M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年11月14日更新都道府県別M&A
茨城県の事業承継・M&Aの動向は?案件例や最新事例も紹介!
本記事では、茨城県の経済状況と事業承継・M&Aの動向から案件例、茨城県の企業が実際に行ったM&A事例を紹介します。茨城県内で行われる事業承継やM&Aの件数は上昇傾向にあり、ポイントを押さえておくことが大切です。M&Aを検討中の方は必見です。
目次
茨城県の経済状況
茨城県の発表によると、2024年4月1日現在での人口は2,812,901人でした。2000(平成12)年の2,985,676人がピークで、以降は毎年、減少が続いています。
また、2021年度の茨城県の県内総生産(名目)は、前年度比 5.7%増加し、14兆5,391億円となりました。また、実質経済成長率は3年ぶりにプラスとなりました。
経済成長率は、主に製造業(特に一次金属、はん用・生産用・業務用機械)の増加が牽引し、次いで建設業の増加が影響しました。1人当たり県民所得は前年度比 9.6%増加し、343万8千円となっています。
参考:茨城県「茨城県の人口と世帯(推計)-令和6年(2024年)4月1日現在-」
茨城県「茨城県県民経済計算の令和3年度推計結果について」
茨城県の事業承継・M&Aの動向
ここでは、茨城県企業の後継者不在率や休廃業件数、M&A件数の推移を紹介します。
茨城県企業の後継者不在率
2023年の茨城県内企業における後継者不在率は42.1%で、前年より0.6ポイント減少し、6年連続で改善しました。この数値は、2011年の調査開始以来、最も低い水準となっています。業種別に見ると、「建設業」での後継者不在率が特に高く、「小売業」や「サービス業」も依然として高い割合が続いています。
事業承継の方法では、依然として「同族承継」が最も多いものの、前年から大きく減少しました。一方で、「M&A」など親族以外への事業承継が増加傾向にあります。
後継者候補として最も多いのは「子ども」ですが、「配偶者」を含めても、家族内での承継を予定している企業は2社に1社程度で、割合は前年を下回りました。
これに対し、「内部昇格」や「外部からの招聘」といった非同族への事業承継の割合が増えており、家族以外への承継を選ぶ企業が増加しています。
茨城県企業の休廃業件数
茨城県内で2023年に休業や廃業、解散を行った企業は前年より5.2%増加し、合計で1,079件となり、2年連続で増加しています。
休廃業や解散を決定した企業のうち、最後の決算で黒字だった企業の割合は57.1%で、2020年に記録した最も高い水準から3.9ポイント減少しています。
業種別に見ると、「サービス業」など5つの業種で休廃業・解散が前年と比較して増加しており、唯一減少したのは「建設業」、また「運輸・通信業」は前年と同水準を維持しています。県内で特に目立つのは「建設業」の休廃業・解散です(「その他」を除く7業種の中で)。
企業が休廃業・解散を決定した時点での経営者の平均年齢は72歳となり、近年その年齢は上昇傾向にあります。これで3年連続で平均年齢が70歳を超えました。
茨城県企業のM&A件数の推移
レコフの調査によると、2022年、茨城県で実施されたM&Aの件数は過去最多の55件に達しました。内訳としては、買い手と売り手がどちらも県内にあるケースが4件、県内の企業が県外の企業を買収したケースが15件、そして県外の企業が県内の企業を買収したケースが36件となっています。
関東地方のM&A・会社売却・事業承継については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
茨城県近郊の事業承継・M&A案件例3選
ここでは弊社M&A総合研究所が取り扱っている茨城県近郊の事業承継・M&A案件一覧をご紹介します。
①【集客力に強み/営業利益7000万円超】首都圏×急成長中の人材紹介業
昨年よりキャリアアドバイザー採用を開始し、進行期より収益向上、さらに拡大中です。事務職、タクシードライバー、営業職に強く顧客基盤を構築。加えてシステムエンジニア、施工管理者も取り扱っています。
エリア | 東京都 |
売上高 | 1000万円〜5000万円 |
譲渡希望額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡理由 | 資金調達 |
②【時価純資産程度/業歴50年以上】首都圏×印刷業
業歴50年以上で、金融機関や大手企業との信頼関係を構築しています。データ処理から画像処理までノウハウがあり、技術力の高さから取引先の信頼を得ている企業です。
エリア | 関東・甲信越 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 財務的理由、事業存続に対する不安、資金調達 |
③【高級ブランドとして確立】首都圏×スイーツプロデュース・販売業
こだわりぬいた高品質の材料を海外から仕入れています。実績のあるパティシエにより、商品のプロデュース力が抜群です。
エリア | 関東・甲信越 |
売上高 | 5000万円〜1億円 |
譲渡希望額 | 1000万円〜5000万円 |
譲渡理由 | 資金調達 |
東京都の事業承継については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
茨城県の事業承継・M&Aの事例4選
ここでは、実際に茨城県内の企業が関わったM&A事例を紹介します。
①GENDAによる茨城県アミューズメント施設の事業承継・M&A
2024年8月30日、GENDAは、子会社であるGENDA GiGO Entertainment(東京都港区)が、マタハリーエンターテイメント(神奈川県川崎市)から、アミューズメント施設1店舗(茨城県つくば市に所在)を吸収分割方式で引き継ぐことを決定しました。
この吸収分割では、GENDA GiGO Entertainmentが承継会社、マタハリーエンターテイメントが分割会社となります。引き継いだ店舗は2024年10月から「GiGOトナリエクレオつくば(仮称)」として新たにオープンする予定です。
GENDA GiGO Entertainmentは、アミューズメント施設の運営を手掛けており、マタハリーエンターテイメントも関東地方で同様の事業を展開しています。
この事業承継の目的は、GENDA GiGO Entertainmentが運営する他の店舗と人材やデジタル技術の知見を共有することで、運営効率の向上を図ることです。また、限定プライズ商品の導入や、店舗数拡大によるアミューズメント機器およびプライズの購買力強化を通じて、譲受店舗の利益向上を目指しています。
②セントケア・ホールディングによる城南ビルの事業承継・M&A
2024年4月30日、セントケア・ホールディングは、2024年4月16日に城南ビル(茨城県日立市)の全株式を取得することで合意しました。
セントケア・グループは、訪問入浴や訪問介護など、多様な介護サービスを提供している企業です。一方、城南ビルも介護サービスを展開しています。
今回の株式取得の背景には、セントケア・グループが抱える課題として、近年の人材採用の難しさがあり、新規の事業所を一から立ち上げることには、経済的にも時間的にも大きな負担が伴います。
そこで、すでに日立市で安定した顧客基盤とスタッフを持つ城南ビルを迎えることで、茨城県内での高品質な介護サービスの提供能力をさらに強化し、地域内での事業基盤を一層強固にすることを目指しています。
③ケーズホールディングスによるサワハタキャリーサービスの事業承継・M&A
2021年10月、茨城県水戸市のケーズホールディングスは、茨城県ひたちなか市のサワハタキャリーサービスと株式交換を実施し、サワハタキャリーサービスを完全子会社化することを発表しました。
株式交換予定日は2022年3月、交換比率はケーズホールディングス:サワハタキャリーサービス=1:0.0009です。ケーズホールディングスは、家庭電化製品・関連商品の販売・付帯工事・修理事業をグループで行っています。
サワハタキャリーサービスは、一般貨物自動車運送業、業務用機器・家電製品メンテナンス事業、電気工事業、産業廃棄物収集運搬業などを行っている企業で、ケーズホールディングスとは25年間にわたって業務受託を行ってきました。
ケーズホールディングスとしては、グループ内の配送・工事の安定的で効率的な体制構築とサービス向上を図る考えです。
④ヤマダホールディングスによる三久の事業承継・M&A
2021年3月、群馬県高崎市のヤマダホールディングスは、茨城県小美玉市の三久の全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。ヤマダホールディングスは、家電製品販売事業、金融事業、住宅建築事業、環境事業などを行うグループの持株会社です。
三久は、一般・産業廃棄物の運搬と中間処理業を行っています。ヤマダホールディングスとしては、環境事業を強化し、資源循環体制を拡充することが狙いです。
神奈川県・横浜市のM&A・会社売却・事業承継の動向については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
事業承継・M&A時におすすめの相談先3選
茨城県での事業承継・M&A時におすすめの相談先を3つご紹介します。
①金融機関
最近では、金融機関がM&A支援に特化した専門部門を設置するケースが増加しています。特に、投資銀行や大手銀行がファイナンシャルアドバイザー(FA)として、企業買収や売却の交渉において重要な役割を担うことが多く見られます。
M&Aを進める上で、金融機関は不可欠な存在です。特に買収側では、資金調達のために金融機関との協議が必要であり、通常は既存の取引関係がある金融機関が最初の相談先となることが一般的です。
金融機関に相談する大きなメリットは、資金調達に関する専門的なアドバイスを受けられる点です。例えば、事業承継で親族や従業員が後継者となる場合でも、株式取得に必要な資金を確保するために金融機関のサポートが非常に有効です。
さらに、M&Aに特化した部門や他の専門家と連携している金融機関もあり、必要に応じて適切な専門家を紹介してもらうことも可能です。
ただし、大手金融機関は主に大規模なM&A案件を扱う傾向が強く、規模の小さい案件には対応しないことがあります。また、仲介業務ではなくアドバイザリー形式を採用する金融機関が多く、その結果、手数料が高くなることがデメリットとして挙げられます。
②公的機関
最近では、公的機関でも事業承継やM&Aに関する相談が可能になってきています。例えば、事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業が抱える後継者不足の問題を解決するための公的な相談窓口として設置されています。
このセンターでは、事業承継やM&Aに関する情報提供やアドバイスを行うだけでなく、企業同士のマッチングサービスも提供しています。2021年4月に設立され、全国のセンターで専門家が無料で相談に応じ、中小企業の事業承継に取り組んでいます。
全国47都道府県に設置された窓口により、地方の企業でも気軽に利用できるのが大きな利点です。国が運営しているため、相談は無料で、公正なアドバイスが受けられます。必要に応じて、M&A仲介会社や専門家の紹介も可能で、個人事業主の事業承継にも対応しています。
ただし、公的機関であるため対応に時間がかかることがあり、民間のM&A仲介会社に比べるとサポートの実績やサービスの充実度が劣ることがデメリットとして挙げられます。
③M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業の買収や売却を専門的にサポートする企業で、売り手と買い手の双方と契約を結び、双方の利益を最大限に考慮しながら交渉を進めます。M&A仲介会社は、初期の相談から相手企業の選定、スケジュール管理、企業価値の評価(バリュエーション)、必要書類の作成まで、M&Aの全過程を一貫してサポートします。
仲介会社は、売り手と買い手の条件やニーズを調整し、双方が合意できる最適なポイントを探し出し、円滑な取引成立を目指します。
大きなメリットとして、仲介会社は多くの候補企業の中から適切な相手を見つけやすい点が挙げられます。これにより、売り手・買い手双方が満足するM&Aが実現しやすくなります。
さらに、M&Aが初めての企業でも安心して進められるよう、仲介会社は継続的なサポートを提供し、具体的なアドバイスや交渉のフォローを通じて成功率を高めています。
ただし、仲介会社によっては、着手金や中間金がかかることがあり、費用負担が懸念される場合があります。コストを抑えたい場合は、成功報酬制を採用している企業を選ぶのが一つの方法です。
茨城県の事業承継・M&Aに関する公的支援
茨城県の事業承継・M&Aに関する主な公的支援をまとめました。
茨城県事業承継・引継ぎ支援センター
茨城県事業承継・引継ぎ支援センターは、これまで第三者による事業承継をサポートしてきた「茨城県事業引継ぎ支援センター」と、主に親族内での承継を支援していた「茨城県事業承継支援ネットワーク」を統合したものです(この事業は経済産業省から水戸商工会議所に委託されています)。
新センターの主な業務は、「親族内および第三者への事業承継に関する相談対応」「M&Aマッチングのサポート」「事業承継計画の策定支援」「事業承継診断やセミナーの実施」など、多岐にわたる支援を行っています。
M&A促進奨励金事業
茨城県では、後継者がいない企業の事業承継を支援するため、M&A(企業の合併・買収)による事業引継ぎを促進しています。
これに伴い、弁護士や公認会計士、税理士、中小企業診断士、さらに中小企業庁に登録されたM&A支援機関などの専門家を対象に、インターネットプラットフォームを利用して、売却を希望する企業を登録した場合や、成約に至った場合に奨励金を支給します。
対象となる専門家は、以下の条件を満たす必要があります。
- 茨城県内に事務所や事業所を構えていること
- 茨城県税や消費税、地方消費税を滞納していないこと
- 自社の譲渡を希望する中小企業から承諾を得て、売却案件を「Batonz」、「M&Aサクシード」、「TRANBI」、「relay」などのインターネットプラットフォームに登録したこと
- 茨城県暴力団排除条例に違反していないこと
- 代表者や役員に暴力団員やその関係者が含まれていないこと
茨城県の事業承継・M&Aまとめ
本記事では、茨城県の経済状況と事業承継の動向や方法から茨城県の企業が実際に行ったM&A事例を紹介しました。
茨城県の後継者不在率は全国で2番目に低く、その点は一定の安心感があります。しかし、高齢経営者の会社の4社に1社は、後継者不在で廃業危機にあるのもまた事実です。
今後は、後継者不在の中小企業において、M&Aによる事業承継にどう取り組むかが課題といえるでしょう。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。