高い業種です。事業譲渡をすれば、従業員の確保を図れるうえに、利用者の減少も防げる可能性があります。

2018年には障害福祉サービス等の報酬改定があり、重度・高齢の障害者・医療ケアが必要な子供・精神障害で長期入院者の地域移行・就労継続支援施設で支払う工賃の引き上げなどへの追加対応も必要となりました。事業譲渡は事業のみを譲渡できるため、将来的なリスクを回避できます。

③事業譲渡利益が得られる

事業を譲渡すると、譲渡利益の獲得が期待できます。事業譲渡をはじめM&Aによる売却では、企業もしくは事業を譲渡(売却)するため、対価を現金で受け取れる点がメリットです。

事業譲渡後も会社は存続することから、譲渡利益は経営資金に充てられるほか、新規事業に向けた資金としても活用できます。借り入れがある場合は、返済に充てることも可能です。

障害者施設・就労継続支援施設をM&Aする際に事業譲渡を選ぶデメリット3選

障害者施設・就労継続支援施設をM&Aする際に事業譲渡を選ぶデメリットは、以下のとおりです。

  1. 従業員や利用者に不安を与える
  2. 希望する条件でM&A・事業譲渡ができるとは限らない
  3. 個人では交渉が難しい
それぞれのデメリットを順番に見ていきます。

①従業員や利用者に不安を与える

障害者施設・就労継続支援施設の事業譲渡を検討すると、従業員・利用者などに不安感を与えるおそれがあります。事業譲渡により施設を運営する代表者が交代するならば、従業員は従来のサービスを提供できるか不安感を抱くことも少なくありません。

利用者からしても、従来どおりにサービスを利用できるのか、事業譲渡について不安感を抱きます。事業譲渡の内容が確定したら、従業員・利用者など関係者に対して報告や説明を丁寧に実施すると良いです。

②希望する条件でM&A・事業譲渡ができるとは限らない

事業譲渡では希望の譲渡価格・条件などを反映させたうえでM&Aの相手探しに着手します。しかし、必ずしも現在の経営者が希望する譲渡価格・条件でM&A・事業譲渡できるとは限りません。

特に、障害者施設・就労継続支援施設など福祉サービスを提供する会社の買収を希望する買い手候補は限られています。相手側から細かい条件を提示される場合もあります。あらかじめ、買い手が提示する条件への対応策・譲れない条件の有無などを確認しておくと良いです。

③個人では交渉が難しい

障害者施設・就労継続支援施設などの福祉施設では、経営者自身のみでM&A交渉を実施することは困難です。交渉をスムーズに進めるには、M&Aの知識や経験だけでなく、障害者施設・就労継続支援施設の業種特有の知識も必要となります。

経営者自身で済ませるには難しい手続きが多いため、M&A・事業譲渡の業務を手掛ける専門家に相談しながら進行させると良いです。

障害者施設・就労継続支援施設A型・B型をM&Aする際の注意点6選

この章では、障害者施設・就労継続支援施設A型・B型のM&Aを実施する際に注意すべき点をご説明します。

バリアフリー

障害者施設・就労継続支援施設には、建物に出入口のスロープ・手すり・エレベーター・車椅子利用専用のトイレや浴室などの設備等が必要です。

M&Aによる譲渡を進める際は、バリアフリーが完備されているか、修繕が必要な箇所の有無と併せて確認しましょう。

サービス管理責任者と児童発達支援管理責任者の在任

障害者総合支援法および児童福祉法には、障害者施設・就労継続支援施設A型・B型の事業者に対しては自治体から障害福祉サービス等報酬が支給されると定められており、これにはサービス管理責任者と児童発達支援管理責任者の報酬も含まれています。

もし譲渡時にサービス管理責任者と児童発達支援管理責任者が退職していた場合は、以下のような影響が買い手側に及びます。

  • 株式譲渡の場合:2ヶ月後から障害福祉サービス等報酬額が3割減額される
  • 事業譲渡の場合:行政側から新規の許可が得られず、事業開始できない

このような事態となれば買い手とのトラブルのも発展しかねないため、買い手はサービス管理責任者と児童発達支援管理責任者の在任しているどうかの確認が必要です。

また、売り手側も、M&Aに伴いサービス管理責任者と児童発達支援管理責任者が退職してしまわないよう、配慮や対策が必要といえるでしょう。

人員配置体制

障害福祉サービス等報酬には算定基準があり、人員配置体制も基準のひとつです。もし人員配置体制の条件を満たしていなければ、障害福祉サービス等報酬は減額されます。

M&Aを円滑に進めるためにも、譲渡前に人員配置体制が整っているかどうかをよく確認することが大切です。

 

加算

障害者施設・就労継続支援施設A型・B型だけでなく、福祉事業に従事する労働者に対し、国は「処遇改善加算制度」を設けています。

処遇改善加算制度とは、介護職などの労働者の報酬がほかの労働者よりも低いため、その報酬を補うための制度です。

従業員のキャリア向上のための環境改善を進めた事業者に対して報酬の加算分が支給されますが、支給されるためには複数の要件を満たし、かつその状態を維持し続けなければなりません。

一度支給されたとしても、その後のチェック時に要件を満たしていなければ、返還を命じられることもあるので注意が必要です。

M&Aの実施タイミング・理由

就労継続支援施設A型・B型は、法改正があれば収益にも変化が生じます。改正の時期と内容によっては、なかなか交渉相手がみつからない状況も考えられるため、M&Aを進めるタイミングが重要です。

また、就労継続支援施設A型・B型のM&Aでは、買い手は人材確保を目的としているケースもあります。そのような場合、もしM&A前に売り手側の従業員が多く退職してしまっていては、交渉がうまく進まない事態も考えられます。

障害者施設・就労継続支援施設A型・B型は、労働環境や待遇の悪さから従業員が退職しやすい事業でもあるので、M&A前に従業員が流出しないよう配慮や対策しておくことも必要です。

相手先選び

障害者施設・就労継続支援施設A型・B型は、障害者の生活と就労の両面を支える重要な事業です。そのため、譲渡後は責任をもって事業継続してくれる相手先をしっかり選ぶ必要があります。

相手先を選ぶ際は、M&A仲介会社などの専門家に依頼すると幅広いなかから探すことができます。相談する前に自社の希望条件などをまとめておくと、よりスムーズな相手先探しが可能です。

障害者施設・就労継続支援施設A型・B型をM&Aする際におすすめの仲介会社

障害者施設・就労継続支援施設でM&Aを検討する場合、M&Aや業界特有の専門知識だけでなく高い交渉力が求められます。M&A仲介会社などの専門家からサポートを受けるのがおすすめです。

M&A仲介会社は事業譲渡をはじめとするM&A業務を専門的に扱っています。一貫支援を行っているところも多いです。

M&A総合研究所には、M&Aに関する豊富な知識と経験を持つアドバイザーが多数在籍しています。アドバイザーによるフルサポートで障害者施設・就労継続支援施設のM&A成約を目指します。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

相談料は無料となっております。障害者施設・就労継続支援施設A型・B型のM&Aおよび事業譲渡に不安がある場合には、お気軽にご相談ください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

障害者施設・就労継続支援施設A型・B型のM&Aのまとめ

最近は障害者施設・就労継続支援施設の利用者が増加傾向です。背景には精神障害者や発達障害者の利用増加が関係しています。障害者施設・就労継続支援施設では、慢性的な人材不足が問題視されている状況です。

障害者施設・就労継続支援施設はボランティアとしての性質もあり、在籍するスタッフが過酷に感じやすい業種です。待遇面に不満を持つ従業員は多く、離職率が高くなっています。

このような利用者の増加・人材不足といった課題に対応すべく、事業譲渡を利用する経営者は多いです。ただし、事業譲渡は手続きが複雑で、経営者だけでは困難といえます。

スムーズに事業譲渡を済ませるためは、M&A仲介会社などの専門家からサポートを受けると良いです。要点をまとめると、下記になります。

・障害者施設とは
→知的障害や身体障害や精神障害を持つ人の日常生活および社会生活を総合的に支援する施設

・就労継続支援施設A型・B型とは
→生産活動の機会を提供しつつ知識や能力向上のために必要な訓練などを行う施設

・障害者施設・就労継続支援施設A型・B型をM&Aする理由
→後継者問題の解決、従業員や利用者の減少、新しい事業へと転換したい

・障害者施設・就労継続支援施設A型・B型をM&Aする際に事業譲渡を選ぶメリット
→後継者問題の解決、従業員の確保や利用者の減少など将来的リスクの回避、事業譲渡利益の獲得

・障害者施設・就労継続支援施設A型・B型をM&Aする際に事業譲渡を選ぶデメリット
→従業員や利用者に不安を与える、希望条件でM&Aや事業譲渡ができるとは限らない、個人では交渉が困難

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