M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2022年9月27日更新業種別M&A
美容エステサロンの事業譲渡/売却と株式譲渡はどちらが節税できる?
本記事では、美容エステサロンが事業譲渡・事業売却や株式譲渡・会社譲渡によってM&Aを行う際のメリット・デメリットをご紹介します。また、美容エステサロンの事業譲渡・事業売却や株式譲渡・会社譲渡を成功させるためのポイントなどについても解説します。
目次
美容エステサロンの事業譲渡/売却と株式譲渡/会社譲渡
美容エステサロンのM&Aを行う際は、事業譲渡・事業売却か株式譲渡・会社譲渡を手法として採用するケースがほとんどです。事業譲渡・事業売却と株式譲渡・会社譲渡はそれぞれ特徴が大きく異なります。
本記事では、美容エステサロンがM&Aを行う際によく用いられる事業譲渡・事業売却と株式譲渡・会社譲渡の違いについて解説していきますが、まずは美容エステサロンの定義や事業譲渡・事業売却と株式譲渡・会社譲渡の意味について解説します。
美容エステサロンとは
美容エステサロンとは、手技や化粧品、美容機器などを使って、スキンケア・プロポーションメイキング・リラクセーションといった、エステティックサービスを提供する施設のことです。
スキンケアには、肌のケアや爪のケア、脱毛が含まれます。また、プロポーションメイキングとは、主に健康的でバランスの良い痩身を目指す施術のことです。そしてリラクセーションとは、主に手技によって心身のリラックスを目指す施術です。
多くの美容エステサロンは独立した店舗で運営されていますが、近年はホテルや結婚式場内に設置されるケースも増えています。
事業譲渡/事業売却とは
事業譲渡・事業売却とは、会社の事業や資産の一部または全部を個別に譲渡・売却する手法です。
事業譲渡・事業売却は、M&A手法として株式譲渡・会社譲渡とともに多く採用されています。事業譲渡・事業売却は、会社自体の経営権を株主から取得する株式譲渡・会社譲渡とは異なり、一部の事業や資産を切り離して取得します。
事業譲渡・事業売却の場合、売り手は事業や資産を残して会社を続けることができ、買い手は負債や不要な事業などを取得しなくても良い点がメリットです。ただし、手続きにかかる負担や税負担が大きくなりやすいデメリットもあります。
株式譲渡/会社譲渡とは
株式譲渡・会社譲渡とは、売り手企業の株主が買い手側に株式を譲渡・売却し、買い手側は対価として現金を支払うことで経営権を取得するM&A手法です。
売り手側の株主は売却益を得ることができ、買い手側は自社の株主構成や買収先企業の組織体制を変えることなく事業を継続することができます。
株式譲渡・会社譲渡は手続きが比較的簡潔に済ませることができ、税負担も抑えやすいことから、事業譲渡・事業売却と並んで多く採用されているM&A手法です。ただし、買い手側は簿外債務など想定外のリスクを背負う可能性があります。
美容エステサロンの事業譲渡/売却と株式譲渡の特徴
美容エステサロンをM&Aによって譲渡・売却する際、多く採用されている手法が事業譲渡・事業売却と株式譲渡・会社譲渡です。
事業譲渡・事業売却と株式譲渡・会社譲渡では特徴が大きく違うので、M&Aの目的に合わせてどちらを採用するか選ばなければなりません。
この章では、事業譲渡・事業売却と株式譲渡・会社譲渡のメリット・デメリットについて解説します。
美容エステサロンの事業譲渡/売却のメリット・デメリット
美容エステサロンの事業譲渡・事業売却を行う場合、以下のメリット・デメリットがあります。
メリット
事業譲渡・事業売却の大きな特徴は、会社内の事業部門や会社資産を部分的に譲渡・売却できる点です。
美容エステサロン以外の事業も展開している会社の場合、美容エステサロン事業だけを譲渡・売却したり、逆に美容エステサロン以外の事業を売却するといった戦略をとることができます。
また、買収する側は、不要な事業や資産を取得する必要がありません。美容エステサロン以外の事業も行なっている会社を買収する場合、美容エステサロン事業だけを買収することができ、負債は取得しないといった選択が可能です。
デメリット
事業譲渡・事業売却のデメリットとして、買収側は許認可をあらためて取得する必要があり、各種契約も新たに結び直さなければならない点があります。
そのため、買収側が許認可の必要な事業を買収した際に、その事業に必要な許認可を持っていない場合、事業再開までに許認可を取得しておかないと事業が始められないといった問題が生じることがあります。
一般的な美容エステサロンの場合は許認可の取得は必要ありませんが、美容師でなければ行えない施術や医療行為にあたる施術を行う場合は注意が必要です。
また、買収先美容エステサロンの従業員や取引先などとの契約もあらためて結び直さなければならないので、従業員や取引先が多いほど手続きの負担も大きくなります。
美容エステサロンの株式譲渡/会社譲渡のメリット・デメリット
美容エステサロンの株式譲渡・会社譲渡を行う場合、以下のメリット・デメリットがあります。
メリット
株式譲渡・会社譲渡の大きなメリットとして、M&Aの際事業に支障が出にくい点が挙げられます。
株式譲渡・会社譲渡は、売り手側の株主から買い手側へ株式を譲渡・売却することで経営権を移行する手法です。そのため、美容エステサロンの開業届や各種許認可を申請する必要がありません。
また、買収先美容エステサロンの従業員や取引先などとの契約も継続できるので、手続き負担が少なく済みます。
デメリット
株式譲渡・会社譲渡のデメリットとして、買収側は不要な事業や会社資産も取得しなければならない点が挙げられます。
買収先企業の内情を調査するデューデリジェンスによってリスクの洗い出しを行うことはできますが、負債だけを切り離して買収することはできません。
また、株式譲渡・会社譲渡の手続きは事業譲渡・事業売却に比べて簡便ではありますが、買収先企業の株主が複数に分散している場合は手続きに手間取ることもあります。
中小企業同士の株式譲渡・会社譲渡の場合、買収側は株式を100%取得して完全子会社化を目指すことが多いですが、反対株主や所在不明株主がいる場合は別途手続きが必要です。
美容エステサロンの事業譲渡/売却と株式譲渡の手法の違いまとめ
前述の事業譲渡・事業売却と株式譲渡・会社譲渡の特徴を踏まえて、美容エステサロンで事業譲渡・事業売却と株式譲渡・会社譲渡を行う場合の違いを以下にまとめます。
事業譲渡・事業売却 | 株式譲渡・会社譲渡 | |
特徴 | 事業部門や会社資産を別個に売買できる | 株式の売買によって経営権を移行できる |
メリット | 必要な事業や資産だけを売買できる | 手続きの負担が少ない 税負担を抑えやすい |
デメリット | 手続きが煩雑になりやすい 税負担が大きくなりやすい |
不要な事業や会社資産・負債も引き継ぐ必要がある 株式が分散している場合集める負担が大きくなりやすい |
有利なケース | 小規模の会社・事業を売買する場合 | 規模の大きい会社を売買する場合 株主数が少ない場合 |
不利なケース | 従業員・取引先・売買資産が多い場合 取得に時間がかかる・取得が難しい許認可が多い場合 |
負債などのリスクが多い場合 不要な事業・資産が多い場合 |
美容エステサロンの事業譲渡/売却と株式譲渡ではどちらが節税できるか?
美容エステサロンのM&Aを行う場合、一般的には株式譲渡・会社譲渡の方が節税効果は高くなります。
ただし、美容エステサロン業界では個人事業主として経営しているケースも多いですが、その場合は株式譲渡・会社譲渡を用いることができません。
また、株式譲渡・会社譲渡の方が節税効果は高いとはいえ、不要な資産や負債を多く抱えたのでは意味がありません。
美容エステサロンのM&Aを行う際は、事業譲渡・事業売却と株式譲渡・会社譲渡のメリット・デメリットをよく把握し、最終的にどちらの手法が目的をより効果的に達成できるか、総合的に判断する必要があります。
そのためには、M&Aの専門家に相談しながら戦略的にM&Aを進めていくことが重要です。
美容エステサロン業界の動向
美容エステサロン業界は近年以下のように推移しています。
- 高級エステからメンズエステまでニーズに合わせたサービスが展開
- 業界全体でコンプライアンスの徹底が行われている
- 中小規模の店舗が多く業界再編の動きが見られる
1.高級エステからメンズエステまでニーズに合わせたサービスが展開
美容エステサロンの業態は近年多様化が進んでおり、価格帯では、高級エステサロンと低価格エステサロンの2極化が進んでいます。
また、ターゲットとなる顧客層が広がり、若い年齢層の女性や男性をターゲットにした美容エステサロンが増えています。
さらに近年は、セルフエステサロンのような人材不足問題を解消する新業態も広がりはじめています。
2.業界全体でコンプライアンスの徹底が行われている
美容エステサロン業界では一時期トラブルが増加したこともあり、業界全体でコンプライアンスの徹底が進んでいます。
美容機器の進化により施術の安全性は増していますが、人材不足による優秀なエステティシャンの減少が課題となっています。
3.中小規模の店舗が多く業界再編の動きが見られる
以前まで美容エステサロンは大型店舗が多く見られましたが、近年は収益性を改善するため、大型店舗ではなく中小規模の店舗が増えています。
大手エステサロンは続々と大型店舗の閉鎖と中小規模店舗の開店を進めており、業界再編の動きが見られます。
美容エステサロンが事業譲渡/売却や株式譲渡を決断する理由
美容エステサロンが廃業や倒産ではなく、事業譲渡・事業売却や株式譲渡・会社譲渡を選ぶ理由として以下の理由が挙げられます。
- 後継者がいないため
- 従業員や顧客の事を考えたため
- 廃業や倒産はコストが高くなるため
1.後継者がいないため
競争が激しく業界トレンドの変化も激しい美容エステサロン業界では、経営者の子どもや従業員に事業を継がせることを躊躇する経営者も少なくありません。
しかし、M&Aによる第三者事業承継によって信頼できる後継者を見つけることができれば、美容エステサロンの存続が可能です。
2.従業員や顧客の事を考えたため
美容エステサロンの廃業を検討してはいるものの、従業員のことを考えるとなかなか廃業に踏み切れないという経営者は少なくありません。
そこで、事業譲渡・事業売却や株式譲渡・会社譲渡によって従業員や顧客も引き継いでもらうことで、従業員を守ることができます。
3.廃業や倒産はコストが高くなるため
廃業や倒産をするにも、美容エステサロンの清算費用や廃業・倒産後の生活費を考えると、簡単に廃業・倒産ができない面もあります。
しかし、事業譲渡・事業売却、株式譲渡・会社譲渡によって美容エステサロンを売却することで、清算費用が必要なくなるだけでなく、譲渡益・売却益を得ることができます。
美容エステサロンが事業譲渡/売却や株式譲渡を成功させるには
美容エステサロンが事業譲渡・事業売却や株式譲渡・会社譲渡を成功させるには、以下のポイントを押さえる必要があります。
- 計画的に準備をする
- 目的や希望条件を明確にする
- 事業承継先をしっかりと選ぶ
- 自店舗の強みをまとめて資料とする
- 事業譲渡・売却の専門家に相談する
1.計画的に準備をする
美容エステサロンの譲渡・売却を検討している経営者の中には、とにかく早く譲渡・売却を済ませてしまいたいと考え、不利な条件で交渉に臨むケースがあります。
しかし、計画的に準備をすることで、想定以上の好条件で美容エステサロンの譲渡・売却ができるケースも少なくありません。
M&Aの専門家にアドバイスをもらいながら、計画的・戦略的な準備を進めることが重要です。
2.目的や希望条件を明確にする
目的や希望条件が曖昧なままM&Aに臨めば、相手に足元を見られたり、サポートするM&Aの専門家が方向性を定めにくくなったりします。
まずは、美容エステサロンの譲渡・売却を行う目的や希望条件を明確にし、サポートしてもらう専門家や相手先にはっきりと伝えることが良好な交渉につながります。
3.事業承継先をしっかりと選ぶ
美容エステサロンの譲渡・売却ができたとしても、譲渡・売却先で美容エステサロンの経営状態が悪化したり、従業員が辛い目に遭ったりしては意味がありません。
事業承継先の経営者の価値観や相性をよく見極めたり、契約条件をよく確認したりするなど、譲渡・売却を焦らずに相手先は丁寧に選ぶことが大切です。
4.自店舗の強みをまとめて資料とする
美容エステサロンの事業譲渡・事業売却や株式譲渡・会社譲渡では、店舗の立地や従業員の技術など、買い手が重視するポイントがいくつかあります。
美容エステサロンの譲渡・売却を進めていく際は、より良い相手により良い条件で交渉できるよう、強みを整理しておくことが大切です。
5.事業譲渡・売却の専門家に相談する
美容エステサロンの譲渡・売却は、ただ売却案件として登録すればよいというわけではありません。
上記のように、戦略的に美容エステサロンの譲渡・売却を進めていくためにも、美容エステサロンの譲渡・売却に精通したM&Aの専門家に相談することが有効です。
美容エステサロンの事業譲渡/売却や株式譲渡の際におすすめの相談先
美容エステサロンの事業譲渡・事業売却や株式譲渡・会社譲渡を成功させるには、豊富なM&A支援経験を持った専門家によるサポートを受けるのがおすすめです。もしも専門家選びでお悩みでしたら、M&A総合研究所にご相談ください。
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相談も無料で随時受け付けておりますので、美容エステサロンの事業譲渡・事業売却や株式譲渡・会社譲渡をご検討の際はお気軽にご相談ください。
まとめ
本記事では、美容エステサロンがM&Aを行う際によく用いられる事業譲渡・事業売却と株式譲渡・会社譲渡の違いについて解説してきました。
【事業譲渡・事業売却と株式譲渡・会社譲渡の特徴】
事業譲渡・事業売却 | 株式譲渡・会社譲渡 | |
特徴 | 事業部門や会社資産を別個に売買できる | 株式の売買によって経営権を移行できる |
メリット | 必要な事業や資産だけを売買できる | 手続きの負担が少ない 税負担を抑えやすい |
デメリット | 手続きが煩雑になりやすい 税負担が大きくなりやすい |
不要な事業や会社資産・負債も引き継ぐ必要がある 株式が分散している場合集める負担が大きくなりやすい |
有利なケース | 小規模の会社・事業を売買する場合 | 規模の大きい会社を売買する場合 株主数が少ない場合 |
不利なケース | 従業員・取引先・売買資産が多い場合 取得に時間がかかる・取得が難しい許認可が多い場合 |
負債などのリスクが多い場合 不要な事業・資産が多い場合 |
【近年の美容エステサロン業界動向】
- 高級エステからメンズエステまでニーズに合わせたサービスが展開
- 業界全体でコンプライアンスの徹底が行われている
- 中小規模の店舗が多く業界再編の動きが見られる
【美容エステサロンが事業譲渡・事業売却や株式譲渡・会社譲渡を成功させるのポイント】
- 計画的に準備をする
- 目的や希望条件を明確にする
- 事業承継先をしっかりと選ぶ
- 自店舗の強みをまとめて資料とする
- 事業譲渡・売却の専門家に相談する
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