2024年9月25日更新業種別M&A

ガラス・土石製品製造のM&A・事業承継の動向!事例や注意点も紹介

本記事では、ガラス・土石製品製造会社のM&A・事業承継に関して、最新動向や案件の探し方からM&Aが行われている理由を解説しています。また、事業承継事例やM&Aを行う際の注意点も詳しくまとめました。ガラス製品製造のM&A・事業承継を検討している方は必見です。

目次
  1. ガラス・土石製品製造業界の特徴
  2. ガラス・土石製品製造業界のM&A・事業承継の最新動向
  3. ガラス・土石製品製造業界でM&Aが行われる理由5選
  4. ガラス・土石製品製造業界のM&A・事業承継の事例
  5. ガラス・土石製品製造業界のM&A・事業承継案件の3つの探し方
  6. ガラス・土石製品製造業界のM&Aを行う際の注意点
  7. ガラス・土石製品製造のM&A・事業承継のまとめ
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ガラス・土石製品製造業界の特徴

ガラス・土石製品製造業界は、不動産・住宅・土木業界から影響を受けやすく、経済動向に左右されやすい傾向がみられます。

実際にこれまでにも、東京五輪開催決定に伴う公共工事の増加で市場が好調になったほか、米国でのセメントの民間需要の増加など、民間住宅投資の需要等の要因でガラス・土石製品業界は影響を受けています。

ガラス・土石製品製造業界を取り巻く環境

ガラス製品の売上の中心は板ガラスであり、国内では上位5社(AGC、日本板硝子、HOYA、日本電気硝子、セントラル硝子)の大手企業が業界売上高全体の約9割を占めている状況です。その一方で、これ以外の製品は、中小零細企業が多くを占めています。

ガラス・土石製品製造業界の市場規模

2022年のガラスおよび同製品製造業の売上高は2兆3,334億円に達しました(経済構造実態調査)。2024年上半期には、安全ガラスの生産量が前年同期比で8.2%減、複層ガラスも8.5%減少しています。

ガラスの用途は、従来の自動車や建築だけでなく、液晶テレビやタッチパネルの基板・保護フィルムなどにも広がっており、特に液晶用ガラス基板は、アメリカのコーニング、AGC、日本電気硝子、アヴァンストレートの4社が世界的に大量生産を行っています。

この分野は非常に高い技術力が求められるため、競争が激化していますが、特に新興国での液晶テレビの需要は中長期的に成長が見込まれています。

また、板ガラスの国内市場においては、AGCがトップシェアを持ち、次いで日本板硝子、セントラル硝子が続き、上位3社で9割以上のシェアを占めています。

世界全体でも、AGCはガラス事業でリーダー的な地位を確立しており、特に板ガラスでは世界市場シェアの18%を占めて首位に立っています。しかし、現在、日本板硝子の建築用ガラスの販売は伸び悩んでおり、最終的な収益はほぼトントンの見込みとなっています。

参考:日経コンパス「ガラス・ガラス製品」

ガラス・土石製品製造業界のM&A・事業承継の最新動向

本章では、ガラス・土石製品製造業界のM&A最新動向を紹介します。近年のガラス・土石製品製造業界のM&A動向には、下記の3つの特徴が見られます。

  1. 国内市場の伸び悩みからアジア市場を目指したM&Aが増加
  2. 優れた技術・製品を持つ企業への事業承継(子会社化)が増加
  3. 経営者の引退年齢による事業承継件数の増加

①国内市場の伸び悩みからアジア市場を目指したM&Aが増加

ガラス・土石製品製造業界では、国内市場の伸び悩みが大きな課題とされています。主な要因としては、人口減少による国内市場の縮小や、受注元となる建設会社などの影響を受けやすく景気・時期により売上が不安定になる点などが挙げられます。

そのため、ガラス・土石製品製造業のうちセラミックなど海外展開しやすい事業では、アジア市場への進出を目的とするクロスボーダーM&Aを行う事例が増えています。海外で事業を展開できれば経済発展の著しいアジア市場に食い込めるため、ガラス・土石製品製造会社にとって有益な選択肢だといえます。

②優れた技術・製品を持つ企業への事業承継(子会社化)の増加

ガラス・土石製品製造業のうち、専門的技術や質の高い製品を持つ会社がM&Aにより大手の傘下に入るケースも増えています。ガラス・土石製品製造業に限らず、優れたノウハウや製品を持つ会社は企業価値が高いと判断されやすく、たとえ経営不振でもM&Aで買収されるケースが珍しくありません。

M&Aによって大手の傘下に入れば、売却企業は資本や経営規模を活用して事業の拡大が見込める一歩で、買収先は事業を多角化するうえで必要となる技術・ノウハウを効率的に獲得できます。

③経営者の引退年齢による事業承継件数の増加

近年では、国内の中小企業の多くで経営者が引退する年齢を迎えており、事業承継目的でM&Aを行うケースが増えています。これはガラス・土石製品製造業界も例外ではなく、特に中小規模の会社を中心に経営者の高齢化が顕著になっており、M&Aによる事業承継の件数が増加傾向にあります。

そもそもガラス・土石製品製造業界では慢性的な人手不足が問題視されており、身内や従業員に後継者となるべき人物がいない企業も少なくありません。しかし、M&Aで第三者に事業承継を行うことで、従業員を解雇しなくて済むうえに、廃業コストも不要です。

ガラス・土石製品製造業界でM&Aが行われる理由5選

ガラス・土石製品製造業界でM&Aが行われる理由は、主に以下の5つです。

  1. 後継者問題を解決できる
  2. 海外市場へのM&Aが単独では難しい
  3. 従業員の雇用先が確保できる
  4. 個人保証・担保などを解消できる
  5. 創業者利益を獲得できる

①後継者問題を解決できる

親族内(外)事業承継には、信頼できる人材に会社を託せる点にメリットがあるものの、育成期間や株式取得費の用意などの点にデメリットもあります。しかし、M&Aによる事業承継であれば、第三者の企業に引き継ぐため、後継者の育成期間や資金の用意などが不要です。

また、信頼できる会社に引き継げれば、自社のさらなる成長も期待できます。

②海外市場への進出が単独では難しい

単独では海外市場への進出が難しい場合、M&Aにより現地の企業を買収し進出への足掛かりにできます。ガラス・土石製品製造会社に限らず、海外進出は決して容易ではなく、現地での準備・コーディネーターの手配・販路の確保・従業員の採用など、非常に多くの時間・コストが必要です。

また、海外進出に関するノウハウや経験がなければ、失敗する可能性も高まります。しかし、M&Aで現地の会社を買収すれば、設備・従業員・販路などをそのまま引き継げるため、現地市場への進出がスムーズに進みます。そのため、クロスボーダーM&Aによる海外進出は、一般的な手法として定着しつつある状況です。

③従業員の雇用先が確保できる

経営不振や後継者不在により事業を継続できない場合、廃業を選択するケースもありますが、その際に経営者を悩ませるのは従業員を解雇しなければならない点です。また、築き上げた技術やノウハウも失われてしまいます。

しかし、M&Aによって第三者に事業承継できれば、従業員の雇用も引き継げるうえ、ノウハウも受け継がれます。また、買収先企業の方が経営基盤が大きいケースが多いため、従業員の労働条件改善も期待できます。

④個人保証・担保などを解消できる

中小企業の場合は銀行などの金融機関から融資を受ける際に、経営者が個人保証や担保を提供しているケースがほとんどです。個人保証や担保は経営悪化の原因になるほか、親族内(外)事業承継を考える際は後継者への引き継ぎに関する問題で、実行が難しいケースも多いです。

しかし、M&Aにより自社を売却すれば、経営者の個人保証や担保も買い手の企業に引き継げます。そのため、個人保証や担保の解消を目的としてM&Aを行うケースも比較的多く見られます。

⑤創業者利益を獲得できる

売り手の場合、創業者利益を獲得するためにM&Aを行うケースもあります。M&Aは会社の売買であるため、売却すれば経営者は売却益を獲得できます。

どれほどの売却益が得られるかは、売却する会社の規模・強み・交渉結果によっても変わりますが、まとまった現金を得られる可能性があります。

売却益は、新事業の立ち上げや引退後の生活資金などさまざまな形で活用できるため、売り手にとって非常に有益だといえます。

もしも、M&Aを検討されている場合や後継者がいなくてお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。

M&A仲介会社であるM&A総合研究所には専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、これまでに培ったノウハウを生かしてM&Aをサポートいたします。

M&A取引は交渉から成立まで半年から1年程度かかりますが、M&A総合研究所はスピーディな対応を実践しており、最短3カ月での成約実績を有しています。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。会社売却・事業譲渡に関して、無料相談をお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

ガラス・土石製品製造業界のM&A・事業承継の事例

本章では、ガラス・土石製品製造会社の売却・事業承継が行われた事例をピックアップして紹介します。

①ヒサ・コーポレーションが石塚硝子の子会社を買収

2024年1月、ヒサ・コーポレーションは石塚硝子の連結子会社である久金属工業の全ての株式を買収しました。

ヒサ・コーポレーションは久金属工業の社長が代表社員を務める合名会社ヒサ・コーポレーションです。対象会社となった久金属工業は酒類用金属キャップおよび医薬品用フリップオフキャップの製造・販売を行っている会社です。

今回のM&Aにより両社の企業価値向上を目指します。

(開示事項の経過)連結子会社株式の売却に関する株式譲渡契約締結のお知らせ

②日本山村硝子が米アルガラス山村へ全持分を譲渡

2023年11月、日本山村硝子はアルガラス山村へ全持分を譲渡しました。

日本山村硝子は、ガラス製品・プラスチック製品の製造・販売、プラント類の設計、製作、販売ならびに設置工事などを行う企業です。対象会社のアルガラス山村は、アメリカ・デラウェア州に拠点を置き、ガラスびん関連事業を行っています。

今回のM&Aにより、日本山村硝子はアメリカのガラスびん事業から撤退します。

持分法適用関連会社の異動(持分譲渡)および特別利益の発生に関するお知らせ

③セントラル硝子がガラス製造子会社の全株式を譲渡

2022年4月1日、セントラル硝子は、米国子会社であるCarlex Glass America, LLC(テネシー州、CLXA)および欧州子会社であるCarlex Glass Luxembourg S.A.(ルクセンブルク、CLXL)の全株式を、Atlas Holdings LLC(アメリカ・コネチカット州)が運営する投資ファンドが設立した特別目的会社に譲渡することを決定しました。

この特別目的会社は、アメリカに設立されたACR II Glass Holdings Inc.(ACR INC社)と、オランダに設立されたACR II Glass Holding B.V.(ACR BV社)です。

セントラル硝子は、建築用ガラスや自動車用ガラス、ガラス繊維を扱うガラス事業と、化学品やファインケミカル、肥料などを扱う化成品事業を展開しています。CLXAはフロートガラスおよび自動車用ガラスの製造・販売を手掛け、CLXLも同様に自動車用ガラスの製造・販売を行っています。

Atlas Holdings LLCは、製造業、物流、建設業など幅広い分野への投資と事業支援を行っている企業です。

今回の譲渡決定は、セントラル硝子がガラス事業の抜本的な構造改善を進める中で、CLXAとCLXLにとって最適な経営判断として進められたものです。

セントラル硝子、海外ガラス撤退 欧米事業を売却

ガラス・土石製品製造業界のM&A・事業承継案件の3つの探し方

ガラスや土石製品製造業界でM&Aの機会を探すためには、いくつかの方法があります。以下に具体的な探し方をいくつか紹介します。

  • 専門のM&Aアドバイザリーファームを活用する
  • 業界の展示会やセミナーに参加する
  • 業界専門のニュースメディアをチェックする

その中でも、業界に詳しいM&Aアドバイザリーファームに依頼するのが最も確実な方法です。

M&Aアドバイザリーは広範なネットワークを持ち、各業界の事業者間でM&Aのマッチングを行っています。また、アドバイザリーファームはM&Aの手続きにおける法務や財務の専門的な知識も持っているため、安全な取引が可能です。

ガラス・土石製品製造業界のM&Aを行う際の注意点

ガラス・土石製品製造会社がM&Aを行う際の注意点は、主に下記の5つです。

  1. 売却・買収需要のタイミングを把握
  2. M&Aの目的や計画を明確に決定
  3. 経営・会計・簿外債務などの確認
  4. 情報の漏洩・従業員の離職
  5. ガラス・土石製品製造業界に詳しいM&Aの専門家に相談

①売却・買収需要のタイミングを把握

M&Aを行う際は、売却・買収需要のタイミングを把握しておくことが重要です。ガラス・土石製品製造業界に限らず、一般的に業界再編が進行している状況ではM&Aが活発に行われます。しかし、ある程度、事業の再編が落ち着くとM&Aの件数は減少します。

M&Aが活発に行われているタイミングであれば、自社の希望条件に合った相手先を見つけやすくなるだけでなく、高値で取引できる可能性が高まります。

②M&Aの目的や計画を明確に決定

M&Aを行う際は、目的や計画を明確に決めておきましょう。目的を明確にすることで、最適なスキームを選択できます。また、計画を立てて進めれば、無駄なコストや時間を省くことも可能です。相手先との交渉でも、目的が明確でなければ、優先すべき条件を見誤ってしまい、スムーズに進まなくなるおそれがあります。

また、M&A仲介会社などにサポートを依頼する際は、自社の目的や計画を明確にして伝えることで、より適切なサポートやアドバイスを受けられます。

③経営・会計・簿外債務などの確認

M&Aで買い手側が注意すべき点の1つに、売り手側が抱える経営・会計上のリスクや簿外債務が挙げられます。簿外債務などがM&A後に発覚すれば、トラブルの原因になったり訴訟に発展したりするおそれがあります。こうした事態を避けるため、M&Aを行う際はデューデリジェンスを十分に行うことが重要です。

デューデリジェンスには会計・法務・税務・ITなどの種類がありますが、いずれも専門知識が必要とされるため、会計士や弁護士などの専門家に依頼しましょう。

④情報の漏洩・従業員の離職

M&Aを進める際は、情報漏洩や従業員の離職に十分な注意が必要です。M&Aでは、売り手・買い手それぞれの企業が自社に関する秘密事項を互いに公開します。

重要事項が外部に漏れてしまえば企業価値に影響する可能性があり、M&A自体が破談になる場合もあるため、M&Aを進める際は必ず秘密保持契約を締結しなければなりません。また、M&Aが完了する前に従業員へ情報が伝わってしまうと、不安や混乱を招いてしまい従業員の離職が生じるおそれがあります。

ガラス・土石製品製造業のように専門的な技術に依拠する事業の場合、従業員の離職は大きな影響を及ぼす可能性があるため、事業の中核を担う従業員に対しては早い段階でM&Aの旨を伝えるなど、離職を防ぐ手立てを講じましょう。

⑤ガラス・土石製品製造業界に詳しいM&Aの専門家に相談

ガラス・土石製品製造会社のM&Aを成功させるためには、業界動向を把握したうえで計画的に進めなければなりません。M&Aや業界に関する知識に加えて交渉力も必要とされるため、M&A専門家からサポートを受けることがベストです。

業界の事情や動きに詳しい専門家のサポートを受ければ、M&Aを効率的に進められて、自社の希望条件で成立する可能性が高まります。

さまざまな専門知識を必要とするため、もしもM&Aをお考えの場合は、M&A総合研究所にぜひご相談ください。専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが、M&Aを丁寧にフルサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。M&Aに関して、無料相談をお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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【関連】コンクリート製造業界のM&A!動向や流れ・相場を事例付きで徹底解説

ガラス・土石製品製造のM&A・事業承継のまとめ

ガラス・土石製品製造会社にとって、新たなノウハウ・製品の獲得や海外市場への進出などを実現するうえで、M&Aは有効的な経営手法です。しかし、M&Aを成功させるためには、業界の最新動向を把握したうえで自社に合ったスキームを選択して戦略的に進めることが大切です。

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