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2019年12月4日更新
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赤字でもかかる税金とは?赤字繰越・法人税還付による税金対策

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

赤字と税金には密接な関係があります。そのため、税金対策を行うためには、赤字に関する知識を知っておくことが不可欠です。赤字でも課税される税金、されない税金、赤字経営における税金対策、赤字の際に活用できる法人税還付、赤字繰越による税金への影響について解説します。赤字の繰越や法人税の還付は節税には欠かせない処理なので、ぜひとも活用してください。

目次
  1. 赤字と税金
  2. 赤字でも課税される税金
  3. 赤字で課税されない税金
  4. 赤字経営における税金対策とメリット・デメリット
  5. 赤字の際に活用できる法人税還付
  6. 赤字繰越による税金への影響
  7. まとめ

赤字と税金

会社を経営する以上、税金は必ず発生し、支払わなければならない義務があります。経営不振に陥って赤字になった場合でも、一部の税金は納税する必要があります。

この記事では、赤字でもかかる税金と、赤字でかからない税金、赤字経営における税金対策とメリット・デメリットなど、赤字と税金の関係についてわかりやすく解説します。

赤字でも課税される税金

赤字でも課税される税金が3つあります。

  1. 消費税
  2. 法人住民税(均等割)
  3. 法人事業税(資本金1億円超の法人)
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

①消費税

赤字でも納税義務がある税金の1つは、消費税です。消費税は、事業者ではなく消費者が納税した税金であり、事業者は代わりに納税する立場にあります。事業者は消費者から税金を預かっているので、原則赤字であっても納税する必要があるのです。

消費税の納税が免除されるケース

消費税の納税が免除されるのは、2つのケースがあります。

  • 2年前の課税売上高が1,000万円以下
  • 事業開始から2年間以内の法人・個人事業主
  • 消費者から預かる税金よりも事業者が仕入れ等で支払った税金の方が多い
消費税は2年前の売上高を基準に、納税義務が決まります。そのため、2年前の課税売上高が1,000万円以下の場合には、納税する必要はありません。さらに、2年以内に事業を始めた場合も、基準となる売上高が存在しないため、納税義務はないということになります。

また、消費税の納付金額は以下の式で求められます。

  • 消費税の納付金額=課税売上高にかかる消費税額ー課税仕入高にかかる消費税額

納付金額がマイナスとなってしまう場合には、納税の義務は発生しません。

②法人住民税(均等割)

法人住民税とは、事業者の所在する地方自治体に納税する税金です。法人住民税は、2種類に分類されます。

  • 法人税のうち一定割合発生する「法人税割」
  • 資本金などに応じて一定金額生じる「均等割」

法人住民税の均等割は、資本金や従業員数などに応じて発生するものです。そのため、赤字でも納税義務のある税金となります。

③法人事業税(資本金1億円超の法人)

法人事業税とは、都道府県に納税する税金です。法人事業税は、資本金の金額によって課税の仕組みが異なり、赤字の際の納税義務の有無が異なります。

  • 資本金1億円以下の法人:赤字の際は納税義務なし
  • 資本金1億円を超える法人:赤字の際でも納税義務あり
ここでは、資本金1億円を超える法人の課税の仕組みについてご紹介します。資本金1億円以下の法人については、後述します。

資本金1億円超の法人

資本金1億円超の法人の場合には、外形標準課税と呼ばれる課税方式が適用されます。外形標準課税は2種類の税金で構成されます。

  • 「付加価値割」
  • 「資本割」

外形標準課税のうち「資本割」は資本金額をベースに算定される税金なので、赤字でも納税義務が発生するのです。

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赤字で課税されない税金

次に、赤字の場合には不要となる税金を3つお伝えします。

  1. 法人税
  2. 法人住民税(法人税割)
  3. 法人事業税(資本金1億円以下の中小法人)
それぞれ詳しくご説明します。

①法人税

法人税は、事業による利益を得た法人に対して課されます。法人税は利益に基づいて課税される税金であるため、赤字であれば納税義務は発生しません。原則的には発生しないものの、注意すべき点もあります。

それは、会計ルールに則って算出した利益と、税務ルールに則って算出した利益に差が生じるケースです。この2つは、計上できる減価償却費が異なるため、差が生じるケースがあります。

  • 会計上は減価償却費を全額費用計上できる
  • 税務上は損金算入できる減価償却費に制限がある

法人税は、税務上の利益に基づいて課税されます。つまり、会計上赤字であっても、税務上黒字であれば法人税が課税されるのです。法人税を計算する際には、税務上の利益を参照しましょう。

②法人住民税(法人税割)

法人住民税(均等割)は、赤字でも納税義務があるとお伝えしました。一方で、もう1つの法人住民税の法人税割は、税務上の利益が赤字であれば発生しない税金です。

  • 均等割は資本金に基づいて生じる税金
  • 法人税割は法人税額に住民税率を掛けることで算出する税金

つまり、法人税が発生しない赤字の場合には、法人住民税の法人税割も納税不要となります。法人住民税の中でも法人税割と均等割は、算出方法が全く異なる税金なので注意しましょう。

③法人事業税(資本金1億円以下の中小法人)

法人事業税は、資本金の金額によって課税の仕組みが変わることは、先ほどお伝えしました。資本金1億円以上の法人は、外形標準課税に基づくため、赤字であっても税金が発生するのです。

一方、資本金1億円以下の中小法人は、所得金額を基準にする「所得割」に基づいて税金を計算します。所得金額を基準とするため、赤字であれば税金が発生しません。法人事業税については、資本金額で赤字の場合の税金発生有無が異なるので、注意が必要です。

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赤字経営における税金対策とメリット・デメリット

基本的には赤字経営を回避することが多いです。しかし、あえて税金対策を行うため、赤字決算する企業も存在します。

赤字経営による税金対策には、メリットとデメリットがあります。

  • メリット:納税額を低くし、還付制度を活用できる
  • デメリット:金融機関や株主の印象を下げる

ここでは、赤字経営による税金対策のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。

(1)赤字経営による税金対策のメリット

赤字経営による税金対策には、下記の3つのメリットがあります。

  1. 法人税がかからない
  2. 繰越欠損金を利用可能
  3. 法人税還付を利用可能
それぞれを詳しく見ていきましょう。

①法人税がかからない

税法上の所得を赤字にすることにより、原則2つの税金の支払い義務がなくなります

  • 法人税
  • 法人住民税(法人割)

支払う税金が少なくなる分、より多くのキャッシュを手元に残すことが可能です。不要資産を購入して赤字にすることは本末転倒ですが、将来に向けた投資による赤字化は有効と言えます。利益の赤字化は、活用方法次第では有益な税金対策になるのです。

②繰越欠損金を利用可能

赤字となった場合には、その赤字を来期以降に繰り越すことができます。来期以降に繰り越す赤字を「繰越欠損金」と呼び、将来的な節税対策につながります。

赤字の繰越に関しては、後ほど詳しく解説します。

③法人税還付を利用可能

法人税還付とは、前期が黒字で今期が赤字の場合に、今期の赤字に相当する法人税を還付してもらえる制度です。赤字であると、法人税の還付を利用できるというメリットがあります。

法人税還付についても、後ほど詳しくお伝えします。

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(2)赤字経営による税金対策のデメリット

赤字経営による税金対策には、メリットがある一方で、下記の3つのデメリットもあります。

  1. 金融機関からの融資が不利になる
  2. 金融機関・株主に不満が生まれる
  3. 所得税や社会保険料の負担増
それぞれについて、詳しくご説明します。

①金融機関からの融資が不利になる

金融機関は、損益計算書に記載された財務状況をもとに、融資するかどうかを決定します。税金対策のために赤字経営をしていると、金融機関からの融資を受けにくくなる恐れがあります。

これまで低金利で融資を受けていた会社は、金利を引き上げられる可能性もあります。金融機関は表面的な数字でのみ判断するので、税金対策が赤字経営の目的であっても考慮してもらえません。

②金融機関・株主に不満が生まれる

従業員にとっては、一生懸命働いても赤字となれば、仕事に対するモチベーションが低下する恐れがあります。それだけでなく、金融機関や株主にとっても、赤字経営は好ましい事態ではありません。

多方面の関係者から不満を抱かれる結果、思わぬトラブルを招く恐れがあるので要注意です。

③所得税や社会保険料の負担増

手っ取り早く赤字にする一番の方法は、役員報酬の引き上げです。役員報酬の引き上げによって利益を減少させ、赤字化することが可能です。

赤字による税金対策を実施できる上に役員の報酬は増加するので、一見すると損はないように見えます。しかし、役員報酬を増加させると、その分だけ所得税や社会保険料も増加します。

赤字による税金対策のためだけに、役員報酬を増額することはあまりおすすめできません。

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赤字の際に活用できる法人税還付

ここでは、赤字の際に活用できる法人税還付の制度を詳しくお伝えします。

法人税還付とは、前期に納付した法人税から、今期の赤字に相当する法人税の一部を還付してもらえる制度です。例えば、急激に経営が悪化して赤字化してしまった場合に、法人税還付を受ければ現金を手に入れることができます

法人税還付を利用するメリット・デメリット

法人税還付を利用する際には、メリットとデメリットが存在します。

  • メリット:資金繰りの悪化を食い止める
  • デメリット:税務調査が入りやすくなる
大きなメリットがある一方で、デメリットもあるので、注意が必要です。

法人税還付を受けるための要件

法人税還付を受けるためには、下記要件を満たす必要があります。

  • 資本金が1億円以下の法人である
  • 黒字事業年度から赤字事業年度の前事業年度までの各事業年度について、連続して青色申告により確定申告している
  • 赤字事業年度の青色申告による確定申告書を、提出期限までに提出している
  • 確定申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出する

つまり資本金1億円以下であり、かつ前期までは黒字で今期から赤字となった法人が還付の対象となります。

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赤字繰越による税金への影響

最後に、赤字繰越による税金への影響をお伝えします。

赤字を繰り越すことによって、次期以降の税金対策につながります。次期以降に繰り越す赤字を「欠損金」と言い、赤字を繰り越す制度を「欠損金の繰越控除制度」と言います。

「欠損金の繰越控除制度」の内容

「欠損金の繰越控除制度」にて、赤字を繰り越せる期間は、下記のようになっています。

  • 個人事業主:3年間
  • 法人:9年間

例えば1年目は100万円の赤字、2年目と3年目はそれぞれ50万円の黒字であったとします。1年目の赤字を繰り越すことで、2年目と3年目の税金を抑えることが可能です。

  1年間の経営状態 赤字を繰り越した場合の状態 納税義務
1年目 100万円の赤字   ほとんどなし
2年目 50万円の黒字

黒字相殺

50万円(黒字)ー50万円(赤字)=0円

赤字50万円が繰り越される

ほとんどなし
3年目 50万円の黒字

黒字相殺

50万円(黒字)ー50万円(赤字)=0円

赤字0円となる

ほとんどなし

赤字を繰り越すことで黒字と相殺し、納税義務を減らすことができるのです。そのため、大きな節税効果が期待できます。

新規事業を開始した当初は、多額の赤字が計上されることが多く、数年後に急激に黒字化する可能性があります。そのような場合に赤字の繰越制度を利用することで、トータルで大きな節税が可能です。

赤字繰越は基本的な会計処理ですが、実施するとしないとでは大きな違いが現れます。

「欠損金の繰越控除制度」を利用する要件

「欠損金の繰越控除制度」を利用するための要件は、2つを満たしている場合です。

  • 赤字となった年に青色申告を行っている
  • 翌年以降も必ず確定申告を行っている
赤字の年が青色申告であれば、翌年以降は白色申告でも問題ありません。ただ、毎年必ず確定申告を行う必要があります。そのため、確定申告を行っていない年があれば、さかのぼって申請を求められます。

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まとめ

今回は、赤字と税金の関係に関して、ご説明しました。赤字と税金には密接な関係があり、税金対策を適切に行うために、赤字に関する知識を知っておくことが必要です。

赤字の繰越や法人税の還付は、節税には欠かせない処理と言われています。ぜひとも活用してみてください。

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