2021年5月4日更新節税

減価償却とは?減価償却費の計算方法や耐用年数をわかりやすく解説

会計処理の一つに「減価償却」があり、納税や節税の為に減価償却に対する知識が重要になります。減価償却費の計算方法、耐用年数、減価償却資産、減価償却における消費税と経理処理や節税対策を解説します。

目次
  1. 減価償却とは?
  2. 減価償却の意味
  3. 減価償却の償却率と種類
  4. 減価償却費の計算方法
  5. 減価償却の耐用年数
  6. 減価償却で押さえるべき3つの金額
  7. 減価償却資産とは?わかりやすく解説
  8. 減価償却における消費税と経理処理
  9. 減価償却における税金と節税対策
  10. 減価償却制度の改正と変遷
  11. まとめ

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減価償却とは?

会社を経営する上で、様々な会計処理が必要となります。

会計処理の一つに「減価償却」があり、適切な納税や節税の為には減価償却に対する知識を習得する必要があります。

この記事では、減価償却に関して基本的な知識を解説します。

減価償却の基礎知識を知りたい方は必見です。

減価償却の意味

減価償却とは、年々価値が減少する資産を購入した際に、購入費用を一定期間で分配処理することです。

消耗品は一括で年度毎に費用計上しますが、減価償却資産については、数年に分けて費用を計上しなければなりません。

減価償却では、計上した費用(減価償却費)と同額だけ固定資産の価値を減額します。この会計処理により、固定資産の価値減少を帳簿上に反映させることが可能となります。

減価償却費のうち一部は損金算入可能なので、税金の節税に繋がります。固定資産を購入した際は、節税の為にも忘れずに減価償却費を計上しましょう。

また、M&Aにおいても減価償却費は重要になり得る要素です。リスクを極力減らしてM&Aを行うことをお考えの際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。

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【関連】減価償却のメリット

減価償却の償却率と種類

減価償却費の計算において、耐用年数と同様に欠かせないものが「償却率」です。

償却率とは、毎年の減価償却費を計算する為に用いる耐用年数に応じた数値です。
 

  1. 定額法償却率
  2. 定率法償却率

 

償却率には以上の2種類があり、前者は定額法を用いる場合の償却率であり、後者は定率法を用いる際の償却率です。

それぞれ、算出方法が異なります。

⑴定額法償却率

定額法償却率は耐用年数の逆数となる為、計算方法は下記の通りです。

  • 定額法償却率=1÷耐用年数

以上の式に基づいて、定額法償却率は下記の通り定められています。

耐用年数 定額法償却率
2  0.500
3  0.334
4  0.250
5  0.200
6  0.167

⑵定率法償却率

平成24年度以降は、「200%定率法」が採用されており、定額法償却率を2倍した数値が定率法償却率となります(小数点は四捨五入)。

つまり、下記の通り計算されます。

  • 定率法償却率=定額法償却率×2

以上の式に基づいて、定率法償却率は下記の通り定められています。

耐用年数 定率法償却率
2 1.000
3 0.667
4 0.500
5 0.400
6 0.333

ここまでご紹介した「耐用年数」や「償却率」を用いて、実際に減価償却費を計算します。

【関連】のれん償却期間とは?会計基準と税務

減価償却費の計算方法

この項では、定額法と定率法における減価償却費の計算方法を解説します。

⑴定額法による減価償却費の計算方法

定額法とは一定額の減価償却費を計上する方法であり、個人事業主は原則定額法により減価償却費を計算する決まりがあります。

無形固定資産に関しても、定額法の適用が義務付けられているので要注意です。

定額法では、下記計算式により減価償却費を算出します。

  • 減価償却費=取得価額×定額法償却率

取得価額を耐用年数で割る計算式もありますが、割り切れないケースが出てくる為、実務上は定額法償却率を掛け合わせます。

平成19年度以前に取得した資産については、取得価額から残存価額を差し引いた金額に償却率を掛け合わせる形で算出します。

減価償却資産の取得時期次第で、減価償却費の計算方法が変わる為注意が必要です。

⑵定率法による減価償却費の計算方法

定率法とは、固定資産の未償却残高に一定の償却率を掛け合わせることで、減価償却費を計算する方法です。

中小企業の場合、減価償却費の計算方法には、原則定率法を用いる必要があります。

定率法では、下記計算式により減価償却費を算出します。

  • 減価償却費=期首未償却残高(取得価額−減価償却累計額)×定率法償却率

定額法と比べると、購入直後は多額の減価償却費が計上されます。

減価償却の耐用年数

減価償却において欠かせない概念に「耐用年数」があり、減価償却費の計算では必ず出てくる概念です。

耐用年数とはある資産が利用に耐えることが出来る年数であり、耐用年数の間に減価償却の処理を完了させます。

ある資産を利用できる年数は、使用する人によって異なります。

例えば同種の事業用車種を複数人が購入した場合、5年で買い換える人がいる一方、10年使用し続ける人もいます。

各個人の使用期間に応じて耐用年数を自由に決定する決まりでは、減価償却費にバラツキが生じ、公平では無くなります。

納税の公平性を担保する目的で、税法では各固定資産ごとに耐用年数が設定されています。

税額を計算する際は、国税庁の定めた法定耐用年数を基準にしなくてはいけません。

固定資産を購入した際には、国税庁のHPにて法定耐用年数をご確認ください。

減価償却で押さえるべき3つの金額

減価償却を行う際に意識しなければいけない金額があります。

それが、以下の3つです。

  • 10万円未満
  • 10万円以上~20万円未満
  • 30万円未満

それぞれ詳しく解説していきます。

1.10万円未満の場合

取得金額が10万円未満、つまり99,999円以内の場合は減価償却の必要はありません。

会計項目としては「消耗品」などとして計上します。

2.10万円以上〜20万円未満

取得金額が10万円以上〜20万円未満の場合は、3つの計上方法から選択して計上します。

  1. 定額法と定率法による減価償却
  2. 一括償却
  3. 少額減価償却資産の特例

1は、この記事でも紹介した一般的な方法です。

2の一括償却は、「3年間」ずつ均等に償却する方法です。この場合は耐用年数を考慮しません。また、一括償却の場合は備忘価額「1円」を残さず、全額を3年間で償却する計算にしてください。

3の少額減価償却資産の特例とは、30万円未満に限って一括で費用に計上する方法です。

少額減価償却資産の特例を行うためには3つの条件を満たす必要があります。

  1. 青色申告法人である中小企業者
  2. 特例の合計限度額は300万円
  3. 期限は平成32年(2020年)3月31日まで

3.30万円未満の場合

30万円未満の場合は、前述の「少額減価償却の特例」が使用できます。30万円以上の資産がある場合は、基本的には通常通り減価償却します。

例外として、減価償却しないものも存在しますので注意してください。

減価償却資産とは?わかりやすく解説

そもそも減価償却資産とは、一体何でしょうか?

減価償却資産とは、「事業用に用いる資産のうち購入価額が10万円以上のもの」を指します。

建物や構築物、機械装置、車両運搬具等の有形固定資産のみならず、ソフトウェアや特許権等の無形固定資産も減価償却資産に含まれます。

減価償却資産には「使用するうちに価値が減少する資産である」という条件もある為、価値が減少しない土地は減価償却資産ではありません。

10万円未満の固定資産は減価償却資産では無い為、購入した年度に全額を費用として処理します。

減価償却における消費税と経理処理

この項では、減価償却と消費税の関係をお伝えします。

⑴税込と税抜きで異なる減価償却の計算

消費税の経理処理方式には、税込経理税抜経理の二種類が存在します。どちらの方式を用いるかにより、減価償却費の計算に違いが生じます。

減価償却資産を取得した際、それ以降の減価償却費は用いている経理方式に従い計算します。

つまり税込経理を採用していれば税込価格、税抜経理を採用していれば税抜価格を用いて、減価償却費を計算します。計算の構造上税込経理を採用している方が、毎期計上される減価償却費が多くなります。

⑵税務上の扱いと消費税

少額減価償却資産の判定に関しても、採用する経理の方式に基づきます。

税抜経理であれば特例の適用対象であるにも関わらず、税込経理だと適用対象外となる恐れがあります。

つまり特例活用に限定すると、税抜経理の方が有利となる可能性が高いです。

【関連】減価償却を活用した節税

減価償却における税金と節税対策

この項では、減価償却と税金の関係について解説します。会社経営にて利益を獲得した場合、毎年一定時期に確定申告を行い、法人税等の税金を納税しなくてはいけません。

収益から各種の費用(損金)を差し引いた所得額に対して、法人税が課されます。つまり計上する費用が多いほど利益が圧縮され、納税する税額が少なくなります。

減価償却費も費用ですので、計上額が多いほど節税に繋がります。会計処理で計上した減価償却費については、損金に算入可能な金額に限度があります。限度額を超える減価償却費に関しては、損金不算入となります。

減価償却費による節税を図る際は、限度額に十分注意しなくてはいけません。

【関連】法人税と減価償却

減価償却制度の改正と変遷

最後に、減価償却制度の改正内容について解説します。

過去何度か減価償却制度は改正されており、今後も改正される可能性は高いです。

⑴減価償却の法改正の変遷

減価償却に関する法改正は過去何回か行われており、その度に減価償却の制度が大幅に変わってきました。

平成19年度の法改正では、「残存価額の廃止」「250%定率法の導入」等の施策が実行されました。

平成23年度に再度法改正が実行され、これにより平成24年度以降に取得した減価償却資産について、「200%定率法」が適用される様になりました。

減価償却の法改正の度に重要部分が変更されている為、経理担当者や経営者は常に法改正の動向に注意しなくてはいけません。

⑵平成28年度の法改正

減価償却制度に関して、平成28年度に再び法改正が実施されました。平成28年度の法改正について、重要なポイントを抜粋してお伝えします。

今回の法改正では、「建物付属設備」と「構築物」の減価償却方法について変更がありました。

従来「建物付属設備」と「構築物」に関しては、定率法が法定償却方法として採用されていましたが、平成28年度以降に取得する資産に関しては「定額法」を適用する事となりました。

定額法に変更されたことで、毎期の減価償却費が一定となりました。

まとめ

今回は、減価償却について詳しく解説しました。

固定資産を買うと、原則減価償却費の計上が必要となります。

計算方法には定額法と定率法があり、それぞれ特徴や適用対象が異なります。

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