M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年9月18日更新都道府県別M&A
高知県の事業承継・M&A動向!事例や案件・公的事業承継支援も紹介
本記事では、高知県のM&Aによる事業承継の説明とともに、公的事業承継支援などを解説します。全国と同様に高知県も後継者不在の中小企業が多く、廃業が多発する可能性が否定できません。高知県の事業承継・M&Aについて検討している方は必見です。
高知県の事業承継・M&Aの動向
高知県の事業承継・M&Aの動向を2つのトピックに分けて解説します。
高知県企業の後継者不在率
高知県の後継者問題は、わずかながら改善が続いています。2023年の調査によると、全業種約1300社の後継者不在率は57.3%で、前年から0.2ポイント減少し、3年連続で低下しました。
さらに、コロナ前の2019年と比べても1.2ポイントの減少が見られます。2018年から2023年の間に17.4%(123社)が新たに後継者を決定しており、そのうち9.4%は事業承継後に後任経営者が新たな後継者を策定しました。
また、事業承継は行っていないが新規に後継者を策定した企業は8.1%に達しました。自治体や金融機関による相談窓口の普及やM&A、ファンドを活用した事業承継の支援が進んだ結果、後継者問題の改善に繋がっています。
高知県企業の休廃業件数
後継者不在の問題は、企業の休廃業につながっています。
2023年に四国地区で休業、廃業、解散した企業や個人事業主の件数は1,769件で、前年と比べて17.2%増加し、4年ぶりに増加傾向を見せました。代表者の年齢層では「70代」が最も多く、42.2%を占めており、6年連続で最大の割合を維持しています。平均年齢も70.9歳となり、3年連続で70歳を超えています。
業種別では、その他の分類を除く7業種の中で「サービス業」が最も多く、281件となり、2016年以来初めてトップに立ちました。
県別では、「愛媛県」が最も多く662件、続いて「香川県」が507件、「高知県」が303件、「徳島県」が297件と続いています。特に徳島県は前年から31.4%増加しており、全国の都道府県の中で最も高い増加率となっています。
高知県近郊の事業承継・M&A案件一覧
弊社M&A総合研究所が取り扱っている高知県近郊の事業承継・M&A案件一覧をご紹介します。
【ライセンス複数保有/高品質】オリジナルギフトの企画制作・販売業
EC販売を行っており、ストアレビューは4.5以上を獲得しています。制作会社の経営体質を大幅に見直し、進行期は20%程度の利益率を確保しているのも強みです。
エリア | 中国・四国 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 4,000万円(応相談) |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【業績拡大中/業歴50年以上/職人多数】金属メッキ加工業
高い技術力を背景に、利益率の高い仕事を強化し業績改善を行っています。進行期の売上は1.3億円で、実態営業利益は1,300万円を見込んでいます。
エリア | 中国・四国 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 3,000万以上 (応相談) |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継)、事業存続に対する不安 |
【愛媛県/賃貸不動産複数所有】地域密着の不動産買取再販業
中古不動産買取からリフォーム工事を行い、再販を得意とする会社です。一戸建てだけでなく、マンション・集合住宅なども対応可能です。
エリア | 愛媛県 |
売上高 | 5億円〜10億円 |
譲渡希望額 | 5億円〜7.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
高知県の事業承継・M&A事例
高知県の主な事業承継・M&A事例をピックアップしてご紹介します。
旭食品によるイマイの事業承継・M&A
2024年8月5日、旭食品(高知県南国市)は、イマイ(東京都新宿区)の発行済株式の80%を取得しました。
旭食品は、一般加工食品、冷凍食品、チルド食品、酒類、菓子、家庭用品の卸売を手掛けています。一方、イマイは、食品、冷凍食品、酒類、菓子、雑貨などの輸入および卸売業を展開しています。
このM&Aにより、イマイが持つ海外での商品調達力や、日本市場向けに現地商品をリメイクするノウハウを旭食品グループに取り入れることを狙っています。
今後は、旭食品グループの一員であるフーデム(兵庫県神戸市)との連携を通じて、商品調達力を強化します。また、旭食品の各支店との協力を強めることで、これまでイマイが対応していなかった西日本エリアでの販売を拡大し、さらにイマイが持つ販売チャネルを活用した事業拡大も目指します。
日本道路によるリソースフォレストの事業承継・M&A
2024年5月7日、日本道路は、環境関連事業の強化を目的として、リソースフォレスト(福岡県朝倉郡)に出資し、2024年4月1日に子会社化しました。日本道路は道路建設や舗装工事を行う企業で、リソースフォレストは間伐材を利用した木質成型品の製造・販売を手掛けています。
リソースフォレストが製造するリサイクル木質舗装ブロック『木煉(もくれん)』は、間伐材を材料とし、CO2の固定化を実現することで温室効果ガス削減に貢献します。これまでも日本道路は、同社の間伐材を『木煉』の原料として提供し、製品の認知向上に協力してきました。
今回の子会社化により、日本道路グループは『木煉』の販売促進を強化し、脱炭素社会の実現と森林資源の有効活用に取り組み、環境に優しい社会づくりを目指しています。
折兼による栄産業の事業承継・M&A
2022年9月2日、折兼(愛知県名古屋市)は、栄産業(高知県高知市)を子会社化しました。
折兼は、食品包装容器や資材、衛生関連商品、環境対応品、厨房用品、包装機械などを幅広く取り扱う総合商社です。一方、栄産業は、食品容器やフィルム、ラベル、掛紙、衛生管理商品などを取り扱い、食品包装に加えて、農業用資材や工業用資材も販売しています。高知県と香川県に4つの拠点を持ち、地域に根ざした事業展開を行っています。
このM&Aにより、折兼は四国地方を中心に、より広範囲で多様な顧客ニーズに対応する体制を整え、食品包装資材の専門商社としての成長を目指します。
事業承継・M&A時におすすめの相談先
高知県での事業承継・M&A時におすすめの相談先を3つご紹介します。
金融機関
最近では、金融機関がM&A支援に特化した専門部署を設置する例が増えています。特に、投資銀行や大手銀行(メガバンク)がファイナンシャルアドバイザー(FA)としてM&Aにおいて重要な役割を果たすことが多く、買収側では資金調達のために金融機関との協議が不可欠です。多くの場合、取引実績のある金融機関が最初に相談する相手となるのが一般的です。
金融機関に相談することで、資金調達に関する専門的な助言を得られるため、事業承継の場面でも大いに役立ちます。さらに、いくつかの金融機関では、M&Aに特化した部署や専門家の紹介も行っています。
ただし、大手金融機関は主に大規模な案件を取り扱うことが多く、中小規模の案件には対応が難しいことが一般的です。また、アドバイザリー契約を結ぶ際の報酬が高額になるため、コスト面での負担がデメリットになることもあります。
公的機関
最近では、公的機関でも事業承継やM&Aに関する相談を受け付ける体制が整ってきています。例えば、「事業承継・引継ぎ支援センター」は、中小企業が直面する後継者不足などの問題解決に向けて、無料で情報提供やアドバイス、企業間のマッチングサービスを提供しています。
このセンターは全国47都道府県に展開されており、地方企業でも簡単に利用できることが大きなメリットです。
公的機関による運営であるため、無料で公正なアドバイスを受けられるほか、M&A仲介会社や専門家の紹介も行われています。しかし、公的機関のため対応スピードに限界があり、民間の仲介会社と比べるとサポート内容がやや劣る場合があることがデメリットとして挙げられます。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業の買収や売却を専門的にサポートし、売り手と買い手双方と契約を結んで交渉を進めます。これらの仲介会社は、初期相談から相手企業の選定、スケジュールの管理、企業価値の評価、書類作成まで、M&Aの全プロセスにわたって包括的な支援を提供します。
仲介会社の大きな利点は、多数の候補企業の中から最適な相手を見つけ出せることです。これにより、売り手と買い手の双方が納得できる取引が成立しやすくなります。さらに、M&Aが初めての企業に対しても、仲介会社は一貫したサポートを行い、交渉やコミュニケーションをスムーズに進めることで、成功の可能性を高めます。
ただし、仲介会社を利用する際には、着手金や中間金などの費用が発生することがあるため、コスト負担が気になる場合は成功報酬制を採用している会社を選ぶのが望ましいです。
高知県の公的事業承継支援
今後の中小企業の事業承継を見据えたときに非常に危機感を覚えた高知県では、国からの政策指示もあり、他の都道府県同様、公的な事業承継支援制度が設けられています。
まず、2015(平成27)年4月、中小企業庁四国経済産業局からの委託で高知商工会議所内に高知県事業引継ぎ支援センターが開設されました。そして、2018(平成30)年7月、高知県事業承継ネットワークが立ち上げられたのです。
高知県事業承継・引継ぎ支援センター
令和2年6月に改正された産業競争力強化法により、事業引継ぎ支援センターにおいて、親族内承継を支援する業務が追加されました。
それに伴い、令和3年4月には高知県事業引継ぎ支援センターと、これまで親族内承継の診断や専門家派遣を行っていた高知県事業承継ネットワーク事務局が統合され、新たに「高知県事業承継・引継ぎ支援センター」が設立されました。このセンターは、あらゆる事業承継に関する相談にワンストップで対応する窓口として機能しています。
高知県事業承継ネットワーク
高知県事業承継ネットワークとは、行政(国や高知県)、商工団体、金融機関、士業団体などが連携し、中小企業の事業承継支援を行う枠組みのことです。ネットワークを構成する各支援機関を以下に掲示します。なお、事務局は高知県商工会議所に設置されています。
【商工団体】
- 高知県商工会議所連合会
- 高知県商工会連合会
- 高知県中小企業団体中央会
【金融・保険関係及び保証協会】
- 一般社団法人高知県銀行協会
- 四国銀行
- 高知銀行
- 高知信用金庫
- 幡多信用金庫
- 日本政策金融公庫高知支店
- 商工組合中央金庫高知支店
- 東京海上日動火災保険高知支店
- 三井住友海上火災保険高知支店
- 高知県信用保証協会
【士業関係団体】
- 一般社団法人高知県中小企業診断協会
- 高知弁護士会
- 四国税理士会高知県支部連合会
- 日本公認会計士協会四国会高知県部会
- 高知県司法書士会
- 一般社団法人事業承継ファシリテーション協会
【国・県等関係機関】
- 経済産業省四国経済産業局産業部中小企業課
- 財務省四国財務局高知財務事務所
- 独法独立行政法人中小企業基盤整備機構四国本部
- 高知県商工労働部商工政策課
- 高知県市長会
- 高知県町村会
- 公益財団法人高知県産業振興センター
- 高知県よろず支援拠点
- 高知県働き方改革推進支援センター
- 一般社団法人高知県移住促進・人材確保センター
- 高知県事業承継・引継ぎ支援センター
- 高知県中小企業再生支援協議会
これらの支援機関は、基本的にどの機関でも事業承継の相談を受け付けています。そして、相談内容は事務局に集約され、その内容に応じて最も適切な支援方法や支援機関、提携している専門家などが決められ、支援が開始されます。もちろん、相談内容は秘密厳守です。
相談や高知県事業承継ネットワーク内の各機関が行う支援は全て無料で行われます。ただし、士業への業務依頼やM&Aで仲介会社を起用することになった場合には、通常の手数料が発生することになります。
高知県事業承継奨励給付金
令和6年度から、新たな支援策として「事業承継奨励給付金」が設立されました。この制度では、中山間地域においてM&Aによる事業承継を実施した買い手側に対し、最大で100万円の給付が行われます。
事業承継特別保証制度
高知県信用保証協会では、2020(令和2)年4月からの受付で、事業承継に関連する融資において、経営者の個人保証を求めない融資制度を開始します。経営者保証付きの既存の融資分についても、借り換えを行い、個人保証を外すことが可能です。
M&Aで事業承継を行う場合、後継者側において資金面の問題で暗礁に乗り上げる場合もあります。それを打開するための1つの方策として、新たに打ち出されたものです。申し込みに関しては、取引金融機関に相談してみましょう。
事業承継補助金については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
一般社団法人高知県UIターンサポートセンター
高知県UIターンサポートセンターでは、企業名を公開して後継者を募集する「ネームクリア」方式を採用しています。
この方法では、単に譲渡や売却の条件を述べるのではなく、事業の魅力や技術の素晴らしさ、歴史や信頼性、地域社会での役割、そして経営者の想いを強調した募集記事を発信しています。このアプローチの最大の特徴は、新しい価値を見出し、持続可能な事業へと革新・展開することを目指す「継業・事業承継」を提案している点にあります。
高知県の事業承継・M&Aまとめ
高知県は、人口減少が顕著な地域で中小企業の後継者となれる年齢の人口の割合が低い地域でもあります。そのため、事業承継に向けた後継者選びや計画の策定などが難しくなっている中小企業が少なくありません。やはりポイントとなるのはM&Aによる事業承継をうまく取り入れていくことでしょう。
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