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動物病院におけるM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

他院との差別化を図るためにM&Aを検討する動物病院も多いです。​​​​​​​動物病院同士のM&Aによって、双方の技術や人材を活用し、事業の強化につなげるといったケースが見られます。また、個人経営の動物病院が多い中、M&Aによって経営上の問題を解決するケースも増加しています。

目次
  1. 動物病院とは
  2. 動物病院のM&A・買収・売却・譲渡動向
  3. 動物病院のM&A・買収・売却・譲渡の成功ポイント
  4. 動物病院のM&A・買収・売却・譲渡で注意したいポイント
  5. 動物病院のM&A・買収・売却・譲渡の相場
  6. 動物病院のM&A・買収・売却・譲渡の事例5選
  7. まとめ

動物病院とは

近年、ペットの多様化や高齢化などの要因もあり、動物病院に対するニーズはますます高まっています。
特に現在のペットは家族の一員として過ごすケースが一般的なため、高度な医療を受けさせたいと考える飼い主の方も多いです。 そのため、技術の向上をはじめ、サービス体制の強化、人材の確保など、動物病院は様々な対応に迫られています。 こうした問題の解決策として、M&Aは効果的です。 例えば、動物病院同士のM&Aであれば、双方のノウハウや技術、人材など活かし、サービス体制の強化につなげることができます。 また、経営が悪化した動物病院であれば、M&Aによる売却によって事業を安定させることもできます。 こうした事情もあり、近年の動物病院業界ではM&Aが増加する傾向が見られます。 さて、このような動物病院のM&Aの動向を知るにあたり、まずは動物病院の特徴や業界の動向について整理しておきます。

動物病院の動向や特徴

ペットに対する高度な医療のニーズの高まりに伴い、動物病院業界では市場拡大が進んでいます。 一方で、市場の成長に伴い、技術の向上や優秀な人材の確保が急務になっています。 より高度な医療が求められる現状では、それぞれの動物病院が技術の向上を常に意識する必要があります。 もちろん優秀な人材や高度な医療設備の確保も必要です。 こうした状況の中、M&Aによって優秀な獣医師の確保や技術力の強化を図るケースも増えています。 また、高度な医療の普及により、医療費はますます高額になっています。 そのため、今後は価格競争が深刻化する可能性もあり、競争力を強化するためのM&Aのニーズも高まると考えられます。 さらに、最近は爬虫類などをペットとして飼う方も増えており、ペットの多様化も進んでいます。 様々な種類のペットへの対応に迫られていることも、近年の動物病院業界の特徴となっています。

動物病院業界の課題点

動物病院は個人が経営しているケースが多く、多様化するニーズや高度化する医療技術に対応しにくいという問題もあります。 また、動物病院に限らず、個人が経営する事業所は経営が不安定になりやすいです。 そのため、場合によってはやむを得ず廃業を選択する経営者の方も見られます。 ただ、これまで築き上げてきた事業を廃業することは、経営者にとってはもちろん抵抗があります。 また、動物病院の廃業は飼い主やペットにも大きな影響を与えてしまうので、できる限り廃業を避ける方法を考える必要があるでしょう。 そこで、M&Aによって経営上の問題を解決するという方法があります。 例えば、資金力のある企業(動物病院)の傘下に入ることができれば、それだけ安定した財務基盤のもとで事業を継続できます。

動物病院のM&A・買収・売却・譲渡動向

他院との差別化を図るためのM&A

市場の成長とともに競争の激化も見られる中、動物病院にとっては他院との差別化が重要になります。 そのためには、サービス体制の強化、事業エリアの拡大、優秀な獣医師の確保、技術の向上などが求められますが、これらをM&Aによって実現しようと考える動物病院が増えています。 例えば、差別化を図るために診療時間を拡大する場合であれば、もちろん獣医師の確保が必要になります。 しかし、自院だけで人材を確保することは、一般的には時間と手間がかかります。 そこで、他院とのM&Aを行い、双方の人材を活用する形で人材確保につなげるといったケースが見られます。 また、特定のエリアに強い動物病院の買収によって事業エリアを拡大することや、高度な技術や医療設備を持つ動物病院とのM&Aによって事業強化を図るといった事例も見られます。

経営上の問題を解決するためのM&A

動物病院が抱える経営上の問題を、M&Aによって解決するケースも増えています。 M&Aによって資金力のある企業(動物病院)の傘下に入ることができれば、廃業の危機を免れ、安定した財務基盤のもとで事業を継続することができるのです。 事業継続ができれば、その動物病院の経営者や従業員だけでなく、病院を利用している飼い主やペットにとっても大きなメリットとなります。 特に個人経営が多い動物病院業界では、廃業などの経営上の危機を救うM&Aは大きな意味を持っているのです。 今後のニーズの高まりや技術の多様化などに伴い、個人経営の動物病院は厳しい状況に立ち向かう必要があります。 こうした動向の中、経営上の問題解決のためのM&Aは今後も増加すると考えられます。

動物病院のM&A・買収・売却・譲渡の成功ポイント

動物病院を売却するケース

売却の際には、買い手に自院の魅力をしっかりと伝える必要があります。 例えば、買い手がM&Aによって事業の強化を考えている場合、買い手のニーズも踏まえ、自院の魅力をアピールしなくてはなりません。 その買い手がどのような分野で事業を強化したいのか、どのような技術を強化したいのか、拡大したい事業エリアはどこかなど、買い手のニーズを整理しましょう。 そして、買い手のニーズが自院の強みと合致すれば、自院の強み・魅力をしっかりとアピールする必要があるのです。

動物病院を買収するケース

同業者同士のM&Aとして動物病院を買収する場合、事業エリアの拡大や技術の強化といったメリットを享受できます。 例えば、特定のエリアで新しく事業を開始したい場合であれば、そのエリアに強みを持つ動物病院を買収することで、比較的短期間で事業を開始できるのです。 自院だけでそのエリアに進出するより、時間も手間もかかりません。 そのほか、双方のノウハウや技術、人材などを活かし、サービス体制の強化などにつなげることもできます。 こうした買収を成功させるには、自院が強化したい分野は何か、強化するべき事業エリアはどこかといった点を再確認し、買収するべき病院を決めることが大切です。

動物病院のM&A・買収・売却・譲渡で注意したいポイント

注意すべきポイントとしては、「目的を明確にすること」「M&Aの対象となる病院は丁寧に選ぶこと」という点が挙げられます。 M&Aの目的が明確であれば、より具体的なM&A戦略を策定でき、M&Aの方向性がしっかりと定まります。 また、自院にとって最適なM&Aのスキームも検討しやすくなります。 結果として、自院に合った適切なM&Aの実現につなげることができるのです。 反対に、目的が明確でなければ、M&Aをしても思ったような効果が現れなかったなどの事態になりかねません。 これでは、M&Aに多くの費用をかけても、事業戦略としてのメリットがなくなります。 こういった事態を防ぐためにも、M&Aの目的は明確にしておきましょう。 また、M&Aによって売却・買収を行う以上、対象となる病院は丁寧に選ぶ必要があります。 事業内容や方針などを十分に検討し、自院に合うかどうかを慎重に判断しなくてはなりません。 一方で、ふさわしい病院が見つかったら、アプローチは早めに行いましょう。 アプローチが早ければ、他の企業や病院に先を越されてしまったなどの事態を防ぐことができます。 また、M&Aの手続きを進めるには、法務、税務、財務などの専門知識が必要になります。 さらに、対象となる病院との交渉力も求められます。 このような手続きを自院だけで進めることは非常に難しいため、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家のサポートはしっかりと受けるようにしましょう。

動物病院のM&A・買収・売却・譲渡の相場

動物病院のM&Aでは、個人経営の動物病院から大規模な動物病院まで、様々な規模の病院によるM&A事例があります。 そのため、事例によっては規模が大きく異なるため、相場や費用を一概に把握することは困難とも言えます。 ただし、相場の判断が難しいからといって、相場や費用を全く考えないというわけにはいきません。 ある程度の相場・費用の目安をつけておかないと、想定外の費用が発生することになります。 こういった事態を防ぐためにも、自院の状況と似たM&A事例を分析し、どのくらいの費用が発生するのかを把握しておく必要があります。 具体的には、事例ごとにM&Aの目的、M&Aの当事者となる病院の規模、対象事業の規模、病院の業績、従業員の数、M&Aのスキームなどをチェックし、自院と似た事例は徹底的に分析することが大切です。

動物病院のM&A・買収・売却・譲渡の事例5選

エルムスユナイテッド動物病院グループによるタイグリスの子会社化

2017年8月、全国に動物病院を展開しているエルムスユナイテッド動物病院グループは、動物病院業界向けIoT事業などを手がけるタイグリスの完全子会社化を発表しました。 エルムスユナイテッド動物病院グループはすでにタイグリスの22.43%の株式を有していましたが、IoTを活用した事業の強化に向けてタイグリスの完全子会社化を行っています。 エルムスユナイテッド動物病院グループは、高度獣医療センター・一次動物病院となる10の病院を運営し、再生医療や先端獣医療、動物iPS細胞の研究、AIを活用した獣医療・遠隔診療、さらには動物病院関連事業・ペット関連事業まで、幅広い事業を展開しています。 また、タイグリスは、動物病院業界向けIoT事業として動物病院売上管理システム、動物病院顧客管理システム、電子カルテ、AI、VR/AR(仮想現実/拡張現実)、遠隔診療などの開発・販売を行っています。 このタイグリスを完全子会社化したことで、エルムスユナイテッド動物病院グループは、AIやVR/ARといったIoTの活用による獣医療技術の向上を進め、より最適な医療の提供につなげています。

七十七銀行などが設立したファンドがウイル動物病院グループに投資

七十七銀行は2018年7月、傘下のファンド運営会社と設立した「77ニュービジネスファンド」が、ウイル動物病院グループに5000万円を投資したことを発表しました。 77ニュービジネスファンドは七十七銀行がグループ会社の七十七キャピタルとともに組成したファンドで、様々な企業への成長資金の供給や経営支援を行っています。 また、ウイル動物病院グループは宮城県で6ヵ所の動物医療施設を展開しており、仙台動物医療センターと県内5つのグループ病院を運営しています。 仙台動物医療センターではCTなどの画像診断を中心として、予防診療・一般診療から高度な二次診療まで受け入れを行います。 5つのグループ病院では一次診療を中心に診察を行い、健康診断などの予防医療に力を入れています。 ウイル動物病院グループは77ニュービジネスファンドから資金を得たことで、それぞれの設備の拡充などを進め、医療体制のさらなる充実を目指します。

JVCCによるフジフィールドの株式取得

以下の3つの事例は、いずれも動物病院やトリミングサロンの運営を手がけるJVCCの事例となります。 JVCCは、「日本の獣医師にとって最も働きやすく、かつ、飼い主に最も信頼される動物病院グループの確立」という事業構想のもとで設立されました。 2017年にはいくつかの会社をグループに加え、動物病院のグループ化の推進を進めています。 この事例のうち、まずはフジフィールドの株式取得についてご紹介します。 JVCCは2017年4月、ペットサロン併設型動物病院の事業などを行うフジフィールドの発行済全株式(自己株式を除く)を取得しました。 フジフィールドは、東京都と神奈川県で3つのペットサロン併設型動物病院と7つのペットサロンを運営しています。 また、JVCCの代表取締役にはフジフィールドの創業者である藤野洋獣医師が就任しています。 そして、大半が個人事業者となっている動物病院業界において、JVCCは企業組織による病院経営モデルを構築し、事業構想に賛同する病院のグループへの参画を促進するとしています。

JVCCによるブイアイエスの株式取得

2017年7月、JVCCは、動物病院の運営を行うブイアイエスの発行済全株式を取得しました。 ブイアイエスは大阪府、兵庫県、東京都、埼玉県で7つの動物病院を運営しています。 また、各地のショッピングセンター内に動物病院を展開していることでも知られています。 ブイアイエスの参画により、JVCCは10の動物病院と7つのペットサロンを運営することになり、動物病院のグループ化の推進を加速させています。

JVCCによるFORPETSの株式取得

JVCCは2017年10月、東京都で動物病院とペットサロンの運営を行うFORPETSの発行済全株式を取得しました。 FORPETSは東京都で2つの動物病院と1つのペットサロンを運営しており、東京都23区を中心に、予防医療から高度な専門医療まで幅広く診察を行っています。 FORPETSの参画によって、JVCCは12の動物病院(3ヵ所はペットサロン併設型動物病院)と7つのペットサロンを運営する形になりました。

まとめ

近年、ペットが家族の一員として過ごすケースが増え、高度な医療を受けることを考える飼い主も増えています。 動物病院の需要がますます高まる中、医療も高度化しています。
市場としては成長が見られますが、動物病院の競争が激化する可能性もあります。
こうした状況の中で、他院との差別化を図るためにM&Aを検討する動物病院も多いです。
動物病院同士のM&Aによって、双方の技術や人材を活用し、事業の強化につなげるといったケースが見られます。 また、個人経営の動物病院が多い中、M&Aによって経営上の問題を解決するケースも増加しています。 廃業などの経営上の危機を救う手法として、M&Aは動物病院業界でも注目を集めています。 このように、個人経営の動物病院から規模の大きな動物病院まで、それぞれM&Aを実行するメリットがあります。 そのため、動物病院のM&Aは事例が多様化する傾向も見られます。 動物病院のM&Aを考えるには、多様な事例をチェックしつつ、自院の状況と似た事例は徹底的に分析し、検討を進めることが重要です。

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