2023年1月10日更新業種別M&A

WACC(加重平均資本コスト)とは?意味や計算式・分析方法など徹底解説!

WACC(加重平均資本コスト)とは、株主へ支払うコストと、借入にかかるコストを加重平均したものです。WACCを理解していないと、信用性に関わるトラブルが発生する可能性があるため理解が必要です。本記事ではWACCの意味や計算式、分析方法に関して解説していきます。

目次
  1. WACC(加重平均資本コスト)とは
  2. WACC(加重平均資本コスト)の計算方法
  3. WACC(加重平均資本コスト)の活用・分析方法
  4. WACC(加重平均資本コスト)とDCFの関係
  5. WACC(加重平均資本コスト)は価値評価判定で用いられている指標!
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WACC(加重平均資本コスト)とは

WACC(加重資本平均コスト)とは、Weighted Average Cost Captialの略語で、株主へ支払うコストと、借入にかかるコストを加重平均したもので、企業価値を評価するうえで大切な指標です。
WACCは、起業をする際や新しい事業を立ち上げる上で資金作りとして大切な知識のひとつです。
また、起業や新事業を立ち上げる際に解消したい問題のひとつでもあります。
会社を経営するに当たってWACCの意味は理解しておきたい用語になるので、理解を深め活かせるようにしていきましょう。

WACC(加重平均資本コスト)の意味

WACC(加重平均資本コスト)の意味とは、「株主へ支払うコスト」と「借入にかかるコスト」と説明しました。
例えば、資金を調達するには社責や借入による方法と株式を発行する方法がありますが、利息や配当の支払いといったコストが発生します。
調達した資金で新たなビジネスに投資を行う場合、調達にかかるコスト以上の利益を出さないと、株主が期待する配当や銀行への利息の支払いが滞ってしまう可能性が考えられます。そのため、資金調達を行い新しい事業を始めるのであれば、その収益率は必ずWACCを超えなければなりません。
また、この株主へ支払うコストのことを「株主資本コスト」、借入にかかるコストのことを「有利子負債コスト」といいます。
この2つのコストについて詳しく解説していきます。

株主資本コスト

WACC(加重平均資本コスト)のひとつ株主資本コストとは、株主に支払うコストです。
株主資本コストの計算は難しく、資本の出し手である株主は、キャピタルゲイン(株価の上昇益)とインカムゲイン(配当)の両方を期待していると考えられます。
そのため、なるべく合理的に考える計算を行うのですが、方法はいくつか考案されており、その中でも有名なCAMPがおすすめです。
CAMPとは、Capital Asset Pricing Modelの略語で、資本資産価格モデルといい、株主市場全体に求められるリターンに個別銘柄のリスク係数を掛け合わせたものです。
一般的に、株主資本コストの目安は7〜8%前後と考えられています。

有利子負債コスト

WACC(加重平均資本コスト)のひとつ有利子負債コストとは、社債発行による利息や金融機関からの借入により発生する利息のことです。
利息は契約時点で確定しており、現時点で適用されている金利を用いるケースが多くなります。
業種や企業規模によって異なりますが、平均的には2%前後となる可能性が高いです。
また、利息がかかることは、企業にとって解消しておきたい問題でもあります。

WACC(加重平均資本コスト)の計算方法

ここからは、WACC(加重平均資本コスト)の計算方法について解説していきます。
WACC(加重平均資本コスト)の計算式は以下の通りです。

WACC(加重平均資本コスト)=rE×E/(E+D)+rD(1ーT)×D/(E+D)

rE=株主資本コスト
rD=負債コスト
E=株主資本
D=負債
T=実効税率

上記の式は、E/(E+D)の部分が株主資本の重要度、D/(E+D)の部分が負債の重要度を示しています。
それぞれの重要度の割合ごとに各コストをかけて、合計値を求めることで、実態に即した値を算出できる計算式となっているのです。

株主資本コストを求める

ここからは、WACC(加重平均資本コスト)の計算手順について解説していきます。
WACC(加重平均資本コスト)の計算手順のステップ1では株主資本コストを求めます。
株主資本コストは、株主の期待収益率のことを指しますが、一般的にはCAMPという理論に基づいて算定することがほとんどです。
CAPMによる算定式は以下の通りです。

rE=R1=RF=β1(RMーRF)

R1=ある会社への投資の期待収益率
RF=リスクフリーレート
β1=ベータ値
RM=マーケットリスクプレミアム

ベータ値とは、株式市場全体に投資するリスクと比較して、ある個別の株式に投資するリスクがどれくらいあるのかを示す係数であり、期待されている収益率の変動の程度を示す値です。
対象株式のリスクが、マーケット全体への投資と同程度の場合、β=1となります。
リスクフリーレートとは、リスクがほとんどない状態で株主が求める期待収益率を指し、10年国債の利率0.04%という数字を用いるのが一般的です。
マーケットリスクプレミアムとは、株式市場全体に投資を行う場合に、株主がリスクフリーレートに加えて求める期待収益率のことです。

負債コストを求める

WACC(加重平均資本コスト)の計算手順のステップ2では、負債コストを求めます。
負債コストとは、借入金の利率を用いるのが一般的です。
ただし、利息分が費用計上されることによる法人税などの減免効果があるため、その分も加味して算定する必要があります。
負債コストの計算式は以下の通りです。

r(実効税率影響後の負債コスト)=rD(1ーT)

T=実効税率
rD=借入率

株主資本コストと負債コストを加重平均する

WACC(加重平均資本コスト)の計算手順のステップ3では、株主資本コストと負債コストを加重平均します。
仮に負債=株主資本の利用比率が2:1であると想定します。
その場合、WACC(加重平均資本コスト)は以下のようになります。

WACC(加重平均資本コスト)=4×1/3 + 1.2×2/3=2.133…(%)となります。
 

WACC(加重平均資本コスト)の活用・分析方法

ここからは、WACC(加重平均資本コスト)の活用方法と分析方法について解説していきます。
WACC(加重平均資本コスト)は、資本調達にかかる加重平均コストですが、ハードル・レートとも言えます。
設備投資の経済性評価や企業価値を算定するDFC法などでも、WACC(加重平均資本コスト)は活用されています。
DFC法とは、Discounted Cash Flowの略語で、事業が生み出す期待キャッシュフロー全体を割引率で割引いて企業価値を算出する方法です。
また、DFC法はM&Aや企業買収のときに、企業価値を評価する代表的な指標です。

WACC(加重平均資本コスト)の活用方法

WACC(加重平均資本コスト)の活用方法について解説していきます。
WACC(加重平均資本コスト)は、企業の設備投資判断において重要な役目を担います。
活用方法を理解することで、投資におけるリスクを解消できる確率が上がります。
設備投資とは、企業が事業のために使用する設備に対して行う投資のことです。
工場や建屋といった固定さんが中心ですが、Webサイトやソフトウェアなどの無形固定臣さんも該当します。
設備の新設や増設、省エネ、合理化、安全対策、品質向上など目的はさまざまですが、設備に対する投資は企業の競争力に直結する大事な役割です。
設備投資は、多額の資金が必要であり、資金の回収期間、予測される収益と現在価値、合理化効果などを慎重に検討することが重要になります。
投資の意思決定には、NPV(Net Present Value=正味現在価値)法が良く使用されています。
NPVとは、投資金額に対して将来期待できるリターンの現在価値が上回るかどうかを計算するものです。
将来リターンの現在価値が上回れば、その投資はプラスのキャッシュフローを時間的な価値を考慮し、割引いて現在価値を算出しますが、この割引率にWACC(加重平均資本コスト)が使用されます。
WACC(加重平均資本コスト)は企業が資金を集めるために必要なコストであり、設備投資に求められる資金にも同様のコストが発生しています。
WACC(加重平均資本コスト)を上回れない投資であれば、トータルキャッシュフローは赤字となるため、その投資は行うべきではないと考えることができるのです。
実際の実務では、「環境対策」「安全対策」「品質対策」「法対応」などに関連する設備投資はWACC(加重平均資本コスト)を下回る場合がありますが、事業継承には必要な投資です。
設備投資全体でWACC(加重平均資本コスト)を上回れるような能力増強やコスト削減など、戦略的な割引率はWACC(加重平均資本コスト)より高く設定されることもあります。

基本的にWACC(加重平均資本コスト)は低い方が良い

WACC(加重平均資本コスト)の分析について解説していきます。
WACC(加重平均資本コスト)は資本調達コストなので、低い方が良いと言えるでしょう。
なぜなら、WACC(加重平均資本コスト)が低ければDCF法で計算される企業価値が高くなり、設備投資のハードル・レートは低くなるからです。
本来、株主資本コストよりも節税効果のある有利子負債コストの方が低いため、有利子負債を増やせばWACC(加重平均資本コスト)は低下します。
実際、有利子負債の多い電力業界や運送業界はWACC(加重平均資本コスト)が低く、有利子負債の少ない医薬品業界や製造業界全般ではWACC(加重平均資本コスト)が高くなる傾向にあります。
WACC(加重平均資本コスト)を下げる観点からは、有利子負債を増やす方が良いのですが、財務的な安全性の点からは問題があると言えるでしょう。
というのも、返済義務のない株主資本が多い資金としての安全性が増すためです。
他に資本コストを下げる方法として、IRによる適切な情報開示を行うことによって、株主のリスクを下げ、要求するリターンを低くすることも考えられます。
企業としては、さらに資本コストが低く、財務の安定性を損なわない最適資本構成を考えることが重要です。
以上のことを考えることで、リスクを解消することができます。
そして、この重要な役割は財務たちが担っています。

WACC(加重平均資本コスト)とDCFの関係

WACC(加重平均資本コストとDCF)の関係性について紹介します。
この2つは企業価値評価をする際、密接に関わる関係性であるため、理解しておく必要があります。
それでは、この2つの関係性について解説していきます。

DCFとは

DCF法とは、Discounted Cash Flowの略語で、事業が生み出す期待キャッシュフロー全体を割引率で割引いて企業価値を算出する方法です。
この方法も、企業価値を示す指標のひとつです。
WACC(加重平均資本コスト)は、企業価値評価を行う際に多く使用されています。
その中でも、企業価値評価で一般的に多く使用されている方法はDCF法です。
将来のキャッシュフローは、企業価値の源泉です。
しかし、同時にかぶぬしの 期待に応え、債権者には利息を払い続ける義務もあります。
そのため、義務を割引くという形で反映させ、正確な企業価値が算定できるように取り計らっているのです。

DCFは企業価値評価を求める方法

それでは、DCF法の企業価値評価を求める方法を紹介します。
DCF法の計算式は以下の通りです。

企業価値=企業が生み出すフリーキャッシュフローの期待値をWACC(加重平均資本コスト)で割引いた現在価値

企業が生み出すキャッシュフローとは、最終的に債権者と株主に分配可能なキャッシュフローのことです。
一般的にはフリーキャッシュフローと呼ばれています。
フリーキャッシュフローという言葉は、株主に分配可能なキャッシュフローのみを示す場合もあり、間違われやすいので注意が必要です。

WACC(加重平均資本コスト)は価値評価判定で用いられている指標!

WACC(加重平均資本コスト)は、企業価値を評価する際に必要な指標です。
会社を立ち上げたり、新規事業を始めるときに資金調達が必要な場合があります。
そこで、どれだけのコストがかかるかを事前に計算することが必要です。
全く計算をしないで株主や金融機関から借入をし、利子のことを考えず事業を始めてしまうと、返済義務があることを知らずトラブルが起きる原因になる可能性が考えられます。
このようなトラブルが起きてしまうと、信頼性が損なわれ、社会的信用度が落ち、最悪の場合、資金調達ができなくなってしまう可能性があります。
リスクを少しでも解消できるよう、WACC(加重平均資本コスト)について理解しておきましょう。

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