M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
2023年5月28日更新業種別M&A
物流業界のM&A動向!会社売却のメリットや注意点・事例16選を徹底解説【2023年最新】
現在物流業界は、ユーザーのニーズが変化していることや働き方改革などによって業界再編期にあり、M&A・事業承継も増える方向にあります。当記事では、物流業界のM&A・事業承継動向やメリット、注意点、実際のM&A・事業承継のケースなどを事例とともにご紹介していきます。
物流業界とは
本記事では物流業界のM&A・事業承継についてご紹介していきますが、まずは物流業界の定義などについて解説します。
物流業界の定義
物流業界とは、発荷主から受け取った商品を着荷主へ配送する事業を行う業界のことを指します。
具体的には、
・輸送:トラック、鉄道、船、飛行機を使い商品を移動させること
・保管:倉庫などある一定の場所で一定期間商品を預かり、留めておくこと
・荷役:トラックや船などに商品を積み込んだり、荷下ろししたりする作業
・包装:適切な資材で商品を梱包すること
・流通加工:ラッピングやラベル貼り替えなど商品に付加価値をつける作業
・情報:物流の過程をより効率的に行えるよう、システムを用いて管理すること
この6つの機能が連携することで消費者の元にモノが届きます。
物流のメインになる要素は「輸送」です。
輸送の方法には陸運、海運、空運があり、これらの配送を管理する事業として倉庫・物流センター業があります。
また、物流の流れを最適化しさまざまな工程を一元管理することを「ロジスティクス」と言います。
ロジスティクスはインターネットやECの普及により国内外の物流需要が高まっているためより重要になってきます。
現在物流業界はさまざまな面で大きく変化し続けていることから、多くの物流関連企業各社は組織再編に取り組んでいます。物流業界の変化については本記事では後述します。
物流業界の現状
市場規模

矢野経済研究所の「物流17業種市場に関する調査」によると2020年の市場規模は20兆405億円、前年比97.6%と推計されています。
経済産業省などから出された「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」では国内貨物輸送量は輸送重量(トンベース)では国内貨物輸送量は、ほぼ横ばいで推移していましたが、2020年度は大幅に減少しました。
理由としては、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け経済が停滞したため貨物量が減少しました。しかし、宅配便に関してはEC需要などの拡大により取扱量の増加傾向がみられました。
参考:株式会社矢野経済研究所「物流17業種市場に関する調査を実施(2022年)」
経済産業省・国土交通省・農林水産省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」
EC市場の推移

出典:経済産業省・国土交通省・農林水産省 我が国の物流を取り巻く現状と取組状況
出典:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/sustainable_logistics/pdf/001_02_00.pdf
先述の通り、EC市場拡大しておりで宅配取扱が5年で23.1%増加しています。しかし宅配貨物の不在再配達は新型コロナウイルスの感染拡大前においては全体の約15~16%程度発生しています。物流分野における労働力不足が懸念される中、今後もEC市場の拡大が見込まれることから再配達を削減し・物流の効率化が必要となっています。
2024年問題の影響
働き方改革関連法により2024年4月から自動車運転業務の時間外労働が年に960時間の上限がとなります。ドライバー1人の走行距離が短くなることで遠隔地までモノが運べなくなることが懸念され、それにともなって起こりうる問題を「2024年問題」として呼ばれています。
影響としては
・運送会社や物流会社の売上・利益の減少
・トラックドライバーの収入減少
・荷主の運賃上昇
と言われています。
こういった影響を受け時間外労働に対する賃金の引き上げなど違う部分にも、業界全体に大きく影響すると考えられます。
トラックドライバーの不足

出典:経済産業省・国土交通省・農林水産省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」
出典:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/sustainable_logistics/pdf/001_02_00.pdf
経済産業省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」によるとトラックドライバーは2015年から2030年かけて24.8万人減少し3割減少すると予測されています。

出典:経済産業省・国土交通省・農林水産省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」
出典:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/sustainable_logistics/pdf/001_02_00.pdf
現状、トラックドライバーは労働時間が全産業平均より約2割長く、年収は全産業平均に比して5%~10%程度低いです。そのため人材確保が容易ではなく全産業に比して平均年齢が3~6歳程度高くなっています。道路貨物運送業は65歳以上の就業者の割合も少ない業種となっており、対策を講じなければ、担い手の減少が急速に進んでいくおそれがあります。
燃料価格の高騰

出典:経済産業省・国土交通省・農林水産省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」
出典:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/sustainable_logistics/pdf/001_02_00.pdf
近年は円安やロシアからの原油供給が滞るなどにより原油価格が上がっています。
燃料価格はトラック運送の主要費用の一つであり、燃料価格高騰が経営に与える影響は大きいです。しかし燃料価格の上昇分の収受額への反映が進んでいない事業者も多く、トラック運送事業の経営を圧迫しています。また、新規参入業者が増えたことにより価格競争は激化し取引先からの値下げ圧力など価格転嫁できないことにより倒産が相次いでいます。
物流業界のM&A動向
本章では、現在大きな再編期を迎えている物流業界のM&A・事業承継動向について解説します。
2024年問題対応のためのM&A
先述した2024年問題を背景としたM&Aが増えています。
売り手側としては時間外労働に上限規制がされることでドライバー不足やコストアップが考えられますが価格競争の激化により運賃の価格転嫁ができないため、大手の傘下に入ることで安定的な経営を図る動きが見られます。
買い手側としても、今までよりも長距離輸送ができないため新たな拠点獲得としてM&Aを行っています。その他にも荷主企業に代わり、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行いさらにそれを包括的に受託し、実行する3PLを狙った動きもあります。
IT・ベンチャー企業とのM&A
国土交通省によるとサプライチェーン全体での機械化・デジタル化により、情報・コスト等を「見える化」、作業プロセスを単純化・定常化を進めています。
業界の大手企業は物流DXに向け投資を始めているところも多くあり、IT・ベンチャー企業とM&Aを行い内部に取り込む動きがみられます。
しかし、中小企業においてはシステムがあってもデータをうまく活用することができなかったり、既存のシステムが複雑化しておりシステム化が難しい現状があります。
多様化する顧客ニーズに対応し効率化を図るためには物流DXが重要です。効率的なDX化を進めるためにIT・ベンチャー企業とのM&Aによる投資が有効であると考えられます。
参考:国土交通省「最近の物流政策について」
一括管理ニーズに対応
物流サービスは一括管理のニーズが高まっているため、一括管理に応えるためのM&A・資本業務提携が増えています。
例えば、運送会社が倉庫業を営む会社を買収するなど物流事業の幅を広げたり、関東エリアを中心に事業を行っていた会社がM&Aにより関西エリアへ事業エリアを拡大したりするなどといったケースが増えています。
前述のように、物流業界は現在再編期にあります。人材不足や働き方改革など業界再編の流れに対応するため、M&A・事業承継は今後さらに増加していくとみられています。
M&Aとは
M&Aとは、会社・事業の買収・統合を行うこと、またはその手法のことを指します。
物流業界は現在再編期にあり、M&Aが活発に行われています。物流関連企業がM&Aを行う理由は、事業拡大や事業エリアの拡大、物流システムの効率化などさまざまです。
物流関連企業はM&Aによって、業界の変化に低いリスクで迅速に対応することが可能です。
事業承継とは
事業承継とは、現在の経営者から後継者へ事業を引き継ぐことを指します。
物流業界は成熟産業であり、中小物流関連企業では経営者の高齢化が進んでいます。しかし、物流業界では後継者がいない会社も多く、中小物流関連企業の廃業をどう食い止めるかが課題です。
一方で、物流業界では人手不足も深刻であることから、大手・中堅物流関連企業による買収も増えています。
物流業界のM&Aメリット
物流業界でM&A・事業承継を行う場合、買い手が得られるメリットの一例は以下の通りです。
- 時間を買うことができる
- 人材を確保できる
- 物流拠点を増やせる
- 物流コストを下げることができる
また、売り手が得られるメリットの一例は以下の通りです。
- 対価を得ることができる
- 従業員の雇用を守ることができる
- 会社を維持することができる
- 地域に貢献し続けられる
物流業界でM&A・事業承継を行う大きなメリットは、事業を成長させるための時間を買うことができる点です。
物流業界は事業を行うための時間コストや資金コストなどの投資コストが大きい業界です。そこで、M&Aを活用することで投資コストを下げることが可能です。
また、売り手にとって、特にオーナー経営者にとってのM&A・事業承継を行うメリットは、会社を残すことができる点です。会社が生き残ることで救われる関係者は少なくありません。
物流業界のM&Aの注意点
物流業界のM&A・事業承継では以下の点に注意が必要です。
1.労務管理の徹底
現在物流業界は働き方改革により、ずさんな労務管理はリスクが高くなっています。
物流業界は以前まで労務面がずさんな業界でした。現在は以前よりも良くなってきてはいるものの、まだ問題の多い会社も少なくありません。
労務問題を抱えていると買い手にとっては大きなリスクとなる時代になっているので、M&A・事業承継前に労務管理を改善しておくことが必要です。
2.従業員の離職を防止する
物流業界は離職率が比較的高い業界です。そのため、買い手は常に人材を求めています。しかし、売り手側の従業員がM&A・事業承継をきっかけに離職する可能性に注意が必要です。
売り手側の従業員は、M&A・事業承継をきっかけに雇用条件が下がるのではないか、希望しない業務に回されるのではないかなどさまざまな不安を感じています。M&A・事業承継の際は、従業員の不安の解消が必要です。
3.経営者が計画的に準備を開始する
M&A・事業承継はさまざまな関係者に影響を与えます。そのため、本当にM&A・事業承継が最良の選択かどうかも含めて検討しなければなりません。
オーナー経営者は、経営状態の洗い出しと課題の見える化、企業価値の向上などを計画的に進めておく必要があります。
4.タイミングを見る
M&A・事業承継はいつ行うかも大事です。現在再編期にある物流業界では、最適なタイミングで準備が整っていないとすぐに最適な案件は流れていってしまいます。
上記のように、オーナー経営者は早めにM&A・事業承継の準備に取りかかり、いつでも万全な状態を整えておくことが大事です。
5.専門家に相談する
計画的に準備を万端にしておき、最適なタイミングを見計らってM&A・事業承継を行うには、M&A・事業承継の専門家による助言が役に立ちます。
まずは早めにM&A・事業承継の専門家に相談して準備に着手することが大事です。
物流業界のM&A事例16選
本章では、物流業界のM&A・事業承継事例をご紹介します。
NIPPON EXPRESS ホールディングスによるcargo-partner の株式取得(子会社化)
2023年5月にNIPPON EXPRESS ホールディングスによるcargo-partner の株式取得(子会社化)することを発表しました。
NIPPON EXPRESS ホールディングスは、世界の国々や地域において、陸海空の多様な輸送モードを用いたサプライチ ェーンソリューションを提供して、あらゆるお客様のグローバル展開に貢献する「グローバル市 場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」を目指しています。非連続な成長戦略としてクロスボーダーM&Aを進めていたとしています。
cargo-partnerは、オーストリア・ウィーンに本拠地を置き、欧州における産業集積地として注目が高まる中東欧地域に強固な物流事業基盤を有すると共にる自動車、電機・電子、 医薬品産業における海運・航空フォワーディング事業を中心に欧州、アジア、北米で事業展開し ています。
本M&Aによりネットワークの拡大と欧州地域の提供サービス拡充、グローバル市場における競争力の強化、アジアと欧州を結ぶロジスティク ス需要への対応力とグローバルアカウント体制の増強、、相互補完によるロジスティクス 事業のシナジー創出と拡大・発展を図るとしています。
参考:cargo-partner の株式取得(子会社化)に関するお知らせ
株式会社ヒガシトゥエンティワンによる山神運輸工業の子会社化
株式会社ヒガシトゥエンティワンによる山神運輸工業の子会社化です。
2022年4月に売上高20億8,000万円の運送業の山神運輸工業を株式譲渡により子会社化しています。本M&Aによりシナジー効果を見込んでいる他、海上コンテナ輸送・エンジニアリング事業など新規分野での事業展開につなげています。
参考:山神運輸工業株式会社の株式取得完了に関するお知らせ
株式会社ゼロによる陸友物流有限公司の子会社化
株式会社ゼロによる陸友物流有限公司の子会社化です。
2021年7月に株式の40%を取得し、子会社化しました。当時の売上高は約37億5,000万円です。本M&Aにより中国の中古車市場における車両輸送への本格参入を備えることを目的としています。
参考:持分法適用関連会社の異動(連結子会社化)に関するお知らせ
日本通運株式会社による、医薬品物流の米MD LOGISTICSなど2社の子会社化
日本通運株式会社による、医薬品物流の米MD LOGISTICSなど2社の子会社化です。
2020年9月に日本通運株式会社は米物流会社のMD Logistics(インディアナ州)、MD Express(同)の全持分を取得しています。本M&Aにより医薬品需要で市場の約4割を占める米国に於いてのロジスティクス機能を獲得しています。
参考:米国物流会社の出資持分取得(子会社化)完了に関するお知らせ
ファイズHDによる中央運輸のM&A
2020年7月、3PL(総合物流受託事業)のファイズHDは、貨物自動車運送業などを営む中央運輸を株式譲渡契約により子会社化すると発表しました。
これによりファイズHDは、中央運輸が拠点としている神奈川県の厚木エリアと相模原エリアでの物流需要に対応できる体制を整えています。
参考:株式会社中央運輸の株式を取得(子会社化)
ハマキョウレックスによるシティーラインのM&A
2019年12月、3PL(総合物流受託事業)のハマキョウレックスは、物流センター事業を営むシティーラインを株式譲渡契約により子会社化すると発表しました。
これによりハマキョウレックスは、シティーラインが拠点としている福岡県をはじめとした九州エリアでの事業強化を図っています。
参考:株式会社シティーラインの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
内外トランスラインによる韓進海運新港物流センターのM&A
2019年2月、海上混載貨物輸送事業を行っている内外トランスラインは、韓国で物流センターの運営を行っている韓進海運新港物流センターを株式譲渡契約により子会社化すると発表しました。
これにより内外トランスラインは、韓国をはじめとした、海外での物流センター事業強化を進めています。
参考:韓国における倉庫会社の株式取得と子会社化に関するお知らせ
鴻池運輸による中電産業のM&A
2019年2月、港湾運送業・倉庫業を営む鴻池運輸は、総合建設業の中電産業を株式譲渡契約により子会社化すると発表しました。
これにより鴻池運輸は、中電産業の拠点である北陸エリアでのエンジニアリングサービスを強化しています。
参考:「鴻池運輸、中電産業株式会社の全株式を取得」に関するお知らせ
MOLケミカルタンカーズによるノルディックタンカーズのM&A
2019年1月、化学品などの海上輸送を行っているMOLケミカルタンカーズは、同じく海上輸送業を営むデンマークのノルディックタンカーズを完全子会社化すると発表しました。
世界各地でケミカルタンカーを配船しているMOLケミカルタンカーズは、ノルディックタンカーズを子会社化することで世界各地での配船をさらに強化しています。
参考:MOLケミカルタンカーズがデンマークのケミカル船社「ノルディックタンカーズ」の株式100%取得で合意
ニッコンHDによる松久運輸と松久総合のM&A
2018年12月、貨物自動車輸送事業などを行っているニッコンHDは、一般貨物自動車運送事業を営む松久運輸と、一般貨物自動車運送事業や倉庫業を営む松久総合を株式譲渡契約により子会社化すると発表しました。
これによりニッコンHDは、総合的な物流サービスの強化を図っています。
近物レックスによるエービーエクスプレスのM&A
2018年11月、物流会社の近物レックスは、共同配送事業を営むエービーエクスプレスを株式譲渡契約により子会社化すると発表しました。
近物レックスはエービーエクスプレスを子会社化することで、人手不足の解消やサービス力の向上を図っています。
参考:株式会社エービーエクスプレスの株式取得(子会社化)に関するお知らせ
西日本鉄道によるグローバル・スター・インターナショナル社のM&A
2018年10月、福岡県を拠点に鉄道や路線バスの運営を行っている西日本鉄道は、フランスで航空輸送・海上輸送を営むグローバル・スター・インターナショナル社を子会社化すると発表しました。
西日本鉄道はグローバル・スター・インターナショナル社を子会社化することにより、これまで西日本鉄道が取り扱いの少なかった分野の強化を図っています。
参考:株式会社エービーエクスプレスの株式取得(子会社化)に関するお知らせ
阪急阪神エクスプレスによるイントラスピード・サウス・アフリカ社のM&A
2018年2月、国際物流事業を営む阪急阪神エクスプレスは、アフリカで国際物流業を営むイントラスピード・サウス・アフリカ社が保有する2社を子会社化すると発表しました。
これにより阪急阪神エクスプレスは、今後成長が期待できるアフリカ市場での事業を強化しています。
商船三井によるアザレア社のM&A
2018年1月、海上輸送・旅客輸送などを営む商船三井は、オランダで船員派遣業を営むアザレア社を子会社化すると発表しました。
これにより商船三井は、ヨーロッパでの船員派遣体制を強化しています。
センコーグループHDによる安全輸送のM&A
物流業界のM&A・事業承継事例11件目は、センコーグループHDによる安全輸送のM&Aです。
2017年8月、総合物流企業のセンコーグループHDは、神奈川県を中心に貨物自動車運送事業を営む安全輸送を株式譲渡契約により子会社化すると発表しました。
これによりセンコーグループHDは、神奈川県を中心とした関東エリアでの運送事業を強化しています。
参考:安全輸送㈱を子会社化し、 グループ車両勢力を増強、事業拡大を図る
JR九州によるキャタピラー九州のM&A
2017年8月、JR九州は、建設機械の販売・レンタルを行っているキャタピラー九州を、会社分割後に株式を取得し子会社化すると発表しました。
これによりJR九州は、鉄道事業以外への事業領域を拡大しています。
参考:株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
内外トランスラインによるGTC-ASIAのM&A
2017年7月、海上輸出混載貨物輸送事業を営む内外トランスラインは、ミャンマーの国際輸送会社であるGTC-ASIAを子会社化すると発表しました。
これにより内外トランスラインはミャンマーで輸送事業を展開し、グローバル展開を強化しています。
参考:GTC-ASIA(MYANMAR)COMPANY LIMITED の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
カンダHDによる中村エンタープライズのM&A
2017年3月、物流総合企業のカンダHDは、一般貨物自動車運送業を営む中村エンタープライズを株式譲渡契約により子会社化すると発表しました。
これによりカンダHDは、新たな顧客の獲得と低音流通のノウハウを獲得しています。
参考:株式会社中村エンタープライズの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
ハマキョウレックスによる千代田運輸のM&A
2017年2月、3PL(総合物流受託事業)のハマキョウレックスは、商品自動車輸送業務や倉庫業務を中心に行っている千代田運輸を株式譲渡契約により子会社化すると発表しました。
これによりハマキョウレックスは、物流サービスの総合力強化を進めています。
参考:千代田運輸株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
物流業界のM&Aの主な手法
物流業界のM&A・事業承継で多く用いられる手法は、株式譲渡と事業譲渡です。
株式譲渡は前述したM&A・事業承継事例のように、物流業界で大企業からから中小企業まで幅広く用いられています。
株式譲渡がこれだけ多く用いられる理由は、その手軽さにあります。株式譲渡は売り手企業の株主から買い手へ株式を譲渡することで経営権を渡すことが可能です。
また、事業譲渡も物流業界のM&A・事業承継でよく用いられる手法です。事業譲渡は事業の一部を譲渡できるので、物流拠点の一部を譲渡したり、物流設備の一部を譲渡したりといった柔軟な戦略を選択できます。
他にも、広義のM&Aでは資本業務提携が増加傾向にあります。物流業界は物流コストが増加傾向にあるのに対して、利益率は減少傾向にあります。
そのため、他社と資本業務提携を締結することで、事業の効率化を図るケースが増えています。
物流業界のM&Aの流れ
物流業界のM&A・事業承継は一般的に以下の流れで進められます。
1.専門家の選定・相談を行う
オーナー経営者にとって最初の難題は、M&A・事業承継をいつ、どこに相談するかという点です。
よくあるケースのひとつは、まず税理士やメインバンクに相談するケースです。近年はメインバンクや公的機関から事業承継に関する声掛けを積極的に行うケースも増えてきました。
M&A・事業承継を依頼する専門家と契約したら、具体的な手続きに進んでいきます。
2.M&A先の選定と交渉をする
M&A先の選定と交渉は、依頼する専門家によって大きく結果が分かれる点です。
専門家のネットワークからM&A先を選定する場合の一般的な方法は、まず売り手企業側が声をかける相手を数十社程度選定した後、さらに候補を絞り込む方法です。
専門家は売り手企業を最終的に絞り込んだ買い手候補企業へ打診していきます。
3.M&A先のトップと面談を行う
専門家が買い手候補企業へ打診を行った結果、売り手企業の経営者と、買い手としての意思表示を示した企業の経営者はトップ面談を行います。
トップ面談では、事前の提示条件で気になる点や、わからない点などを確認しつつ、お互いに人柄などを探っていきます。
4.基本合意書の締結
M&Aに関してまとまった交渉内容は、基本合意書として整理し合意します。取引によっては、基本合意書の締結事態を行わないケースもあります。
M&A手続きを大きく分けると、ここまでが前半部分にあたります。中小企業のM&Aの場合は前半部分が特に重要となるので、M&A先の案件情報と適切にアプローチできる交渉力を持った専門家を選ぶ視点が大事です。
5.M&A先によるデューデリジェンスの実施
買い手側が売り手企業に対して行うデューデリジェンス(買収監査)の主な目的は、買収を行うかどうかの判断、M&A価格の決定、リスクの判断、M&A後の戦略構築などさまざまです。
デューデリジェンスの範囲は、ビジネスデューデリジェンス、財務・税務デューデリジェンス、法務デューデリジェンスをはじめとした、多岐に渡る分野で行うケースもあります。
6.最終契約書の確認・交渉・締結
詳細なデューデリジェンスが終了し最終的な条件を確認・再交渉し終わったら、最終契約書の締結に至ります。
最終契約書の内容については、不当に不利な条件になったり、想定外のトラブルが起きたりしないよう、M&A専門の法務専門家からのアドバイスをもらうことがポイントです。
7.クロージング
クロージング手続きをすべて終えたらM&Aの手続きは終了です。中小企業の場合、ここまでの手続きを平均半年から1年の期間をかけて行われます。
ただし、クロージング後に想定外のトラブルが発生することも少なくありません。
そのため、売り手側の経営者は、クロージング後に取締役を継続したり、顧問契約を結んでいなかったりしたとしても、一定期間は買い手企業のケアを行うことでトラブルを最小に抑えることが可能です。
物流業界のM&Aでおすすめの相談先
前述のように、物流業界のM&A・事業承継ではどのようなM&A先をリストアップできるかが重要であり、そのためには専門家選びが重要です。
M&A総合研究所では豊富な専門知識を持つアドバイザーがフルサポートいたしますので、物流業界のM&A・事業承継も安心してお任せいただけます。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)
相談も無料なので、物流業界でのM&A・事業承継をご検討の際は、M&A総合研究所までお気軽にご相談ください。
まとめ
本記事では、物流業界のM&A・事業承継についてご紹介してきました。物流業界は競争の激化と人材不足、働き方改革、多様化する個人ユーザーの要望などにより、業界再編が進められている状況です。
物流業界のM&A・事業承継では以下の点に注意が必要です。
- 労務管理の徹底
- 従業員の離職を防止する
- 経営者が計画的に準備を開始する
- タイミングを見る
- 専門家に相談する
物流業界のM&A・
- 専門家の選定・相談を行う
- M&A先の選定と交渉をする
- M&A先のトップと面談を行う
- 基本合意書の締結
- M&A先によるデューデリジェンスの実施
- 最終契約書の確認・交渉・締結
- クロージング
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