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学校法人のM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説

学校法人のM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

学校法人のM&Aとは?

まずは学校法人のM&Aについてお伝えしていきます。
学校法人は一般的な会社と違い、株式や株主が存在しないため、M&Aのプロセスは大きく異なっています。
学校法人のM&Aは運営の中心となる理事長と理事会のメンバーを入れ替えることで、経営権を獲得するという形で行われます。
端的に表現するなら「トップを入れ替える」ことで学校法人のM&Aは完了するといえます。
この手法による学校法人のM&Aは一般的な企業買収に近いものですが、これ以外にも事業譲渡や合併に該当する手法もあります。 学校法人における事業譲渡は、売り手となる学校法人が持つ一部の学校や施設だけを譲渡する場合を指します。
この場合、設置者が変わることになるため、譲渡する学校や施設の設置者の名義を買い手に変更し、さらに付随する資産や労働契約、債務などを個別に移転していくことになります。 一般的な事業譲渡と同様に、かなり手間がかかるので気を付けておきましょう。
学校法人同士の合併の場合、合併を行うことに対して理事会を開催し、理事の3分の2以上の同意を得る必要があります。 それだけでなく評議員会に意見聴取を行ったり、所轄庁から合併認可をもらう、債権者への個別催告などといったプロセスが発生します。
そのため、ただ理事長や理事会のメンバーを入れ替えるだけの手法と比べると煩雑なプロセスをこなす必要があります。

学校法人のM&Aの現状と動向

学校法人のM&Aの現状と動向はどうなっているのでしょうか?
現在の日本は少子化が進行しており、学校法人にとっては苦しい状況が続いています。
18歳以降の人口は減少、あるいは低い水準での横ばいが続いており、それにともなって学校法人の閉鎖や定員割れが続出しています。 他方で大学進学率は上昇しており、より良い教育へのニーズは尚も高いため、生徒数それ自体は一定の数値を維持し続けています。
しかし、それに伴って学校法人同士、とりわけ私立大学同士の生徒の取り合いが激化しており、競争は今後も続くとみられています。
そもそも学校法人は収益が生徒数に依存するため、生徒の獲得は何より優先すべきテーマです。
当然一定以上の生徒数の確保に失敗すれば、その学校法人の経営は大きく悪化します。 また、さきほどお伝えしたように学校法人は一般的な会社とガバナンスの仕組みが異なっており、また許認可を獲得するのに非常に時間がかかります。
許認可を得たとしても遵守すべき制度の規制も多いうえに、何かしらの施策を打ってもあらかじめノウハウを心得ていなければ円滑な運営は難しいでしょう。 そのため、学校事業への進出のハードルはかなり高くなっています。 ただ、これらの問題を解決するうえでM&Aは有効的な手段となり得ます。
他の学校法人をM&Aで取り込むことができれば生徒数を確保できますし、大学・高校・中学と垂直型の統合を行えば内部進学もあって、一定の生徒数を維持しやすくなります。
また、外部の企業の経営統合することにより、新たなノウハウを取り入れたり、財務基盤を強化するなどして、より安定的な経営を目指すケースもあります。
他にも、企業が学校法人の設立を目指すうえでもM&Aは役立ちます。 さきほどお伝えしたように、学校法人をゼロから設立すると許認可の取得に時間がかかるうえに、設備の確保や生徒の募集など煩雑かつコストがかかるプロセスをこなす必要があります。
しかし、M&Aで学校法人の経営権を獲得すれば、許認可を取る必要がなくなり、学校法人をゼロから設立するより大幅にプロセスを省略できるようになります。

学校法人のM&Aの相場と費用

学校法人のM&Aを行った場合、その相場と費用はどれだけになるのでしょうか?
さきほどお伝えしたように、学校法人のM&Aは一般的な会社のそれと違い、株式を取得するプロセスがなく、理事長や理事会のメンバーを入れ替えることで経営権を獲得します。
一般的な会社のM&Aは経営権を獲得できるだけの株式を取得するため、その分の費用がM&Aの取引価格になります。
しかし、学校法人のM&Aはそのプロセスがないため、いうなればM&Aにおいて必要な対価が不要になります。
やや語弊のある表現になりますが、学校法人のM&Aにおいて経営権の獲得自体は実質的に無料で行えることになります。
ただ、理事長や理事会のメンバーを入れ替えた際、相手が退職したのであれば退職金が発生することになります。
退職金の設定は学校法人ごとによりますが、数千万円単位の金額にはなるでしょう。 そのため、学校法人のM&Aにおいて対価に該当するのはこの退職金ということになります。 退職金が総額でどれだけかかるかはケースバイケースですが、退職させる人数によっては数億円になることもあるでしょう。
一方で、学校法人のM&Aはただ理事長や理事会のメンバーを入れ替える以外にも事業譲渡や合併といった手法があります。 これらのような他の手法を用いた場合、発生する費用は異なってきます。
事業譲渡は経営権を取得するのではなく、学校法人が有する事業、いうなれば資産を直接買収するという手法です。 つまり相手から資産を買い上げるわけですから、当然対価が発生します。
具体的に対価の相場がどれくらいになるかはケースバイケースですが、基本的に純資産価値にのれん代を組み込んだ金額が決定されます。
合併の方は株式の取得が発生しないため、理事長や理事会のメンバーを入れ替える手法と同様に対価は発生せず、退職金の支払いのための費用が必要になります。
ただ、合併は許認可をもらうなど、様々なプロセスが必要であるため、それをこなす際にコストが発生することが考えられます。 加えて、債権者に個別催告した際、弁済や担保の提供が必要となったり、非適格合併と判断された場合は法人税がはっせいするなど、別にコストが発生する可能性もあります。
そのため、合併は一定の費用が発生することが多いうえに、理事長や理事会のメンバーを入れ替えるだけの手法よりコストが大きくなる傾向があります。

学校法人の買収とは?買う・買いたい場合

学校法人を買収する際、どのようなポイントに気を付ければいいのでしょうか? 学校法人は教育機関である以上、買収するのであれば、その質に注目すべきでしょう。
ちゃんと優秀な人材を育成し、輩出できるだけの機能を有していなければ学校法人に価値はありません。
学校法人がどのような学部・学科・コースを設置しているか、どのような環境や設備を用意しているかはもちろん、実際に教育を行う教員の質に関しても注目しておく必要があります。
また、さきほどもお伝えしたように学校法人は生徒数が収益を決定づけるため、生徒をどれだけ募集できるかも注目すべきポイントです。 どのようなターゲットを定めて生徒を募集しているか、その募集プロセスは整備されているのか、生徒の募集の妨げになるような問題はないかなど、生徒の確保がどのように行われているかもしっかり確認しておくべきでしょう。
ここまでお伝えした2つのポイントはいずれも学校法人の競争力を決定づけるものであり、将来性に直結する要素だといえます。 他方で、昨今注目された日本大学の問題のように、学校法人のガバナンスが問題なく機能しているかどうかもしっかり見極める必要があります。
学校法人は教育機関である以上、利益至上主義や理事長・理事会の無闇な権限強化は学校法人としての価値を落とすだけでなく、ひとたびスキャンダルが発覚すれば経営にも大きな悪影響を及ぼします。
そのため、健全なガバナンスが維持できているかどうかも、買い手は意識しておくべきだといえます。
最後に、何度もお伝えしているように学校法人は一般的な会社とは異なる点が多く、M&Aもプロセスが全く異なります。
もしノウハウを何も持ち合わせていない状況で取り組んでも失敗してしまう可能性が高いでしょう。
それも踏まえると、学校法人のM&Aを行う場合、買い手は専門家の協力を得た方がいいでしょう。
ただ、一般的なM&A仲介会社だと支援してもらえないこともあるため、学校法人のM&Aを手掛けた経験がある、あるいはそれを専門としているM&A仲介会社に支援を依頼することがおすすめです。

学校法人の売却とは?売る・売りたい場合

学校法人を売却する場合、どのようなポイントに注意した方がいいのでしょうか?
さきほどお伝えしたことと一部重複しますが、学校法人が一定数の生徒を確保するには、生徒を集められるだけの強みを持っておく必要があります。
学校法人の中には経営を優先して設備をカットしたり、環境を劣化させるようなことを行うケースがあります。
ただ、それをやり続けて教育機関としての価値が低下するようになっては本末転倒です。
また、M&Aを行ったとしても、教育機関としての伸びしろがなければ将来的な発展は厳しいでしょうし、そう判断されればM&Aそれ自体が破談してしまうことにもなりかねません。 だから、学校法人の売却を考える際は、教育機関としての「強み」は必ず維持しておくべきでしょう。
また、学校法人が一般の会社とは異なる特殊な法人である以上、買い手の経営手腕に関しても注目しておくべきです。
学校法人は単純に会社経営と同じ要領で経営できるものではなく、利益至上主義に走るようであれば教育機関としての価値を損ないます。
とりわけ大学は研究機関としての価値も注目されるため、買い手の質は非常に重要です。 ある程度学校法人の特殊性やガバナンスなどを理解している買い手を選ぶようにしましょう。

学校法人のM&A事例

中央大学×横浜山手女子学園

著名な私立大学を示すMARCHの一角である中央大学は、2011年に学校法人である横浜山手女子学園と合併を行っています。 これにより、横浜山手女子学園に属する横浜山手女子中学校・高等学校は中央大学の付属校となり、男女共学化を行うなど大きく組織体制を変えていくことになります。 この合併は典型的な生徒数確保が第一の目的であり、中央大学は横浜山手女子学園の内部進学枠を設けるなどして、安定的な生徒確保に取り組んでいます。 中央大学が行ったM&Aは学校法人のM&Aにおける、ある意味典型例だといえるでしょう。

京都大学×関西TLO

これはM&Aというより業務提携の強化というべき事例ですが、京都大学は関西TLOとの連携を強めるために株式の68%を取得しました。 京都大学は言わずと知れた日本を代表する大学であり、関西TLOは関西の大学の知的財産を権利化し、技術移転を行うことで社会に還元することを主な業務としています。 大学は教育機関であると同時に研究機関でもあるため、日々研究の成果として斬新な発明が生まれることは珍しくありません。 そのため、関西TLOのような外部の会社との連携を緊密にすることは、大学にとって非常に利益になるものだといえます。

学校法人神村学園×東理ホールディングス

2016年に学校法人神村学園は東理ホールディングスが運営する「ウィッツ青山学園高等学校」の学校設置者を引き受けています。 これは実質的な事業譲渡だといえるでしょう。 学校法人神村学園はウィッツ青山学園高等学校を「神村学園高等部伊賀分校」と名前を変えて運営しています。 そもそもウィッツ青山学園高等学校は通信制高校でしたが、度重なる不祥事で閉校するという事態に陥っていました。 しかし学校法人神村学園に設置者交代を行うことで、通っていた生徒を守りつつ学校法人として仕切り直しを実施しています。

まとめ

学校法人は一般的な会社と異なる点が多く、独自のガバナンスで運営されるものです。
また、公共性が非常に高い事業であるため、その運営にはノウハウを踏まえたうえで経営される必要があります。
学校法人のM&Aは少子化の進行に比例して増加する可能性が高いですが、もし何らかの形で関わる場合はそのノウハウを身に付けるべきでしょう。
必要があれば、学校法人のM&Aに専門化した業者の支援を受けることがおすすめです。

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