2024年11月30日更新会社・事業を売る

株式譲渡時の税金とは?種類・取得価額や課税額の計算方法・特例制度を徹底解説

株式譲渡で売り手側に譲渡益が生じた場合、譲渡所得税の課税対象となります。株式譲渡の節税対策として、退職金の活用で手元に残る額を増やせる場合もあるため専門家に相談しましょう。本記事では、株式譲渡にかかる税金や取得価額について紹介します。

目次
  1. 株式譲渡時の税金とは
  2. 株式譲渡時の税金と取得価額の関係
  3. 株式譲渡時の課税と確定申告の必要性
  4. 株式譲渡時の課税に関するポイント
  5. 株式譲渡時の課税額を抑える対策
  6. 株式譲渡の税金に関する特例制度
  7. 株式譲渡時の税金まとめ
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株式譲渡時の税金とは

株式譲渡は中小企業のM&Aシーンで広く活用されている手法です。譲受側が譲渡側の株式を買い取って、譲渡側の経営権を取得する取引をさします。株式譲渡を行うと、譲渡側では譲渡所得を得られるため、アーリーリタイアや別事業への投資などを目的に、株式譲渡を検討する経営者も多いです。

特に上記の目的で株式譲渡を行う場合、課される税金の知識を知る必要があります。本章では、株式譲渡を行った人へ課せられる税金の概要を見ていきましょう。

譲渡所得税の種類と税率

株主が株式譲渡によって譲渡益を手に入れた場合、これに対して譲渡所得税と呼ばれる税金が課されます。譲渡益とは、株式の譲渡価額から「株式の取得価額・取得にかかった費用」と「株式譲渡にかかった費用」を差し引いて算出される利益です。

譲渡所得税は、所得税(法人が実施した場合は法人税)・住民税・復興特別所得税などにより構成される税金です。ここからは、各税金の概要を順番に取り上げます。

①所得税・法人税

所得は10種類に分かれ、それぞれの所得で税金の計算方法が異なります。株式譲渡で得た所得は譲渡所得税とみなされ、国税として15%の所得税が課される決まりです。法人が株主である場合の株式譲渡では、法人税が課税されます。法人の株主には、30%〜40%程度の法人税が課される決まりです。

②住民税

株式譲渡では、所得税だけでなく地方税にあたる住民税も課されます。株式譲渡における地方税は分離課税で、5%の課税を受ける仕組みです。そのため、所得税と加えると20%の税金が課されます。法人が株主である場合は、法人住民税 (法人税額の約20%)が課される決まりです。

③復興特別所得税

2013(平成25)年〜2037(令和19)年の期間は、東日本大震災の復興財源に充てる目的のもと、所得税(法人税)と住民税に上乗せする形で復興特別所得税も徴収されます。

個人の株主を例に挙げると、復興特別所得税は所得税(15%)に対して2.1%の復興特別所得税が課されるため、実質税率0.315%が譲渡所得税に加算される仕組みです。5%の住民税を加えると、合計20.315%が譲渡所得税として徴収されます。

譲渡所得税の計算方法

続いて、株式譲渡にかかる譲渡所得税の計算方法を見ていきましょう。まずは以下の計算式を活用して、株式譲渡における譲渡所得の金額を求めます。

  • 譲渡所得=総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+M&A仲介手数料など)

総収入金額とは、実際に株式の譲渡対価として手に入れた金額のことです。株式譲渡の当事者双方が協議したうえで決定されます。必要経費とは、譲渡を行う株式を取得した際に発生していた「取得費」およびM&A仲介会社などに支払う「委託手数料」などの総称です。

株式譲渡にかかる税金は、譲渡所得の金額をもとに求めます。譲渡所得にかかる税金は譲渡所得に対して20.315%課されるため、以下の計算式で求めることが可能です。

  • 譲渡所得税=譲渡所得✕20.315%

ここからは、具体的なケースに当てはめて譲渡所得税を算出します。経営者のAさんが自身の経営する会社の株式すべてを10億円で売却(資本金は1億円・株式譲渡に要した費用は総額で500万円)したケースを想定すると、以下の計算式で譲渡所得税が算出可能です。

  • 譲渡所得=10億-(1億円+500万円)=8億9,500万円
  • 譲渡所得税=8億9,500万円✕0.20315=1億8,181万9,250円

上記のとおり、Aさんに課される譲渡所得税は1億8,181万9,250円です。

株式取得費の算出方法

まずは、基本的な取得費の算出方法を見ていきましょう。

  1. 1単位当たりの取得費=〔(取得単価×取得株式数)+買ったときの手数料など+消費税〕÷株式数
  2. 譲渡する株式の取得費=1株当たりの取得費×譲渡する株式数

2回以上に分けて株式を買うときは、総平均法に則します。株式などを種類や銘柄ごとに分け、種類などが同じものに関して計算しましょう。

  1. 1単位当たりの取得費=(株式の初回購入総額+2回目以降における総額)÷(株式の初回購入における株式総数+2回目以降購入の株式総数)
  2. 譲渡株式の取得費=1株当たりの取得費×譲渡する株式数

株式取得費の確認フロー

株式取得費を確認するには、株式を買う際に証券会社から交付される取引報告書をチェックする方法、株式購入先の証券会社により顧客勘定元帳で取得費を調べてもらう方法などがあります。

金融機関では、顧客勘定元帳の10年間保存が決められています。10年以内に故人である被相続人が得たものは、証券会社へ問い合わせましょう。故人の日記や預金通帳などから取得価額を探す場合は、取得時期がわかると、当時の相場から株式の取得費が算定可能です。

名義書き換え日の相場を基にチェックする場合は、株式発行会社や名義書き換えの受託先である証券代行会社に、株式名簿や複本、株式異動証明書を確認してもらえば株式の取得時期がわかります。株式電子化後における株券の裏面で確認も可能です。

譲渡損が生じる場合は課税されない

株式を譲渡して譲渡損が生じるときは課税されないので、申告を行わなくてかまいません。ただし、申告すると得になるケースもあることを覚えておきましょう。

【関連】M&Aの税金に関する知識!買い手・売り手の節税対策・税務を徹底解説【2024年最新】

株式譲渡時の税金と取得価額の関係

株式の取得価額は、税金を納める際に必要なものです。ここからは、取得価額の確認方法や金額の算出方法、注意すべき点などを解説します。

株式の取得価額とは

株式の取得価額とは、株式を取得したときに支払った払込代金や購入代金、購入手数料、消費税、名義書換料など、株式取得の際に使った費用全てです。売却した際の譲渡所得額は、売却額から取得価額と売却手数料などを差し引いたうえで求めます。

取得価額以外に、時価があります。上場株式は、市場の取引価格が時価です。非上場株式は、所得税法で定められている方法で時価が決まります。

1日のうちに売買を繰り返した場合、保有価格と買い戻し価格の平均で取得価額か決まります。売却額と平均額の差額分が課税となるので覚えておきましょう。差額を出す際に、買い戻し価格と間違えやすいので留意してください。

株式の時価との違い

株式の価格には、「取得価額」と「時価」の二つの概念が存在しますが、それぞれ異なる意味を持っています。時価は、通常の株式取引で決まる株価のことで、上場している株式の場合、株式市場での取引価格がこの時価になります。

一方、市場に上場していない株式の場合、自由な市場取引が存在しないため、自然に時価が決まることはありません。このような非上場株式の時価は、税法に基づいて特定の方法で計算されます。非上場株式の取引価格は、売買する当事者の意見や見解が影響を与えるため、必ずしも公正な価格とはいえないことがあります。

そのため、税法で定められた時価の計算方法は、これらの主観的な影響をできるだけ除外し、非上場株式の公正な価格を決定するために用いられます。

即日買い戻したときの取得価額

もし株を売って、その日のうちに同じ株を買い戻すと、元の持っていた株の価格と買い戻した価格を合わせた平均が、新しい株の価格(取得価額)になります。

例えば、1000円で持っていた株を1100円で売り、同じ日に1090円で買い戻した場合、1000円と1090円の平均値、つまり1045円が新しい取得価額です。そして、この取得価額1045円と売った時の1100円の差額55円が税金の計算対象になります。

もし翌日以降に買い戻した場合は、元の1000円がそのまま取得価額となり、売った価格1100円との差額100円が税金の計算対象です。この点に注意が必要です。

株式の取得価額を知っておく重要性

株式を購入した際の税金を決めるときは、時価ではなく、取得価額が基になります。時価とは株式を購入した時の価格をいいます。

正しい税金額を出さなければ誤った確定申告となり、修正申告を求められることにつながりかねません。専門的な知識が必要になることもあるため、わからなければ専門家に相談しながら、正しい取得価額の把握に努めましょう。

株式取得価額の算出方法

株式取得価額には、通常の計算方法とは異なり、調整が必要なケースもあります。それだけでなく、同じ銘柄を2回以上購入するときは別の計算方法を採用します。それぞれを詳述しましょう。

計算時の1単位当たりの調整

株式取得の一般的な算式は下記のとおりです。

  • 1株あたりの取得費:(単価×数+委託手数料+消費税)÷株数
  • 譲渡株式の取得価額:1株当たりの取得費×株数

この算式に当てはまらない場合、1単位当たりの取得費が調整される場合があります。以下のようなケースです。

  • 株式分割や併合が行われた場合
  • 同一種類の株式を株主割当てにより取得した場合
  • 課税の繰延べの対象となる合併により合併法人の株式等を取得した場合
  • 課税の繰延べの対象となる分割型分割により分割承継法人の株式等を取得した場合
  • 株式分配により完全子会社の株式等を取得した場合
  • 課税の繰延べの対象となる株式交換または株式移転により株式交換完全親法人または株式移転完全親法人の株式等を取得した場合
  • 課税の繰延べの対象となる株式交付により100%親会社の株式を取得した場合

いずれにしても、専門的な内容になるため、証券会社など取引金融機関や税理士、会計士、M&Aの専門家などに相談するとよいでしょう。

 

同一銘柄を2回以上購入した場合の取得価額

同一銘柄を2回以上購入し、その株式の一部を譲渡した場合、総平均法に準じた計算方法によって、1単位当たりの金額を基に取得費を導き出します。これは、株式をその種類や銘柄を区分して、その種類等の同じものについて計算する方法です。下記は、総平均法に準じた算式です。

  • (A+B)÷(C+D)=1単位当たりの金額

上記のAは、株式等を購入した際の総額。Bは、株式等の購入から譲渡までの総額。Cは、Aに係る株式等の総数。Dは、Bに係る株式等の総数。過去の取引履歴を基に計算するため、取引に関する書類は保管しておき、専門家などに相談する際は準備しておくとよいでしょう。

株式の取得価額を確認する方法

取得価額は以下の方法で確認しましょう。

  • 取引報告書で確認
  • 証券会社などの取引会社に確認
  • 金融機関の預金通帳などで確認

取引報告書で確認

証券会社などから渡される取引報告書には取得費の記録が載っています。必要な時にすぐに確かめられるよう、取引報告書は保管しておきましょう。取得金額は、それ以外にも「月次報告書」「取引残高報告書」「受渡計算書」などでもわかります。

証券会社などの取引会社に確認

証券会社などの金融商品取引会社は、「顧客勘定元帳」を保管しています。法律で定められている法定帳簿の一つです。取引の売買および入出金の履歴が記載され、10年間の保存義務があります。

金融機関の預金通帳などで確認

取引している金融会社に連絡をして顧客勘定元帳を請求すれば、有料で発行してくれます。その際は、取得金額がわかるように、取得日を含む期間をいつからいつまでと指定してください。

上記の取引報告書や顧客勘定元帳がない場合、自身の預金通帳の記入内容から取得費がわかります。場合によっては、個人的な日記など何か記しているものを残していれば、取得価額の確認に使用できることもあるでしょう。

株式の取得価額を知る手順・流れ

国税庁のWEBサイトに、下記の「上場株式等の取得価額の確認方法」というPDFが掲載されています。取得価額を確認する際の手順は下記のような流れですので、参照するとよいでしょう。

上場株式等の取得価額の確認方法

出典:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/joto-sanrin/kabushiki_shutoku.pdf

①取引報告書:証券会社などから送られてくる取引報告書で確認。
②顧客勘定元帳:取引金融機関が保存する顧客勘定元帳で確認。
③本人の手控え:預金通帳、日記帳、メモなどで確認。
④名義書換日の確認:名義書換日を調べ、当時の相場を基に計算。

株式の取得価額がわからない場合の対処方法

これまで取り上げた方法でもわからず、譲渡した株式が相続したものであったり、購入した時期が古かったりして、取得価額がわからない場合、最後の選択肢として、次の2つの取扱いが認められます。

  • 名義書換の日付の株価を確認する
  • 売却代金の5%を取得費相当額とする

名義書換の日付の株価を確認する

株式の発行元に名義書換日を問い合わせてみます。株主名簿や株式移動証明書から取得日がわかることもあります。上場株式の場合、取得日を基に、新聞やWEB上のファイナンス情報などで株価を調べられるかもしれません。

売却代金の5%を取得費相当額とする

次に、株式の売買代金の5%を取得価額とする方法があります。「概算取得費」という計算方法です。概算取得費は、土地建物で適用されるものですが、株式に活用される場合もあるのです。ただし、あくまでも概算なため正確な数字とはいえません。最終手段と捉え、損をすることのないようにしましょう。

参考:譲渡した株式等の取得費|国税庁

株式取得時の手数料などの取り扱い

株式を取得する際は、株の現在価値や権利を行使するための価格だけでなく、証券会社への手数料や消費税も支払います。これらの手数料と税金は、株の価格に加えて計算され、株式取得のための全体の費用に含まれます。

ただし、名義変更料など、株を買う際の総費用に含まれないこともある特定の費用があります。これらの費用については、一般の人には判断が難しい場合が多いので、会計士などの専門家に相談するのが良いでしょう。

株式譲渡時の課税と確定申告の必要性

給与を1カ所のみから受けており、給与の年間収入金額が2,000万円以下の給与所得者であれば、確定申告は不要です。しかし、このケースでも、給与以外の所得が20万円を超えた場合には確定申告が求められます。

ただし、株式譲渡時の所得が20万円を超えないケースはほとんど存在しないでしょう。大半の株式譲渡では、申告の義務が生じると捉えておきましょう。譲渡所得は申告分離課税の制度が適用されます。その他の所得における損益通算が行えない点も要注意です。

総合課税と分離課税の違い

所得税は、種類によって総合課税と分離課税に大まかに分けられます。総合課税とは、対象となるすべての所得を加算した金額に対して課税を行う方法のことです。事業所得・給与所得・配当所得・不動産所得などが代表例として挙げられます。

分離課税とは、他の所得と合計せずに独自の税率をかけて税金を計算する方法のことです。退職所得・山林所得・譲渡所得(土地建物・株券)・利子所得などが該当します。株式譲渡は株式の売買であるため、総合課税ではなく分離課税です。そのため、その他所得との損益通算はできません。

【関連】株式譲渡後の確定申告方法とは?必要性の判断、添付書類と書き方、税金の計算を解説

株式譲渡時の課税に関するポイント

この章では、株式譲渡時の課税に関するポイントを見ていきましょう。

株式譲渡時の課税と納付時期

所得税および復興特別所得税は、翌年の3月15日までに確定申告を実施し納税します。一方、住民税は、申告年の4月〜5月頃に自治体から納付書が届き次第支払う仕組みです。

所得税および復興特別所得税の支払いで安心して残金をすべて使用すると、住民税の支払いが行えないおそれがあるため注意しましょう。

株式譲渡の課税に関する譲受側の注意点

株式譲渡では譲渡所得に対して税金が発生するため、譲渡側のみ課税を受けるのが基本です。つまり、一般的に譲受側は課税を受けないものの、親族への株式譲渡では相続税が徴収されるケースがあるため注意してください。

相続税に該当するとみなされる場合、譲受側も取得額に対して10%から55%の税金が徴収されます。また、株式を時価における半分未満の金額(無償を含む)で譲渡するケースでは、譲受側も時価との差額に対して贈与税が徴収される点も把握しておきましょう。

不安がある場合は、税金の発生有無を税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

【関連】事業譲渡にかかる税金は?株式・会社譲渡の方が節税対策になる?税務を徹底解説!

株式譲渡時の課税額を抑える対策

株式譲渡によって売却益を得ても、多額の税金が課されます。しかし、節税対策の実施により、ある程度のお金を手元に残せる可能性があるのです。売り手側の節税対策として最も有効な方法は、退職金制度の活用です。退職金の活用次第では、支払う税金の額を減らせます。

具体的にいうと、経営者である株主個人が株式譲渡により会社経営からリタイアする際、受け取る退職金の額を調整すれば手元に残る額を増やせる可能性があるのです。

このように、株式譲渡を行う際は節税対策を考慮する必要もあるため、専門家からサポートを受けながら進めると良いでしょう。専門家選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にお任せください。

M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A成約実績を豊富に持つ仲介会社です。ご相談からクロージングまで、知識・経験の豊富なM&Aアドバイザーが、案件をフルサポートいたします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります。)無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

譲渡損の申告でも節税できる

上場株式の売却によって損失が生じると、分離課税で確定申告すれば節税が可能です。

〇証券の特定口座で生じた譲渡損があるとします。それを、△証券における特定口座の配当益・譲渡益と一緒に申告すれば、損失と利益を相殺して所得額を下げられるのです。損失が残った場合は、翌年から3年間は引き続き確定申告をすると損失を繰り越せます。

株式譲渡の税金に関する特例制度

株式譲渡の税金に関する特例制度「事業承継税制」を紹介します。これは、後継者が中小企業の非上場株式を相続や贈与で引き継いだ際、本来支払うべき多額の相続税や贈与税の納税を猶予する制度です。2018年度の税制改正で、事業承継問題に対応するために創設されました。

非上場株式を相続または贈与する際、これと同時にその会社における事業を引き継ぐ場合は、該当する非上場株式すべてに対して課税される相続税または贈与税が100%猶予される特例制度です。親族だけでなく第三者への承継を行うケースでも適用されます。

猶予された課税額は、制度の利用途中で取り消しにならない限り、後継者の相続または贈与が発生するタイミングで免除されます。ただし、事務手続きが非常に複雑で、取り消されるリスクが伴うものです。

安心して制度の利用に臨むためには、税理士などの専門家にサポートを依頼すると良いでしょう。

株式などの譲渡に関する特例で、主なものは下記になります。

  • 特定口座制度
  • 上場株式などにかかる譲渡損失と上場株式などにかかる配当所得などとの損益通算
  • 上場株式などにかかる譲渡損失の繰越控除
  • 特定管理株式などが価値を失った場合の株式などにかかる譲渡所得などの課税の特例
  • 非課税口座内の少額上場株式などにかかる配当所得および譲渡所得などの非課税措置(NISA)
  • 未成年者口座内の少額上場株式などにかかる配当所得および譲渡所得などの非課税措置(ジュニアNISA)

相続した株式ならば取得費加算の特例が利用可能

相続した株式を譲渡する場合は、取得費加算の特例が利用できます。譲渡した株式の相続税額を取得費にプラスできる制度です。取得費が増加すれば、譲渡所得は減少するので、課税額を抑えられます。この特例は、上場株式と非上場株式で活用可能です。

ただし、相続税申告期限の翌日から3年以内に株式の譲渡が必要で、確定申告もしなければなりません。

【関連】事業承継税制の特例とは?メリットやデメリット・利用の条件を解説【事例あり】

株式譲渡時の税金まとめ

本記事では、株式譲渡の税金に関する最低限の知識を重点的に紹介しました。株式譲渡は、中小企業のM&Aで最も活用されている手法です。税金に関する知識をしっかりと身につけたうえで実施しなければ、将来的に思わぬ事態を招くリスクがあるでしょう。

税金の知識を持たずに独断で節税を実施すると、脱税や租税回避などとみなされる危険性もあります。専門家からサポートを受けることをおすすめします。

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