M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年5月27日更新都道府県別M&A
静岡県のM&A・事業承継の動向は?案件例や事例から相談先も紹介!
静岡県で事業承継をお考えですか?本記事では最新のM&A動向、具体的な事例、頼れる相談先を網羅し、専門家が成功のポイントも解説します。
目次
静岡県の経済環境
静岡県の発表によると、静岡県の人口は3,553,518 人(令和5年10月1日現在推計)、2022(令和4)年度の名目県内総生産額は18兆8,590億円でした。東京・名古屋などの大都市に近い地域に位置しており、経済規模が比較的大きいです。
静岡県の主な産業としては、輸送用機械や電気機械(いずれも全国1位)、化学工業が挙げられます。具体的な品目では、ステレオセット、ピアノ、二輪自動車やモータースクーター用の内燃機関などが全国トップの出荷額を誇っています。
静岡県の事業承継・M&A市場の最新動向
静岡県のM&A・会社売却・事業承継の動向を3つのトピックに分けて解説します。
静岡県の後継者不在率は改善傾向も依然課題
静岡県における2023年の後継者不在率は51.9%と過去最低を記録し、前年より1.7ポイント改善しました。後継者問題は引き続き改善の傾向にあります。事業承継適齢期にある60代では、不在率が34.6%となり、3社に1社が後継者を抱えていない状況です。
また、同族による承継が43.5%で依然として最も多いものの、M&Aを含む他の手法が増加しています。後継者候補については、親族および非同族の割合が拡大し、ファミリー承継の割合は減少傾向を示しています。
静岡県における「あきらめ廃業」の実態と背景
静岡県内では、グローバル化の進展や経営者の高齢化、産業構造の変化、深刻な人手不足といった複合的な要因により、多くの中小企業が事業継続の岐路に立たされています。これらは、静岡県内企業の休廃業・解散リスクを高める要因として懸念されています。
帝国データバンクが公表した「静岡県内企業「休廃業・解散」動向調査(2023年)」によれば、2023年における静岡県内の休廃業・解散件数は1,620件(個人事業主を含む)に上りました。特筆すべきは、これらのうち45.5%が「黒字」かつ「資産超過」の状態であったという点です。
このデータから、経営状態は良好であるにもかかわらず、代表者の引退時期に後継者が見つからないために、やむなく休廃業や解散を選択する「あきらめ廃業」のケースが静岡県内で多く発生している可能性が強く示唆されます。
静岡県のM&A件数の推移
静岡県では県内企業がM&Aを用いるケースが増加しています。買収側は新たな販路や人材の確保、事業の拡大、新事業への進出として、売却側は事業承継やイグジット戦略としてなど、静岡県の企業はさまざまな目的でM&Aを実施しているのです。
レコフの調べによると、過去4年間に静岡県企業が関わったM&A件数の推移は以下のようになっています。
- 2018(平成30)年:61件
- 2019(平成31、令和元)年:62件
- 2020年:58件
- 2021年:75件
- 2022年:76件
中部地方のM&A・会社売却・事業承継については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
静岡県近郊のM&A・事業承継の案件例
弊社M&A総合研究所が取り扱っている静岡県近郊のM&A・事業承継の譲渡希望の案件例をご紹介します。
①【医療法人/出資持分なし/業歴10年超】静岡県の耳鼻咽喉科クリニック
耳鼻咽喉科クリニックを運営している企業です。医師1名、看護師3名が在籍しています。
地域に密着し10年超の実績があり、当地では知名度を持っています。
売上 | 5000万円〜1億円 |
営業利益 | 1000万円〜5000万円 |
総資産額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡希望価格 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
②【地域密着】静岡県のタクシー会社
静岡県に拠点を構えるタクシー会社です。地域の交通インフラとして地域住民や観光客に対してサービスを提供しています。
地域の交通インフラを長年支え続けており、地域住民からの信頼が厚いです。安全意識の高いベテランドライバーが多数在籍しています。
売上 | 5000万円〜1億円 |
営業利益 | 〜1000万円 |
総資産額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡希望価格 | 4,500万円(応相談) |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
③【東海地方×不動産売買、仲介業】地元で厚い信頼
東海地方で不動産売買、仲介業を営む企業です。東海地方の不動産仕入れに強みを持っており、不動産売買で高利益を確保しています。
反響営業のみで新規顧客を獲得しており、今後営業体制強化により更なる売上拡大が見込めます。
売上 | 5000万円〜1億円 |
営業利益 | 1000万円〜5000万円 |
総資産額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡希望価格 | 5000万円〜1億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
④【東海エリア/高収益/無借金経営】 総合設備工事・メンテナンス業
大型施設関連の総合設備工事及びメンテナンス事業を営む企業です。ゼネコンまたはサブコンの立ち位置でありながら、少数精鋭で自社施工にも対応可能です。
大型案件には協力外注先とチーム体制で取り組むことができます。
売上 | 1億円〜2.5億円 |
営業利益 | 5000万円〜1億円 |
総資産額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望価格 | 3億円(応相談) |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
静岡県における事業承継・M&Aの注目事例5選
静岡県の事業承継・M&A事例をピックアップしてご紹介します。
①NTTグリーン&フードによる海幸ゆきのやの事業承継・M&A
2024年8月1日、NTTグリーン&フード(東京都千代田区)は、関西電力から海幸ゆきのや(静岡県磐田市)の全持分を取得し、完全子会社化しました。
NTTグリーン&フードは魚介類や藻類の品種改良や生産、サステナブルな陸上養殖システムの研究開発を行う企業です。一方、海幸ゆきのやは養殖設備の運営や水産物の製造・販売を手掛けています。
今回のM&Aにより、NTTグリーン&フードは、国内最大規模の養殖エビの陸上養殖施設を保有する企業となります。関西電力のDX技術とNTTのIoTやAI技術を融合し、スマートな陸上養殖の実現を目指し、環境に配慮したサステナブルなシーフードの提供を強化していく予定です。
②AFC-HDアムスライフサイエンスによるラビット急行の事業承継・M&A
2024年7月29日、AFC-HDアムスライフサイエンスは、ラビット急行(静岡県浜松市)の全株式を取得し、グループ会社化することを決定しました。
ラビット急行は貸切バス事業と旅行業を営み、子会社のラビットトラベル株式会社も国内旅行業を行っています。AFC-HDアムスライフサイエンスは、健康食品や化粧品の製造販売を主軸とし、不動産開発や観光事業にも注力している企業です。
本件M&Aにより、ラビット急行のバス運行やドライバーの経営資源を活用し、AFCツアーズとのシナジーを追求して、さらなる事業成長を目指します。
③MINEZAWAによる古橋の事業承継・M&A
2024年7月22日、MINEZAWA(愛知県岡崎市)は、古橋(静岡県浜松市)の発行済全株式を取得し、完全子会社化しました。
MINEZAWAは機械工具や配管資材の販売を行い、古橋は工作機械や切削工具などの工場用品を販売しています。古橋は、自動車業界の脱炭素化・電動化・自動化の進展に伴い、新たな商材や販路の拡大を図る一方で、人材確保や後継者不在などの課題を抱えていました。
これらの課題を解決するため、M&Aによる株式譲渡を選択した結果、今回の完全子会社化が実現しました。
④アルコニックスによる富士根産業の事業承継・M&A
2020年11月、アルコニックスは、静岡県沼津市の富士根産業の株式を追加取得して子会社化すると発表しました。本件M&Aの取引価額は3億8,600万円です。
買収側のアルコニックスは、東京都に本社を置く商社・メーカーで、非鉄金属製品などを取り扱っています。対する売却側の富士根産業は、空調機器向けの配管部品メーカーです。主に、冷凍・空調機器製品に使われる各部品を製造しています。
本件M&Aの目的は、グループ内の金属加工に関する製販一体の事業体制の整備およびグローバル展開の実現です。
⑤TOKAIホールディングスによるイノウエテクニカの事業承継・M&A
TOKAIホールディングスは2020年11月、イノウエテクニカの全株式を取得し完全子会社化しました。本件M&Aの取得価額は公表されていません。買収側のTOKAIホールディングスは、静岡県静岡市に本社を置く持株会社です。
グループ企業には、石油・LPガスなどのエネルギー関連事業を行っているTOKAIや、ケーブルテレビやインターネット接続サービスなどの事業を行っているTOKAIコミュニケーションズなどを抱えています。
対する売却側のイノウエテクニカは、静岡県東部でビルメンテナンス事業を展開している企業です。本件M&Aの目的は、静岡県内でのビルメンテナンス事業の拡大にあります。
愛知県の事業承継・M&Aの動向については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
静岡県で事業承継を成功させるための4つのポイント
静岡県内で事業承継を円滑に進め、成功に導くためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、特に押さえておきたい4つの要素について解説します。
1. 早期からの準備と計画的な情報収集の徹底
事業承継は一朝一夕に成し遂げられるものではありません。後継者の育成や選定、自社の現状分析、承継方法の検討など、多くの準備期間を要します。静岡県内の市場環境や支援制度に関する情報収集も早期から計画的に行い、余裕を持ったスケジュールで進めることが成功の第一歩です。
2. 適正な企業価値評価と客観的な現状把握
事業承継を具体的に進めるにあたり、自社の企業価値を客観的かつ適正に評価することが不可欠です。これにより、M&Aにおける譲渡価額の目安となったり、相続・贈与の際の評価額の基準となったりします。専門家によるデューデリジェンス(企業調査)を通じて、財務状況だけでなく、強みや弱み、将来性などを多角的に把握しましょう。
3. 信頼できる専門家との連携と最適な承継スキームの選択
事業承継には、法務、税務、財務など多岐にわたる専門知識が求められます。静岡県内の事業承継に詳しいM&A仲介会社、税理士、弁護士、中小企業診断士などの専門家と早期に連携し、自社に最適な承継スキーム(株式譲渡、事業譲渡、合併など)を選択することが重要です。専門家は、複雑な手続きをサポートし、リスクを最小限に抑える助けとなります。
4. 従業員・取引先・金融機関への丁寧なコミュニケーション
事業承継は、経営者だけでなく、従業員や取引先、金融機関など多くのステークホルダーに影響を与えます。承継のプロセスや新しい体制について、適切なタイミングで丁寧な説明とコミュニケーションを心がけることが、承継後の事業の安定と成長に繋がります。特に、静岡県内での長年の信頼関係を維持するためにも、誠実な対応が求められます。
事業承継・M&A時におすすめの相談先3選
静岡県での事業承継・M&A時におすすめの相談先を3つご紹介します。
①金融機関
近年、多くの金融機関がM&A支援体制を強化し、専門部署を設ける動きが加速しています。特に、投資銀行部門を持つ大手銀行や一部の地方銀行は、ファイナンシャルアドバイザー(FA)としてM&Aプロセスにおいて中心的な役割を果たすことが増えています。
M&Aの実行において、金融機関の関与は不可欠と言えます。買い手にとっては、買収資金の調達に関する相談が必須であり、通常は既存の取引金融機関が最初の相談窓口となるでしょう。
金融機関に相談する主なメリットは、M&Aに必要な資金調達(デットファイナンスやエクイティファイナンス等)に関する専門的なアドバイスやサポートを受けられる点です。例えば、親族内承継や従業員承継(EBO/MBO)の際に必要となる株式取得資金についても、金融機関の融資や支援が重要な鍵となります。
さらに、M&A専門部署を持つ金融機関であれば、案件のソーシングからクロージングまで一貫したサポートを期待できるほか、必要に応じて弁護士や会計士といった他の専門家を紹介してくれるネットワークも有しています。
一方で、デメリットとしては、大手金融機関の場合、比較的大規模なM&A案件を主に取り扱い、中小企業の小規模な案件には対応が難しいケースがある点が挙げられます。また、多くの場合、買い手または売り手のいずれか一方の立場に立つFA(アドバイザリー)形式でサービスを提供するため、成功報酬が高額になる傾向があることも考慮すべき点です。
②公的機関
最近では、事業承継やM&Aに関する相談が公的機関でも可能となっています。例えば、「事業承継・引継ぎ支援センター」は、中小企業が抱える後継者不足などの問題解決を目的とした公的相談窓口です。
このセンターでは、事業承継やM&Aに関する情報提供、アドバイス、さらには企業間マッチングの支援も行っています。2021年4月に設立され、全国各地で専門家が無料で相談に応じ、中小企業の事業承継をサポートしています。
全国47都道府県に相談窓口が設置されており、地方の企業でも利用しやすいのが大きな利点です。国が運営しているため、無料で公平なアドバイスを受けられる点も大きな魅力です。また、必要に応じてM&A仲介会社や専門家の紹介も受けられ、個人事業主の承継にも対応しています。
ただし、対応の迅速さには限界がある場合があり、民間のM&A仲介会社と比べると、サポート実績や提供サービスに差があることがデメリットとなる可能性もあります。
③M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業の売買に特化してサポートを提供する企業で、売り手・買い手の双方と契約を結び、双方の利益を考慮しながら交渉を進めます。仲介会社は、初期相談から企業の選定、スケジュール管理、企業価値評価(バリュエーション)、書類作成など、M&Aに関するすべてのプロセスを包括的にサポートします。
彼らの役割は、売り手と買い手の要望を調整し、双方が合意できる最適な条件を見つけ出し、スムーズなM&Aを実現することです。
仲介会社の大きな強みは、多くの候補企業から最適な相手を探し出せる点です。これにより、取引双方が納得のいくM&Aを成功させやすくなります。
また、M&Aの経験が少ない企業でも安心して進められるように、仲介会社が継続的にアドバイスを提供し、相手企業との円滑なコミュニケーションをサポートするため、成功の可能性が高まります。
ただし、仲介会社によっては着手金や中間金が発生するため、費用面での負担が懸念されることもあります。費用を抑えたい場合は、成功報酬制を採用している仲介会社を選ぶのが一つの方法です。
静岡県のM&A・会社売却・事業承継に役立つ公的機関4選
ここでは、静岡県のM&A・会社売却・事業承継に役立つ公的機関として、以下の4つを取り上げます。
- 静岡県事業承継・引継ぎ支援センター
- 静岡県よろず支援拠点
- 静岡商工会議所
- 静岡県信用保証協会
①静岡県事業承継・引継ぎ支援センター
静岡県事業承継・引継ぎ支援センターは、国が設置する公的な相談窓口です。中小企業の事業承継やM&Aに関する専門家が、無料で相談を受けつけています。電話で相談の予約を行えて、センターの窓口でアドバイスや情報提供を受けることが可能です。
②静岡県よろず支援拠点
静岡県よろず支援拠点とは、国が全国に設立している中小企業・小規模事業者向けの経営全般相談所です。無料で利用できます。静岡県よろず支援拠点の設置場所は、静岡商工会議所静岡事務所内です。
中小企業診断士・社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーなどが在籍しており、専門的なアドバイスを受けられます。セミナーやイベントも開催しているため、静岡県でM&Aを行いたい場合は活用するとよいでしょう。
③静岡商工会議所
静岡商工会議所は、地域の経済発展に向けて活動している公益経済団体です。主な会員は商工者や企業の経営者であり、相互の助け合い・セミナーの開催などを展開しています。各種相談会も行っているため、静岡県でM&Aを行う際に役立てられるでしょう。
④静岡県信用保証協会
静岡県信用保証協会は、中小企業を金融面で支えている公的保証機関です。各種保証制度を取り扱っており、起業志望者や経営者などを支援しています。保証業務以外にも経営相談を受けつけているので、事業承継やM&Aの相談も可能です。
静岡県のM&A・事業承継のまとめ
静岡県における後継者不在の問題は安心できるものではなく、廃業危機にある中小企業は多いと言えるでしょう。
その有効な解決策がM&Aによる事業承継です。M&Aで事業や会社を売却すると、その買い手が後継者(新たな経営者)となって事業承継が実現します。そして、M&Aを成功させるためには、M&A仲介会社など専門家のサポートを受けることが肝要です。
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