M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年1月17日公開業種別M&A
中古車販売業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!
中古車販売業界には、近年異業種や新車販売ディーラーからの参入が相次いでいます。その結果、既存の中古販売業者の中には、売上低迷や後継者問題で廃業やM&Aを検討するところが増えています。この記事では、中古車販売業界のM&Aの状況などについて詳しく解説します。
目次
中古車販売業界の動向
中古車販売はここ数年右肩上がりで伸び続けていて、業界動向サーチの分析によると2021年の業界規模は1.2兆円でした。
売上ランキング業界1位のIDOMの売上高は、2017年が2,761億円、2019年が3,616億円、2021年が4,595億円とかなりの伸び幅です。
特にコロナ禍においては、移動手段として他の人との接触がない自動車を選ぶ人が増えたことから、中古車の需要が増加しています。
さらに、世界的な半導体不足による新車の納車時期の遅れが続き、すぐに手に入る中古車を購入する人が増えているために、中古車の販売価格も上昇中です。
参考:業界動向サーチ「中古車業界の動向と現状、ランキング&シェアなど」「IDOM」
中古車販売会社をM&Aで売却するメリット
中古車販売会社をM&Aで売却すると売却側にはさまざまなメリットがあります。4つのメリットをみていきましょう。
売却利益の獲得
M&Aで会社を売却すれば、経営者には売却した利益が入ります。もしも、売却する理由が経営者の高齢化と後継者不足であった場合には、売却したお金を老後の生活費として利用できるでしょう。
一部の事業のみを譲渡した場合には、会社に売却益が入ります。借入金の返済や新規事業の資金として活用できるメリットがあるでしょう。
後継者問題の解消と事業の継続
現在、中古車販売会社を含めて日本の多くの会社が後継者問題により存続の危機にあります。
日本の会社の6割以上が経営者が60歳以上で、その多くで後継者がいなくて、将来的に廃業する可能性が高いのです。
M&Aによって他の会社に経営を任せることができれば、会社を廃業する必要はありません。M&Aによる会社売却は、後継者問題が解決できるというメリットがあるのです。
従業員の雇用先の確保
後継者問題や資金繰りの悪化などの理由で会社を廃業にした場合には、その会社で働いている従業員を解雇せざるを得ません。
従業員の中には、年齢などの理由で解雇された後の仕事を見つけるのが難しい人もいることでしょう。
M&Aによる会社売却では、売却される会社の事業をそのまま継続することが前提なので、通常はそれまでの仕事の流れやノウハウを身に着けている従業員の雇用は継続されます。
廃業すれば解雇するしかない従業員の生活も、M&Aで雇用を維持できれば守ることができるのです。
経営者の負担軽減
多くの会社経営者が会社の負債に対して個人保証を負っています。また、経営者個人の負債もあるケースもあります。個人保証や個人としての負債が経営者に大きな負担となってるのです。
M&Aによって会社を売却すれば、会社の経営に関する負債や保証は買収側が全て引き継ぐことになります。売却側の経営者は負担から解放されるという点がメリットになるでしょう。
中古車販売業界のM&A・売却・買収事例6選
中古車販売業界のM&Aの事例を6つ紹介します。
バリュエンスホールディングスが米自動車をM&Aした事例
2022年12月にバリューホールディングス株式会社が、株式会社米自動車の発行済株式の一部を取得し、子会社化する株式交換によるM&Aを実施しました。このM&Aにより、バリューホールディングスが株式交換の完全親会社となり、米自動車が完全子会社となります。
バリューホールディングスは骨董品やブランド品、美術品などのリユース事業を展開している会社です。米自動車は国内外の新車・中古車販売と自動車整備事業を行っていて、特に高級自動車の整備ができる点に強みがあります。
バリューホールディングスは2021年から自動車の買取事業にも進出しており、このM&Aにより米自動車の持つ販路と高級自動車の整備技術を活用できるようになるとのことです。
参考:バリュエンスホールディングス株式会社「株式取得及び簡易株式交換による 株式会社米自動車の完全子会社化に関するお知らせ」
JトラストがPT.OLYMPINDO MULTI FINANCEをM&Aした事例
2018年4月に、Jトラストから、同社の連結子会社であるJTRUST ASIA PTE. LTD.(以下、「Jトラストアジア」)が、インドネシアのジャカルタに本社があるPT. OLYMPINDO MULTI FINANCE(以下、「OMF」)の株式の取得及び、第三者割当増資により発行する新株式の引き受けを行うことが発表されました。
このM&Aにより、JトラストアジアはOMFの発行済み普通株式の60%を取得することになり、OMFはJトラストの連結子会社(孫会社)となります。
Jトラストは主にアジア圏で銀行業、保証事業、ファイナンス事業を展開する会社です。OMFはインドネシアのマルチファイナンス会社で、オートローンの老舗としてディーラー業界に幅広い知名度を誇っています。
このM&Aにより、OMFが持つインドネシア国内での支店網と金融機関との太いパイプが、Jトラストの事業とのシナジー効果が期待できるとのことです。
ユー・エス・エスがジェイ・エー・エーをM&Aした事例
2017(平成29)年1月に株式会社ユー・エス・エスが、株式会社ジェイ・エー・エーの株式を取得して子会社化するM&Aが発表されました。このM&Aにより、ユー・エス・エスはジェイ・エー・エーの全株式の66・04%を所有します。
ユー・エス・エスは愛知県東海市に本社のある中古車オークション会社です。ジェイ・エー・エーは東京都江戸川区に本社を持つ中古車オークション会社でした。
このM&Aにより、中古車オークションのさらなる活性化を図れるとしています。なお、ジェイ・エー・エーは2021年にユー・エス・エスに吸収合併されました。
参考:株式会社ユー・エス・エス「株式会社ジェイ・エー・エーの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
カーチスホールディングスがアガスタをM&Aした事例
2014(平成26)年11月に、株式会社カーチスホールディングスが、株式会社アガスタの第三者割当増資を引き受けて連結子会社化するM&Aを発表しました。このM&Aにより、カーチスはアガスタの株式の66.67%を所有します。
カーチスは中古車の買い取りと販売を行う会社です。アガスタは海外への輸出に強い中古車販売会社です。
このM&Aにより、カーチスは海外を含めた販路の確保を、アガスタは車の仕入れ手段の多様化を、それぞれ図ることができるとしています。
参考:株式会社 カーチスホールディングス「株式会社アガスタの連結子会社化に関するお知らせ」
VTホールディングスが日産サティオ奈良をM&Aした事例
2014年3月にVTホールディングス株式会社が、株式会社日産サティオ奈良の全ての株式を取得して子会社化するM&Aが発表されました。
VTホールディングス株式会社は愛知県名古屋市に本社を持つ、自動車ディーラーの持株会社です。株式会社日産サティオ奈良は奈良県内に新車6店舗、中古車1店舗を持つ日産系の自動車ディーラーです。
VTホールディングスはこのM&Aにより、奈良県内での日産車のシェア拡大に寄与していきたいとしています。
参考:VTホールディングス株式会社 「株式会社日産サティオ奈良の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
ストライダーズがグロリアスフィールドの中古車情報検索・中古車買取り一括査定サイトをM&Aした事例
2012年5月に、株式会社ストライダーズがグロリアスフィールド株式会社が運営する中古車情報検索、中高車買取一括査定サイト「BUY CAR JAPAN」の事業を譲り受けるM&Aを発表しました。
ストライダーズは投資事業などを幅広く展開している会社で、特にIT関連事業に関してWebサイトの運営での集客ノウハウを持っています。BUY CAR JAPANは、将来性が高い中古車情報サイトとして一定の評価を得ているサイトです。
このM&Aで、ストライダーズのWebサイト運営ノウハウを生かして、BUY CAR JAPANのさらなる成長を図り、収益拡大ができるとしています。
参考: 株式会社ストライダーズ「事業の譲受けに関するお知らせ」
中古車販売会社をM&Aで売却する流れ
中古車販売会社をM&Aで売却する流れについてみていきましょう。
専門家への相談
中古車販売会社のM&Aを考え始めたら、まずはM&Aの専門家へ相談しましょう。M&Aには法律や会計などの専門的な知識が必要なので、自分で考えているだけでは動き出すことが難しいものです。
日本には、中小企業のM&Aを専門に扱う専門家がいます。M&Aをするべきかどうか、というところから相談に乗ってくれるので、まずはM&Aの専門家に相談してみましょう。
M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A案件を主に取り扱っており、全国の案件に対応しています。
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売却先の選定
M&Aの専門家に依頼することを決めたら、次は売却先の選定です。
会社名などの具体的な情報を省いた売却希望企業の情報を公開して買収を希望する会社を募ったり、仲介会社などの顧客の中で中古車販売会社の買収を希望している会社に声を掛けてもらったりして探します。
何社か買収希望会社をピックアップしたら、売却側の会社の経営者が交渉する相手を選びます。
秘密保持契約とトップ面談
交渉相手を選んだら、買収を希望する相手側企業やM&Aの専門家と秘密保持契約を結びます。
M&Aの交渉には、会社の機密情報となるノウハウや会計情報などを相手側に開示する必要があるので、その情報が漏れないように秘密保持契約を結びます。
また、トップ面談もこのタイミングで行います。経営者同士が腹を割って話をすることで、書類などからは見えない企業文化や経営理念などを理解し合い、M&Aの相手としてふさわしいかを判断します。
基本合意契約とデューデリジェンスの実施
トップ面談の結果、M&Aを進めることにお互いが合意したら、交渉に入ります。
交渉では、譲渡価格、条件、M&Aのスキーム、譲渡する時期、デューデリジェンスなどについて決定します。交渉がまとまったら、基本合意書を作成してデューデリジェンスに入ります。
デューデリジェンスとは、買収側が売却側の会社にリスクがないか、徹底的に調査することです。法務、財務、人事などのM&Aの専門家チームが調査を行います。
最終契約
デューデリジェンスの結果から最終交渉が行われます。
基本合意書作成時にはなかった何らかの問題が見つかった場合には、値引きや保証を付けるように迫られる可能性があるでしょう。
最終交渉が妥結したら最終契約書が締結されます。その後にクロージングです。クロージングまでの間に、従業員や取引先に理解を求めたり、経営をスムーズに移行できるように体制を整えていきます。
中古車販売会社をM&Aで売却する注意点
中古車販売会社をM&Aで売却するときには、代理店契約に注意しましょう。
自動車メーカーと代理店契約を結んでいる場合、通常はM&A後でも買収側に契約を引き継ぐことができます。しかし、メーカーの意向に沿わないM&Aを行ってしまうと、チェンジオブコントロール違反となり、代理店契約が破棄されてしまうかもしれません。
M&Aでの売却にはメーカーの承認が必要であることに注意しましょう。
中古車販売会社のM&A・事業譲渡まとめ
中古車販売会社をM&Aで売却できれば、事業を継続できて従業員の雇用も守ることができます。ぜひ、何らかの理由で中古車販売会社の廃業を検討しているのであれば、一度M&Aの専門家に相談して、売却の可能性も探ってみましょう。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。