2025年4月24日更新業種別M&A

化学製品卸のM&Aの最新動向は?現状や事業承継事例・相場も紹介

化学製品卸のM&A最新動向・事業承継事例・M&A仲介会社を紹介します。化学製品卸業界でM&Aを行う際の注意点もまとめました。化学業界では、業界再編が続いており、中小化学製品卸企業にもM&Aの波が来ています。M&Aを検討中の方は必見です。

目次
  1. 化学製品卸業界の現状
  2. 化学製品卸のM&Aの最新動向
  3. 化学製品卸のM&A・事業承継事例
  4. 化学製品卸のM&A・売却・買収する際の注意点
  5. 化学製品卸のM&A・売却・買収の価格相場
  6. 化学製品卸のM&A・事業承継に関する相談先
  7. 化学製品卸のM&Aのまとめ

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化学製品卸業界の現状

化学製品卸業とは、合成樹脂や合成繊維、塗料、染料、農薬や医薬品など、さまざまな化学工業製品およびその原材料を取り扱う卸売業のことを指します。

この分野の企業は、多くが化学メーカーであり、単に製品を流通させるだけでなく、自社での製造や研究開発にも力を入れているケースが一般的です。国内の代表的な化学メーカーには、住友化学、富士フイルムホールディングス、三菱ケミカルホールディングス、三井化学、旭化成などがあり、いずれも業界をけん引する存在です。

化学製品卸業界の現状は、以下のとおりです。

  • 市場規模はわずかながら減少している 
  • 景気変動の影響を受けやすい業界
  • 取り扱う製品が違う会社が多い

①市場規模はわずかながら減少している

化学業界全体の需要が減少していることや、付加価値の高い化学製品が生まれにくくなっていること、各国の保護貿易政策などにより、化学製品卸業界は厳しい状況にあります。

化学業界全体で大企業中心に業界再編が続いていますが、今後は化学製品卸業界の中小企業もM&Aによる再編が増加すると見られています。

②景気変動の影響を受けやすい業界

化学製品卸業界は景気変動や世界の動向に影響を受けやすい業界であり、近年は環境・食品・安全がトレンドです。化学製品卸業界の各社は変化していく世界のトレンドに対応するため、ポートフォリオの見直しを迫られています。

③取り扱う製品が違う会社が多い

化学製品卸業界の特徴として、化学業界のカバーする範囲が広いことから、企業ごとに取り扱う製品ラインナップが大きく異なる点が挙げられます。

しかし、近年は化学業界に求められる製品の種類が変化してきたことから、製品ラインナップの拡充・供給力の安定・事業の集中と選択などを目的とするM&Aが目立ちます。

廃業率の推移とランキングについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】廃業率の推移とランキング

化学製品卸のM&Aの最新動向

化学製品卸業界の主なM&A動向は、以下のとおりです。

  1. コスト高などの影響によりスケールメリットを求めたM&Aの増加 
  2. コスト削減・営業利益拡大を求めた海外へのM&A
  3. 海外でも大型企業同士の業界再編が起こっている

①コスト高などの影響によりスケールメリットを求めたM&Aの増加

近年は石油など資源価格の高騰により、以前に比べて化学製品の利幅が少なくなっています。そのため、M&Aによって会社の規模を拡大し、仕入れコストの削減や販売網の拡大などを図るケースが増加しています。

②コスト削減・営業利益拡大を求めた海外へのM&A

化学製品卸業界では、海外企業へのM&Aも目立ちます。商材を増やす目的だけでなく、現地で販売網を築くことによるコスト削減や、営業利益の拡大を目的とするM&Aが増えています。

③海外でも大型企業同士の業界再編が起こっている

海外でも大企業同士のM&Aが増えており、特に近年は、事業規模の拡大を目的とするM&Aではなく、事業ポートフォリオの入れ替えを目的とするM&Aが目立っています。

この背景には、脱化石燃料トレンドが起きていることや、環境関連・食品関連の需要が高まっていることなども挙げられます。

M&Aにおける事業承継や成功事例や失敗事例については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】事業承継型M&Aとは?メリットやデメリット・成功させるポイントを解説

化学製品卸のM&A・事業承継事例

ここからは、化学製品卸のM&A・事業承継事例を紹介します

昭光ハイポリマーによる高分子商事のM&A・事業承継

2024年8月、昭光通商グループの昭光ハイポリマーは、大阪の高分子商事の全株式を取得し、完全子会社化することを決定しました。昭光ハイポリマーは化学品を中心とした素材販売を手がけ、高分子商事は接着剤や合成樹脂製品の販売に強みを持ちます。

両社は取引先や商材に多くの共通点があり、高分子商事の新規開拓力や自社ブランド展開のノウハウを取り入れることで、サービス向上と事業拡大が期待できると判断し、本件M&Aに至りました

参考:高分子商事株式会社の株式取得に関するお知らせ

メディパルHDによる住友ファーマフード&ケミカルのM&A・事業承継

2022年11月、メディパルホールディングスは、住友ファーマ株式会社からその子会社である住友ファーマフード&ケミカルを譲り受けることを発表しました。メディパルは医薬品や日用品の卸売を行う企業グループの持株会社です。

今回のM&Aにより、食品素材や化学製品の製造・販売を手がける住友ファーマフード&ケミカルの研究開発力と、自社の広範な流通ネットワークを融合させることで、製品競争力の強化と事業シナジーの創出を目指しています。

参考:連結子会社住友ファーマフード&ケミカルの株式譲渡に関するお知らせ

日本曹達による丸善油化商事のM&A・事業承継

2020年5月、日本曹達は、丸善油化商事が手がけるフマル酸ステアリルナトリウム(SSF)事業の買収契約を締結しました。SSFは国内唯一の製造品であり、その品質と安定供給力から高い評価を得ています。

日本曹達は、医薬品添加剤「NISSO HPC」の販売チャネルを活用し、SSF事業の海外展開を含めた事業拡大を目指します。本件は、同社のグローバル戦略強化と製品ラインの拡充に向けた重要な一手といえます。

化学製品卸のM&A・売却・買収する際の注意点

ここでは、化学製品卸企業がM&Aを行う際の注意点を、売却側と買収側ごとに解説します。

売却側のポイント5選

化学製品卸の売却側は、以下のポイントを押さえる必要があります。

  1. M&Aの目的を明確にする 
  2. M&Aは時間がかかることを理解して準備する
  3. 交渉中は情報の漏洩を防ぐ
  4. 売却のタイミングを逃さない
  5. M&Aの専門家に相談する

①M&Aの目的を明確にする

売却側が目的を明確にすることで、交渉の優先順位がはっきりし、買収側との交渉を進めやすくなります。

また、化学業界における買収側の目的は多様化しているので、自社の目的を明確にすることでM&Aアドバイザーとしても適切な売却戦略を作りやすくなるメリットがあります。

②M&Aは時間がかかることを理解して準備する

M&Aは、準備段階やM&A契約成立後の統合プロセスも含めると、ある程度の時間が必要になります。焦りがあるとM&Aの失敗確率が上がってしまうため、早めにM&Aの専門家に相談するなどの準備が重要です。

③交渉中は情報の漏洩を防ぐ

情報漏洩はM&Aを決裂させるだけでなく、自社と相手企業の経営にもダメージとなるおそれがあります。情報を漏らさないようにするだけでなく、信頼できるM&Aの専門家を選別することも重要です。

④売却のタイミングを逃さない

トレンドの変化スピードが速くなっている化学業界でM&Aを行うには、自社の企業価値が高い時期に売却することが重要です。化学業界に精通した専門家に企業評価価値をしてもらうなどして、M&Aを行うタイミングを見計らう必要があります。

⑤M&Aの専門家に相談する

M&A仲介会社は、M&Aのあらゆる面をサポートするプロデューサーとしての役割を果たします。M&A仲介会社に相談することで、会社の魅力を十分引き出せて、戦略的な売却が実現可能です。

買収側のポイント4選

化学製品卸の買収側は、以下のポイントを意識して行うことが大切です。

  1. デューデリジェンスの徹底 
  2. 買収側の従業員が離職しないように気をつける
  3. 海外展開も視野に入れた相手を探す
  4. M&Aの専門家に相談する

①デューデリジェンスの徹底

買収側では、M&A手続きが完了した後の統合プロセスが重要です。自社との統合により、十分な事業シナジーが得られるか、隠れたリスクはないかなど、徹底したデューデリジェンス(企業内監査)を行う必要があります。

徹底したデューデリジェンスを行うには、高い専門性が必要とされるため、M&Aの専門家にサポートしてもらうなどの対策が求められます。

②買収先の従業員が離職しないように気をつける

M&Aの成功には、優秀な人材の獲得も重要です。特に買収先企業の事業内容が別分野の場合、買収先企業の人材がいなくなると事業の引き継ぎが難しくなります。買収先の従業員が離職せずに、自社の経営方針や企業風土に馴染んでもらえるようするには、時間を掛けた対策が必要です。

③海外展開も視野に入れた相手を探す

今後の化学製品卸業界は、これまで以上に海外展開が重要視されます。海外展開を行っている会社や自社の海外戦略と相性の良い会社を選ぶなど、海外展開を視野に入れた相手探しが必要です。

④M&Aの専門家に相談する

最適な買収先企業を探すには、化学製品卸業界に関する情報や独自ネットワークが必要です。M&A仲介会社などの専門家は、豊富なネットワークにより相手企業を探せます。優良企業の売却案件ほど即座に買い手が付いてしまいやすいため、M&Aの専門家から情報を素早く得ることが重要です。

事業承継スキームの重要性については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】事業承継スキームの重要性

化学製品卸のM&A・売却・買収の価格相場

化学製品卸会社に限った話ではなく、M&A・売却・買収の価格相場を一概に断定することは非常に難しいです。

というのは、M&Aによる売却・買収価格のもとになる企業価値評価(バリュエーション)は、M&Aの対象企業の規模・保有資産・負債・市場動向などの要因により大きく変動するためです。

企業価値評価の算定方法にはいくつかあり、そのなかから自社に合った方法を用いて求めます。

企業価値評価の算定方法

M&A・売却・買収価格のもとになる企業価値評価(バリュエーション)は、主に以下の3種類の算出方法を組み合わせて算出することが一般的です。

  • コストアプローチ
  • インカムアプローチ
  • マーケットアプローチ

コストアプローチとは、貸借対照表における純資産価値をもとに企業価値を計算する手法のことです。

インカムアプローチとは、企業で将来的に獲得が見込まれる収益やキャッシュフローをもとに企業価値評価を算出する手法をさします。

マーケットアプローチでは、市場で成立している価格をもとに企業価値評価を決定していきます。

個人での企業価値評価の算出

企業価値評価を算出する際は、専門的に高度な知識や見解が求められ、算出方法によっては複雑な計算を行う必要があります。

M&A・会計に精通していないと経営者個人で企業価値評価を求めるのは非常に難しいため、自社の企業価値評価を算出したい場合は、M&A専門家に依頼することをおすすめします。

化学製品卸のM&A・事業承継に関する相談先

化学製品卸のM&A・事業承継に関する相談先をご紹介します。

金融機関

M&Aにおいて銀行などの金融機関は、主に資金調達や融資の相談を担当します。最近ではM&Aニーズの高まりを受け、専門窓口を設ける銀行も増加しています。買い手企業にとって融資の可否は重要であり、金融機関の審査結果はM&Aのリスク判断材料にもなり得ます。

大手金融機関では経験豊富な担当者が資金繰りのアドバイスも行い、定期的なフォローも期待できます。一方で、中小企業のM&Aには対応しない場合があり、報酬の高さや機動力の低さも注意点です。

公的機関(事業承継・引継ぎ支援センター)

事業承継・引継ぎ支援センターは、後継者不足に悩む中小企業や小規模事業者を対象に、M&Aや事業承継の相談・支援を行う公的機関です。全国に相談窓口があり、地方でも気軽に相談できる点や、専門家との連携、無料で公平なアドバイスが受けられることが大きな強みです。

特に小規模M&Aにも対応可能です。一方で、複雑なスキームやスピード感が求められるM&Aには不向きな場合があり、広域のマッチングには民間仲介会社の活用が有効です。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、売り手と買い手の間に立ち、中立的な立場から条件交渉や契約締結までを一貫して支援する専門機関です。独自のネットワークを活かして最適な相手を見つけられるほか、業界動向や費用相場などの豊富な情報をもとに、専門的なアドバイスも受けられます。

一部ではFA(ファイナンシャル・アドバイザリー)として、特定の企業側に専属で支援する形もあります。ただし、成功報酬は売却額の5~10%程度と高額で、小規模案件でも費用負担が大きくなる点には注意が必要です。

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化学製品卸のM&Aのまとめ

本記事では、化学製品卸のM&A動向や事業承継事例などを紹介しました。化学製品卸業界は景気変動や世界の動向に影響を受けやすいため、M&Aを行う際は業界動向を見極めてタイミングを計ることが重要です。

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