M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年1月10日更新業種別M&A
自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の動向!事例・案件例も紹介
自動車小売業を取り巻く環境や事例、動向、M&A・事業承継を成功させるポイント、相談先を解説します。自動車業界は大きな転換期を迎えており、小売業(ディーラー)にもM&Aによる業界再編の波が押し寄せています。M&Aを検討中の方は必見です。
目次
自動車小売業(ディーラー)を取り巻く環境
まずは、自動車小売業(ディーラー)を取り巻く環境をお伝えします。
自動車小売業(ディーラー)の市場規模
日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)の発表によると、2023年度の電気自動車(EV)の国内販売台数(軽自動車を含む)は7万9,198台で、前年度比2%増加しました。
自動車小売業(ディーラー)の市場動向
過去最高を記録したものの、前年度比で約3倍となった2022年度からは伸び率が大きく鈍化し、10月以降は2四半期連続で前年を下回っています。「アーリーアダプター」と呼ばれる初期購入者層の需要が一巡し、販売に影響が出始めているようです。なお、このデータにはトラックやバスなどの商用車は含まれていません。
2023年度、新車全体の販売台数は半導体不足の解消により5%増加しましたが、EVに限ると伸び率は2%増にとどまり、2021年度比で約2倍となった2022年度から大幅に減速しました。上半期は好調だったものの、下半期以降に減速が見られます。一方で、省エネ性能が高く手ごろな価格のハイブリッド車(HV)や軽乗用車の人気が根強い状況です。
世界市場では2023年、主要14カ国のHV販売台数が前年比30%増となり、EVの伸び(28%増)を上回りました。トヨタ自動車のHV販売も過去最高を更新し、豊富な品ぞろえや使い勝手の良さが評価されています。一方で、急成長を続けてきたEV市場は成長のペースが鈍化し、踊り場を迎えています。
自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の動向
近年の自動車小売業(ディーラー)業界のM&A・事業承継の動向には、以下のような特徴がみられます。
- 営業体制の再構築による業界再編
- 倒産・廃業の増加
- 同系列の統合
- 社員の雇用維持のためのM&A・事業承継
- 譲渡益獲得を目的とするM&A・事業承継
営業体制の再構築による業界再編
業界再編が進む自動車業界の影響により、自動車小売業(ディーラー)でも業界再編が進められています。正規自動車ディーラーの場合は、店舗の閉店や近隣地域の系列ディーラー間での店舗譲渡が行われ、独立系ディーラーの場合は自動車ブランドごとの売買が行なわれています。
例えば、2023年7月、オートバックスセブンは、連結子会社(孫会社)のアウトプラッツ(東京都豊島区)およびモトーレン栃木(栃木県宇都宮市)の全株式を譲渡しています。アウトプラッツは双日に、モトーレン栃木は茨日ホールディング(茨城県水戸市)にそれぞれ譲渡しました。
倒産・廃業の増加
国内自動車販売市場の縮小や利益率の低下により、自動車小売業(ディーラー)の倒産や廃業が増加しています。その一方で、売上を伸ばしているディーラーも少数ながら存在するなど、業種内での二極化が進んでいます。
親族や社内に適任者がいなかったり、後継者を育成する時間が不足している場合でも、M&Aや事業譲渡、第三者への売却を選ぶことで、事業を引き継ぐことが可能です。後継者問題に直面している場合は、親族や社内での解決に固執せず、第三者への事業承継を検討することをおすすめします。
M&A仲介会社を活用すれば、適切な引き継ぎ先を紹介してもらえるため、スムーズにM&Aや事業譲渡を進められます。このような方法を通じて、事業の継続を実現する道を広げることができます。
同系列の統合
各メーカーの正規自動車ディーラーでは、同系列メーカー内での統合が行なわれています。正規自動車ディーラーはメーカーの権限が強いため、統廃合はメーカーの営業戦略に大きく左右されます。
例えば、2022年12月、オカダアイヨンの米国子会社Okada America,Inc.(米国オレゴン州)は、Thoesen Tractor&Equipment Co.,Inc.(米国イリノイ州)、Chicago Machinery Co.(米国イリノイ州)およびThoesen Tractor of Indiana,Inc.(米国イリノイ州)の事業を譲受しています。
オカダアイヨンは、本件M&Aについて下記のような統合効果を期待しています。
- 北米における修理サービス体制の強化
- シカゴ地域を中心としたエンドユーザー向け商圏の獲得
- TT&E社グループとオカダアメリカの双方の強みの補強によるシナジー効果
社員の雇用維持のためのM&A・事業承継
社員の雇用維持のためのM&A・事業承継ケースも増えています。
廃業や倒産を選ぶと、従業員を解雇せざるを得なくなります。しかし、M&Aや事業譲渡、第三者への売却を行うことで、従業員の雇用を引き継いでもらうことが可能です。特に、資本力のある企業や大手企業に事業を譲渡できれば、従業員の待遇改善が期待できる場合もあります。
譲渡益獲得を目的とするM&A・事業承継
譲渡益獲得を目的とするM&A・事業承継も目立っている状況です。
会社全体を譲渡する「株式譲渡」の場合、譲渡益はオーナーの手元に入ります。一方で、事業の一部を譲渡する「事業譲渡」の場合、譲渡益は会社の収益となります。
自動車ディーラー業のM&Aや事業譲渡、売却、第三者への事業承継を選ぶことで、これらの譲渡益を得ることができます。この譲渡益は、老後の生活費、新規事業への投資、借入金の返済など、さまざまな用途に活用することが可能です。
自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の案件例
弊社M&A総合研究所が取り扱っている自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の案件例をご紹介します。
【首都圏/3期連続増収増益】自動車買取・販売業
輸入車を中心とした自動車の買取・販売業を営む企業をご紹介します。
車両を仕入れ、個人及び法人へ店舗販売を行っています。一般顧客及び法人向けに販売しており、一定数リピーターも獲得しています。
エリア | 2.5億円〜5億円 |
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望額 | 1000万円〜5000万円 |
譲渡理由 | 戦略の見直し |
【キャンピングカー・輸入車中心/日本独占販売契約】自動車販売・整備業
自動車(新車・中古車)の販売および整備する企業です。輸入車やキャンピングカーを中心に取り扱い、販売およびメンテナンス整備を行っています。欧州キャンピングカーの新車独占販売契約を保有(日本企業唯一)しています。
エリア | 近畿 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 希望なし |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【大手メーカー正規代理店運営】中部地方のバイクディーラー業
中部地方にて、自動二輪メーカー正規代理店を運営する企業です。新車・中古車、純正アクセサリーやオリジナルパーツ、オリジナルウェア等を取り揃えています。バイクに精通した整備士が在籍しており、丁寧な顧客対応による高い満足度を誇ります。
エリア | 関東・甲信越 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1000万円〜5000万円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【東日本エリア・業歴30年以上】自動車解体・中古バス買取販売業
スクラップも外注先に卸しており、解体業、スクラップ業の企業との提携も歓迎しています。ピーク時の売上は3億円弱を計上しています。
エリア | 関東・甲信越 |
売上高 | 〜1000万円 |
譲渡希望額 | 希望なし |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継事例
ここからは、自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継事例を紹介します
オプティマスグループによるFerntree Gully Auto Salesの買収
2024年11月28日、オプティマスグループは、オーストラリア子会社Autopact Pty Ltdが、CD Motor Group(ヴィクトリア州メルボルン)の全株式を取得する契約を締結したと発表しました。Autopactはオーストラリア東部3州で多数の自動車メーカーを扱う大手ディーラーで、CD Motor Groupも人気車種を取り扱うメルボルンのディーラーグループです。
オプティマスグループは、「オーストラリアモデルの構築」を重点戦略とし、同国で事業拡大を進めています。本件M&Aを通じ、メルボルン地域でのディーラーネットワークを拡充し、同地域における競争優位性の確立を目指しています。
オートバックスセブンによる東葛ホールディングスの買収
2024年、株式会社オートバックスセブンの完全子会社である株式会社オートバックス・ディーラーグループ・ホールディングスは、東葛ホールディングスの普通株式を公開買付け(TOB)により取得しました。
オートバックスセブンは、自動車用品販売で知られる大手企業であり、近年はディーラー事業の強化を重要な事業戦略としています。買収対象となった東葛ホールディングスは、千葉県東葛地域を中心に新車販売9店舗と中古車販売3店舗の計12店舗を展開するHonda正規ディーラーです。
今回のM&Aにより、オートバックスグループは販売拠点を拡充し、販売台数や管理顧客の増加を図るとともに、グループ間での人材交流による強化や上場維持コスト削減などを目指しています。両社の強みを活かし、事業価値の向上が期待されています。
ウイルプラス帝欧オートがネクステージのディーラー事業の一部譲受
2024年、ウイルプラス帝欧オート株式会社(以下「ウイルプラス帝欧オート」)は、ネクステージ株式会社が展開していた一部のボルボ正規ディーラー事業を譲受しました。ウイルプラス帝欧オートは輸入車の販売およびアフターサービスを行う企業で、ボルボやジープ、フィアットなど複数ブランドを取り扱っています。
譲受対象となったネクステージの事業は、ボルボ車両の販売や修理・メンテナンスを含むディーラー事業です。このM&Aにより、ウイルプラス帝欧オートは国内のボルボ販売ネットワークを強化し、輸入車市場における競争力向上を図るとともに、サービス品質のさらなる向上を目指します。
今回の事例は、自動車小売業界における事業承継・拡大戦略の一環として注目される動きであり、特に輸入車販売分野におけるシナジー効果が期待されています。
双日によるアウトプラッツの買収
自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の事例は、双日によるアウトプラッツの買収です。
2023年9月、双日はアウトプラッツの全ての株式を取得しました。双日は、エネルギーや金属・食料資源など、幅広くビジネスを展開している大手の総合商社です。対象会社のアウトプラッツは、BMW・MINIの正規ディーラーで販売や車輛の修理・メンテナンスを行う企業です。
今回のM&Aにより双日は、両社の蓄積した知見の活用し、販売とサービス拡充による事業価値の向上を目指します。
VTホールディングスによるフジモトーレンの買収
2023年5月25日、VTホールディングスは、フジモトーレン(静岡県浜松市)の全株式を取得し、子会社化を決定しました。
VTホールディングスは自動車ディーラーグループを統括する持株会社で、フジモトーレンは静岡県浜松エリアでBMWの正規ディーラーを運営しています。
このM&Aにより、VTホールディングスは浜松エリアでBMW車のシェア拡大を目指し、グループの運営ノウハウを導入することで、連結業績の向上を図る計画です。
双日によるモトーレントーマツの買収
2023年1月5日、双日は、BMW・MINIの正規ディーラーであるモトーレントーマツ(東京都中央区)の全株式を取得し、社名を「双日オートグループ東京株式会社」に変更しました。
双日は1987年からプレミアムブランド車のディーラー事業を展開し、大阪、米国、ブラジルでの運営実績があります。
今回のM&Aを通じて、双日グループはディーラー事業の知見を活かし、IoTやAIなどの先進技術を活用した新しい情報提供の仕組みを構築するとともに、店舗網の拡張を進め、サービスのさらなる充実を目指します。
Swift Holdings Investments Pty Ltd.によるGulliver Australia Pty Ltdの買収
2022年4月に、Swift Holdings Investments Pty Ltd.はGulliver Australia Pty Ltdの全ての株式を取得し、これによりGulliver Australiaを自社の子会社にしました。
Swift Holdings Investments Pty Ltd.は、投資事業を手がける企業です。Gulliver Australia Pty Ltdは、オーストラリアのヴィクトリア州で新車および中古車の販売を行っているIDOMの連結子会社でした。
このM&Aの背景には、譲渡する側が資本効率の向上や成長可能性のある核となる事業に注力するため、またオーストラリアでの新車ディーラー事業から撤退するための戦略があります。
オートバックスセブンによるTAインポートの買収
2021年3月、オートバックスセブンは、子会社「オートバックス・ディーラーグループ・ホールディングス」を通じて、TAインポートの株式すべてを取得し、完全子会社化すると発表しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。
買収側は、東京都江東区を拠点に、カー用品店最大手のチェーン運営およびフランチャイズ展開を行っている企業です。
売却側のTAインポートは、栃木県や千葉県北部においてAudi正規ディーラーを3拠点運営しています。
オートバックスセブンは、新たな自動車メーカーとのネットワークの構築および、より多くの顧客と接する機会の獲得、さらなる収益拡大を図ることを目的として本M&Aを実施しました。
グッドスピードによるチャンピオンの買収
2021年2月、グッドスピードは、チャンピオンの株式すべてを取得し、子会社化すると発表しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。
買収側は、愛知県名古屋市に本社を置く中古車販売店です。対する売却側は、ハーレーダビッドソンおよびベスパの正規ディーラーです。
本件M&Aにより、買収側では、BMW Motorradに加えてハーレーダビッドソンの正規ディーラーを運営することで、バイク事業と四輪事業においてシナジー効果を獲得でき、企業価値の向上を図るとしています。
VTホールディングスによる富士モーター商会と大兵自動車の買収
2021年2月、VTホールディングスは、連結子会社「ホンダカーズ東海」を通じて、富士モーターズ紹介と大兵自動車から、それぞれ愛知県津島市のホンダ販売店を譲受すると発表しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。
買収側は、愛知県名古屋市に本社を置く、自動車ディーラーの持株会社です。対する売却側は、ともに愛知県津島市を拠点に、自動車販売関連事業を手掛けています。
本件M&Aにより、買収側では、愛知県・岐阜県エリアのシェア拡大および事業拡大を図っています。
自動車小売業(ディーラー)をM&A・事業承継のメリット
本章では、自動車小売業(ディーラー)を対象とするM&A・事業承継で期待される基本的なメリットをまとめました。
売却側のメリット
まず、売り手側に期待されるメリットは、以下のとおりです。
- 事業を継続できる
- 従業員の雇用を維持できる
- 大企業の傘下により、安定的・効率的な事業経営が実現する
- 創業者利益を獲得できる
- 借入金の個人保証や差入担保を解消できる
売り手側にとって最も大きなメリットだと考えられているのは、事業承継の実現です。たとえ後継者を確保できていない企業であっても、M&Aによる事業承継では、自社の後継者に相応しい人材を第三者から広く探せます。
買収側のメリット
その一方で、買い手側では以下のようなメリットの獲得が期待されます。
- 新たなネットワーク・販路を獲得できる
- スケールメリットを享受(間接部門の効率化、車両の仕入価格など)
- 新規の自動車販売エリアを獲得できる
このように、自動車小売業(ディーラー)を対象とするM&A・事業承継では、売り手・買い手ともにさまざまなメリットが期待されます。なお、M&A全般に期待されるメリットについて知りたい場合は、以下の記事をご確認ください。
M&Aのメリットについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の際の確認事項5選
自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継を行う際は、以下の点に注意が必要です。
- 自社の収益力の確認
- 棚卸資産の確認
- 立地条件や環境など不動産の確認
- 賃貸契約などの契約内容の確認
- 取引先との代理店契約の確認
①自社の収益力の確認
自動車小売業(ディーラー)は、メーカーとの関係上、利益率がそれほど高くありません。また、自動車メーカーの利益率も下がっていることから、自動車小売業(ディーラー)は今後さらに厳しくなる可能性があります。
事業を売却する際は、収益を生み出せる付加価値があるかどうか、十分に買い手に示す必要があります。
②棚卸資産の確認
自動車小売業(ディーラー)のM&Aでは、棚卸資産を十分に確認する必要があります。多くの自動車ディーラーは、購入者が即座に乗り出せるための在庫や、引先からの実質ノルマ在庫などを抱えています。
そのため、在庫車がいつから保管されているのか、新車扱いか中古車扱いなのか、メーカーへの支払い期日はいつかなどを確認しておかなければ、M&A価格に大きく影響したり、買収後に損を被ったりするおそれがあります。
③立地条件や環境など不動産の確認
自動車メーカー各社は、それぞれ独自の販売網戦略を講じており、同系列で販売網を分散させるケース・近隣に集中させるケース・同メーカーの異ブランドを集中させるケースなど、その戦略はさまざまです。
買収予定の販売店が他メーカー販売店に対して不利な位置にないかなど、立地条件も戦略的に見極める必要があります。
④賃貸契約などの契約内容の確認
自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継の際は、販売店の土地や建物の契約内容に関しても確認が必要です。事業譲渡によってM&Aを行う際は再契約が必要とされるため、土地や建物を借りている場合は解約金や再契約金が発生したり、契約条件が変わったりする可能性があります。
⑤取引先との代理店契約の確認
正規自動車ディーラーとの代理店契約を結んで自動車販売を行っている独立系販売店の場合、契約内容の確認も忘れずに行わなければなりません。取引先との代理店契約に支障がある場合、M&A後の営業再開に時間がかかるなど、思わぬ負担を負うこともあり得ます。
自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継を成功させるポイント5選
自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継を成功させるには、以下のポイントを意識して行うことが重要です。
- 他店にはない強みをまとめる
- 従業員・整備士の離職を防ぐ
- 希望する条件をまとめる
- 入念な準備を行う
- M&A・事業承継の専門家に相談する
①他店にはない強みをまとめる
自動車の販売自体で差別化を図り収益力を高めることが難しい自動車小売業(ディーラー)の場合、いかに他サービスの付加価値で収益力を向上させるかが重要です。他店との差別化が可能な強みをまとめると、条件どおりに取引を行ってくれる良買い手が見つかる可能性が高まり、交渉もスムーズに進みます。
②従業員・整備士の離職を防ぐ
M&A・事業承継によって会社の経営者が変わることで、従業員・整備士が不安や不満を覚えて離職するケースもあります。そのため、売り手側では、情報を伝えるタイミングや伝え方に注意する一方で、買い手側では買収後のコミュニケーションや待遇などに配慮が必要です。
③希望する条件をまとめる
M&Aで希望する条件を明確にし、アドバイザーやM&A相手に伝えることで、交渉がスムーズに進みやすくなります。
M&Aを早く成立させることに焦って条件を妥協したり、逆に条件にこだわりすぎて交渉を難航させたりしないよう、自社の希望条件を事前にまとめておくことが大切です。
④入念な準備を行う
M&Aの成功率を高めるには、入念な準備が必要です。M&Aの手続き期間中は精神的・時間的負担が大きくなりますが、先を見据えて早めに仲介会社などに相談しておくことで、負担を減らすことが可能です。
⑤M&A・事業承継の専門家に相談する
仲介会社などのM&A・事業承継の専門家は、ネットワークによってM&A相手を探したり、豊富な経験によって負担の大きい交渉事などをサポートしたりと、幅広いサポートを行います。
仲介会社に相談することで、手続き面のサポートだけでなく、企業価値の向上や事業の成長支援につながるケースもあります。
M&AサポートにおけるM&A仲介業者の役割や売却事例/買収事例については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
自動車小売業(ディーラー)をM&A・事業承継の際におすすめの相談先5選
自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継を行う際は、以下の会社・機関などに相談できます。
- M&A仲介会社
- 地元の金融機関
- 地元の公的機関
- 地元の弁護士・会計士・税理士など
- マッチングサイト
①M&A仲介会社
M&A仲介会社は、M&A業務を専門に扱い、豊富な知識や実績を基に相談から実行、アフターフォローまで幅広く対応します。メリットとして、業界動向や費用相場に精通しており、ネットワークを活用して多様な選択肢を提案。プロセスを円滑に進める支援が可能です。
また、金融機関よりも成功報酬が低い場合があります。一方で、相談料や着手金がかかる場合や、報酬獲得を優先する仲介会社も存在します。成功報酬は売却額の5〜10%で、小規模でも300万円以上発生することがあります。
②地元の金融機関
地方金融機関が、地元中小企業の事業承継支援も行っている場合は、融資先や取引先企業の中からM&A相手を紹介してもらえる可能性があります。
ただし、実際のM&Aサポートは提携先のM&A仲介会社が行うケースがほとんどであるため、自社に合ったサポートが可能であるか不明な点がデメリットです。そのため、自身で最適な仲介会社を選んだ方が良い場合もあります。
③地元の公的機関
各都道府県に設置されている事業承継・引継ぎ支援センターでは、地元の事業者であれば小規模な案件でも対応しています。
しかし、公的機関であり実務面のサポートを直接行えないため、金融機関のケースと同じく、提携先の仲介会社などに再依頼しなければなりません。
④地元の弁護士・会計士・税理士など
多くの弁護士・会計士・税理士事務所では、M&A・事業承継の中でも特定分野に特化してサポートを行っています。
相続税・贈与税に関する相談や債権者・株主とのトラブル対応など、相談内容が定まっている場合は強みを発揮します。
ただし、M&A相手とのマッチングや交渉などは、提携している仲介会社やマッチングサイト運営会社に任せるケースがほとんどです。
⑤マッチングサイト
大手企業や他業界の企業が相次いで参入していることで、マッチングサイトの質と信頼性が年々向上しています。
買収ニーズを登録するだけで条件の合う売却案件をマッチングするなど、従来にはなかったシステムやサービスを提供するマッチングサイトも生まれています。
自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継のまとめ
本記事では、自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継事例や成功させるポイントなどを紹介しました。
自動車小売業(ディーラー)のM&A・事業承継事例や成功させるためには、業界動向を把握し計画的に進めることが重要です。
また、専門的な知識や見解が求められるため、M&A仲介会社など専門家のアドバイス・サポートは必要不可欠だといえます。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。