2024年9月10日更新都道府県別M&A

徳島県の事業承継・M&Aの現状!事例や案件・公的事業承継支援も紹介

本記事では、徳島県の事業承継の実態からM&Aを活用した事業承継を解説します。全国の中小企業では後継者不在による事業承継問題を抱えているケースが多いですが、徳島県も同様です。徳島県で事業承継・M&Aを検討している方は必見です。

目次
  1. 徳島県における事業承継の現状
  2. 徳島県近郊の事業承継・M&A案件一覧
  3. 徳島県の事業承継・M&A事例
  4. 事業承継・M&A時におすすめの相談先
  5. 徳島県における公的事業承継支援
  6. 徳島県の事業承継・M&Aまとめ

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徳島県における事業承継の現状

帝国データバンクの調査(2023年)によると、徳島県における後継者不在率は61.8%で、全国の後継者不在率53.9%と比較しても非常に高い水準となっています。

なお、四国地方の後継者不在率の水準は、「全国」との比較で「徳島」「愛媛」「高知」が上回り、「香川」のみ下回っている状況です。

参考:帝国データバンク「特別企画 : 四国地区「後継者不在率」動向調査(2023 年)」

業界別の現状

業界別に見た後継者不在率では、「建設業」が72.1%で最も高く、唯一7割を超えています。これに続くのは「卸売業」(64.5%)と「運輸・通信業」(63.4%)です。一方で、「不動産業」は42.4%と最も低く、唯一5割を下回っています。

後継者の属性における現状

徳島県を含む四国地区の企業3,187社における後継者候補の属性を調査したところ、最も多いのは「子ども」で42.6%を占めていました。次に「親族」が26.9%、「非同族」が26.6%、「配偶者」が3.9%と続いています。全国平均と比べると、「非同族」の割合は10.9ポイント低く、四国地区では依然として同族経営が主流であることが分かります。

さらに、「内部昇格」やM&Aなどによる「外部からの招聘」で新たに社長が就任した企業では、後継者が「非同族」である割合が8割を超えており、第三者を経営に迎え入れる動きが強まっていることが確認されています。

徳島県企業の休廃業件数

後継者不在の問題は、企業の休廃業をもたらしています。2023年における徳島県の休廃業・解散件数は297 件で、昨年比で31.4%増加しました。前年からの増加率をみると、「徳島県」は全国で最も高く、唯一3割を超えている状況です。

参考:帝国データバンク「四国地区 休廃業・解散 動向調査(2023 年) 」

徳島県近郊の事業承継・M&A案件一覧

弊社M&A総合研究所が取り扱っている徳島県近郊の事業承継・M&A案件一覧をご紹介します。

【創業100年を超える和紙製造メーカー】四国エリア/和紙製造(機械すき)

創業100年を超える老舗機械すき和紙メーカー(奉書紙、特殊和紙、非木材紙に対応)です。紙加工製品分野に需要のある海外へ事業展開することで、新たな収益源の確保を目指しています。

エリア 中国・四国
売上高 1億円〜2.5億円
譲渡希望額 1億円〜2.5億円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

【創業100年を超える和紙製造メーカー】四国エリア/和紙製造(機械すき)(ものづくり・メーカー) | M&A総合研究所

【客室100室以上】四国×大型ホテル

インバウンド客・国内観光客ともに来訪が多い観光エリアにて、業歴50年以上を誇っています。客室100室以上で大規模宴会場もあり、団体観光客の受け入れも対応可能です。

エリア 中国・四国
売上高 1億円〜2.5億円
譲渡希望額 1億円〜2.5億円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)、戦略の見直し

【客室100室以上】四国×大型ホテル(商社・小売・流通) | M&A総合研究所

【EBITDA1億円超】 四国×総合不動産業

長年に渡り、当エリアにて不動産業を手掛けた実績と大手企業とのパイプを生かした事業展開を行う企業です。不動産企画・開発~販売までを一気通貫で対応可能です。

エリア 中国・四国
売上高 5億円〜10億円
譲渡希望額 2.5億円〜5億円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

【EBITDA1億円超】 四国×総合不動産業(住宅・不動産・建設) | M&A総合研究所
【関連】愛媛県・松山市のM&A・会社売却・事業承継の動向は?案件の探し方から事例まで解説!

徳島県の事業承継・M&A事例

徳島県の事業承継・M&A事例をピックアップしてご紹介します。

共栄セキュリティーサービスによる合建警備保障の事業承継・M&A

2023年1月27日、共栄セキュリティーサービスは、合建警備保障(徳島県徳島市)の全株式を取得し、同社を子会社化することで基本合意に達しました。

共栄セキュリティーサービスは、警備業を展開しており、グループ全体では施設警備や交通誘導警備など、人員を活用した警備サービスを提供しています。一方、合建警備保障も警備業を営んでおり、主に徳島県を中心とした四国地方や関西地方で活動しています。

今回のM&Aにより、共栄セキュリティーサービスは四国地域を含む広範囲での事業拡大を目指し、人的警備事業の強化を図る予定です。

共栄セキュリティーサービス株式会社への子会社加入と新社長就任のお知らせ

コクヨによるオリジンとエステイツクの事業承継・M&A

2022年11月30日、コクヨは、オリジン(徳島県阿波市)およびエステイツク(徳島県名西郡)を子会社化するため、株式譲渡契約を締結しました。

コクヨは、オフィス家具や文房具の製造・販売を行う大手企業です。オリジンは、主にソファやダイニング家具を中心とした製造・販売を手がける家具メーカーです。一方、エステイツクは、カバーリングソファをはじめとする家具を製造・販売しており、幅広い流通経路を通じて製品を提供しています。

今回のM&Aにより、コクヨは働き方の変化やオフィス空間の多様化に対応し、リビングのような快適さを求められるオフィス向けのソファなどのアメニティ家具の生産および販売能力を強化する狙いがあります。

オリジン株式会社、株式会社エステイツクの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

ETSホールディングスによる中央電氣建設の事業承継・M&A

2022年5月10日、ETSホールディングスは、中央電氣建設(徳島県三好市)の全株式を取得し、同社を子会社化することを決定しました。

ETSホールディングスは、電力工事や設備工事、再生可能エネルギー事業を展開する独立系の電気工事会社です。一方、中央電氣建設は、鉄塔の建替えや電線の張替えといった送電線工事を手がけています。また、同じく送電線工事を行う電友社(徳島県徳島市)も傘下に持っています。

今回のM&Aにより、ETSホールディングスは、送電事業におけるシナジー効果を狙っています。特に、子会社の岩井工業所(岡山県岡山市)との協力関係が期待されます。また、中央電氣グループの主要取引先との関係を活かし、共同営業体制の構築や技術者・作業員の人材交流を進めることで、事業基盤の強化を図る予定です。

中央電氣建設株式会社(完全子会社化)完了に関するお知らせ
【関連】香川県の事業承継とは?今後の課題や方法から流れも解説!

事業承継・M&A時におすすめの相談先

徳島県での事業承継・M&A時におすすめの相談先を3つご紹介します。

金融機関

最近では、金融機関がM&A支援に特化した専門部署を設置する例が増えています。特に、投資銀行や大手銀行がM&Aにおけるファイナンシャルアドバイザー(FA)として、重要な役割を担うことが多くなっています。買収側企業にとっては、資金調達のために金融機関との協議が不可欠であり、通常は既に取引関係のある銀行が最初の相談先となることが一般的です。

金融機関に相談することで、資金調達に関する専門的な助言を受けることができるため、事業承継の場面でも非常に役立ちます。また、一部の金融機関では、M&A支援に特化した部署や専門家を紹介してくれる場合もあります。

ただし、大手金融機関は主に規模の大きな案件を取り扱う傾向が強く、小規模な案件には対応しにくいという課題があります。さらに、アドバイザリー形式の報酬体系を採用しているため、費用が高額になることがデメリットとして挙げられます。

公的機関

最近では、公的機関でも事業承継やM&Aに関する相談を受け付ける体制が整備されてきています。たとえば、「事業承継・引継ぎ支援センター」は、中小企業が直面する後継者不足などの問題を解消するための窓口として機能しており、無料で情報提供やアドバイス、企業間のマッチングサービスを行っています。

このセンターは全国の47都道府県に設置されているため、地方の企業でも簡単に利用できるというメリットがあります。

公的機関が運営しているため、無料で公平なアドバイスが受けられ、M&A仲介会社や専門家の紹介も提供されています。ただし、公的機関であるため対応のスピードに限界があり、民間の仲介会社に比べるとサポートの内容が劣る場合があるというデメリットも考えられます。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、企業の買収や売却における専門的なサポートを提供し、売り手と買い手の双方と契約を結びながら交渉を進めていきます。これらの会社は、初期の相談から、相手企業の選定、スケジュールの管理、企業価値の評価、そして必要な書類の作成に至るまで、M&Aに関するすべてのプロセスを包括的に支援します。

仲介会社の最大の強みは、多数の候補企業の中から最適な相手を見つけられる点にあります。これにより、売り手と買い手の双方が納得できる取引を実現する可能性が高まります。また、M&Aに不慣れな企業に対しても、仲介会社は丁寧にサポートを行い、交渉やコミュニケーションを円滑に進めることで、成功率の向上を助けます。

ただし、仲介会社の利用には、着手金や中間金などの費用が発生することがあり、コストが懸念される場合もあります。そのため、費用負担を抑えるためには、成功報酬型の報酬体系を採用している会社を選ぶことが望ましいでしょう。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

徳島県における公的事業承継支援

ここでは、徳島県における公的事業承継支援をご紹介します。

徳島県事業承継ネットワーク

国のバックアップのもと、徳島県がリーダーシップをとり地域の商工会、商工会議所、金融機関、士業などのネットワーク化を図る事業承継ネットワーク構築事業がスタートしました。徳島県の事業承継ネットワークは以下の機関で構成されています。

【国・県などの関係機関】

  • 経済産業省四国経済産業局
  • 四国財務局徳島財務事務所
  • 中小企業基盤整備機構四国本部
  • 徳島県事業承継・引継ぎ支援センター
  • 徳島県中小企業再生支援協議会
  • とくしま産業振興機構
  • 徳島県よろず支援拠点
  • 徳島県すだちくんハローワーク

【士業関係団体】

  • 徳島弁護士会
  • 徳島県中小企業診断士会
  • 四国税理士会徳島県支部連合会
  • 徳島県宅地建物取引業協会

【金融機関および保証協会】

  • 徳島県信用保証協会
  • 日本政策金融公庫国民生活事業
  • 日本政策金融公庫中小企業事業
  • 商工中金徳島支店
  • 阿波銀行
  • 徳島大正銀行
  • 四国銀行
  • 徳島信用金庫
  • 阿南信用金庫

【商工団体】

  • 徳島県商工政策課
  • 徳島県企業支援課
  • 徳島県労働雇用戦略課
  • 徳島県産業人材育成センター
  • 徳島県地方創生推進課
  • 徳島県建設管理課
  • 徳島県内市町村
  • 徳島県商工会連合会
  • 徳島県中小企業団体中央会
  • 徳島県商工会議所
  • 鳴門商工会議所
  • 小松島商工会議所
  • 吉野川商工会議所
  • 阿波池田商工会議所
  • 阿南商工会議所

このように、徳島県事業承継ネットワークでは、地域の支援機関同士が個別企業支援で連携できる地域プラットフォームを構築することで、今後の事業承継に悩む中小企業の経営者をバックアップしています。

徳島県事業承継・引継ぎ支援センター

徳島県事業承継・引継ぎ支援センターは、徳島県内の中小企業・個人事業主を対象とし、後継者不在などの理由で事業承継が深刻化している企業に対し、実務に詳しい専門家がさまざまな問題解決に向けて対応する相談窓口です。

徳島県事業承継・引継ぎ支援センターでは、事業承継に悩む事業主と創業希望者を引き合わせるサポートや、手に職があり、徳島に移住を考えている方の相談にも乗っています。事業引継ぎに特化した相談窓口であり、公的機関であるため、相談は無料・秘密厳守で実施してくれる点もポイントです。

また、徳島県後継者人材バンク事業も運営しており、後継者人材バンクに登録した創業を目指す起業家と後継者不在の事業主とを引き合わせ、起業家が後継者として事業を承継するために必要なさまざまな支援を実施しています。

徳島県商工会議所

徳島県商工会議所では、事業承継・創業マッチングカフェ、創業・事業承継パネル展、事業承継セミナーなどの開催を通して、中小企業の事業承継支援を実施しています。

事業承継・創業マッチングカフェでは、事業譲渡を検討している方とこれから創業する方のマッチングを目指し、創業希望者に対して、事業承継に関する適切な助言や情報提供を実施しています。

また、創業・事業承継パネル展では、創業・事業承継の事例や支援機関の支援策をまとめて紹介しており、創業や事業承継について考えるきっかけづくりを行っています。さらに、事業承継セミナーを開催することで、中小企業の事業承継をバックアップしています。

事業承継支援については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】高知県の事業承継とは?3つの方法や公的事業承継支援についても紹介!

徳島県の事業承継・M&Aまとめ

徳島県は後継者不在率が低いため、事業承継の問題を抱えていないように感じられます。しかし、そのような中でも、事業承継問題は徐々に深刻化しており、経営上の問題として悩んでいる中小企業の経営者も多いでしょう。

中小企業の存続は、今後の日本経済にも大きな影響を与えます。廃業を選択する前に、M&Aを活用して会社の存続を可能にし、認知度を上げていく必要があります。

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