2022年2月25日更新業種別M&A

産業用・業務用機械製造業界のM&A・売却・買収事例!最新動向、費用の相場、成功のコツを解説

産業用・業務用機械製造業界では、国内企業同士だけでなく海外の企業とのM&Aも盛んです。なぜ、産業用・業務用機械製造業界ではそのようなM&A動向なのかの理由も含め、M&Aのプロセスやスキーム、メリットや成功させるコツなどを事例とともに解説します。

目次
  1. 産業用・業務用機械製造業界のM&Aとは?
  2. 産業用・業務用機械製造業界のM&Aの現状と動向
  3. 産業用・業務用機械製造業界のM&Aの費用と相場
  4. 産業用・業務用機械製造業界のM&Aの流れ
  5. 業務用・産業用機械製造業界のM&Aスキーム
  6. 産業用・業務用機械製造業界のM&A事例
  7. 産業用・業務用機械製造業界の買収メリット
  8. 産業用・業務用機械製造業界の売却メリット
  9. 業務用・産業用機械製造業界のM&A・売却・買収・譲渡の成功のコツ
  10. 産業用・業務用機械製造業界のM&A・売却・買収まとめ
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業務用機械製造 産業用機械製造のM&A・事業承継

産業用・業務用機械製造業界のM&Aとは?

産業用・業務用機械製造業界とは、法人向けにさまざまな機械を製造する業界のことです。産業用・業務用機械製造の特徴としては、カスタマイズ製品が多いため、大量生産が行いにくい点にあります。

したがって、各部品の製造にしろ、それらの組み立てや仕上げ工程にしろ、中小企業が大きな役割を担っているのです。また、各取引先からの発注によってビジネスが成り立っているため、不況などで取引先からの発注量が減少するなど、景気動向に左右されやすい業界でもあります。

業務用・産業用機械製造業界を取り巻く環境とM&Aの関連性

日本の産業用・業務用機械製造業界は、古くから精密な組み立て技術によって高品質な製品を送り出してきました。しかし、昨今は中国・韓国・台湾といった新興国が、日本や先進国のユニットを用いて低価格かつ高品質な製品を製造できるようになっています。

それだけでなく、海外のメーカーをM&Aによって積極的に買収し、ノウハウを取り入れているのが新興国の特徴です。そのため、新興国の産業用・業務用機械製造会社が、日本の同業者にとって強力なライバルとなっています。

また、あらゆる業界でグローバル化が進んでいるように、産業用・業務用機械製造業界でも海外に進出する会社が増えてきました。国内市場が人口減少によって縮小化する中、海外市場に活路を見出すのは当然の流れといえるでしょう。

新興国との競争に臨みつつ、新たな市場を獲得し、質が高く低価格の製品をいかに提供していくかが、産業用・業務用機械製造業界の命題です。そして、この命題をクリアするために、産業用・業務用機械製造業界ではM&Aが積極的に行われています。

M&Aは事業規模を拡大したり、新たなノウハウを取り入れることでコア事業の成長を促すだけでなく、事業領域を広げるうえでも有効な手段だからです。

さらに、産業用・業務用機械製造業界の中小企業では後継者不在による事業承継問題を抱える会社も多く、その解決策としてもM&Aが用いられています。

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産業用・業務用機械製造業界のM&Aの現状と動向

ここでは、産業用・業務用機械製造業界のM&Aの現状と動向について、あらためて確認します。産業用・業務用機械製造業界は、大手・中小を問わずM&Aに積極的な業界です。

M&Aの目的には、新たなノウハウ・技術の獲得や海外市場への進出などがあります。特に、縮小する国内市場に頼らずアジア市場などの海外市場に活路を見出す会社が増えているため、クロスボーダーM&Aも活発に行われているのが産業用・業務用機械製造業界です。

もちろん、国内でのM&Aも活発であり、毎年、多くの産業用・業務用機械製造会社がM&Aによる経営統合を行っています。元来、産業用・業務用機械製造業はすそ野が広く、業種を越えたM&Aを行いやすいため、今後もそのようなM&Aが積極的に行われるでしょう。

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産業用・業務用機械製造業界のM&Aの費用と相場

ここでは、産業用・業務用機械製造業界のM&Aの費用と相場について見ていきます。日本ではM&Aの取引価額が非公表であることが多いため、海外のM&Aのように費用の全貌を確かめられるケースが少ないのが現状です。

ただし、費用が公表されている産業用・業務用機械製造会社のM&Aを見て、ある程度の相場は計れます。産業用・業務用機械製造業は、会社としての純利益はもちろん、製造の際に用いる設備などもあるため、中小規模でも取引価額が億単位を越えるケースが多いです。

そのため、取引価額を含めた費用は数億円~数十億円になることは珍しくありません。もちろん大企業同士のM&Aとなれば、取引価額が数百億~数千億を超えることもあり得るでしょう。

その一方で、数百万円から数千万円規模の取引価額もないわけではありません。産業用・業務用機械製造業界のM&Aに強いM&A仲介会社に相談すれば、自社でもM&Aが可能な相手とマッチングできることはよくあります。

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産業用・業務用機械製造業界のM&Aの流れ

業務用機械製造 産業用機械製造のM&A・事業承継
業務用機械製造 産業用機械製造のM&A・事業承継

産業用・業務用機械製造業界でM&Aを実施する場合、一般的なプロセスは以下のとおりです。なお、ここでは、M&A仲介会社に業務依頼をする前提としています。

  1. M&A仲介会社の選定:無料相談を活用し自社に適した会社を選びましょう。
  2. M&A仲介会社と業務依頼契約を締結
  3. M&Aの取引相手探し:取引候補はM&A仲介会社が探してきますが、この段階では社名は匿名です。
  4. M&Aの取引相手決定:先方と秘密保持契約を締結して情報を開示します。
  5. 交渉開始:交渉はM&A仲介会社が行います。
  6. トップ面談:売り手・買い手双方の経営トップが面会し経営方針・社風・人物像などを確認します。
  7. 基本合意書の締結:条件が大筋で合意できた場合の確認書を交わしますが、これには法的拘束力はありません(M&Aは成約していません)。
  8. デューデリジェンス:買い手側による売り手側企業の精密監査が実施されます。
  9. 最終交渉:デューデリジェンスの結果を踏まえた最終条件交渉を行います。
  10. 最終契約の締結:最終交渉で合意できればM&Aは成約です。
  11. クロージング:売り手・買い手それぞれが最終契約書で約束した内容を履行します。
  12. PMI(Post Merger Integration):クロージング後、買い手側では経営統合プロセスが実施されます。

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業務用・産業用機械製造業界のM&Aスキーム

業務用・産業用機械製造業界でM&Aが実施される場合に、よく用いられるM&Aスキーム(手法)を紹介します。

株式譲渡

株式譲渡は、業務用・産業用機械製造業界に限らず、全ての産業のM&Aで最も多く用いられています。オーナー経営者の中小企業の場合であれば、経営者が所有する株式を売却することで買い手に経営権を譲り渡しますが、このときの対価は現金です。

買い手は取得した株式の比率に応じて、売り手企業への支配の度合いが変わります。
  • 100%:完全子会社
  • 3分の2以上:子会社(株主総会で特別決議が可能)
  • 2分の1以上3分の2未満:子会社(株主総会で普通決議が可能)
  • 3分の1以上2分の1未満:株主総会で特別決議を否決可能

株式交換

買い手・売り手が完全親子会社になる前提で行われるのが、株式交換です。買い手は、売り手の株式を取得する対価として、自社の株式を交付します。対価に現金を用いないことが株式譲渡との絶対的な違いです。

第三者割当増資

第三者割当増資とは、売り手企業が特定の第三者に対し新株を引き受ける権利を付与し、増資を行うことです。引き受ける側が取得する株式の比率によっては、売り手との間で株式譲渡の項で説明した関係性が生じます。

ただし、第三者割当増資の場合、必ずしも経営権の取得が目的ではなく、資本提携として数%の株式を取得するというケースも多いです。なお、資本提携は、資本の移動を伴うため、広義のM&Aとされています。

事業譲渡

株式譲渡は売り手企業を包括的に承継しますが、事業譲渡は、売り手企業の事業や資産、権利などを選別して売買取引をします。売り手・買い手の合意が前提ですが、双方ともに望むものだけを売買できるのが特徴です。なお、この取引の対価は現金になります。

会社分割

会社分割では、売り手企業の事業部門を丸ごと切り出し、買い手はこれを承継します。丸ごととは、事業に関わる組織・人材・資産・権利・許認可(NGの場合あり)を包括的に譲り渡すということです。

事業譲渡と類似して見えますが、事業譲渡の取引対象はあくまでも1つひとつ選別されるのに対し、会社分割は必ず事業部門ごと包括される点が異なります。また、会社分割の対価は自社株式である点も違いです。

合併

複数の企業を1つに統合するのが合併です。存続会社以外の企業は、法人格を失い消滅します。合併の場合の対価は、現金と自社株式のどちらでも用いることが可能です。経営統合作業の難易度は簡単ではありませんが、最も高いシナジー効果の期待が持てます。

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産業用・業務用機械製造業界のM&A事例

ここでは、産業用・業務用機械製造業界の会社が実際に関わったM&A事例を紹介します。

  1. ダイフク×コンテック
  2. 安川トランスポート×ニッコンホールディングス
  3. オムロン×JMDC
  4. 東京衡機×FPKナカタケ
  5. 日立造船×Steinmüller Babcock Environment GmbH
  6. ブイ・テクノロジー×アイテック
  7. ホシザキ×Brema Group S.p.A.
  8. 日本精工×Alliance Bearing Repair and reclaim, LLC
  9. ブラザー工業×ニッセイ
  10. ミナトホールディングス×エクスプローラ
  11. 日立ハイテクノロジーズ×Applied Physics Technologies Inc.
  12. 富士電波工業×白光電気
  13. ツバキ・ナカシマ×NN,INC.
  14. 日本トムソン×優必勝(上海)精密軸承製造有限公司

ダイフク×コンテック

2022(令和4)年2月、ダイフクは、連結子会社であるコンテックに対し、完全子会社化を目的にTOB(Take Over Bid=株式公開買付)の実施を発表しました。ダイフクは、現段階でコンテック株式60.73%を所有しています。

TOBは、同年2月7日から3月23日にかけて行われ、1株あたりの買付価格は2,700円です。ダイフクは、物流システムに関するコンサルティングとエンジニアリング・設計・製造・据付・サービスなどの事業を行っています。

コンテックは、電子機器の製造・販売などを行っている企業です。ダイフクとしては、完全子会社化することで連携が深まり、経営資源を集中させることで企業価値向上が図れるとしています。

安川トランスポート×ニッコンホールディングス

2022年2月、安川トランスポートの親会社である安川ロジステックは、安川トランスポートの全株式をニッコンホールディングスに譲渡することを発表しました。譲渡予定は同年3月、譲渡価額は公表されていません。安川ロジステックは、安川電機の完全子会社です。

安川トランスポートと安川ロジステックは、運輸・物流サービス事業を行っています。ニッコンホールディングスは、物流サービス事業を行っているグループの持株会社です。

また、安川電機は、モーションコントロール事業、ロボット事業、システムエンジニアリング事業などを行っています。今回の株式譲渡は、安川電機グループの資本効率化のために実施されました。

オムロン×JMDC

2022年2月、オムロンとJMDCは資本業務提携を締結しました。資本提携としては、オムロンが、JMDCの大株主であるノーリツ鋼機が所有する48.88%の株式のうち、33.0%該当分を1,118億6,400万円で取得しています。

オムロンは、制御機器事業、ヘルスケア事業、社会システム事業、電子部品事業などを行っており、一方のJMDCは、医療統計データサービス事業を行っている企業です。

業務提携の主な内容は、ヘルスデータプラットフォームの強化、予防ソリューションの開発、JMDCグループの海外事業展開の加速、デバイス・サービスのクロスセルなどが発表されています。

東京衡機×FPKナカタケ

2022年2月、東京衡機は、完全子会社である無錫三和塑料製品有限公司の全株式をFPKナカタケに譲渡しました。譲渡価額は1,500万円です。東京衡機は、試験機事業、エンジニアリング事業、商事事業、海外事業などを行うグループ会社の統括管理を行っています。

無錫三和塑料製品有限公司は、中国においてオフィス家具部品・自動車関連部品・家電関連部品。日用生活品・その他のプラスチック成型品などの製造・販売を行っている企業です。

FPKナカタケは、施設向け特注家具・住宅設備向けOEM製作、人工大理石加工、木製品加工などを行っています。譲渡の理由は、経営状態の厳しかった無錫三和塑料製品有限公司を、安定した経営に立て直せる相手に引き渡すことでした。

日立造船×Steinmüller Babcock Environment GmbH

2022年2月、日立造船は、スイスの連結子会社Hitachi Zosen Inova AGが、ドイツのSteinmüller Babcock Environment GmbHの全株式を取得し完全子会社化したと発表しました。取得価額は公表されていません。

日立造船は、ごみ焼却発電施設、海水淡水化プラント、上下水・汚泥再生処理プラント、舶用エンジン、プレス、プロセス機器、精密機械、橋梁、水門、防災関連機器などの設計・製作などを行っている企業です。

Hitachi Zosen Inova AGは、ごみ焼却発電施設・バイオガス施設の設計・建設・保守・運営などを行っています。Steinmüller Babcock Environment GmbHは、日本の日鉄エンジニアリングの完全子会社でした。

グループで北欧地域において、廃棄物発電施設の設計・調達・建設・メンテナンス、 火力発電所など向け排ガス処理設備の設計・調達・建設などを行っています。日立造船としては、グループの欧州における事業エリア拡大と事業領域拡張が狙いのM&Aです。

ブイ・テクノロジー×アイテック

2022年1月、ブイ・テクノロジーは、アイテックの全株式を取得し完全子会社化することを発表しました。取得予定日は同年2月28日、取得価額は公表されていません。

ブイ・テクノロジーは、フラットパネルディスプレイ製品・半導体製品の製造に用いられる各種装置の開発・設計・製作・販売・サービスなどの事業を行っています。

アイテックは、エンベデッドシステムソリューション、オープンシステムソリューション、インフラソリューション、カスタマーサポートソリューションなどの事業を行っている企業です。

ブイ・テクノロジーとしては、装置用ソフトウェア開発力の強化を図り、グループとして事業の拡充を目指すとしています。

ホシザキ×Brema Group S.p.A.

2022年1月、ホシザキは、オランダの連結子会社Hoshizaki Europe Holdings B.V. が、イタリアのBrema Group S.p.A.の全株式を取得し完全子会社化することを発表しました。取得予定日は同年5月、取得価額は公表されていません。

ホシザキは、製氷機、冷蔵庫、食器洗浄機などの各種フードサービス機器の研究開発・製造・販売を行っています。Brema Group S.p.A.は、業務用製氷機の製造・販売事業を行っている企業です。

ホシザキは、グループにBrema Group S.p.A.を加えることで、欧州において業務用製氷機シェア1位を獲得すると発表しました。

日本精工×Alliance Bearing Repair and reclaim, LLC

2021(令和3)年12月、日本精工は、グループのアメリカ法人NSKコーポレーションが、同じくアメリカのAlliance Bearing Repair and reclaim, LLCからリコンディショニング事業を譲受したと発表しました。

日本精工は、産業用機械製造事業と自動車部品製造事業を行っています。リコンディショニング事業とは、機械の一部である軸受(じくうけ)を、損傷度合いに応じて手直しし、再使用できるようにするサービスです。

ブラザー工業×ニッセイ

2021年12月、ブラザー工業は、60.17%の株式を所有していたニッセイに対してTOBを実施し、完全子会社化しました。取得価額は152億118万3,000円です。ニッセイは、減速機、歯車の製造・販売、不動産賃貸事業などを行っています。

ブラザー工業は、プリンティング・アンド・ソリューションズ事業、パーソナル・アンド・ホーム事業、マシナリー事業、ネットワーク・アンド・コンテンツ事業、ドミノ事業などを行っている企業です。

ブラザー工業としては、完全子会社化でニッセイとの結び付きを堅固なものとし、より大きなシナジー効果を得て企業価値向上を果たすことを目的としています。

ミナトホールディングス×エクスプローラ

2021年12月、ミナトホールディングスは、エクスプローラの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。エクスプローラは、ソフトウェア設計、ハードウェア設計・製造、ODM/EMS・自社製品の設計・製造などを行っています。

ミナトホールディングスは、メモリーモジュール事業、テレワークソリューション事業、デジタルデバイス周辺機器事業、デバイスプログラミング事業、ディスプレイソリューション事業、システムソリューション事業などを行うグループの持株会社です。

ミナトホールディングスとしては、グループ各社とのシナジー効果が期待でき、グループ全体として企業価値向上が果たせると目論んでいます。

日立ハイテクノロジーズ×Applied Physics Technologies Inc.

2019(平成31)年1月、先端技術産業を専門的に取り扱っている商社である日立ハイテクノロジーズは、アメリカのApplied Physics Technologies Inc.の全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。

Applied Physics Technologies Inc.を買収することにより、同社が製造している電子源を製品として販売するだけでなく、共同で新技術の研究・開発にも取り組めるようになりました。

富士電波工業×白光電気

2018(平成30)年12月、富士電波工業は白光電気の全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。富士電波工業は、新素材やファインセラミックス用の高温焼結炉、研究開発用の多目的炉などの開発を行っている会社です。

富士電波工業は、顧客のために電気炉の設置工事やメンテナンスサービスの円滑化を目指してM&Aを検討しました。その事業戦略を実現するために、富士電波工業は電気炉の電源装置や操作盤の設計製作のノウハウを持ち、納入先も同じである白光電気を買収しています。

ツバキ・ナカシマ×NN,INC.

2017(平成29)年8月、機械・自動車部品メーカーであるツバキ・ナカシマは、アメリカのNN,INC.から精密ベアリング部品事業を買収しました。この買収により、ツバキ・ナカシマは海外拠点同士のネットワークの連携をより強化し緊密なものにしています。

さらに、現地での販売もより促進できるようになったのもメリットです。元来、ツバキ・ナカシマはグローバル企業としてより大きな利益を獲得するために海外市場への進出に力を入れており、このM&Aもグローバル化を一層強化するために行われています。

日本トムソン×優必勝(上海)精密軸承製造有限公司

2017年1月、日本トムソンは、優必勝(上海)精密軸承製造有限公司を買収し子会社化しました。取得価額は公表されていません。日本トムソンは、さまざまなベアリングを製造している会社です。

同じくベアリングを製造している優必勝(上海)精密軸承製造有限公司を買収したことにより、販売する製品ラインナップをさらに拡充させることに成功しています。

また、優必勝(上海)精密軸承製造有限公司とお互いのノウハウや販売ネットワークなどを共有することにより、コストの低減や販売路の拡大なども実現できるようになりました。

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産業用・業務用機械製造業界の買収メリット

産業用・業務用機械製造業界におけるM&Aで、買収の際に得られる主なメリットは以下の4点です。

  1. 事業の多角化
  2. 新技術の導入
  3. 海外進出の実現
  4. 経営の合理化

事業の多角化

事業の多角化が実現できることは、産業用・業務用機械製造業界におけるM&Aの買い手側の大きなメリットになります。事業を多角化し事業領域を広げられれば、収益源を増やせるのです。

また、最近はIoT技術の導入もあって、単純に機械を製造するだけでなく、ソフトウェアや周辺機器、メンテナンスなどといった総合的なサービスが求められる傾向があります。

そこで、異業種を買収することによって製造に留まらない包括的なサービスを提供できるようになるために、異業種を買収する会社も増えているのです。

新技術の導入

新技術の導入をスムーズに行えるのも、M&Aにおける買い手のメリットです。近年は、ロボット、AI、IoTなど先進的な新技術が続々と登場していますが、これらのような新技術を自社で研究・開発することは時間やコストがかかります。

そのうえ、時間やコストをかけても成功は確実とはならず、決して簡単ではありません。ところが、すでに新技術を研究・開発している会社を買収すれば、新技術をそのまま取り入れられます

また、新技術に関する知識やノウハウを持った人材も一緒に獲得できるのも大きなメリットだといえるでしょう。

海外進出の実現

海外進出を実現しやすくなるのも、産業用・業務用機械製造業界のM&Aでの買い手側のメリットです。海外市場へ進出したくとも、現地に拠点を構築することは決して簡単ではありません。

現地の市場動向や商慣習などさまざまな知識・情報を学ばなければならないうえに、施設や人材、取引先、顧客、販路などを確保する必要もあります。いずれも手間がかかるうえに、時間やコストを要する作業です。

しかし、クロスボーダーM&Aで現地の会社を買収すれば、そのまま現地の拠点にできます。当然、現地の会社の施設や従業員、顧客、取引先、販路などを引き継げるため、海外進出をよりスムーズに行えるようになるでしょう。

経営の合理化

グループ化している大規模な会社であれば、経営の合理化を図るために組織再編をM&Aで行うケースも多いです。海外進出も行い巨大化した企業グループは、極力無駄なコストを省き、より効率的な経営が求められるようになります。

他にも、すでに提携関係にある会社同士が、M&Aによって経営統合を行うケースも少なくありません。これはお互いの意思疎通や意思決定をより迅速化し、グループシナジーを高めるために行われます。

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産業用・業務用機械製造業界の売却メリット

産業用・業務用機械製造業界におけるM&Aで、売却の際に得られる主なメリットは以下の2点です。

  1. 事業の存続
  2. 事業承継問題の解決

事業の存続

M&Aを行って会社を売却することで、事業・会社の存続を実現できるのは大きなメリットです。産業用・業務用機械製造業界に限らず中小企業の場合は、経営基盤が不安な会社もあり、また、負債で資金繰りが悪化しているケースは少なくありません。

仮にM&Aで会社を売却できれば、その状態を改善できる可能性が出てきます。大手企業の傘下に入れれば、財務基盤を強化でき、資金繰りを良化させることが可能です。また、買い手企業のノウハウなども共有できるため、そのような面から売上が向上する可能性もあります。

事業承継問題の解決

M&Aで売却をすれば、事業承継問題も解決できます。産業用・業務用機械製造業界の中小企業では、後継者不在による事業承継問題を抱えている会社が数多くあります。高齢になった経営者が引退する際に後継者がいなければ、会社は廃業するしかありません。

しかし、M&Aで会社を売却すれば、買い手が後継者(新たな経営者)となり事業承継が実現します。廃業すれば解雇となってしまう従業員の雇用も守られるのです。また、売り手は売却益を獲得できますから、老後資金にもゆとりが持てるでしょう。

売却益の獲得も廃業では実現しないものであり、これもM&Aのメリットといえます。

 

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業務用・産業用機械製造業界のM&A・売却・買収・譲渡の成功のコツ

業務用・産業用機械製造業界のM&Aを成功させるには、いくつかおさえておくべきポイントがあります。買収側・売却側に分けて、業務用・産業用機械製造業界のM&Aを成功させるコツを確認しましょう。

買収側のコツ

業務用・産業用機械製造業界のM&Aを買収側が成功させるには、以下の3点に留意しましょう。

  • デューデリジェンス
  • PMI
  • M&Aの専門家の起用

デューデリジェンス

デューデリジェンスの目的は以下の3点です。

  • M&A後に経営上の問題となるようなリスク(簿外債務や訴訟リスクなど)の有無の確認
  • 買収価額決定のための経営データの収集・確認
  • PMI(経営統合プロセス)の計画策定のための情報収集(売却側の業務システムや人事制度などの把握)
デューデリジェンスを行うタイミングでは、すでに基本合意書を締結しているため、早く成約したい気持ちがあるかもしれません。しかし、デューデリジェンスには十分な時間をかけ、徹底的に行うことが成功するM&Aを実施する重要なポイントです。

PMI

M&Aの買収側にとって、M&Aは成約して終わりではありません。むしろ、成約後のPMI(経営統合プロセス)こそが、M&Aの成否を分けることになります。つまり、PMIがうまくいかなった場合、M&Aの結果は失敗となってしまうのです。

PMIでは、組織の再編や人材の再配置、業務システムの統合、管理システム・部門の統合、ITシステムの統合、人事制度の統合、企業風土の統合など、どれも簡単なものではありません。デューデリジェンスと並行して準備に入り、入念な統合計画策定が求められます。

M&Aの専門家の起用

上述したデューデリジェンスとPMIをうまく行うために欠かせない存在が、M&A仲介会社などの専門家です。専門家のサポートやアドバイスを受けながらM&Aの各プロセスを進めることが、M&Aの成功確度に直結します。

M&A仲介会社の無料相談を活用して自社に適した専門家を選び、起用することがM&A成功の近道です。

売却側のコツ

業務用・産業用機械製造業界のM&Aを買収側が成功させるには、以下の項目に留意しましょう。

  • 技術力のアピール:特許や独自の製造ノウハウがあれば有利です。
  • 施設。設備の整備:故障や不具合などは改善しておきましょう。
  • 人材のアピール:どのようなスキル・経験を持った人材がいるかリストにしておきましょう。
  • 取引先・顧客のアピール:どのような取引先・顧客がいるかも十分な武器になります。
  • 財務・税務データの確認:誤った処理をしていると粉飾決算の疑いを持たれたりします。
  • M&Aの専門家の起用:買収側同様に専門家の存在は重要です。

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産業用・業務用機械製造業界のM&A・売却・買収まとめ

産業用・業務用機械製造業界では、新興国の産業用・業務用機械製造会社との競争や、顧客のニーズに応えるためにM&Aが積極的に行われています。

また、縮小を続ける国内市場にこだわらず、海外進出や新技術の導入のためのクロスボーダーM&Aも盛んに行われていることも特徴です。産業用・業務用機械製造業界でのM&Aは、今後も活発に行われると予測されます。

M&Aの成功確度を上げるためには、自社に適したM&A仲介会社の起用が肝要です。

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