M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年9月16日公開業種別M&A
屋根工事業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!
屋根工事は建築物の屋根の修理や新築を行う仕事です。しかし、建設業界での競争激化の波に飲まれて厳しい状況の会社も多くM&Aを検討した方がいい会社も多いのが現状です。この記事では、屋根工事業界でのM&Aについて詳しく解説します。
屋根工事業界の動向
屋根工事は建設業界の一角をなす業界です。NIKKEI COMPASSの分析によると、建築業界全体では、2010年度の売上は72兆円でしたが、それから11年後の2021年には124兆円と業界全体が大幅に盛り返しています。
その中でも、屋根工事業界の2021年度の市場規模は、屋根工事が前年比1%増の4,239億円、金属製屋根工事が前年比15.8%増の2,738億円と大きく業績を伸ばしています。
その理由は、住宅や商業用建物の新築数が増えていることに加えて、老朽化した住宅のリフォーム需要も伸びており、屋根の新築や修理の需要が増加しているためです。
参考:NIKKEI COMPASS「建物外装工事」
屋根工事会社をM&Aで売却するメリット
屋根工事会社をM&Aで売却するメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。3つのメリットについて解説します。
売却利益の獲得
屋根工事会社や屋根工事部門をM&Aで売却することで、経営者や会社は売却利益を手に入れることができます。
もしも、廃業する事になったら、従業員の退職金や設備の処分などのコストが発生しますが、M&Aで売却できれば、買収先に従業員や設備を全て譲渡して、利益を手に入れることができるのです。
経営者が引退するのであれば、引退後の生活費に充てることも可能ですし、新規事業の資金にすることもできます。
経営リスクの軽減・分散
屋根工事業は、建設業の中でも経営リスクが高い業種だといわれています。その理由は、高所での作業が中心であるために危険が伴う仕事であり、どれだけ安全管理に気を配っても労災事故が起きやすいことや、設備投資や人材確保に大きなコストが掛かるためです。
しかも、中小企業であれば経営者が個人保証を負わなければならず、大きな負担となっている場合もあるでしょう。また、屋根工事部門が会社の一部門であれば、コストがかかる割に利益が少ないという場合もあります。
屋根工事会社や屋根工事部門を譲渡することで、これらの経営リスクを軽減させて、リスク分散させることが可能です。
事業の拡大
屋根工事部門が会社の中で不採算部門であったり、会社の中の他の部門とのシナジー効果をあまり発揮できていない場合には、思い切って売却してしまうことで、新たな事業の拡大の可能性が広がります。
M&Aで売却すれば売却利益が手に入るので、その資金を使って、会社をより発展させることができる分野へ投資することができるでしょう。
また、買収先の会社が売却した屋根工事部門とシナジー効果を生み出せる可能性が高い場合には、買収先の事業の発展も期待できます。
ただし、譲渡先の企業が確実にシナジー効果を生み出せるとは限らないので、買収先の選定は慎重に行いましょう。
屋根工事業界のM&A・売却・買収事例
屋根工事会社のM&Aは今までにどのように実施されてきたのでしょうか。屋根工事会社をM&Aした事例を紹介します。
北恵が古賀文化瓦工業所をM&Aした事例
2022年12月に、北恵株式会社から、有限会社古賀文化瓦工業所の全株式を取得して子会社化するM&Aが発表されました。
北恵株式会社は大阪に本社のある住宅の総合サプライヤーです。古賀文化瓦工業所は、北九州地区で瓦、屋根工事で長年の実績を持つ会社です。
北恵株式会社は新規取引先の開拓やオリジナル商品、施工付販売、住宅設備機器などの重点商品の販売強化に取り組んでおり、その一環として、屋根工事機能の強化と地域密着型の営業開拓のために、M&Aを実施したとのことです。
参考:北恵株式会社「株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
屋根工事会社のM&Aの流れ
屋根工事会社をM&Aで売却するときにはどのような流れで手続きをすすればいいのでしょうか。M&Aで会社を売却する時の大まかな流れについて解説します。
専門家への相談
M&Aで会社を売却しようか迷い始めたら、まずはM&Aの専門家へ相談しましょう。日本には中小企業のM&Aを専門的に扱っている専門家がいます。
M&Aについての知見のある専門家が、M&Aで会社を売却するべきなのか、会社を存続させるために他に方法はないのか、高い専門性からアドバイスしてくれるでしょう。
M&Aを進めることに決めたら、最適な相手探しや、複雑で法律や会計についての高度な知識が必要なM&Aの手続きをサポートしてくれます。まずは、M&Aについて迷ったら、自分ひとりで進めようとはしないで、M&Aの専門家へ相談したほうがいいでしょう。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
屋根工事業界で事業譲渡を適切に行うには、各業界に精通した専門家によるサポートを受けるのがおすすめです。
M&A総合研究所では、M&Aの支援経験豊富なM&Aアドバイザーが専任につき、事業譲渡を丁寧にフルサポートいたします。
また、料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)
無料相談も随時受け付けておりますので、こちらの業界で事業譲渡をご検討の際はM&A総合研究所までお気軽にご相談ください。
専門家との契約と売却先の選定
M&Aの専門家に相談して、仲介やサポートを依頼することに決めたら、最初に専門家と仲介契約を結びます。専門家に適切なアドバイスや売却先の選定をしてもらうために、会社の財務状況などを開示する必要があるので、秘密保持契約も同時に結ぶことが一般的です。
M&Aの専門家は契約を結んだら、まず会社の状況を分析した上で、適切な売却先の選定に入ります。選定方法は、屋根工事会社の買収を希望している顧客に声を掛けたり、詳細な情報を記載しない情報(ノンネームシート)を公開して希望者を募ったりします。
専門家が複数の候補から最適だと思われる数社を選んだら、最終的に経営者本人が交渉相手を決めます。
トップ面談と基本合意書の締結
交渉相手を決めたら、まずはトップ面談を行います。トップ面談は結婚でのお見合いと同じで、最初に実際に会って話をして、お互いの相性を確認し合うのです。
財務状況の資料などからは見えない企業文化や経営理念などについて語り合い、M&Aの相手としてふさわしいかどうかをお互いに見極めます。
トップ面談の結果、M&Aを進めることに決めたら、最初の交渉に入り、売却金額、M&Aのスキーム、時期の目安、役員や従業員の待遇などについて決めて、基本合意書を締結します。
基本合意書では独占交渉権以外の項目について法的拘束力は掛けません。
その後、買収側が売却側のリスクを調査するデューデリジェンスを行います。デューデリジェンスでは、M&Aに詳しい弁護士や会計士などが徹底的に調査を行います。
基本合意書締結時に開示されていなかった重大な問題が発見された場合には、最終交渉での減額交渉や破談の可能性もあるでしょう。
最終条件交渉と最終契約
デューデリジェンスの結果に基づいて最終交渉が行われて、最終契約書が締結されます。
最終契約書では、取引の対象、売却金額や支払い方法、クロージングの条件や日程、売却側が記載事項が正確であることを保証するための表明保証、表明保証違反があった場合の保証条項などが記載されます。
最終契約書では全ての項目に法的拘束力が掛けられるので、サインする前に不利な点はないか、本当に納得できる内容か、よく確認しましょう。
クロージング
最終契約書締結から1ヶ月から1年程度の期間を置いてクロージング、引き渡しとなります。
最終契約書締結からクロージングまでの期間を置くのは、その間にM&Aを公表して、従業員や取引先の理解を得るためです。
また、多くの場合、買収側の会社から役員が派遣されて、経営体制の変更に向けての準備が行われます。株主総会での承認が必要な場合には、この間に総会を開催します。
クロージング日になったら、スキームに基づいて株式や事業が売却側から買収側へ譲渡されて、買収側から売却側へ代金が支払われて、経営権が移行するのです。
屋根工事会社でM&Aを行う際の注意点
屋根工事会社をM&Aで売却や買収するときにはいくつか事前に注意しなければいけない点があります。特に注意したい3つの注意点をみておきましょう。
事前に建設業許可の申請をする
今までに屋根工事部門を持っていなかった会社が屋根工事会社を買収するときには、事前に建設業許可の申請が必要な場合があります。屋根工事は建設業の一環なので、業務を行うためには建築業許可が必要なのです。
金属屋根工事の場合は、板金工事で建設業許可は不要だと勘違いしている事が多いようですが、金属屋根工事も瓦屋根やスレート屋根工事と包括した屋根工事隣、建設業許可が必要です。
建設業許可は営業所のある都道府県で取得します。すでに建設業許可を取得している会社が買収する場合でも、売却側の営業所が他県にある場合には、営業所のある地域での許可の新規取得が必要です。
建設業許可は申請から1ヶ月ほどかかる事も多いので、早めに手続きをしましょう。
経営業務管理責任者が退任する場合
建設業許可を得るためには、経営業務管理責任者の設置が必要です。M&Aに伴って、経営管理責任者を兼ねていた社長が退任することも多く、その場合には代わりの経営管理責任者を置かなければいけません。
売却側の会社に適任者がいない場合には、買収側の会社から派遣するなどの対応が必要になります。
できることなら、将来的な売却を見越して、早め早めに後任を事前に育てておくと、会社の売却がスムーズに行くことも多いようです。
進行中の案件があれば引き継ぎをする
屋根工事では、M&Aの交渉中やクロージングに向けた準備中でも業務が進行中であり、案件によってはクロージング日をまたいでしまうこともあるでしょう。
クロージング日までに完了しない案件については、買収側の会社への引き継ぎが必要になります。
進行中の案件の引き継ぎは、売却側と買収側だけでなく、発注者との調整も必要となります。特に、請負契約の中にチェンジオブコントロール条項(契約者がM&Aを行った場合に一方的に契約を破棄できるという条項)がある場合には、特に注意が必要です。
取引先からの同意が得られないことで、M&Aのスケジュールや最終的な成否が左右される場合もあるので、特にこの点は注意しましょう。
競業避止義務に注意する
M&Aで会社を売却した場合、売却側に対して競業避止義務が課せられることがあります。競業避止義務とは、契約書で定めた期間、譲渡した事業と競合する事業を売却側は営んではいけないという義務です。
競業避止義務の期間や事業の範囲は、会社法で定められていて、交渉で特に決めなければ、同一市町村と隣接地域で20年間禁止されます。
売却側が同じような事業を行いたいと思っても、競業避止義務によってできなくなってしまうので、事前の交渉で協議するか、事業の範囲がかぶらない事業を検討する必要があるでしょう。
屋根工事会社のM&A・事業譲渡まとめ
屋根工事会社でも、建設業界の他の会社と同じように、後継者不足や人材不足で、将来的な会社の存続が難しいと感じている経営者が増えているようです。
M&Aは後継者不足などに悩む会社を存続させるための切り札とも言えるでしょう。会社の将来に不安を感じている屋根工事会社の経営者の方は、一度、M&Aの専門家に相談してみることをおすすめします。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。