2024年2月5日公開業種別M&A

海運業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!

この記事では、海運業界の動向を説明したうえで、海運業界でM&Aを行うメリットを解説していきます。近年のM&A・売却・買収事例も紹介して、M&A動向についても紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

目次
  1. 海運業界の動向
  2. 海運会社をM&Aで売却するメリット
  3. 海運業界のM&A・売却・買収事例7選
  4. 海運会社のM&Aの流れ
  5. 海運会社でM&Aを行う際の注意点
  6. 海運会社のM&A・事業譲渡まとめ
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運送 物流のM&A・事業承継

海運業界の動向

海運業は、船舶を使用して旅客や貨物を海上輸送するサービスを提供する業界です。

また、船舶を貸し出すことで利益を得るビジネスモデルもあります。運航領域により、国内の海上輸送を行う内航海運と、日本国内外の海上輸送を行う外航海運に分けられます。

日本の海運大手は、日本郵船、商船三井、川崎汽船の3社体制となっており、これらは定期船事業と不定期専用船事業に大別されます。

また、大手3社は多様な輸送サービスを提供する総合海運の業態を持っており、この形態は世界でも珍しい形態です。

海運業は外的要因、特に世界的な貨物運輸の需給動向に大きな影響を受けます。これは、海運業がワールドワイドな競争市場に属し、その収益と費用が世界経済の動向に直接影響を受けるからです。

例えば、外航海運では主要な取引通貨が米ドルであるため、為替レートの変動も大きな影響を持っています。その他にも原油価格の変動は燃料費へ、人件費の変動は船員費へ影響を及ぼします。

加えて、船舶は高価な資産であり、顧客のニーズに応えるためには一定以上の規模の船体が必要です。これには多額の設備投資が求められ、それを確実に回収するためには船舶を安全に運航することが必要です。

このように、海運業は市況の影響を大きく受け、差別化が困難な一方で製造業的な側面も持つため、経営の課題としては費用(特に固定費)の最小化と、需要の変動に対応できる体制の確保が求められます。

これに対応するため、海運会社は自社保有船と傭船を適切に組み合わせること、また長期・短期の傭船契約を適切に組み合わせることが求められます。

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海運会社をM&Aで売却するメリット

海運会社をM&Aで売却することには、多くのメリットがあります。

売却によって得られる利益はもちろん、事業の継続、雇用の安定、債務の軽減など、さまざまな観点からそのメリットを解説します。

売却利益の獲得と事業の継続


M&Aによる会社売却は、その企業の所有者に対し一定の金額をもたらします。

これは新たな事業の資金として、または個人的な資産として使用することができます。

また、M&Aでは多くの場合、売却された企業の事業は継続されます。これは、顧客や取引先との関係を維持し、企業ブランドを守る上でも重要な要素となります。

経営の安定化

海運会社が他の大手企業によって買収されると、その結果として生じる強力な組織体は、企業としての総力を大きく増強します。これにより、より安定的な経営計画を立て、その実行に取り組むことが可能となります。

ここでいう「安定した経営計画」とは、収益性、成長、競争力といった要素が全体としてバランスを保ち、また事業リスクを適切に管理することができる状況を指します。

さらに、大手企業による買収は、特に物流面での経営の安定化に貢献します。例えば3PL(サードパーティ・ロジスティクス)といったシステムを利用することにより、自社だけでは時間とコストがかかる物流システムを大規模に構築することが可能となります。

3PLのような統合物流ソリューションを活用することで、企業は商品の保管、運送、配送といった一連の業務を効率的に管理できます。

このような物流の最適化は、顧客満足度を高めるために非常に重要です。商品が正確に、そして予定通りに配送されることは、顧客ロイヤルティを確保し、ブランドの評価を高める上で必要不可欠な要素となります。

債務からの解放

債務からの解放とは、企業が事業を売却することによって、その債務負担から解放されることを指します。

経営者は、時に企業の負債を個人的な責任として負うことがありますので、債務からの解放することで、経営者にとっての金融的ストレスの負担が軽減します。これは経営者が抱えるストレスを軽減し、よりクリアな視点で事業を見つめ直す機会を与えます。

さらに、債務からの解放は経営者の人生自体にも影響を及ぼします。個人的な債務を返済するプレッシャーから解放されることで、経営者は自身の生活の質を向上させ、キャリアの新たな道を探求する自由を得ることができます。

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海運業界のM&A・売却・買収事例7選

ここからは、近年、実際に海運業界で行われたM&A・売却・買収事例を紹介していきます。

住友倉庫がWestwood Shipping Lines, Inc.を株式譲渡した事例

2022年4月、株式会社住友倉庫の子会社J-WeSco株式会社は、保有していた米国海運会社のウエストウッドシッピングラインズ社の株式をすべてシンガポールの海運会社であるスワイヤーシッピング社に譲渡しました。

1980年に米国林産会社グループの海洋輸送部門として創設されたウエストウッドは、現在、北米北西岸と日本、韓国、中国間の海上輸送サービスを提供している海運企業です。

2011年6月には、住友倉庫の中心業務である港湾運送を維持・拡大するため、J-WeScoを通じてウエストウッドを買収していました。

ウエストウッドは、グループの一部として、4隻の当社所有船と、ウエストウッドがリースした3隻のセミコンテナ船(積載能力2,200~2,500TEU)を使用し、北米北西岸と日本、韓国、中国間の海運サービスを続けています。

2012年から2015年までは、北米からの木材製品、日本からの機械やその他のプロジェクト貨物、コンテナ貨物の輸送を中心に、安定した業績を維持していました。

しかし、新聞のリール紙などの木材製品の輸送量が減少し、東行きコンテナ貨物に依存度が高まったことから、コンテナ運賃の低下の影響を大きく受け、2016年度からは海運部門での営業損失を記録していたことから、株式譲渡に至りました。

参考: 住友倉庫によるWestwood Shipping Lines, Inc.の株式譲渡

東海汽船が小笠原海運を子会社化した事例

2021年5月、東海汽船は、共同出資会社である日本郵船株式会社が保有する株式を買い取ることで、小笠原海運株式会社を子会社化することに成功しました。

東京と小笠原諸島父島間の定期船を運行することを目的として、1969年9月に日本郵船との共同出資で小笠原海運は設立されました。

今回は、日本郵船株式会社から株式を取得することで、さらなるシナジーを発揮できるようにしていくとしています。

参考: 東海汽船による小笠原海運の子会社化

明治海運がTRINITY BULK, S.A.を子会社化した事例

2020年7月、明治海運は、TRINITY BULK, S.A.を子会社化することに成功しました。

TRINITY BULK, S.A.は、もともと関連会社ではあったものの、一層の意思決定の迅速化を図ることを目的として、今回の子会社化に踏み切ったとしています。

参考: 明治海運によるTRINITY BULK, S.A.の子会社化

栗林商船が北日本海運を子会社化した事例

2020年7月、栗林商船株式会社は、北日本海運株式会社を子会社化したことを発表しました。

栗林商船は、主に海上輸送業を手がける内航船会社で、グループ協力によって港湾荷役や陸上輸送なども展開し、全国で一体的な海陸輸送サービスを提供している企業です。

グループ会社である共栄運輸は、北日本海運と協力して函館と青森をつなぐフェリー事業(青函フェリー)を運営していますが、今回の株式取得で、北日本海運がグループに加わり、青函フェリーのより統合的な運営が可能になります。

共栄運輸と北日本海運がそれぞれの得意とする事業領域とネットワークを融合させることにより、以前よりも大きなシナジー効果が期待できるとともに、率的な運営により強固な事業基盤の構築も進むと考えられることから、今回の子会社化に踏み切っています。

参考: 栗林商船による北日本海運の子会社化

川崎汽船が"K" LINE HEAVY LIFT (GERMANY) GmbHを株式譲渡した事例

2019年9月、川崎汽船株式会社は、連結子会社であった"K" LINE HEAVY LIFT (GERMANY) GmbHの株式を、Freiherr von Feldegg Vermögenswerte GmbHに譲渡しました。

川崎汽船株式会社は、SAL HEAVY LIFT GmbHという会社を子会社として保有していたものの、2017年7月に売却しています。

その持株会社としてが"K" LINE HEAVY LIFT (GERMANY) GmbH社は存在していたものの、すでにSAL HEAVY LIFT GmbHを売却したことでその役目を終えていることから、今回の株式譲渡に至っています。



参考: 川崎汽船による"K" LINE HEAVY LIFT (GERMANY) GmbHの株式譲渡

内外トランスラインが韓進海運新港物流センターを子会社化した事例

2019年2月、内外トランスライン株式会社は、韓国の債務者株式会社韓進海運が保有する韓進海運新港物流センター株式会社を子会社化することに成功しました。

もともと2015年6月に、内外トランスライン株式会社は、韓国の現地会社、銀山海運航空と協力して合弁会社である内外銀山ロジスティクスを設立し、韓国昌原市の釜山新港で物流倉庫の運営を開始していました。

今回、釜山新港地区における新規倉庫企業の獲得は、海外をメインとした倉庫事業の拡大を目指し、内外トランスライン株式会社が総合フレイトフォワーダーとしての立場を強化することを目指すとしています。

参考: 内外トランスラインによる韓進海運新港物流センターの子会社化

第一中央汽船が泉汽船を株式譲渡した事例

2015年3月、第一中央汽船株式会社は、泉汽船株式会社の株式をリベラ株式会社に譲渡しました。

もともと、第一中央汽船株式会社は、2006年に泉汽船を子会社化し、海運ビジネスの総合的な力を高めてきました。

この統合によってある程度のシナジーが生じたことは事実としてあったものの、中期経営計画に従ったビジネス構造の変革を進めており、その一部として、我々の主要な貨物輸送事業と泉汽船の内航業務の位置づけを慎重に見直した結果、株式譲渡に至ったとしています。

参考: 第一中央汽船による泉汽船の株式譲渡

海運会社のM&Aの流れ

運送 物流のM&A・事業承継
運送 物流のM&A・事業承継

海運業界では、企業間のM&Aが活発に行われています。

競争環境の変化や、業績向上のための新たな戦略としてM&Aが検討されることが多いです。

ここでは、海運会社がM&Aを進める際の一連の流れを解説します。まず専門家への相談から始め、売却先の選定、トップ面談と基本合意書の締結、最終交渉・最終契約書の締結、そして最後にクロージングへと進みます。

専門家への相談

M&Aは非常に複雑なプロセスであるため、一般的には専門家に相談することから始まります。

専門家とは、M&Aのアドバイザーや弁護士、財務顧問などのことを指します。

これらの専門家は、市場の動向を理解し、適切な価格を設定し、法的な問題を避けるためのアドバイスを提供します。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

海運業界で事業譲渡を適切に行うには、各業界に精通した専門家によるサポートを受けるのがおすすめです。

M&A総合研究所では、M&Aの支援経験豊富なM&Aアドバイザーが専任につき、事業譲渡を丁寧にフルサポートいたします。

また、料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)

無料相談も随時受け付けておりますので、海運業界で事業譲渡をご検討の際はM&A総合研究所までお気軽にご相談ください。

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売却先の選定

売却先の選定は、M&Aの成功において重要なステップです。

海運業界では、競合他社や関連業界の企業、あるいは投資ファンドなど、様々な種類の企業が売却先として考えられます。

適切な売却先を選ぶためには、自社のビジネス目標と売却先の戦略的なフィットを考慮することが重要です。

トップ面談と基本合意書の締結

売却先が決まった後、次のステップはトップ面談と基本合意書の締結です。

ここで、売却の条件、価格、スケジュールなどについて、両社の最高経営責任者(CEO)や他のトップエクゼクティブが話し合います。

そして、これらの基本的な条件についての初期的な合意を形成します。

最終交渉・最終契約書の締結

基本合意が形成された後、次に進むのが最終交渉と最終契約書の締結です。この段階では、両社の法務部門や顧問弁護士が深く関与し、詳細な条項の交渉と契約書の作成が行われます。

契約書には、買収価格、支払い条件、保証・賠償条項、非競争条項など、多くの重要な項目が含まれます。

クロージング

最終的な契約書が双方で承認され、必要な手続きが完了した後にクロージングが行われます。この時点で、資金の移動や所有権の移転などが実際に行われ、M&Aが正式に完了します。

これにより、売却会社は買収会社の一部もしくは完全な子会社となります。
 

海運会社でM&Aを行う際の注意点

海運業界におけるM&Aは複雑であり、事前の十分な計画と準備が求められます。

下記で説明する要素に注意しながら進めることで、M&Aの成功確率を高めることができるでしょう。

M&Aを行う目的を明確にする

M&Aを行う目的は、事業拡大、事業継続、シナジー効果の実現など様々です。その目的により適した買い手、交渉戦略、スキームなどが異なるため、事前に明確にすることが重要です。

目的を明確にすることで、適切な買い手を見つけやすくなり、効率的にM&Aを進めることができます。

M&Aの準備は計画的に行う

M&Aの成功は、その準備段階で決まると言っても過言ではありません。

買い手を探す前に、事業のブラッシュアップや税務・労務・株主の整理などを行い、企業価値を高めておく必要があります。

また、譲渡価額の決定やデューデリジェンスへの対応など、準備が不十分なままでは理想的な条件でM&Aを進めることは難しいでしょう。

売却のタイミング

M&Aの売却タイミングは、企業価値を最大化するための重要な要素です。

海運業界は景気や原油価格など外部環境の影響を大きく受けるため、それらを考慮した売却タイミングを見極めることが求められます。

また、利益が季節性を持つ業界なので、毎月の詳細な業績を把握し、最適な売却時期を見定めることが重要です。

運搬に使える船の数や更新時期を確認する

海運業界では、運搬に使える船舶の数やその更新時期が企業価値に大きく影響します。

購入する側としては、既存の船舶の年数や種類、そのリプレースメント計画等を確認し、維持費や更新費用を見越した適切な価格設定を行うことが求められます。

情報漏えいに注意する

M&Aの過程で情報が漏れてしまうと、企業の信用低下や取引先、従業員の離職を招き、企業価値の減少につながる可能性があります。

そのため、最終契約書の締結までの間は、情報の取り扱いに細心の注意を払い、関係者以外への情報開示を極力避けるべきです。

しかし、適切なタイミングで財務担当や役員、各部門のキーパーソンに通知することも重要です。

海運会社のM&A・事業譲渡まとめ

海運業界は現在、激動の時代を迎えており、その最前線で繰り広げられているのがM&Aや事業譲渡です。この動きの背景には、グローバルな競争環境の変化、新興市場への積極的な進出、デジタル化の波等があります。

海運会社各社は、自社のビジネスポートフォリオを再構築し、核となる事業への集中化を進めています。これにより、企業の体質強化や競争力の向上、更なる成長を狙っています。

他方で、統合や提携を通じて新たなビジネス領域への進出や規模の拡大を図る企業も少なくありません。これらの取り組みは、業務の効率化、運営コストの削減、シナジー効果の創出など、多岐にわたる利点をもたらします。

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