2024年8月30日更新業種別M&A

障害福祉サービスの動向とM&Aのメリット!流れや注意点と売却・買収事例6選を解説!【2024年最新】

障害福祉業界とは、介護を必要とする身体・知的・精神障害者の生活支援サービスを行う業界です。本記事では、障害福祉サービス事業者がM&Aを行う場合の買い手と売り手のメリットとデメリット、M&Aの注意点や手順を解説します。

目次
  1. 障害福祉サービスの概要
  2. 障害福祉M&Aの動向
  3. 障害福祉M&Aの買い手と売り手のメリット・デメリット 
  4. 障害者福祉サービスのM&A・事業譲渡を行う流れ
  5. 障害福祉M&Aの注意点6選
  6. 障害者福祉サービスのM&A・事業譲渡案件を探す方法
  7. 障害福祉事業のM&A事例
  8. 障害福祉事業のM&A成功ポイント
  9. 障害福祉のM&A動向まとめ
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障害福祉サービスの概要

障害福祉サービスのM&Aについて説明する前に、障害福祉サービスの主な内容や業界の動向を理解しておきましょう。

障害福祉業界とは

障害福祉サービスは、知的・身体・精神障害を持つ方が個々に持っている能力や適性に合わせ、日常生活または社会生活において自立できるよう、給付や支援を行います。

障害福祉業界とは、介護を必要とする身体・知的・精神障害者の生活支援を行っている業界のことです。

本記事では、障害福祉サービス事業者がM&Aを行うメリットとデメリットなどをみていきますが、まずは障害福祉業界の現状やM&A動向について解説します。

障害福祉サービスの動向

国内の障害福祉サービスの動向にはどのような特徴がみられるのでしょうか。ここでは、障害福祉サービスの市場規模や現在の課題についてみていきます。

障害福祉サービスの市場規模

厚生労働省「障害福祉分野の最近の動向」

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001098279.pdf

厚生労働省が公表した「障害者福祉サービス等報酬改定検討チーム(第28回 令和5年5月22日)」によれば、現在の障害者総数は約116万人であり、国内人口の約9.2%に相当します。国内の障害者総数は年々増加傾向にあり、2011年(約788万人)からは約1.5倍に増加しました。

それに伴い、障害福祉サービスの利用者数も増加しています。2021年から2022年の障害福祉サービス利用者数の増加率は5.4%であり、なかでも精神障害者(成人)の伸び率が7.6%と大きく増加しました。

また、障害福祉サービス関係の予算額も年々増加しており、2007年の5,380億円から2023年は19,562億円 (前年比5.9%増)と、15年前で3倍以上に増えています。

障害福祉サービスの課題

障害福祉サービスの総費用額だけでなく1人あたりの費用月額も年々増加していますが、業界で深刻な問題となっているのは人材不足です。

人材確保は業界の喫緊の課題ですが、国内の労働人口は今後減少が見込まれているため、デジタル化などによる業務効率の向上を図る必要もあります。

また、人材を十分確保できるかどうかは法令改正や障害福祉サービス等報酬改定の動向も大きく影響するのが実情です。障害福祉サービスの賃金は他業種と比べ低めであるため、事業者にとっては従業員のモチベーションを維持するための対策や職場環境の改善も重要です。

障害者福祉事業の倒産状況

帝国データバンクの調査によれば、障害者のグループホームや生活介護、就労支援などを行う事業者の2023年度の倒産・休廃業・解散件数は合計71件で過去最多を更新し、前年度(41件)と比較すると1.7倍に増加しました。

障害者福祉事業は2013年に「障害者総合支援法」が施行されて以降、新規参入業者が急増したことで競争が激化し、利用者獲得が厳しく事業収入が見込めずに事業継続ができなかったケースが多くみられ、さらに物価高や人材不足による影響も大きかったものと考えられます。

参考:株式会社帝国データバンク「障害者支援施設」 動向調査

障害福祉M&Aの動向

中小規模の障害福祉サービス事業者では廃業と倒産が増加していますが、その一方で、大手・中堅の障害福祉サービス事業者によるM&Aは増加傾向にあります。

大手・中堅の障害福祉サービス事業者がM&Aを実施している主な理由は、規模の拡大による利益の確保です。今後は、大手・中堅の障害福祉サービス事業者によるM&Aがさらに増えていくとみられます。

また、異業種からの参入もみられるなど、中小規模の障害福祉サービス事業者にとってはさらに厳しい競争になることが予測されます。

しかし、事業内容的に廃業が難しい業界なので、廃業ではなくM&Aによって事業を譲渡する障害福祉サービス事業者も増えていくとみられます。

有料老人ホームのM&A・譲渡・売却の動向や注意点については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】有料老人ホームのM&A・譲渡・売却の動向は?注意点から成功ポイントも解説!

障害福祉M&Aの買い手と売り手のメリット・デメリット 

障害福祉M&Aにおける買い手と売り手のメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。本章では、障害福祉M&Aの買い手と売り手のメリット・デメリットをそれぞれみていきます。

売り手のメリット

障害福祉M&Aにおいて、売り手側は以下のようなメリットを得ることができます。

売却益の獲得

M&Aの対価は、株式譲渡の場合は売り手側の株主(オーナー経営者)、事業譲渡の場合は企業(法人)が得ます。企業価値が高いほど多くの売却益に期待ができ、得た利益は自由に使うことが可能です。

事業譲渡の場合はオーナー経営者が直接利益を得るわけではないため、退職金などの名目で受け取ることになりますが、まとまった額の現金を獲得できることはM&Aを行う大きなメリットといえます。

事業承継問題の解決

後継者不在などの理由で事業承継ができない場合、M&Aによって自社を売却するかたちで事業を他社へ引き継ぐことができます。M&Aの候補先を幅広い範囲から探すことができるため、自社に合った後継先がみつかれば事業のさらなる成長・発展に期待できる点もメリットです。

特に障害者福祉事業は利用者にとって不可欠なサービスであるため、事業承継問題によって廃業を考えている場合はM&Aを検討してみることをおすすめします。

従業員の雇用継続

企業が廃業する場合、従業員を自社都合により解雇しなければなりません。従業員は職を失うことになるので、経営者にとっては非常に苦しい決断となります。

M&Aの場合は売り手側の権利・義務を買い手側へ引き継ぐため、従業員の雇用も維持できる点がメリットです。事業譲渡のような個別承継スキームの場合は買い手側と従業員とで雇用契約の結びなおしが必要となるため、交渉時によく話あっておくとよいでしょう。

サービスの継続

障害者福祉事業はサービス利用者にとってなくてはならない存在です。そのため、廃業を決断する場合は、現在のサービス利用者の新しい利用先なども考えておく必要があります。

M&Aの場合、障害者福祉サービスは買い手側が引き継いで継続するため、運営元は変更となりますが利用者はこれまで通りサービスを利用することが可能です。

売り手のデメリット

障害福祉M&Aで売り手の障害福祉サービス事業者には、以下のようなデメリットが生じ得ます。

【障害福祉M&Aにおける売り手のデメリット】

  1. 施設運営の方向性が変わる可能性
  2. 経営陣・従業員が流出する可能性

売り手の障害福祉サービス事業者はM&Aによって経営の継続が期待できる一方で、買い手の経営方針や統合プロセスによっては、経営陣や従業員が多く流出してしまうほどの軋轢が生じる可能性もあります。

買い手のメリット

次に、障害福祉M&Aにおける買い手側のメリットを解説します。

新規事業の参入

新規事業への参入にはリスクが伴いますが、M&Aを活用すればすでに利用者を持つ企業(事業)を取得することができます。

参入後の業績予測が立てやすくなるだけでなく、売り手側の運営ノウハウも活用できるので、M&A後はスムーズな事業展開が可能です。

シェア拡大

同業種間でM&Aを行う場合、時間をかけずにシェアを拡大することができる点もメリットです。売り手側の保有するシェアがM&A後はそのまま買い手側のシェアとなるので、売り手側の保有シェアが大きいほどメリットが大きくなります。

人材確保

業界全体が慢性的な人材不足である障害福祉サービス事業にとって、M&Aによって売り手側の人材を獲得できるのは非常に大きなメリットです。

新規で人材を確保する場合、経験のある有資格者をまとめて獲得するのは難しいことも多いですが、M&Aであれば売り手側の人材をそのまま取得することができます。

買い手のデメリット

障害福祉M&Aで買い手の障害福祉サービス事業者には、以下4つのデメリットが生じ得ます。

【障害福祉M&Aにおける買い手のデメリット】

  1. 方向性の合意形成が必要
  2. 従業員が流出する可能性
  3. 顧客が流出する可能性
  4. 買収後軌道に乗るとは限らない

M&Aの際は、売り手と買い手でM&A後の経営方針について合意形成が必要となりますが、なかなか方向性が合わない場合はM&A後の経営に支障がでる可能性もあります。

また、買い手の経営方針などに反発が起き、従業員や顧客が流出してしまう可能性もあります。特に、キーマンとなる従業員が流出してしまった場合、スムーズな事業運営が難しくなることも考えられます。

そのほか、買収後の経営がなかなか軌道に乗らないケースも考えられます。特に、経営状態が右肩下がりの状態で買収した場合は、立て直しに苦労する可能性が高くなります。

有料老人ホームのM&A・買収の最新動向については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】老人ホーム業界のM&A動向!会社売却のメリットや事例14選を徹底解説【2023年最新】

障害者福祉サービスのM&A・事業譲渡を行う流れ

障害者福祉サービスのM&A・事業譲渡を行う流れは以下です。
 

①M&A仲介会社・M&Aの専門家に相談

まずは、M&A仲介会社・専門家に相談しましょう。

M&Aは自分で進められるものではなく、多くの専門的知識を必要とします。また、障害者福祉サービス特有の取り決めなどもM&Aで考慮しなければなりませんので、必ずM&A仲介会社か専門家に相談をしてください。

②M&A先の選定・交渉

M&A仲介会社や専門家に希望条件を伝えることで、M&A先の選定とその交渉を行ってくれます。

候補先をリストアップしてくれたりとM&Aに必要なことは全てサポートしてくれるでしょう。M&A先の選定は時間をかけて、そして交渉もお互いの信頼関係の元に成り立つものなので時間をかけていきましょう。

③トップ同士の面談

M&Aは買収・売却側の企業のトップ同士の面談が必要です。

例えば、お互いの経営理念を確かめたり売却しても大丈夫な企業先かどうかを見極めたりします。どうしても書面だけでは伝わりにくい部分がありますのでトップ同士の面談ですり合わせを行うのが一般的です。

④基本合意書の締結

トップ同士の面談後、お互いがM&Aに前向きである場合は基本合意書を締結します。

基本合意書の締結がM&Aの成約につながるわけではありません。あくまでも「これからM&Aを進めていきます」という証明書になっており、価格やスケジュール・デューデリジェンスへの協力義務などあらゆる情報が記載されています。ちなみに、一部内容を除き法的拘束力はありません。

⑤買収側によるデューデリジェンスの実施

M&Aにおいて最も大事なフェーズであるデューデリジェンスを行います。

デューデリジェンスは売却側の企業に税務・法務などの面で問題がないかを確認する大切なプロセスです。デューデリジェンスの結果によってはM&Aの条件や価格そのものが大きく変動することもありますし、最悪のケースだとM&A自体が破談します。

⑥最終契約書の締結

デューデリジェンスで特に問題点が無ければ、最終契約書の締結へ進みます。

最終契約書には譲渡金額・対象や表明保証、クロージングの前提条件などが記載されており、全ての項目において法的拘束力が生じます。一方的に契約を破棄した場合は損害賠償にもつながる恐れがあります。

⑦クロージング

M&Aにおけるクロージングとは、最終契約書の内容に沿ってヒトモノカネが移動することをいいます。

株式譲渡のM&Aの場合は売り手の株式が買い手へ譲渡され、買い手はその対価を売り手へ支払います。最終契約書の締結の段階でクロージングの方法や条件が取り決められているのが一般的です。

⑧統合プロセスを実施する(買い手側)

M&Aはトップ同士が契約書を締結して終わるものではなく、統合プロセスを実施する必要があります。

統合プロセスにはハード面・ソフト面が存在しており、業務・情報システムの統一や企業理念の浸透プロセスが含まれています。特にソフト面は従業員に新しい企業理念を浸透させる必要があるため多くの時間を要します。しかし、焦ってすぐに進めようとすると離職につながりますのでゆっくり時間をかけて浸透させていく必要があります。

障害福祉M&Aの注意点6選

障害福祉業界でM&Aを実施する際は、どのような点に注意して進めてけばよいのでしょうか。この章では、特に意識すべき6つの点を順に解説します。
 

1.譲渡方法を検討する


障害福祉業界でM&Aを実施する際は、譲渡方法をよく検討する必要があります。主な譲渡方法には、法人譲渡と事業譲渡の2つがあります。

法人譲渡

法人譲渡とは、会社の経営権自体を譲渡するM&A手法です。株式会社が運営している場合は株式譲渡によって障害福祉施設運営会社ごと譲渡し、一般社団法人やNPO法人の場合は理事を変えることで経営権を移すことになります。

法人譲渡は手続きがしやすいうえ、組織体制にも大きな影響を与えることなくM&Aを進めることができます。

ただし、買い手は法人の経営権ごと買い取るので、しっかりとデューデリジェンスを行わないと、簿外債務などの思わぬリスクを被る可能性があります。

事業譲渡

事業譲渡とは、事業を個別に譲渡するM&A手法です。例えば、売り手の株式会社が障害福祉サービス以外にも事業を営んでいる場合、障害福祉サービス事業を会社から切り離して買い手へ譲渡することとなります。

事業譲渡は必要な事業だけを譲渡できる柔軟さが魅力ですが、譲渡する事業の規模が大きいほど手続きの負担が大きくなりがちです。

2.財務状況だけで判断しない

障害福祉サービス事業の良し悪しは、財務状況だけで判断できるものではありません。

M&A時点での財務状況がよくても、肝心の人材や顧客が流出してしまってはM&Aが失敗する要因となるので、人員の配置体制や設備要件などにも注意してM&Aを判断する必要があります。

3.人材の残留は重要

障害福祉サービス事業のM&Aにおいて、管理責任者や有資格者が残留してくれるかどうかは、事業の運営自体に関わる重要なポイントです。

従業員が不安を感じずに納得してもらえるよう、M&A手続きを計画的に行わなければなりません。そのためには、売り手と買い手双方の協力関係と信頼関係が重要です。

4.人員の配置体制に注意

障害福祉サービス事業を営む場合は、定められた人員配置体制を満たしていないと減算となってしまいます。

特に、人員の配置体制のキーマンとなる人材には残ってもらわないと、事業の継続にも支障がでる可能性があります。

人員の配置体制を万全の状態に保つには、M&Aの初期からM&A後まで一貫した戦略を構築して進めていくことが重要です。

5.減算と加算に注意する

人員配置体制加算とは、充実した従業員配置体制を構築している場合に加算される単位のことです。

人員配置体制加算の単位が多いほど、障害福祉サービス事業で得られる報酬が増えることとなりますが、人員配置体制が満たされていないと減算となり、障害福祉サービス事業で得られる報酬も減ってしまいます。

6.設備要件にも注意する

人員配置体制だけでなく、設備要件にも注意が必要です。障害福祉サービス事業を営むには、行政から設備要件についても承認を得なければなりません。

しかし、売り手も気がつかないうちに設備要件を満たさなくなっている場合があるので、売り手側が大丈夫だと言っていても、念のために確認しておく必要があります。

【関連】会社売却・バイアウトの成功/失敗事例10選!手法や手続き、注意点も解説

障害者福祉サービスのM&A・事業譲渡案件を探す方法

障害者福祉サービスのM&A・事業譲渡案件を探す際は、M&A仲介会社に相談するのが一般的な手段です。M&Aマッチングサイトでも案件自体は探せるものの、その後の手続きを進めていくうえでサポートを得たい場合は、別途サービスの依頼費用がかかるため注意しましょう。

M&A案件探しからクロージングまでスムーズに進めたい場合は、はじめからM&A仲介会社に相談することが望ましいです。

障害福祉事業のM&A事例

ここでは過去に実施された障害福祉事業のM&A事例を紹介します。

manabyがスタンディから「manaby山形事業所」を譲受

2024年7月、障害者就労支援を手掛けるスタンディは、福島県郡山市のmanabyから就労移行支援事業の事業所「manaby山形事業所」を譲受すると発表しました。

manabyは東北・関東・関西地区において障害者就労支援事業所40施設(フランチャイズを含む)を運営しています。

manabyは事業譲受により就労支援事業サービスの提供エリア拡大、ノウハウを持つ人材を獲得することで事業成長につながると判断し本M&Aに至りました。

参考:事業の譲受に関するお知らせ

エルサーブがAKより障がい者グループホーム事業を譲受

2023年11月、QLSホールディングス傘下で保育事業や障がい福祉サービス事業を手掛けるエルサーブは、沖縄県那覇市で障がい者グループホーム事業や農園事業を行うAKから障がい者グループホーム「g-port」を譲受すると発表しました。

今回のM&Aは沖縄地区におけるサービス提供エリアの拡大が主な目的です。「g-port」事業の譲受により、QLSホールディングスが運営する施設数は九州・沖縄地区でトップクラスとなり、今後は人的リソースの相互活用など同業の優位性を生かして連携を図り持続的な成長を目指すとしています。

参考:当社連結子会社における一部事業譲受に関するお知らせ

アイドマ・ホールディングスとGotoschoolの資本業務提携

2022年12月、営業支援・経営支援などを手掛けるアイドマ・ホールディングスは、障害児通所支援事業を行う東京都渋谷区のGotoschoolと資本業務提携契約の締結ならびに第三者割当増資の引き受けを決定したと発表しました。

アイドマ・ホールディングスは、リモートワーカーによる経営サポートサービス「Crowd Members」や、主婦向け在宅ワーク求人サイト「mama works」などを運営するグループです。

Gotoschoolは、児童発達支援施設や放課後等デイサービスを運営しており、今回の資本業区提携によりアイドマ・ホールディングスはは自社のノウハウを生かし、Gotoschoolは行う就労支援事業の発展をアポートし、就労支援プログラムの共同開発なども進めていくとしています。

参考:株式会社 Gotoschool との資本・業務提携に関するお知らせ

朝日インテックによるフィカスへのM&A

朝日インテックは2018年、障害福祉サービス事業を営むフィカスを株式譲渡契約により子会社化すると発表しました。

フィカスは就労継続支援A型の認定を受けて、障害福祉サービス事業を営んでいる名古屋市の会社です。就労継続支援A型とは、障害者と雇用契約を結んで雇用機会を提供する支援事業のことです。

朝日インテックは、フィカスを子会社化することで障害福祉分野でさらに社会貢献ができると判断しM&Aに至っています。

フィカス株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

ケア21グループとウィザスの業務提携

ケア21は、2015年、通信制高校や学習塾を展開しているウィザスと業務提携を結んだことを発表しました。

ケア21グループは介護事業や就労継続支援A型事業を展開しており、ウィザスと業務提携することで子どもや障害者、高齢者を大事にする事業を育てていくとしています。

参考:株式会社ケア21との事業提携契約に関するお知らせ
 

ケア21グループによるまごの手サービスへのM&A

2015年、ケア21グループは障害児サービスなどを展開しているまごの手サービスを株式譲渡契約により子会社化することを発表しました。

ケア21グループは介護事業や就労継続支援A型事業を展開しており、まごの手サービスを子会社化することで、障害福祉サービス事業の強化を図っています。

参考:有限会社まごの手サービスの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

障害福祉事業のM&A成功ポイント

法人外への対価性のない支出

社会福祉法人の場合、法人外への対価性のない支出は認められていないため、M&Aを行う際は注意が必要です。そのため、対価を決定する際は事業を適切に評価しなければなりません。

具体的に売り手側・買い手側が注意すべきポイントはそれぞれ以下のとおりです。

  • 売り手側:譲渡対象事業の価値について見積りを行い、それ以上の対価でない場合は法人外への資金流出(対価性のない支出)とみなされる。
  • 買い手側:譲受対象事業の価値について見積もりを行い、それ以下の対価でない場合は法人外への資金流出(対価性のない支出)とみなされる。

行政との調整

社会福祉法人がM&Aによって第三者へ事業を譲渡する場合、所轄庁での承認を得なければなりません。そのほかに、独立行政法人福祉医療機構あるいは金融機関からの借入・債務に関する手続なども必要となるケースが多いです。

行政への事前相談および協議はM&A手続きと並行して進めていく必要があるので、行政機関との調整を図りつつ進めていかなければなりません。

また、社会福祉法人が事業譲渡スキームを使用する場合、売り手側は使用施設の廃止手続きが必要となるため、こちらについてもスケジュールに組み込んでおくことが必要です。

従業員や利用者への説明

事業譲渡スキームの場合、従業員の雇用や利用者のサービス契約は包括的に引き継がれるわけではないため、従業員と利用者は新たに買い手側と契約を結びなおす必要があります。

どちらも買い手にとって引継ぎが重要となる場合が多いため、混乱や離職を防ぐためにも従業員や利用者にはしっかり説明しておくことが重要です。

なお、売り手側の従業員を買い手側へ引き継ぐ場合、原則としてM&A前の労働条件を維持するかたちとなるため、もし労働条件の変更を行うのであれば、事前に個々の従業員から同意を得ておく必要があります。

デューデリジェンスの徹底

障害福祉業界でM&Aを成功させるにはデューデリジェンスが重要です。デューデリジェンスとは、買収監査のことで、買い手が買収に伴うリスクなどを調査・判断するプロセスです。

前述のように、障害福祉サービスのM&Aには業界特有の注意点があるので、しっかりとチェックしないままM&Aを終えてしまうと、買い手はさまざまなリスクを抱えることになります。

デューデリジェンスは、M&Aと障害福祉業界に詳しい専門家に依頼して、しっかりと行う必要があります。

M&A仲介会社との相談

障害福祉業界でM&Aを成功させるには、業界特有の事情に精通した専門家によるサポートが欠かせません。

M&A総合研究所では、豊富な経験を持ったアドバイザーが専任に就き、ご相談からクロージングまでM&Aを丁寧にサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)

無料相談は随時受け付けておりますので、障害福祉のM&Aでお悩みの際は、M&A総合研究所までお気軽にご相談ください。

障害者施設 ・就労継続支援施設のM&A・事業承継ならM&A総合研究所

障害福祉のM&A動向まとめ

障害福祉業界は、大手企業のM&Aによる規模拡大、新規事業者の参入などにより、中小規模の事業者にとってはさらに厳しい競争になることも予測されます。

廃業を選択するのは難しい業種ですが、M&Aを行うことで多くのメリットを享受することもできます。

【障害福祉M&Aのメリット・デメリット】

  メリット デメリット
買い手 ・施設ごと取得できるので初期投資を抑えられる
・経験のある従業員を確保できる
・顧客がいる状態で運営を始められる
・はじめから利益が見込める
・方向性の合意形成が必要
・従業員が流出する可能性
・顧客が流出する可能性
・買収後軌道に乗るとは限らない
売り手 ・売却益が得られる
・先行き不安の解消
・業績の改善
・事業承継問題の解決
・地域の障害福祉サービス事業者不足の解決
・施設運営の方向性が変わる可能性
・経営陣・従業員が流出する可能性
 
【障害福祉M&Aの注意点】
  1. 譲渡方法を検討する 
  2. 財務状況だけで判断しない 
  3. 人材の残留は重要 
  4. 人員の配置体制に注意 
  5. 減算と加算に注意する 
  6. 設備要件にも注意する 

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この記事では、海運業界の動向を説明したうえで、海運業界でM&Aを行うメリットを解説していきます。近年のM&A・売却・買収事例も紹介して、M&A動向についても紹介していきま...

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