2021年5月13日更新業種別M&A

産業廃棄物・環境業界におけるM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説

産業廃棄物の処理はさまざまな企業が事業活動を行ううえで非常に重要であり、業界の市場は一定水準で推移していくと予想されていますが、他の業界と同様にM&Aが活発化しています。この記事では、産業廃棄物・環境業界におけるM&A動向や方法、相場などを紹介します。

目次
  1. 産業廃棄物・環境業界とは
  2. 産業廃棄物・環境業界のM&A動向
  3. 産業廃棄物・環境業界のM&Aで成功するためのポイント
  4. 産業廃棄物・環境業界のM&Aで注意したいポイント
  5. 産業廃棄物・環境業界のM&A相場
  6. 産業廃棄物・環境業界のM&A事例5選
  7. まとめ
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産業廃棄物・環境業界とは

廃棄物処理業は、一般廃棄物処理業、産業廃棄物処理業、その他廃棄物処理業に分類されます。このうち、産業廃棄物処理業は事業活動などで生じた廃棄物の処理を行い、中には爆発性や感染性など被害が生ずるおそれのある廃棄物の収集運搬・処分を行う、特別管理産業廃棄物収集運搬業・処分業も含まれています。

近年、さまざまな業界でM&Aが活発化しています。産業廃棄物・環境業界も例外ではなく、事業の強化や新規事業への参入など、さまざまな目的のためにM&Aが行われています。

産業廃棄物・環境業界の特徴

産業廃棄物処理業の事業を行うには許可が必要になるため、新規参入が難しい業界です。また、産業廃棄物・環境業界で再生事業を手がける会社も多く見られ、環境省の調査では産業廃棄物の再生利用率は53.4%(平成25年度)となっております。

それ以降は53%前後で推移しており、平成29年度の再生利用率は52.2%となっております。このような近年の環境意識の高まりも踏まえると、今後は産業廃棄物・環境業界の重要性がさらに増すことになるでしょう。

(出典:環境省ホームページ、2020年1月23日発表資料)

産業廃棄物・環境業界の動向

産業廃棄物の処理は、基本的に需要がなくなることはないため、今後も一定の水準で市場は推移すると予想されます。また、排出量が減少しても再生事業などに注力して事業展開を行う会社もあります。このように考えると、産業廃棄物・環境業界は、今後も一定の需要を取り込める形になるでしょう。

一方で、処分場などをめぐって住民が反対するケースもしばしば問題になります。処分場の需要がなくならないとしても、周辺の住民との対立が深刻化すれば事業継続は難しいでしょう。とくに処分場などの移転や建設においては、反対の声が多く上がる傾向が見られます。

このような動向に対応するためにも環境面での配慮が求められ、より環境に優しい技術が進歩すれば住民とのトラブルをなくすことにもつながります。そのため、産業廃棄物・環境業界では、新技術に対する取り組みも重要な課題となっています。

産業廃棄物・環境業界のM&A動向

最近の産業廃棄物・環境業界では、新たな技術の獲得を目指したM&A、新分野へ参入するためのM&Aなどが見受けられます。とくに新技術への期待は高まっていますので、特定の技術に強みのある会社とM&Aを行うことは、事業の強化・拡大につなげることができます。

また、再生事業への取り組みも増えており、再資源化の技術の取り込みや再生事業への新規参入などを目的としたM&Aも見られます。他業種の企業が新規事業を開始する場合、自社で一から事業を開始するよりも、比較的短期間で新規参入を実現できます。

今後、技術の多様化や再資源化のニーズはさらに高まりますので、M&Aを活用して短期間で新規参入を図るケースは今後も増えると予想されます。

M&Aを行う際は専門家に相談することがおすすめ

M&Aにおいては、ニーズに合った相手探しや交渉、税務、財務などの知識が必要となります。また、法律についても知識を有していなくてはならず、産業廃棄物処理業は許認可の扱いにも注意しなくてはなりません。これらをM&Aの当事者だけで行うことも可能ですが、実施する際は専門家に相談することをおすすめします。

M&Aの専門家に相談することで的確なアドバイスを受けることができますし、正式に依頼をすれば相手探しや交渉、M&Aの実務に至るまでサポートを受けることもでき、M&Aの成功率を高くしてくれます。

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産業廃棄物・環境業界のM&Aで成功するためのポイント

ここでは、産業廃棄物・環境業界のM&Aにおける成功のポイントを紹介していきます。

売却を行うケース

売却をする際は、相手企業に自社の魅力をしっかりと伝えることが大事です。自社の事業内容や技術、事業エリアなどに魅力があれば、それだけ多くの企業が買収に名乗り出る可能性があります。買い手候補が多ければ、自社に合った企業も見つかりやすく、M&Aを成功に導くことができます。

また、近年は環境における技術などのニーズも高まっています。売り手側が独自の技術や強みを持っていれば、買い手のニーズとマッチし、買い手が積極的にアプローチしてくる可能性も高まります

保有している設備も重要

産業廃棄物・環境業界で使用する設備は、他の業界で使用する設備よりも早い期間で新調しなくてはなりません。そのため、産業廃棄物・環境業界のM&Aにおいては買い手が売り手の設備を重要視する傾向が強いです。

つまり、新しい設備を有していることも売り手の大きな魅力となり、M&Aが成功しやすくなります。

買収を行うケース

同業者同士のM&Aで買収を行う場合、双方のノウハウや技術を活かすことにより、事業の強化・拡大やサービス体制の強化につなげることができます。このような買収を成功させるには、自社が強化したい事業、新たに参入したい分野、新たに取り込みたい技術など、あらかじめ整理しておきましょう

これらの点がはっきりしていれば、自社のニーズに沿った相手企業が見つかりやすくなります。シナジー効果の高いM&Aの実現のためにも、業界動向なども踏まえて目的を整理しておくことが大切です。

許認可の引き継ぎについて確認しておく

同業者同士のM&Aの場合、他社を買収してもすでに自社で保有する許認可を引き続き使用することができますので、許認可についてそこまで注意する必要はありません。しかし、許認可を保有していない会社が新規参入する場合は注意が必要です。

新規参入にあたり事業譲渡によって産業廃棄物処理事業を買収する場合、許認可を引き継ぐことはできません。そのため、自社で許認可を取得する必要がありますので、取得までのプロセスは確認しておきましょう。

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産業廃棄物・環境業界のM&Aで注意したいポイント

産業廃棄物 環境のM&A・事業承継
産業廃棄物 環境のM&A・事業承継

M&Aにあたっての注意点も整理しておきましょう。とくに注意すべきポイントは、以下の3点です。

  1. 目的を明確にすること
  2. 対象企業は丁寧に選ぶこと
  3. 専門家のサポートを受ける
では、これらのことについて詳しく紹介していきます。

①目的を明確にすること

M&Aを実行するにあたっては、最初に目的を明確にしておく必要があります。目的がはっきりしていれば、具体的なM&A戦略の策定を進め、自社にとって最適なM&Aスキームも検討できます。一方で、目的がはっきりしないままM&Aを進めると、たとえM&Aを実現できても思っていた効果が得られない事態になりかねません。

このような事態を避けるためにも、M&Aの目的を明確にしたうえで、その目的に沿った方法でM&Aを進める必要があるのです。

②対象企業は丁寧に選ぶこと

売却によって経営権を移転させる場合、買収によって企業を傘下に入れる場合など、M&Aを行う目的はさまざまであり、それぞれの目的に応じて選ぶ企業は信頼できるところでなければなりません。そのため、対象企業の事業内容や方針などを検討したうえで、自社に合うかどうかを慎重に判断することが大切です。

そのうえで、ふさわしい対象企業が見つかったらアプローチを早めに行いましょう。アプローチが早ければ、他の企業に先を越されるリスクも少なくなります。

③専門家のサポートを受ける

M&Aの手続きにおいては、専門家のサポートを受けるのがベストです。さきほどもお伝えしましたが、M&Aは法務や税務、財務といった専門知識のほか、対象企業との交渉力も必要になります。自社だけでこれらの手続きを進めることは難しく、なかなかスムーズに進めることができません。

M&Aの交渉や手続きをスムーズに進めるためにも、M&A仲介会社などの専門家のサポートを受けるのがおすすめです。

M&A総合研究所には知識と経験が豊富なアドバイザーが多数在籍しており、M&Aをフルサポートいたします。

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産業廃棄物・環境業界のM&A相場

産業廃棄物・環境業界では、大手企業のM&Aから中小企業のM&Aまで規模はさまざまであり、一概に相場や費用を把握することは難しいといえ、さまざまなM&A事例を検討し、自社の状況に似たものは徹底的に分析して相場や費用の目安をつけておく必要があります。

なお、売却時に自社にどのくらいの価値があるのかは、専門家に依頼することで算定することができますので、相手探しや交渉の前に自社の企業価値について専門家に相談してみましょう。

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産業廃棄物・環境業界のM&A事例5選

最後に、産業廃棄物・環境業界におけるM&A事例を5つ紹介していきます。

  • リサイクルクリーンによるサスダイ工業の買収
  • 綜合警備保障による総合管財とヘルス・サポートの買収
  • ツネイシカムテックスが東広商事を買収
  • タケエイによるイコールゼロの子会社化
  • タケエイによる富士リバースの子会社化
では、これらの事例の詳細を見ていきましょう。

リサイクルクリーンによるサスダイ工業の買収

2019年11月、リサイクルクリーンはサスダイ工業の全株式を譲受したと公表しました。リサイクルクリーンは、静岡県で産業廃棄物処理と解体工事を行う会社であり、サスダイ工業は1985年から続く住宅用基礎鉄筋の製造と加工を行う会社です。

サスダイ工業は長年にわたり培ってきたノウハウを活かした製造加工を行っており、その技術は建設会社などからも高い評価を受けていました。しかし、社長および役員が高齢となり、親族や従業員の中に会社を引き継ぐ人がいませんでした。

この買収により、サスダイ工業は事業承継問題を解決することができ、事業の存続に成功しました。リサイクルクリーンにおいても、サスダイ工業の顧客や品質を尊重して守り続けることとし、それに加えてサスダイ工業が持つノウハウを活用して事業の成長を図っています。

 

綜合警備保障による総合管財とヘルス・サポートの買収

2018年12月、警備サービス事業を展開する綜合警備保障が、総合管財とヘルス・サポートの2社の株式を取得したと公表しました。綜合警備保障は警備サービス事業の大手であり、総合管財は医療機関の清掃やビルの管理を行う会社です。

ヘルス・サポートは、医療系の産業廃棄物の処理や病院設備の管理を行っている会社です。総合管財とヘルス・サポートはいずれも山口県を拠点に事業を行っている会社であり、綜合警備保障はこの買収により、山口県および近隣の地域における事業の拡大、企業価値の向上を図っています。

ツネイシカムテックスが東広商事を買収

2016年2月、造船・海運・環境事業などを行う常石グループの企業であるツネイシカムテックスが、産業廃棄物の収集・運搬・処理・処分業務などを手がける東広商事を買収したことが発表されました。

ツネイシカムテックスは広島県福山市に本社を構え、廃棄物収集運搬や中間処理、リサイクルなどの事業を展開しています。アジアへの事業展開も積極的に進めており、グローバルな視点でごみ処理問題解決に取り組んでいる企業です。

また、東広商事は広島県東広島市に本社を置き、産業廃棄物の収集・運搬・処理・処分業務のほか、公害関連施設などの届出・監理・コンサルタント業務、土木・建築工事の機械・資材の販売・リースなど、幅広い事業を展開しています。

産業廃棄物の事業においては、産業廃棄物を中間処理によってセメント原燃料、製鉄原料として再利用・再資源化を行うなど、再資源化技術に強みがあります。この買収によりツネイシカムテックスは東広商事の再資源化技術を獲得し、リサイクル事業のさらなる推進を図っています。

タケエイによるイコールゼロの子会社化

2015年9月、タケエイは産業廃棄物事業などを手がけるイコールゼロ(長野県長野市)を子会社化しました。イコールゼロは、一般廃棄物の収集運搬業、産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の収集運搬業・中間処理・再資源化を行っています。

また、産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の収集運搬・中間処理業では、他社に先駆けて導入したノウハウも活用されており、重金属を含む廃液からの高純度のニッケル・銅の回収に強みがあります。これによりタケエイは「廃液処理」「有害産業廃棄物処理」という新分野への参入を実現しています。

タケエイによる富士リバースの子会社化

こちらもタケエイによる事例です。2014年10月、廃棄物処理・リサイクル事業を行う富士リバース(現タケエイグリーンリサイクル:山梨県富士吉田市)を子会社化しました。富士リバース(現タケエイグリーンリサイクル)は生木の再生資源化などの事業を手がけ、関東・甲信地域に強みがあります。

地方自治体、造園業や建設業から排出された伐採木などを回収し、生木類の100%リサイクルを行うという特徴的な事業を行っています。これによりタケエイは、地方自治体・造園業・建設業から排出された伐採木などの再生資源化・再生エネルギー原燃料化という新分野に参入する形になりました。

まとめ

産業廃棄物の処理は、さまざまな企業が事業活動を行ううえで非常に重要です。その重要性に加え、環境問題に対する意識も高まっているという点が、産業廃棄物・環境業界の特徴でもあります。こうした背景もあり、再生事業や再資源化技術などの重要性も高まっています。

そして、産業廃棄物処理業と環境事業が、M&Aによってより密接につながるケースもあるのです。最近の産業廃棄物・環境業界では、環境に関する新しい技術などの取り込みを目的としてM&Aが行われるケースが見られます。

また、環境事業も含めた新分野への参入を目的として、M&Aを検討する企業も増えており、今後はM&A事例が多様化することも考えられます。産業廃棄物・環境業界でのM&Aを考える際には、幅広い事例を分析しつつ、業界の動向も踏まえて検討を進めることが重要です。

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