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2022年10月6日更新業種別M&A
飲食店の廃業実態と理由は?必要な手続き・届出、潰れない店の特徴も解説【3年以内の廃業率70%】
飲食店は毎年、数多くの新規参入がありますが、その一方で毎年、数多くの廃業も出ているのが特徴である業界です。本記事では、3年以内の廃業率が70%ともいわれている、飲食店が廃業へと至る理由や、潰れない飲食店の特徴などを解説します。
目次
飲食店の廃業実態!3年以内廃業率は70%
飲食店経営は競争が激しく、はやり廃りも早いので、身体的にも精神的にもハードな業界です。そのため、飲食店の廃業率は高い現状となっていますが、まずは飲食店経営の実態を紹介します。
飲食店は難易度が高い
飲食店経営は難易度が高く、3年以内の廃業率は70%、5年で80%以上といわれています。それでも、毎年数多くの飲食店が市場に参入していますが、飲食店は競争が激しいうえに仕事内容がハードです。顧客や従業員とのトラブル、金銭トラブルなど精神的な負担も強い状況が続きます。
さらに、飲食店を維持していくための勉強・研究もしていかなければなりません。このような状況のため、体力的・精神的に限界を迎えて廃業してしまう経営者も多くいます。飲食店経営に対する相当な覚悟がなければ、続けていくのが大変な業界です。
経験者でも利益を出すのは難しい
飲食店経営は経験者が有利なことも多いですが、経験者だからといって成功するとは限りません。逆に、経験から来るこだわりが邪魔をして廃業することもある業界です。
2年から3年で消費者の趣向が変わっていく飲食店業界では、経験や技術があっても日々の研さんを怠ると、すぐに業界の流れに取り残されていくこととなります。
また、料理人としての経験があっても、経営者としての経験がなければ利益の管理ができず廃業してしまうケースも少なくありません。
黒字でも廃業する飲食店が多い
黒字でも廃業する飲食店は少なくありません。その原因はいくつかあります。まず、利益の管理を徹底していないケースです。大手飲食店チェーンの場合は利益管理が徹底しされていますが、個人経営の飲食店の場合、利益管理がずさんになりやすい面があります。
また、IT管理を導入していないことにより、帳簿上は黒字でも資金がなくなり閉店するケースや、赤字で経営改善しなければならないのに何が原因かわからず閉店するといったケースも少なくありません。
さらに、人材が確保できずに廃業するケースや、体力面や精神面で疲れ切り、モチベーションの低下による廃業もみられます。
飲食店が廃業する理由
飲食店が廃業する主な理由は以下のとおりです。
- 初期投資の大きさ
- 一度始めたらやり直しがきかない
- 運転資金不足
- 準備不足・計画・戦略が不十分
- 自分好みにこだわり過ぎる
初期投資の大きさ
飲食店が廃業する主な理由の1つに、初期投資の大きさがあります。初期投資を抑えて廃業を防ぐには、以下のポイントを押さえると効果的です。
- 厨房機器やインテリアなどに最初からお金をかけ過ぎない
- 軌道に乗るまでは家賃と人件費を極力抑える工夫をする
- 居抜きやスケルトンも検討
- 内外装工事などを自分たちで行うことで費用を抑える
最初から厨房機器やインテリアなどにこだわり過ぎると初期投資が大きくなり、飲食店を開業してからの資金繰りを圧迫します。コンセプトは大事にしながらも、コスト感覚を見失わないようにする必要があります。
利益管理を徹底し、家賃や人件費などをコントロールすることも大事です。また、居抜きやスケルトンを活用することで初期投資を大幅に押さえられます。特に近年は居抜きが流行していることから、情報を調べれば多くの居抜き物件を見つけることが可能です。
ただし、設備がきちんと動くかなどの確認は、現場できちんと行うことが大事になります。さらに、内外装や工事を業者に頼まず、自分たちで行うことで費用を抑えるのも方法の1つです。
一度始めたらやり直しがきかない
飲食店の難しさは、一度始めたらやり直しがききにくく、そのまま廃業に至ってしまうことが多い点です。やり直しがききにくい主な理由には、以下のようなものがあります。
- 業態変更にはお金と時間・精神力が必要
- 地域に合ったコンセプトで店作りをしないとその後、何をやっても失敗する可能性がある
- 異業種からの参入は課題が山積み
飲食店を開業したものの失敗したことに気づき、やり直そうと思っても、業態変更にはお金と時間、精神力が必要です。大手飲食店チェーンであればやり直しができても、個人経営の飲食店は簡単にはいかず、廃業してしまうケースがあります。
また、自身が良いアイディアだと思ったコンセプトも、開店する地域に合ったコンセプトでなければ失敗する確率は高くなり、その地域で失敗すると同じ地域での立て直しは難しくなるものです。
飲食店を開店する経営者には異業種から参入するケースも多いですが、異業種からの参入は後から気づく課題が大量にあり、解決していくには相当の覚悟がいります。自力での立て直しが難しければ、経験者やコンサルタントに頼ることも検討が必要です。
運転資金不足
薄利で商売しなければならない飲食店経営の場合、運転資金不足に陥って廃業せざるを得なくなることがあるものです。運転資金不足による廃業を防ぐには、以下の方法があります。
- 経済的余力を残して開店する
- 現実的な事業計画を練って資金調達する
- 月間・年間収支計画は銀行が納得するよう作り込む
- 原価と人件費、実質利益のコントロールを徹底する
- 黒字になるまで思わぬ出費があることを考慮する
- ドタキャン対策を徹底する
- 少ない人数と労働時間で回せるようオペレーションを改善していく
まずは、飲食店を開店する際に、経済的な余力を残しておく必要があります。銀行から借り入れる場合は、資金調達を成功させようと誇張した事業計画書を作るのではなく、現実的な数字に基づいた事業計画書を作り、銀行を納得させることが大事です。
開業してからは、原価と人件費、実質利益のコントロールを徹底する必要があります。個人で管理する場合、どうしてもずさんになるケースがみられますが、自分を律して徹底しなければなりません。
また、飲食店経営では思わぬ出費がかさみ、廃業せざるを得なくなるケースがよくあります。特に注意が必要なのが、ドタキャンや従業員に関する出費です。これらの負担をうまく抑えるだけでも、廃業の可能性を低くすることが可能です。
準備不足・計画・戦略が不十分
短期間で廃業に至る飲食店の多くは準備・計画・戦略不足が主な原因ともいわれます。飲食店を開店する前には精密なマーケティングリサーチが必要ですが、数字を詰めずに感覚で開業してしまうケースが少なくありません。
計画・戦略を立てる際は、どこまで詳細に数字を意識できるかが結果を左右します。よくあるケースとして、グルメサイトやSNSなどの評判に振り回され、計画が狂ってしまうこともあるようです。
グルメサイトやSNSの評判を完全に無視するのは難しいですが、気にし過ぎは逆に経営を悪化させることにもなりかねません。また、優秀な人材の確保を戦略的に行うことも大事です。
忘れられがちな戦略として、開業の時点で撤退のラインも明確にしておくことがあります。引き際を決めていなかったために限界を超えてしまい、廃業後も苦しむことになるケースも少なくありません。
自分好みにこだわり過ぎる
こだわりも時には大事ですが、はやり廃りの激しい飲食業界で自分好みにこだわり過ぎると廃業につながることがあるので注意が必要です。提供したいサービスと顧客が求めているサービスのギャップに気づかず、短期間で廃業に至るケースは少なからずみられます。
飲食店を開業する際は、コンセプトやメニューの派手さ、オペレーションの効率ばかりに気を取られず、その地域に合った味やお店の雰囲気作りに気を配り、顧客のニーズをくみ取ることが大事です。
また、クオリティーとコンセプトを維持し続けることは、自分を律する力が必要になります。忙しい日々に忙殺されがちですが、本質に戻る余裕が欠かせません。
飲食店が廃業する流れ
ここでは、個人事業として始めた飲食店を廃業する場合の手続きの流れを紹介します。なお、順序は実際のケースにおいて前後するものもあるので、あくまでも一例としてご覧ください。
- 賃貸店舗の場合、不動産管理会社へ解約通知(賃貸借契約の解約予告に従って通知する)
- 従業員への廃業通知(廃業=解雇となるため解雇日の30日以上前に通知しないと解雇予告手当が発生する)
- 保健所、警察署、税務署など各行政機関への届け出
- リース品(ビールサーバー、おしぼりウォーマーなど)の返却・精算
- 取引先への連絡
- 店舗総合保険の解約
- 電気、ガス、水道の解約
- 備品の処分
- 原状回復工事
- 借入金がある場合は金融機関と相談
法人の飲食店に必要な廃業手続き
法人として飲食店を経営していて廃業する場合には、個人事業主にはない以下のような手続きが発生します。
- 登記に関する手続き
- 債権者に対する公告手続き
- 確定申告に関する手続き
それぞれの概要を説明します。
解散・清算人の登記
法人が廃業する場合、本店所在地を管轄する法務局に赴き、解散登記を行わなければなりません。それと合わせて清算人の登記も必要です。清算人とは、廃業する会社の債権を回収して債務を弁済し、残余財産の分配手続きを行う者をさします。代表取締役が担うのが一般的です。
解散登記と清算人の登記は、解散日から2週間以内に行わなければなりません。清算手続きがすんたら、2週間以内に精算決了の登記を行う必要があります。
解散公告
会社法の規定により(499条、660条)、廃業する株式会社および合同会社は債権者に公告を行わなければなりません。具体的には、官報に2カ月以上に渡って、解散公告を掲載します。
合名会社、合資会社の場合は、会社法670条の定めにより、官報への解散公告掲載は1カ月以上です(解散日から2週間以内に行う)。いずれの形態の会社の場合も、債権者には個別の公告も義務付けられています。
その他の手続き
法人の廃業にあたっては、廃業(解散)日から2カ月以内に、解散確定申告を行わなければなりません。その後、残余財産が確定したら、確定日から1カ月以内に精算確定申告も行わなければならないことになっています。
飲食店の廃業における届出の提出先
飲食店は、事業の特性上、開業の際にさまざまな行政機関への届出が必要です。そのため、飲食店を廃業する際には、開業届けを行った各行政機関に対し、廃業に関する手続きが必須となります。
保健所
飲食店の開業にあたっては、所管の保健所より飲食店営業許可書を得ているはずです。したがって、飲食店の廃業時は、その飲食店営業許可書を保健所に返納しなければなりません。その際は、廃業届も合わせて提出します。
届出期限は所轄の保健所ごとに異なるので、事前に確認し遅滞なきようにしましょう。
消防署
飲食店を開業する際、消防署には防火管理者選任届出書を提出しています。飲食店の廃業を決めたら、防火管理者解任届出書の提出が必要です。特に厳密な期限の設定はありませんが、廃業後、速やかに提出するとよいでしょう。ない、届出書の解任日は廃業日とします。
警察署
飲食店の開業時、所轄の警察署との手続きであり得るのは、深夜酒類提供飲食店営業開始届出書と風俗営業許可書です。深夜酒類提供飲食店営業開始届出書を出している飲食店が廃業する場合は、廃業日から10日以内を提出期限として廃止届書を提出しなければなりません。
廃業により、風俗営業許可書を返納する飲食店は、所轄の警察署に返納理由書を合わせて提出します。
税務署
飲食店を経営していた個人事業主が廃業する場合、事業廃止日から1カ月以内を期限として、所轄の税務署へ個人事業の廃業等届出書を提出しなければなりません。そのほか、状況により以下の手続きが必要です。
- 給与支払い事務所等の廃止届書:家族が青色専従者か従業員を雇用していた場合(提出期限は事業廃止日から1カ月以内)
- 所得税の青色申告の取りやめ届出書:所得税の青色申告をしていた場合(提出期限は青色申告を取りやめた翌年の3月15日まで)
- 事業廃止届出書:消費税課税事業者だった場合(事業廃止後ただちに提出)
保険加入時の届出先
雇用保険に加入していた飲食店の場合、廃業にあたって所轄の公共職業安定所(ハローワーク)に以下の届出が必要です。
- 雇用保険適用事業所廃止届(廃業日から5日以内)
- 雇用保険被保険者資格喪失届(廃業の翌日から10日以内)
- 雇用保険被保険者離職証明書(同上)
雇用保険と健康保険に加入した飲食店が廃業する場合、廃業日から5日以内の期限で所轄の年金事務所に以下の届出が必要です。
- 雇用保険適用事業所廃止届の事業主控
- 健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届
雇用保険または労災保険に加入していた飲食店の場合、廃業時には所轄の労働基準監督署または所轄の都道府県労働局に対し、以下の書類を廃業日の翌日から50日以内の期限で提出が必要です。
- 労働保険確定保険料申告書
同じ飲食店でも潰れない店の特徴とは
廃業を免れる飲食店には以下の特徴があります。
- 下積み経験がある
- 効率よく効果的な販促宣伝
- お客様を大切にしている
下積み経験がある
飲食店経営の成功確率を上げるには、以下のような下積み経験があると有利になります。
- 大手にはできない知識や技術・手間で大手と差別化する
- 他の人気店を食べ歩き、なぜ人気なのか徹底的に学ぶ
- 自身に経験がない場合は経験のある仲間や専門家に頼る
飲食店経営を成功させるには、大手チェーン店と正面から勝負してもしかたありません。大手チェーン店にはできない知識や技術・手間などで大手と差別化することが大事です。そのためには、飲食業界での下積み経験が役に立ちます。
また、飲食店経営に成功しているケースで多いのが、他の人気店などを数多く食べ歩いて、人気の理由を徹底的に学んでいるケースです。客観的に人気の理由を分析することで、自身の飲食店経営に対する偏った思い込みをなくす効果もあります。
自身に飲食業界での経験がない場合は、経験のある仲間を頼ったり、専門家に依頼したりするのも方法の1つです。
効率よく効果的な販促宣伝
ツールの発達と共に宣伝方法も変化しています。現在はいかにSNSを有効活用するかが重要になりました。さらに最近では、動画の活用も広まり始めています。SNSで多くの人に広めたくなるような魅力ある店舗作り・メニュー作りができるかどうかが大事です。
ただし、SNSの普及によりはやり廃りのスピードも速くなりました。1つのメニューが当たったからといって、そのメニューに頼った営業をしているとすぐに厳しくなる可能性があります。わかりやすいコンセプトやメニューを打ち出しながら、常に研さんを欠かさない姿勢が重要です。
お客様を大切にしている
飲食店を廃業せず続けていくには、顧客を大切にする以下のような姿勢が大切です。
- こんなお客様に来てもらいたい・喜んでもらいたいというイメージを明確にする
- 地域で愛される
- 確認の電話に出ずドタキャンしそうなお客はためらわず断る
- インバウンドも意識する
飲食店を廃業せず続けていくには、どのような顧客に来てほしいかというイメージを明確にすることで、飲食店のコンセプトやメニューも固まっていきます。また、その飲食店が地域で愛されるお店になれるかどうかも重要なポイントです。
都市部や観光地の場合は、インバウンドを意識した飲食店作りも鍵となります。ただし、ドタキャンの気配がある顧客や迷惑行為をする顧客はためらわずに拒否する姿勢を見せないと、他の顧客も失うことになりかねません。
今後は新型コロナ休業の影響による廃業も考えられる
今後はウィズコロナ・アフターコロナへの対応策も練る必要があります。新型コロナウイルスの影響はいつまで続くか予測がつかない状況です。新型コロナウイルスが収束しても、アフターコロナの世界は今までとは違ったものになるといわれています。
先行きの見えにくい状況が続いていく飲食店業界では、廃業だけでなく複数の選択肢を用意しておくことが大事です。飲食店経営を続けていくのであれば、業態やサービスなどを変えるべきなのか考えなくてはなりません。
飲食業界からの撤退を考えるのであれば、廃業するのか、M&Aによって売却するのかといった選択肢もあります。
廃業を検討する飲食店もM&Aは可能
飲食店業界から撤退するのであれば、廃業の他にもM&Aによる売却という選択肢があります。
廃業せざるを得ないような飲食店を買う相手がいるのかとためらう経営者も少なからずいますが、魅力ある技術やノウハウ、人材などを持っている飲食店であれば、赤字であっても売却できる可能性はあるものです。確かに黒字であればそれにこしたことはありません。
しかし、そのような優良な売却案件は少ないことを考えると、廃業ではなくM&Aによって売却先を見つけ、売却益を得ることは十分可能です。ただし、そのためには飲食店のM&Aに精通した専門家によるサポートが欠かせません。
飲食店は廃業よりM&Aがおすすめ
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飲食店の廃業実態と理由まとめ
飲食店経営は難易度が高く、3年以内の廃業率は70%、5年で80%以上といわれています。参入障壁は低い飲食店ですが、新規参入する場合には、十分な検討と入念な準備が肝要です。本記事の概要は以下のようになります。
・飲食店が廃業する主な理由
→初期投資の大きさ
→一度始めたらやり直しがきかない
→運転資金不足
→準備不足・計画・戦略が不十分
→自分好みにこだわりすぎる
・廃業を免れる飲食店の特徴
→下積み経験がある
→効率よく効果的な販促宣伝
→お客様を大切にしている
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