M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
2022年6月6日更新業種別M&A
繊維・衣服・装飾品製造業界のM&A動向!事例、流れ、売却相場、注意点も解説
繊維・衣服・装飾品製造などの繊維製品製造業界にとって、M&Aは非常に多く実施されています。この記事では、繊維・衣服・装飾品製造などの繊維製品製造業界のM&A動向や流れ、成功させるためのポイント、注意点、売却相場などを解説しています。
目次
繊維・衣服・装飾品製造業界のM&A
はじめに繊維・衣服・装飾品製造業界の特徴やM&A、事業承継の意味についてお伝えします。
繊維・衣服・装飾品製造業界とは
繊維・衣服・装飾品製造業界といっても、その業態は幅広く、取り扱っている商品もさまざまなものがあります。繊維・衣服・装飾品製造業界で一般的にイメージされるのは洋服や革製品、雑貨や小物を手掛けるアパレル会社のようなものでしょう。
他にも制服・作業着・スポーツ用品をメインで手掛ける会社、紡績糸の製造を行う会社、炭素繊維やガラス繊維のような特殊な素材の繊維を扱う会社もあります。
素材や材質にかかわらず、繊維や衣服・装飾品の製造を手掛ける会社は総じて繊維・衣服・装飾品製造業界に身を置いていると考えてもいいでしょう。
他にもルイ・ヴィトンやエルメスなどといったファッションの世界で著名なハイブランドも、繊維・衣服・装飾品製造会社に該当するといえます。
ただ、繊維・衣服・装飾品製造業と日用品製造業の境目は曖昧な傾向があり、繊維・衣服・装飾品製造会社が宝石や貴金属などを手掛けるケースもあるでしょう。
M&A・売却・買収とは
M&Aとは、会社を売却・買収によって複数の会社が経営統合を実践する経営手法です。
M&Aにはさまざまなスキームがあり、主なものでは「株式譲渡」「合併」「事業譲渡」といったものが挙げられます。
いずれも会社の経営権・所有権を買い手となる会社が獲得する形で経営統合するため(合併の場合は売り手の会社は消滅します)、基本的に売り手の会社の独立性は失われます。ただし、事業を売買する事業譲渡や会社分割の場合、売り手の会社の独立性は失われません。
資本業務提携や業務提携などといった手法も広義のM&Aとして扱われることがあります。
これらの手法は経営統合を行うわけではありませんが、複数の会社が経営上協力して業務にあたる点ではM&Aに近いものです。この点を踏まえると、「複数の会社が経営上協力してシナジー効果を得る」のがM&Aの本質といえるでしょう。
事業承継とは
事業承継は会社の経営権を引き継ぐ行為を意味します。
通常、事業承継と聞いて連想するのは経営者が引退に際し、子供や親族の中から選んだ後継者に経営権を承継できるでしょう。ただ、この一般的な形式の事業承継が昨今では難しくなりつつあります。
なぜなら経営者の高齢化の影響もあって、平均年齢が上がる中、後継者がいないケースが増加しているからです。
そもそも経営者に引き継ぐべき子供や親族がいないこともありますが、かつてのように「家業を継ぐ」といった価値観が全体的になくなっていることも要因の一つです。
そのため、昨今は子供や親族だけでなく、親族外から後継者を選んだり、M&Aで事業承継を行ったりするケースが増えています。
繊維・衣服・装飾品製造業界のM&A事例
繊維・衣服・装飾品製造業界では、どのようなM&Aが行われているのでしょうか。ここでは、繊維・衣服・装飾品製造業界のM&A・売却・買収事例を紹介します。
- フジコー×日本毛織
- 東洋紡×帝人フィルムソリューション、P.T. Indonesia Teijin Film Solutions
- 東レ×Alva Sweden AB
- 帝人×Benet Automotive
- 共同印刷×クレハ
- キムラタン×中西
フジコー×日本毛織
2021年5月、フジコーと日本毛織が株式交換を行いました。この株式交換により、フジコーは日本毛織の完全子会社となりました。
フジコーは、ソーラーパネル部材からカーペットなどの繊維製品まで、幅広い分野の商品を製造している不織布・フェルトの総合メーカーです。
一方の日本毛織は、衣料繊維事業・産業機材事業・人とみらい開発事業・生活流通事業の4つを主軸として事業を展開しています。
両社は、2020年5月に資本業務提携を結び協業を行ってきましたが、今回の株式交換によってさらなる経営資源の相互活用によりシナジー効果が期待できるとしており、不織布事業を中心に世界規模で成長が期待される自動車・環境関連の市場の取り込みを目指します。
東洋紡×帝人フィルムソリューション、P.T. Indonesia Teijin Film Solutions
東洋紡は2019年10月、帝人フィルムソリューションとインドネシアのP.T. Indonesia Teijin Film Solutionsの株式を取得し、完全子会社としました。
東洋紡は包装用途から工業用途まで幅広いフィルム製品、機能樹脂・産業マテリアル・衣料繊維などの製造・販売している会社です。
帝人フィルムソリューションとP.T. Indonesia Teijin Film Solutionsは、ポリエステルフィルム事業を展開し、さまざまな用途のフィルム製品を製造・販売していました。
今回のM&Aにより、海外生産能力を拡充し、高機能フィルム製品の開発力と生産力を高めて、事業の基盤強化と拡大を目指します。
東レ×Alva Sweden AB
東レは、2019年8月、スウェーデンのAlva Sweden ABの株式を全て取得し、その子会社2社とともに買収しました。
東レは繊維・機能化成品・炭素繊維複合材料・環境エンジニアリング事業などを展開する企業です。
一方、対象企業であるAlva Sweden ABは、エアバッグ縫製メーカーであり、 子会社のAlva Confecções S.A.(ポルトガル)とAlva Tunisia SA(チュニジア共和国)も買収しました。
東レは、今回のM&Aにより、エアバッグ事業の継続的な成長を図るため、一貫型事業の高度化を加速させ、市場での存在感、高性能エアバッグの実現を目指します。
帝人×Benet Automotive
帝人は2019年7月、チェコのBenet Automotiveの株式を全て取得し、完全子会社化しました。
帝人は、欧州や北米、アジアの地域で、Tier1サプライヤーとして、自動車向け複合成形材料事業、マテリアル事業、複合成形材料の製品事業、繊維製品事業などを展開しており、自動車向け複合材料部品メーカーを買収するなど、複合成形材料事業の拡大を進めています。
一方のベネット・オートモーティブ社は、自動車メーカーに部品を提供するTier1メーカーで、自動車部品の塗装や組み立ての設備も持っている企業です。
今回のM&Aにより、帝人は欧州での提案力強化・販売チャネルのさらなる拡大を目指します。
共同印刷×クレハ
共同印刷は2019年11月、クレハから会社分割(簡易吸収分割)により、ブローボトル事業を買収しました。
共同印刷は、情報コミュニケーション・セキュリティ、生活・産業資材事業を手掛けている会社で、なかでも生活・産業資材部門の拡大に重点を置いていました。
譲渡側クレハのブローボトル事業は、食品用の中容量・大容量であるプラスチック容器の製造・販売を行っています。
今回のM&Aにより、共同印刷は、ブローボトルの外装やシュリンクラベル、キャップなどの製造など新たな付加価値を生み出し、企業価値の向上を目指します。
キムラタン×中西
2019年3月、キムラタンは中西の全株式を取得して、完全子会社化しました。
キムラタンは、ベビー服および子ども服の生産・製造までを手掛けてるアパレルメーカーです。対象会社の中西は、ベビー・子ども向けのソックス・シューズなどを製造しています。
今回のM&Aにより、キムラタンは製品面での相互補完や販路拡大により、自社事業とのシナジー効果を目指します。
繊維・衣服・装飾品製造業界のM&A動向
繊維・衣服・装飾品製造業界のM&A動向には、どのような特徴がみられるのでしょうか。ここでは、繊維・衣服・装飾品製造業界のM&Aにおける動向の特徴をみていきましょう。
- 大手企業による海外市場へのM&Aが増加傾向
- 通販サイトなど販路拡大を目指したM&Aが増加
- ブランド力の強化を目的としたM&Aが見られる
- 事業規模の拡大を目的としたM&Aの増加
- 独自性のある企業へのM&Aが見られる
①大手企業による海外市場へのM&Aが増加傾向
繊維・衣服・装飾品製造業界では、大手企業による海外市場へのM&A(クロスボーダーM&A)が増加している傾向があります。
海外市場へのM&Aには独自のブランドやノウハウの取得が目的となっているものもあれば、海外でも店舗展開や生産ラインの獲得などといった目的で行われるケースもあります。
いずれにせよ、一定以上の規模を持つ繊維・衣服・装飾品製造会社にとって海外展開はスケールメリットを享受し、新たなブランドやノウハウの獲得を実現するうえで有効な選択肢といえるでしょう。
そして、その海外展開を円滑に進めるうえでクロスボーダーM&Aは効率的な手段になり得ます。
②通販サイトなど販路拡大を目指したM&Aが増加
繊維・衣服・装飾品製造業界では、通販サイトなどの取得で、販路拡大を目指すM&Aが増えているのが特徴です。
繊維・衣服・装飾品製造業界のうち、小売も行っている会社は店舗を構えることがセオリーでしたが、昨今は通販による販売を行う会社が増加しています。
近年は、ネット通販のような形で衣服や装飾品を購入するのが一般的になっており、会社側もいかに対応していくかが課題といえるでしょう。
しかし、通販を行っていくためのノウハウやシステムはゼロから構築するのは決して簡単ではありませんが、すでに通販を行っているEC事業などを買収すれば、ノウハウやシステムをそのまま引き継ぐことができます。
③ブランド力の強化を目的としたM&Aが見られる
繊維・衣服・装飾品製造業界では、ブランド力の強化を目的としたM&Aもみられます。
とりわけ衣服・装飾品製造ではブランドの影響力は大きく、特定のブランド名を掲げているだけで顧客がつくことも珍しくありません。そのため、特定のブランドを持つ会社の買収により、ブランド力を強化する会社も多いです。
もし特定のブランド取得ができれば、製品のラインアップを拡充でき、小売も行っているのであれば他の会社との商品の差別化も可能となります。
④事業規模の拡大を目的としたM&Aの増加
繊維・衣服・装飾品製造業界では、事業規模の拡大のためにM&Aを実施し、スケールメリットを獲得しようとするケースも増加しています。
繊維・衣服・装飾品製造業界は設備の拡大や従業員の獲得などによるスケールメリットを享受しやすく、店舗数を増やしたい場合でもM&Aは大いに活用できます。
ただ、通販事業に力を入れている場合は、単純な事業規模の拡大をあまり行わないようです。
⑤独自性のある企業へのM&Aが見られる
繊維・衣服・装飾品製造業界では、独自性のある企業がM&Aで買収されやすい傾向があります。
前述のブランド力強化に近いですが、独自のノウハウや商品企画力は、繊維・衣服・装飾品製造業にとって大きな強みとなります。
繊維・衣服・装飾品製造業界は流行や顧客のニーズなどを的確に読み取りつつ、他社と差別化によってさらなる成長の鍵となるため、独自性のある会社の取り込みはそれだけで大きなメリットを得られるでしょう。
繊維・衣服・装飾品製造業界のM&Aを行うメリット
繊維・衣服・装飾品製造業界のM&Aを行うメリットには、以下のようなものがあります。
- 後継者問題の解決
- 従業員の雇用先を確保
- 単独では難しい海外進出ができる
- 大手企業の傘下になり安定した経営
- 売却益の獲得
①後継者問題の解決
中小規模の繊維・衣服・装飾品製造会社の場合、M&Aは後継者問題の解決の糸口になります。
業界を問わず、昨今は後継者問題を抱える中小企業が6割を超えているといわれており、後継者に会社を引き継がせるといった一般的な事業承継ができない会社が増えています。
M&Aは第三者の会社に経営権を引き継がせるため、後継者が不在でも事業承継が可能です。そのため、後継者問題を抱える経営者にとって、有益な選択肢になるといえるでしょう。
②従業員の雇用先を確保
会社が何らかの理由で存続が危ぶまれている際、課題となるのが従業員の雇用先です。この課題に対しても、M&Aは有効的な手段となるでしょう。
M&Aで経営が安定している会社と経営統合ができれば、たとえ会社の経営が立ち行かなくなったとしても従業員の雇用先を確保できるようになります。もし大手の会社が買い手となれば、労働条件の改善も実現できる可能性もあるでしょう。
③単独では難しい海外進出ができる
さきほども触れた海外進出ですが、繊維・衣服・装飾品製造会社にとって大きなメリットはあるものの、単独で行うのは難しいものです。
海外進出の場合、言語はもちろん、法規制や文化などの異なる地域に進出するため、拠点や販路、従業員の確保など難易度が高くなります。現地の事情に精通していなければ、予期せぬトラブルに巻き込まれやすくなるでしょう。
しかし、M&Aで現地の会社を買収できれば、海外進出のハードルは下がります。現地の会社を買収すれば拠点や販路などをそのまま引き継げ、現地の事情に精通している人材を獲得するのも可能です。
④大手企業の傘下になり安定した経営
M&Aによって大手の会社の傘下になれば、経営の安定化を実現できるようになります。
中小規模・零細規模の繊維・衣服・装飾品製造会社の場合、経営が不安定であることは珍しくありません。というのは、規模の都合上、金融機関の融資を受けづらく、成長にも限界を迎えやすくなるからです。
創業したてのベンチャー企業などの場合、赤字経営を続けなければならなくなることもあるでしょう。しかし、M&Aで大手の会社の傘下に入れば、資金や設備面でバックアップを受けられるため、経営の安定化が実現可能になります。
⑤売却益の獲得
M&Aを行ううえで、売り手の会社の経営者が得られる大きなメリットは売却益の獲得です。
M&Aは会社や事業を売買するため、売り手は一定以上の売却益を得られます。売却益は生活資金に回すのはもちろん、新しい事業の立ち上げなどにも利用できるため、経営者にとっては非常に役立つものです。
経営者によっては引退後の生活資金のためにM&Aを行うケースもあり、徐々に一般化しています。
繊維・衣服・装飾品製造業界のM&A・売却相場
繊維・衣服・装飾品製造業界のM&A・売却は、相場価格を算出するのは難しいですが、おおむね数百万円~数十億円の間で取引されていると考えていいかもしれません。
会社の規模、資産、負債、営業権、事業エリアなどによって、M&Aの取引価額大きく変動しますが、数千万円~1億円以下、数億円~数十億円の価格帯で取引されているケースが多いです。
売却価格の目安を知りたい場合は、専門家へ相談して企業価値評価の算定を受けるとよいでしょう。
企業価値評価を算出する方法
企業価値評価の算定は主に「時価純資産法」「DCF法」「類似企業比較法」の3種類の手法があり、そのなかから自社に合った企業価値評価の方法を選択して評価します。
1つ目の時価純資産法は、貸借対照表の純資産を基に企業価値を算出する方法です。時価純資産法は簡易に計算できる点がメリットですが、一般的に他の算出方法と併用して用います。
2つ目のDCF法は、収益還元法の一つであり、会社が将来的に生み出すキャッシュ・フローを基準として時間経過による増減分で割り引き、企業価値を算出する方法です。
この方法は、事業計画によって企業価値に違いが生じてしまうため、事業計画の高い精度と信頼性が求められます。
3つ目の類似企業比較法は、事業規模・業種など類似する上場企業を選び出し、指標を用いて自社の企業価値を算出する方法です。
類似企業比較法は、簡単に計算できる特徴があるため、非上場企業が企業価値を算出する際に利用されるケースが多いですが、類似する会社がない場合や起業して間もない会社などは、この手法による算出は難しいでしょう。
繊維・衣服・装飾品製造業界のM&A・売却の流れ
繊維・衣服・装飾品製造業界のM&A・売却の流れは、以下のようになっています。
- M&Aの専門家に相談
- M&A先の選定・交渉
- 基本合意書の締結
- 買収側のデューデリジェンス
- 最終合意書の締結
- クロージング
①M&Aの専門家に相談
M&Aを行う際は、まず専門家へ相談しましょう。
前述しましたが、M&Aはさまざまなスキームがあり、いずれも専門的な知識が必要になります。とりわけ後述するデューデリジェンスは財務、税務などの知識がある専門家でないと行えません。
ただ、一概にM&Aの専門家といってもさまざまな種類があります。
秘密保持契約の締結
秘密保持契約とは会社の重要機密の取り扱いに関してまとめた契約であり、第三者に開示しないなど情報の秘匿が主な内容となります。
M&Aでは、最終合意に至るまで、買い手にとって秘匿性の高い情報を開示するため、情報漏洩などのリスクが伴います。そのため、秘密保持契約は、サポートを依頼したM&A仲介会社や買い手・売り手となる会社が締結します。
②M&A先の選定・交渉
M&A先、つまり買い手・売り手との選定・交渉を進める際、専門家のサポートを得ている場合、専門家と一緒に進めていくことになります。
買い手・売り手を選ぶ際は、相手方の事業の特徴や方針、財務状況などを把握します。この際、トップ面談を通じて相手との相性もチェックしましょう。
交渉の際は、相手にM&Aを行う意義をしっかり提示できるようにしましょう。ここで失敗すると、M&Aの実行すら難しくなります。
意向表明書の提示
意向表明書とは、買い手が売り手に提示するM&Aに関する基本的な諸条件をまとめた書類をいいます。
ただ、意向表明書のほとんどの内容には法的拘束力はなく、意向表明書自体も場合によってはオミットされます。
③基本合意書の締結
M&Aを行うことに合意を得て以降の交渉のベースとなる契約が、基本合意書です。基本合意書の内容は前述した意向表明書と同じようなものです。
こちらでも独占交渉権などを除いては法的拘束力を持っていないことが多いため、交渉次第では内容が変わることがあります。
④買収側のデューデリジェンス
デューデリジェンスは会社のリスクを精査するプロセスであり、基本的に買い手が売り手の会社に対して行います。
デューデリジェンスは譲渡価格やM&Aの結果を左右する重要なプロセスであり、ここで看過できないリスクが発見されるとM&Aが頓挫してしまうこともあるでしょう。
⑤最終合意書の締結
交渉がまとまったら、最終合意書(最終契約書とも呼ばれます)を締結します。この名前はあくまで便宜的なものであり、実際はM&Aのスキームに合わせた名前です。
最終合意書では、交渉を通じて決定された最終的な条件や譲渡価格などが記載されています。最終合意書は法的拘束力があるため、もし違反すれば損害賠償が発生してしまうでしょう。
⑥クロージング
最終合意書を締結した後、経営統合を実践するクロージングを行っていきます。
クロージングでは、対価の支払や役員の選任などが行われるのです。このクロージングを終えたらM&Aは完了しますが、その後も業務のすり合わせなどやるべき課題は多くあります。
繊維・衣服・装飾品製造業界のM&Aを行う際におすすめの相談先
繊維・衣服・装飾品製造業界でM&Aを行うのであれば、以下のような相談先がおすすめです。
- M&A仲介会社
- 地元の金融機関
- 地元の公的機関
- 地元の弁護士・税理士・会計士など
- マッチングサイト
①M&A仲介会社
M&A仲介会社はM&Aを行ううえで、まず選択肢に入る相談先といえます。M&A仲介会社も多種多様なので、自社に合うところを選びましょう。
②地元の金融機関
地元でM&Aを考えているなら、銀行や信用金庫などといった地元の金融機関に相談してみましょう。
金融機関はさまざまな会社とのネットワークを持っているだけでなく、経営に携わってきた経験を活かして支援してくれるため、M&Aで役立ちます。
ただ、最近はM&A仲介会社と提携している金融機関も多く、マッチングサイトと連動してマッチングをしてくることもあります。そのため、M&A仲介会社を経由してサポートを受けられる場合もあるでしょう。
③地元の公的機関
事業承継M&Aを考えているなら、地元の公的機関も良い相談先になるでしょう。
商工会議所、事業引継ぎ支援センターといった公的機関は中小企業を中心に事業承継や事業承継M&Aのサポートを行っています。公的機関を介してM&A仲介会社の紹介を受けることもできます。そのため、信頼できるM&A仲介会社を探したい時に利用するのもおすすめです。
④地元の弁護士・税理士・会計士など
士業、つまり弁護士や税理士、会計士などといった専門家もM&Aで役立つでしょう。
最近はM&Aに特化している士業も多く、専門的な知識を活用してサポートしてくれます。昨今は士業がM&A仲介会社を運営していたり、業者の垣根を越えて連携していたりするケースもあり、手厚いサービスを受けられるでしょう。
⑤マッチングサイト
M&A仲介会社が管理しているマッチングサイトは、手軽にM&Aをすませたい方にとっておすすめです。
マッチングサイトはM&A案件の情報が豊富に集まっており、うまく活用すればスムーズにマッチングを完了できます。売り手であれば、無料で利用できるマッチングサイトも多いのも特徴です。
繊維・衣服・装飾品製造業界のM&Aの注意点
繊維・衣服・装飾品製造業界のM&Aの注意点としては、以下のようなものが挙げられます。
- M&Aを計画的に準備して行う
- 自社の強み・他店との差別化などをリストアップする
- 従業員の離職を防ぐ
- 赤字経営ではなく簿外債務もない
- M&Aの専門家に相談する
①M&Aを計画的に準備して行う
M&Aをスムーズに進めるうえで欠かせないのが計画性です。
M&Aを行うのであれば、スケジュールの組み方やスキームの選択など、多角的な視点で計画的な準備を進めておくようにしましょう。M&Aは長いと1年以上かかることもあるため、計画に不備があると頓挫したり、無駄に長引いたりする恐れがあります。
②自社の強み・他店との差別化などをリストアップする
さきほどもお伝えしましたが、繊維・衣服・装飾品製造業はブランドやノウハウなど、独自性が評価される傾向が高くなっています。
そのため、自社の強みや他社との差別化ができる要素を明確にしておけば、M&Aで買い手を説得しやすくなります。
③従業員の離職を防ぐ
M&Aで避けるべきリスクの一つに、従業員の離職が挙げられます。M&Aは組織体制を大きく変える経営手法であるため、一部の従業員が反発する可能性は十分に考えられるでしょう。
従業員が大量離職するようなことになればM&Aが破綻する事態もあり得るため、説得材料を用意するなどして未然に防ぐ準備はしましょう。
④赤字経営ではなく簿外債務もない
M&Aにおける売り手は赤字経営や簿外債務にも注意しましょう。
いずれも買い手にとっては懸念すべきリスクになり、M&Aの交渉で不利になる原因になります。
ただ、赤字経営に関しては、経営不振だからといってM&Aが必ず失敗するとは限りません。独自性などで評価を得られれば、リスクを承知したうえで買い手が買収してくれることもあります。
⑤M&Aの専門家に相談する
繰り返しになりますが、M&Aを行うのであればM&Aの専門家に相談するようにしましょう。
この際、専門家の選び方は報酬だけでなく、評価や実績なども加味したうえで検討が必要です。その方が悪質な業者に引っかからない可能性が高くなります。
繊維・衣服・装飾品製造業界のM&Aに関する相談先
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繊維・衣服・装飾品製造業界のM&Aまとめ
繊維・衣服・装飾品製造業界にとってM&Aは海外進出や事業規模の拡大などを実現する重要な手法です。実行するのであれば、入念な準備を進めておくようにしましょう。
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