M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年3月16日公開業種別M&A
WEBサイトのM&A動向!売却・買収事例や流れと注意点も解説!
WEBサイトを売買するM&Aの動きはここ数年拡大傾向にあり、多くの規模や種類のWEBサイトがM&A市場に投入されています。この記事では、WEBサイトをM&Aするメリットや実際に売却された事例などを解説します。
目次
WEBサイト業界の動向
WEBサイト業界を含むIT業界全体の業績は右肩上がりの上昇トレンドとなっていて、業界動向サーチの分析によると売上の推移は2017年が11.3兆円、2020年が12.9兆円、2022年が15.8兆円となっています。
経済産業省の調査によると、IT業界の中のWEB業界が該当するインターネット付随サービス業の2020年の売上高は3兆4,289円で、前年比8.8%の伸びをみせています。IT化やDX化が進む中で、WEBサイトが果たす役割が今後ますます拡大していくことが予想されます。今後のさらなる成長が期待できる分野です。
参考:業界動向サーチ「IT業界の動向や現状、ランキングなど」、経済産業省「【2021年情報通信業基本調査結果のポイント」
WEBサイト会社をM&Aで売却するメリット
WEBサイトをM&Aで売却するメリットです。
売却利益の獲得と新規事業の立ち上げ
WEBサイトを売却することによって、売却した利益を獲得することができるでしょう。それまで、そのWEBサイトを運営するために投資してきた資金を売却で回収することを目的として、WEBサイトを立ち上げる場合もあります。
売却した資金を元手に、以前よりも更に大きな規模で新しい事業を立ち上げることも可能です。WEBメディアの立ち上げと売却に成功したという経験は、大きな信用となり、資金調達に有利になる場合もあります。
従業員の雇用の継続
WEBサイトの運営が芳しくないからといって、そのサイトを閉鎖してしまうと、それまでそのWEBサイトの運営に関わってきた従業員が失職してしまいます。
M&Aで売却することができれば、今まで育ててきたメディアの存続を図ることができるだけでなく、運営に関わってきた従業員の雇用も維持することが可能です。従業員の生活を守る責任を果たすには、WEBサイトを閉鎖するよりも、M&Aによる売却をしてサイトの存続を選ぶのもひとつの方法と言えるでしょう。
事業の拡大
M&Aの選択肢としては、大手企業の傘下に入るという方法もあります。ブランド力が大きい大手企業の子会社となれば、親会社のブランド力や資本、技術などを活用して、より事業を発展させていくことができるでしょう。
子会社になると、今までと同じような自由な運営はできなくなりますが、事業をより大きく発展させられる可能性は広がります。
WEBサイト業界のM&A・売却・買収事例7選
WEBサイト業界でのM&Aの売却と買収の事例を紹介します。
日本テレビホールディングスがla belle vieを子会社化した事例
2023年4月に日本テレビホールディングス株式会社から、ファッションECサイトの大手であるla bella vie株式会社の全株式を取得して、完全子会社化するM&Aを実施したことが発表されました。
日本テレビホールディングスは日本テレビ、BS日テレ、CS日本3社の持株会社です。la bella vieは生活者にとって優良な商品をお手頃価格で提供してきた、ファッションECサイトでは確固たる地位を築いている大手サイトです。
このM&Aにより、la bella vieが持つITの知見を活用して、日本テレビグループ全体での物販事業の強化を目指すとのことです。
参考:日本テレビホールディングス株式会社「la bella vie株式会社の株式取得に関するお知らせ」
INCLUSIVEがJコミックテラスを子会社化した事例
2023年3月にINCLUSIVE株式会社から、同社の連結子会社である株式会社ナンバーナインが、株式会社メディアドゥが保有する、株式会社Jコミックテラスの全株式を取得して子会社化するM&Aが発表されました。
ナンバーナインは漫画家のためのデジタル配信サービスで、漫画家が持続的に収益を獲得して活動を継続できる環境の構築、「クリエイターエコノミー構想」に取り組んでいます。Jコミックテラスでは、無料で読める電子書籍配信サイト「マンガ図書館Z」を運用して、広告収入などで得た収益を作者に還元しています。
このM&Aにより、「クリエイターエコノミー構想」をより推進して、事業と業界の活性化を図っていくとのことです。
参考:INCLUSIVE株式会社 「当社連結子会社による株式会社Jコミックテラスの株式取得(連結子会社化)に関するお知らせ」
アシロがビッコレを子会社化した事例
2023年3月に株式会社アシロから、株式会社ビッコレの全株式を取得して子会社化するM&Aの実施が発表されました。
アシロは法律に関して悩みを抱える人が適切な専門家に出会うためのリーガルメディアの運営や、法律関連のプロフェッショナル人材の紹介事業などを手掛けている会社です。一方、ビッコレはポイントサイトやFXにおいて、トレーディングアプリなどを運営している会社です。
アシロとしてはビッコレが運用してきたサイトやアプリと、今までに運営してきた自社メディアの親和性が高く、このM&Aにより金融領域のメディア運営に進出できるようになるとしています。
参考:株式会社アシロ「株式会社ビッコレの株式取得(子会社化)に関する株式譲渡契約締結のお知らせ」
ガイアックスがスナップマートを子会社化した事例
2023年2月に株式会社ガイアックスが、スナップマート株式会社の全株式を取得して連結子会社化するM&Aの実施を発表しました。ガイアックスはソーシャルメディアやソーシャルアプリに関する事業を行う会社です。スナップマートはデジタル素材の販売サイトを運営し、企業の商品撮影やプロモーションの支援を行っています。
このM&Aにより、ガイアックスはスナップマートのクリエイターエコノミー領域における強みを獲得でき、今後のSNS運営支援事業のさらなる成長に活かせるとしています。
参考:株式会社ガイアックス「子会社の異動を伴う株式取得(連結子会社化)及び債権譲受に関するお知らせ」
ワイ・インターナショナルがcymaの全株式を取得した事例
2022年12月に株式会社ワイ・インターナショナルが、株式会社cymaの発行済全株式を2023年3月付で取得するM&Aを発表しました。
ワイ・インターナショナルは全国に32店舗の日本最大級のスポーツ自転車専門店ワイズロードを展開しています。cymaは自転車専門の通販サイトで、組み立て済みの自転車を通販で購入できるECサイトとして年間売上1位を獲得しています。
このM&Aにより、ワイ・インターナショナルとしてはcymaが持つ自社整備工場での高度な組み立て検品技術とWEBマーケティングのノウハウを更に進化させることができるとしています。
参考:株式会社ワイ・インターナショナル「株式会社 cyma の株式譲受について」
クラウドワークスがPeaceful Morningを子会社化した事例
2022年9月に株式会社クラウドワークスが、Peaceful Morning株式会社の全株式を取得して子会社化するM&Aの実施を発表しました。クラウドワークスは日本最大級のクラウドソーシング「クラウドワークス」などのオンライン人材マッチングプラットフォームを開発・運営する会社です。
Peaceful MorningはRPA・ローコードによるDXを推進するために、専門メディアの運営や開発者育成サポートなどを行う会社です。このM&Aにより、クラウドワークスとしてはより積極的な事業拡大を図ることができるとしています。
参考:Peaceful Morning株式会社「クラウドワークス、RPAでDXを推進するPeaceful Morning株式会社を子会社化」
カカクコムがPatheeを子会社化した事例
2022年9月に株式会社カカクコムが、株式会社Patheeの全株式の70.3%を取得して子会社化するM&Aを発表しました。カカクコムは購買支援サイト「価格.com」やレストラン予約サイト「食べログ」など多くの一般消費者向けのWEBサイトを運営している会社です。
Patheeは実店舗の情報サイト「Pathee.com」や、小売店向け販促サイト「STORECAST」を運営しています。このM&Aにより、カカクコムとしてはネット上だけでなく実店舗での消費者の購買行動に対して高い付加価値を与えられるようになるとしています。
参考:株式会社カカクコム「株式の取得(子会社化)及び第三者割当増資引受に関するお知らせ」
WEBサイト会社のM&Aの流れ
WEBサイトをM&Aで売却や買収する流れについてみていきましょう。
M&A仲介会社を利用する場合
WEBサイトをM&Aで売却したり買収したりする場合には、M&Aの仲介会社に依頼することができます。M&Aの仲介会社にはあらゆる業界のM&A全般に関する専門家がいるので、適切な相手とのマッチングやM&Aの手続きをすべてサポートしてもらえます。
売却側と買収側の間に入って、双方の要望をまとめた上でマッチングしてもらえるので、自分だけで交渉するのに自信がない場合などにおすすめです。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
WEBサイト業界で事業譲渡を適切に行うには、各業界に精通した専門家によるサポートを受けるのがおすすめです。
M&A総合研究所では、M&Aの支援経験豊富なM&Aアドバイザーが専任につき、事業譲渡を丁寧にフルサポートいたします。
また、料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)
無料相談も随時受け付けておりますので、こちらの業界で事業譲渡をご検討の際はM&A総合研究所までお気軽にご相談ください。
マッチングサイトを利用する場合
WEBサイトの売買専門のマッチングサイトに登録する方法もあります。マッチングサイトに売却側が売却したいWEBサイトについて情報を登録して、買収希望者がオファーを出すというのが、マッチングサイトでの流れになります。
基本的に仲介に第三者が立つことはなく、すべて自分で交渉や契約書の作成などを行うのが基本です。
WEBサイト会社でM&Aを行う際の注意点
WEBサイトをM&Aで売買する場合の注意点です。
売却先が見つからない場合がある
知名度が高かったり、閲覧数、視聴者数が多かったりするWEBサイトなら簡単に売却希望者が名乗り出るでしょう。しかし、現在はとても多くのWEBサイトが運営されている中で、売却に出してもなかなか買い手が付かないことも多いのが現状です。
毎年のように多くのWEBサイトが誕生している中で、市場は供給過多気味で、売却側が希望するように売却できるとは必ずしも限りません。
買収価格の算定が難しい
WEBサイトは無形資産です。そのために、不動産や工場の設備機会とは違い、価値の算定がとても難しく、希望する価格で売却できないことがあります。
検索エンジンのアルゴリズムは頻繁に変更されるので、閲覧数が現在は多くても、数カ月後に同じPVを保てる保証はありません。そのために、買収側はリスクを抑えた価格を提示するのが一般的です。
双方の希望価格に沿った売買を実現させるためには、粘り強い交渉が必要になるでしょう。
WEBサイト会社のM&A・事業譲渡まとめ
WEBサイトは供給過多とはいえ、今後も大きな成長が見込まれる分野です。企業が運営している大規模なメディアだけでなく、個人が運営してきた小規模なメディアでも、質の良いWEBサイトなら高額売却の可能性もあるでしょう。
ぜひ、自分が運営しているWEBサイトが売却できそうなものかどうか知りたい場合には、まずはWEBサイトのM&Aを扱っている専門家に相談してみましょう。M&Aの可否について専門的な知見から判断してもらえるはずです。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。