2024年10月24日更新業種別M&A

居酒屋の事業承継の案件例!事例や課題・相談先も紹介

居酒屋の事業承継は、飲食業界の人材不足などの問題に加えて、後継者不足や店主の高齢化により難しい状況といえます。本記事では、居酒屋の事業承継における課題や事例などを紹介しますが、M&Aも視野に入れて検討していくことが大切です。

目次
  1. 居酒屋業界の動向
  2. 居酒屋の事業承継に対する課題
  3. 居酒屋の事業承継の案件例
  4. 居酒屋の事業承継・M&A事例
  5. 居酒屋の事業承継における注意点
  6. 居酒屋の事業承継時におすすめの相談先
  7. 居酒屋の事業承継まとめ
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居酒屋のM&A・事業承継

居酒屋業界の動向

2023年の居酒屋やバーなどの国内料飲店市場規模は、2019年と比較して33%減の3兆5,734億円と推定されています。2021年には19年比で7割減まで落ち込んでいましたが、少しずつ回復の兆しが見えています。

しかし、大規模な宴会需要の減少により、コロナ禍以前の水準には戻っていません。少人数でカジュアルに楽しむ飲み会が増加しており、短時間で気軽に利用できるファミリーレストランやファストフード店が人気です。このため、居酒屋などでの飲酒需要が流出しています。この流れは今後も続くとされ、2030年には2019年比で35%減の3兆4,189億円に減少すると予測されています。

一方、2024年4月の外食売上高は全店ベースで前年同月比6%増となり、29カ月連続でプラスを記録しました。宴会需要の回復や、訪日外国人客の増加が底上げ要因となっており、客数も3%増で同じく29カ月連続で前年を上回っています。

コロナウイルスの分類が5類に移行したことにより、外出機会が増えた効果も継続しています。特に、パブや居酒屋の売上は人の流れが回復し、5.7%増となりました。2023年は多くの地域で桜が3月中旬に咲いていたのに対し、2024年は3月末以降にずれ込んだため、宴会需要の回復に加え、桜関連の需要が4月に持ち越されたことが売上増の一因となっています。

参考:日経コンパス「居酒屋」

居酒屋の事業承継に対する課題

ここでは、居酒屋の事業継承に対する課題について解説します。

①経営者の平均年齢および平均引退年齢

2021年の休廃業・解散件数は44,377件に達し、2020年や2018年に次ぐ高水準となりました。また、経営者の平均年齢は上昇傾向にあり、休廃業・解散件数の増加の背後には、経営者の高齢化が一因として考えられます。これに対する対応が引き続き重要な課題です。

また、2021年に休廃業・解散した企業の代表者の年齢構成をみると、最も多かったのは70代で、全体の42.7%を占めています。さらに、70代以上が全体に占める割合は年々増加しており、2021年には60%を超える状況となっています。

参考:中小企業庁「2022年版 小規模企業白書」

②店主の人柄や独自サービス提供

居酒屋の場合は店主が創業者となっていることが多く、店主の人柄や独自のメニューなどによって、お店の人気を高めている場合もあり、事業承継してお店を存続させていくことが難しい業界でもあります。

③後継者不足

そもそも居酒屋業界全体が人材不足となっており、働く環境に良い印象を持っていない人が多いことも事業継承の課題といえます。

④酒税法の改正による影響

2017年6月に酒税法が改正され、酒類の安売りが規制されました。居酒屋でも価格を見直す動きがあり、経営が厳しい状態になっています。

⑤現経営者の先行き不安

居酒屋の事業承継は現経営者が先行きの不安やお店の運営に不安を抱いていることから、後継者にお店を託そうとしない動きがあります。

今後のお店の展開方針に関して、現店主が持つ希望も重要になりますが、お店を引き継ぐ後継者に対して、お店をどのように引き継ぐかということも課題です。

居酒屋の事業承継の案件例

弊社M&A総合研究所が取り扱っている居酒屋の事業承継の案件例をご紹介します。

【首都圏/複数店舗運営・リピーター多数】居酒屋経営

全店舗、好立地な場所に出店しています。サラリーマン、ファミリー層がメイン顧客でリピーターも多数です。

エリア 関東・甲信越
売上高 2.5億円〜5億円
譲渡希望額 5000万円〜1億円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

【首都圏/複数店舗運営・リピーター多数】居酒屋経営(飲食店・美容) | M&A総合研究所

【都内好立地×居酒屋2店舗】NetCash9,000万円 / ターミナル駅5分圏内

ターミナル駅徒歩5分圏内の路面店に位置し、圧倒的集客力を誇る好立地です。EBITDA3,000万円以上&NetCash9,000万円と財務良好です。

エリア 東京都
売上高 2.5億円〜5億円
譲渡希望額 1億円〜2.5億円
譲渡理由 戦略の見直し

【都内好立地×居酒屋2店舗】NetCash9,000万円 / ターミナル駅5分圏内(飲食店・美容) | M&A総合研究所

居酒屋の事業承継・M&A事例

居酒屋のM&A・事業承継
居酒屋のM&A・事業承継

居酒屋の事業承継・M&A事例をピックアップしご紹介します。

丸七によるエコー商事のジャンボおしどり寿司の営業権譲受

2024年4月5日、焼肉坂井ホールディングスのグループ企業である丸七(神奈川県藤沢市)は、エコー商事(神奈川県横浜市)から「ジャンボおしどり寿司」(神奈川県内に5店舗)の営業権を取得し、2024年4月1日より運営を開始しました。

丸七は神奈川県内で11店舗の寿司や海鮮居酒屋を展開しており、地域密着型の店舗運営と寿司・海鮮料理を中心とした事業内容が「ジャンボおしどり寿司」と一致することから、今回の営業権取得に至りました。

「ジャンボおしどり寿司」営業権譲受のお知らせ

海帆によるSSSの事業承継・M&A

2022年7月15日、海帆は、SSS(東京都千代田区)の株式を約6億3,000万円で取得し、子会社化しました。海帆は名古屋市に本社を持ち、居酒屋チェーン「新時代」「昭和食堂」「えびすや」などを運営しています。

SSSは居酒屋事業を展開し、「桂」「すずの邸」「鳥魚門」などのブランドで現在19店舗を運営しています。海帆は、SSSと運営や原材料などで共通点が多く、従業員の独立を支援する店舗展開も行っていることから、両社間で多くのシナジーが期待できると判断し、今回のM&Aを決定しました。

株式会社SSSの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

居酒屋の事業承継における注意点

続いて、居酒屋の事業継承における注意点について紹介します。

①従業員への情報漏洩

小規模であっても従業員がいる場合は、事業承継の情報が従業員に漏れないようにすることが大切です。事業承継の情報によって、従業員が店主交代の情報を耳にすると、その後の雇用関係に影響があるのではないかと不安を感じる場合があります。

事業承継をしても従業員の雇用は守られる場合が多いですが、従業員にとっては店主の交代はお店の業績悪化やリストラなどの不安を与えるものになります。従業員がいる場合は事業承継の情報は、事業承継が確定するまで漏れないようにした方がよいでしょう。

②早めの準備

居酒屋の事業承継の準備は、早めに取り掛かった方がよいでしょう。現店主のお店への思いや考え方・あり方などを後継者に引き継いでもらいたいと思う場合があります。お店の切り盛りの仕方なども伝授したいこともたくさんあるでしょう。

お店の独自のメニューや味付けなど承継してもらいたいものが多くある場合は、早めに後継者を決めて、事業承継の準備を始めるべきです。

後継者と今後のお店のあり方などを話し合って検討する場合も、早めに後継者が決まっていれば、どのような方向性でお店を承継したいかなど、話し合う時間を確保できます。

③譲れない条件の提示

現店主にとっても、これまで居酒屋を経営してきた中で譲れない条件もあるでしょう。それらを後継者と話し合い、事業承継がスムーズにできるように、事前にしっかりと話し合っておく必要があります。

現店主と後継者が話し合うことで、最も良い形で事業承継ができ、その後のお店の存続も可能です。

④親族以外による後継者の申し出

現店主の子供が後継者となることも考えられますが、親族以外の人がお店を引き継ぎたいと申し出る場合もあるでしょう。このような場合は、現店主の子供に引き継ぐ意思がないことをしっかりと確認しておきます。

後継者を誰にするのかという点も、事前に明確にしておく方が事業承継がスムーズに進みます。従業員が後継者となる場合は、お店の雰囲気やあり方、人気のメニューなどお店のことをよくわかっているため、事業承継の準備期間を短縮することが可能です。

居酒屋の事業承継時におすすめの相談先

居酒屋の事業承継時におすすめの相談先をご紹介します。

金融機関

近年、金融機関がM&A支援に特化した部門を立ち上げる動きが活発化しています。特に、投資銀行や大手メガバンクは、企業間取引をスムーズに進めるため、ファイナンシャルアドバイザー(FA)として資金調達や戦略の策定を積極的に支援しています。

これらの専門サポートを活用することで、企業は資金調達や事業承継などの複雑な課題に迅速に対応でき、プロのアドバイスにより取引の成功確率を高めることが可能です。

ただし、大手金融機関は大規模案件を優先する傾向が強く、中小企業が十分なサポートを得られない場合もあります。そのため、自社の規模やニーズに合った適切なパートナー選びが重要となります。

また、アドバイザリーサービスの費用が高額になるケースもあるため、事前に費用を確認し、計画的に予算を組むことが必要です。

公的機関

近年、事業承継やM&Aに対する公的な支援体制が大幅に強化されています。全国に設置された「事業承継・引継ぎ支援センター」では、後継者不足に悩む中小企業に対し、事業承継やM&Aに関する情報提供や専門的なアドバイスを行い、企業間のマッチングを無料で支援しています。

このサポートによって、地方の中小企業や個人事業主も専門的なサポートを受けやすくなっています。さらに、必要に応じてM&A仲介会社や専門家の紹介も行っています。

ただし、民間のM&A仲介業者と比較すると、対応が遅かったり柔軟性に欠けていたりすることがあるため、その点には注意が必要です。それでも、公的機関は事業承継やM&Aを検討する企業にとって、信頼性が高く頼りになる支援機関として大切な役割を果たしています。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、企業の買収や売却に関連するすべての手続きをサポートする専門機関です。売り手と買い手の両者に対して、適切な取引相手の紹介、交渉支援、取引進行の管理、企業価値の評価(バリュエーション)、契約書の作成など、幅広いサービスを提供し、円滑な取引を実現する役割を果たします。

特に、仲介会社は広範なネットワークを駆使して最適なパートナーを見つけ出し、M&Aの成功率を向上させることに貢献しています。また、M&Aの経験が少ない企業に対しては、実践的なアドバイスを提供し、取引が順調に進むように支援します。

ただし、仲介会社を利用する際には、着手金や中間金などの費用が発生することがあるため、費用管理が求められます。コストを抑えたい場合には、成功報酬型の仲介会社を利用するのも効果的な方法です。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

居酒屋の事業承継まとめ

居酒屋の事業承継は、飲食業界の人材不足などの問題もありますが、後継者不足や店主の高齢化によって、難しい状況だといえます。そのような中で、事業承継方法が店主を悩ませることとなっているのは明らかです。

特に、個人で経営している居酒屋の場合は、地元の常連客が多く、惜しまれつつ閉店を余儀なくされているケースも多くみられます。現店主の代で閉店しまうには惜しいお店もあり、事業承継についてはM&Aも視野に入れて検討していくべきでしょう。

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