M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
2022年6月6日更新業種別M&A
サイバーセキュリティーのM&A・会社売却事例10選!積極買収企業も紹介!
近年、サイバー攻撃からコンピューターやサーバーを守るサイバーセキュリティーはますます重要度が増してきており、M&A・譲渡・売却も活発化しています。本記事では、サイバーセキュリティーのM&A・譲渡・売却について、積極買収企業も含めて解説します。
目次
サイバーセキュリティーのM&A(譲渡)・会社売却・事業承継
本記事では、サイバーセキュリティー業界のM&A(譲渡)・会社売却・事業承継を解説します。
まず、本章では、サイバーセキュリティー・M&A(譲渡)・会社売却・事業承継など、基本的な用語の意味を解説します。
サイバーセキュリティーとは
サイバーセキュリティーとは、コンピュータ・Webサイト・サーバーをサイバー攻撃から保護するためのシステムや技術のことです。
もしもサイバー攻撃により企業の情報流出などが起こると、世間からの信頼を失ったり、賠償金を支払ったりする事態に発展しかねません。年々、世界中でサイバー攻撃の手法は巧妙化しており、日本でもサイバーセキュリティー基本法が成立するなど、国家として対応すべき重要問題として認識されています。
M&A(譲渡)とは
M&Aとは「Mergers and Acquisitions(合併と買収)」の頭文字をとった用語で、会社や個人事業を売買したり、会社を分割・合併したりする行為の総称です。
M&Aというと、これまでに大企業による敵対的買収が取り沙汰されてきたこともあり、マイナスイメージを持っている経営者の方も少なからずいますが、近年は経営者が高齢になった中小企業の事業承継手段としてM&Aの活用が活発化しています。
会社売却とは
M&A手法としては、事業譲渡のように会社を売却しないスキームもある一方で、会社を丸ごと売却する「会社売却」の手法もあります。
会社売却の手法としては、株式を売却先企業に譲渡する株式譲渡が最も一般的だといえます。なお、大企業のグループ再編では、吸収合併など他の手法が使われる場合もあります。
事業承継とは
事業承継とは、現経営者が後継者に経営を譲り渡す行為のことです。事業承継は、新しい経営者の性質によって、大きく3種類に分けられます。
最も一般的なのは、現経営者の親族を後継者にする親族内事業承継です。その他に、従業員や外部の人間を後継者にする親族外事業承継、M&Aによって第三者に事業を承継するM&Aによる事業承継があります。
サイバーセキュリティー業界を取り巻く環境
この章では、近年のサイバーセキュリティー業界を取り巻く環境を、以下の3点から解説していきます。
- 今後ますます需要が伸びると予測される
- 業界再編を思わせるほど動きが活発
- 大手IT企業は率先してサイバーセキュリティー企業を買収
①今後ますます需要が伸びると予測される
サイバー攻撃の手口は年々巧妙化しており、多くの企業や個人が被害に逢っている現状があります。
さらに今後は、IoT化によってサイバー攻撃の標的となる機器がさらに増えてくるので、サイバーセキュリティーの需要はますます伸びると予想されます。
②業界再編を思わせるほど動きが活発
海外のサイバーセキュリティー業界では、IBMによるレッドハットの買収など、数兆円規模の大型買収が行われています。
国内でもサイバーセキュリティーの需要増加により、大手企業による業界再編を思わせる活発なM&Aが展開されています。
③大手IT企業は率先してサイバーセキュリティ企業を買収
大手IT企業ではサイバー攻撃対策が急務とされていますが、ゼロから自社内にサイバーセキュリティーを構築するのはコストや技術面で困難な場合もあります。
そこで、低コストで素早くサイバーセキュリティーのシステムを確立するために、率先してサイバーセキュリティー企業を買収する事例が増加しています。
サイバーセキュリティーのM&A・買収に積極的な企業
サイバーセキュリティーの需要は年々高まっており、関連企業を積極的に買収する企業も増えています。この章では、サイバーセキュリティーを積極的に買収する企業の中から、8社をピックアップしてご紹介します。
- BlackBerry
- LINE
- ビジネスブレイン太田昭和
- NTTセキュリティ
- GFA
- セグエグループ
- ラック
- イー・ガーディアン
①BlackBerry
ブラックベリー社はカナダに本社がある通信機器メーカーで、かつてはモバイルメール端末「BlackBerry」が主力事業でした。しかし近年はスマホの普及とともにBlackBerryのシェアが落ち、現在は端末の自社生産から撤退しています。
ブラックベリーはアメリカのサイバーセキュリティー企業であるサイランス社を14億ドルで買収するなどして、積極的にサイバーセキュリティー企業を買収しています。
②LINE
LINEはコミュニケーションアプリ「LINE」の運営などを手がけるIT関連企業で、韓国のネイバーの子会社です。
LINEは、韓国のサイバーセキュリティー企業GrayHash社を子会社化するなどして、積極的にサイバーセキュリティー企業の買収を行っています。
③ビジネスブレイン太田昭和
ビジネスブレイン太田昭和は、経営会計コンサルティングや会計パッケージの販売、経理財務のアウトソーシングサービスなどを手がける会社です。
ビジネスブレイン太田昭和は、サイバーセキュリティー対策サービスを提供するグローバルセキュリティエキスパート株式会社を完全子会社化するなどして、積極的にサイバーセキュリティー企業の買収を行っています。
④NTTセキュリティ
NTTセキュリティは、NTTグループが培ってきたセキュリティ技術を集約した、セキュリティ専門会社です。
NTTセキュリティは、アメリカのアプリケーションセキュリティサービス会社であるWhiteHat Security, Inc.を子会社化するなどして、積極的にサイバーセキュリティー企業の買収を行っています。
⑤GFA
GFAは、ファイナンシャルアドバイザリーと投資事業を営む会社です。
GFAは、ITセキュリティ製品の販売およびセキュリティコンサルティングを営むネクスト・セキュリティを子会社化するなどして、積極的にサイバーセキュリティー企業の買収を行っています。
⑥セグエグループ
セグエグループは、情報セキュリティシステムやソフトウェア販売会社の持株会社です。
セグエグループは、セキュリティ製品の開発・販売を行うファルコンシステムコンサルティングを子会社化するなどして、積極的にサイバーセキュリティー企業の買収を行っています。
⑦ラック
ラックは、セキュリティソリューションやシステムインテグレーションを手がける情報通信企業です。
ラックはKDDIとの合弁でKDDIデジタルセキュリティを設立するなど、サイバーセキュリティー企業の積極的なM&Aを行っています。
⑧イー・ガーディアン
イー・ガーディアンは、掲示板や投稿のウェブ監視などを営む会社です。
イー・ガーディアンは、セキュリティ製品の開発などを営むグレスアベイルを子会社化するなどして、積極的にサイバーセキュリティー企業の買収を行っています。
サイバーセキュリティーがM&A業界で注目されている理由
この章では、サイバーセキュリティーがM&A業界で注目されている理由を、以下の2つの点から解説していきます。
- サイバーセキュリティーの重要性
- 買収後のリスク回避
①サイバーセキュリティーの重要性
PwCによる世界CEO意識調査では、「最も関心のあるビジネス上の脅威」「全般的な懸念事項」として、サイバー攻撃が上位に挙げられています。
さらに海外のM&Aでは、サイバー攻撃に対するリスクによって売却価格が大きく変動するケースが増えており、今後は国内でもこの傾向が強くなることが予想されます。
サイバーセキュリティーは、リスク管理の観点だけでなく、M&Aの観点でも重要性が増していく分野だといえます。
②買収後のリスク回避
M&Aでは契約締結前に被買収企業のデューデリジェンスを行いますが、財務リスクや法的リスクに比べてサイバーセキュリティーの重要性が認識されていないのが現状です。
契約締結後に被買収企業のセキュリティ不備が発覚し、買収した企業が想定外のリスクを負うケースも多く、リスクの具体例としては、収益・利益・市場価値・市場シェア・ブランドの損失などがあります。
買収後のリスクを回避するためにも、サイバーセキュリティーは、M&Aで注目すべきポイントのひとつといえるでしょう。
サイバーセキュリティーのM&A・会社売却を成功させるポイント
サイバーセキュリティーのM&A・会社売却を成功させるポイントは以下の5つです。
- 自社の強み・技術力をまとめる
- サイバーセキュリティーに関する情報をまとめておく
- 技術者が離職しないように計画的に行う
- M&A・会社売却の目的を明確にする
- M&A・会社売却の専門家に相談する
①自社の強み・技術力をまとめる
サイバーセキュリティーの技術は年々進化しており、今後もサイバー攻撃の巧妙化に合わせて柔軟に変化していくことが期待されます。
サイバーセキュリティーのM&A・会社売却を成功させるには、独自の技術を持っているなど、自社の強み・技術力を洗い出してまとめておくことが重要です。
②サイバーセキュリティーに関する情報をまとめておく
サイバーセキュリティーのM&A・会社売却では、サイバーセキュリティーに関する新しい技術や、新種のマルウェアの情報などをまとめておき、業界動向を把握しておくことが重要です。
③技術者が離職しないように計画的に行う
サイバーセキュリティーはそれを担う技術者の役割が非常に重要なので、M&A・会社売却の際に離職してしまわないよう計画を立てておく必要があります。
技術者にM&A・会社売却の計画を伝えるのは、基本的には最終契約を締結した後にするのがセオリーです。交渉中にM&A・会社売却の情報が漏れてしまうと、不安に感じた技術者が離職してしまう可能性があります。
④M&A・会社売却の目的を明確にする
サイバーセキュリティーのM&A・会社売却では、目的を明確にしておくことが重要です。
シナジー効果の獲得・経営者の高齢化・大手の傘下に入って基盤を得るなど、買い手側企業にはっきりと目的を伝えられるようにしておきましょう。
⑤M&A・会社売却の専門家に相談する
サイバーセキュリティーのM&A・会社売却では、サイバーセキュリティーの動向とM&Aに関する知識の両方が求められます。サイバーセキュリティー会社の経営者が、本業の傍ら自力で成約までこぎつけるのは困難です。
サイバーセキュリティーのM&A・会社売却を実施するには、M&A仲介会社などの専門家に相談するのがベストです。
サイバーセキュリティーのM&A・会社売却の際におすすめの仲介会社
サイバーセキュリティーのM&A・会社売却をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。
M&A総合研究所は、さまざまな業種で成約実績を積み重ねており、M&Aの知識・経験豊富なアドバイザーがクロージングまでフルサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。
無料相談を受け付けていますので、サイバーセキュリティーのM&A・会社売却をお考えの方は、電話かメールでお問い合わせください。
サイバーセキュリティーのM&A・会社売却まとめ
サイバーセキュリティー業界は、今後活発なM&Aが行われていくと予想されます。M&Aに関する知識を深め、動向を把握しておくことが重要です。
サイバーセキュリティーのM&A・会社売却の成功を目指す際は、M&A仲介会社などの専門家に相談するのがベストといえるでしょう。
M&A・事業承継のご相談なら24時間対応のM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談は成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 譲渡企業様完全成功報酬制
- 経験豊富なM&Aアドバイザーがフルサポート
- 最短3ヶ月という圧倒的なスピード成約
- 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
M&A総合研究所は、M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
あなたにおすすめの記事

M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
M&Aの特徴は手法ごとに異なります。昨今の日本では、M&Aが経営戦略として人気を集めており、実施件数が増加中です。経営課題の解決を図るべく、M&Aの前向きな検討をおすすめ...
買収とは?用語の意味やメリット・デメリット、M&A手法、買収防衛策も解説
買収には、友好的買収と敵対的買収とがあります。また、買収に用いられるM&Aスキーム(手法)は実にさまざまです。本記事では、買収の意味や行われる目的、メリット・デメリット、買収のプロセスや...

現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説
M&Aや投資の意思決定をするうえで、現在価値の理解は欠かせません。現在価値とは今後得られる利益の現時点での価値を表す指標であり、将来の利益を期待して行う取引・契約・投資で重要な概念です。...
関連する記事
税理士法人・会計事務所のM&A動向!買収・売却・事業承継の事例を紹介!
税理士法人・会計事務所は、税理士法人の増加や経営者の高齢化などによって、M&Aが活発化してきている業界です。本記事では、税理士事務所・会計事務所のM&Aについて、動向や売却・買収...
商社業界のM&A動向!売却や買収の事例・実績とM&Aのメリットを解説!
さまざまな商品の流通をサポートする商社業界は、トレーディング需要の減少などにより、M&Aによる積極的な経営で打開を図る企業が増えています。本記事では、商社業界のM&A動向について...
老人ホームM&Aの動向!最近のトレンドは?買い手と売り手のメリットも
日本の高齢化社会が進むにつれ、老人ホームの需要が高まると予想されています。同業種だけでなく異業種からの参入も増えており、業界内のM&Aが活性化しています。本記事では、老人ホームM&...
株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。