M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年10月7日公開業種別M&A
ゲストハウス業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!
コロナ禍で旅行ができなくなったことで、ゲストハウス業界では事業譲渡などのM&Aの動きが活発化しています。この記事では、ゲストハウス業界の動向と、M&Aで事業を売却、買収するメリットや実施されたM&Aの事例を紹介します。
目次
ゲストハウス業界の動向
ゲストハウスとは、宿泊者同士が交流できるリビングルームのある簡易宿泊施設です。安価に宿泊できて、他の宿泊者や地域の人と交流できることから、海外からの観光客や若者のバックパッカーに人気があります。
日本では、1980年頃に登場して、インバウンドの増加や東京五輪2020の開催決定により、2010年を過ぎてから急増しました。
しかし、施設が増えすぎたことによる過当競争が起きたり、近隣住民とのトラブルの増加、さらに新型コロナの流行での旅行客の激減の影響を受けて、経営が厳しくなっているゲストハウス会社が増加しているようです。
ゲストハウス会社をM&Aで譲渡するメリット
ゲストハウスの運営会社をM&Aで売却するメリットは、大手傘下に入ることでの提供できるサービスの充実と、DX化による運営の効率化を図れるようになる点です。
ゲストハウスは過当競争気味なので、他社との差別化と経営効率化による収益改善が急がれています。M&Aで大手傘下に入ることで、大手のリソースを活用して、運営改善を図れる点がM&Aによる売却のメリットです。
ゲストハウス業界のM&Aにおける買収・売却事例5選
ゲストハウス業界で実施されたM&Aの事例を紹介します。
バルニバービが菊水を譲渡した事例
2020年7月29日に、株式会社バルニバービから、同社の連結子会社である株式会社菊水の全株式を譲渡するM&Aを決議したことが発表されました。
バルニバービは、東京都台東区に本社があり、主に関東エリアと関西エリアで外食事業やホテル事業を展開しています。菊水は京都にあり、創業60年で四季折々の豊かな情緒を感じながら、季節を感じる料理を楽しむことができる旅館です。
バルニバービは、2017年に菊水の株式を取得して買収しましたが、事業の選択と集中の観点から、経営資源を有効活用して財務体質の強化を図るとのことで、今回の売却に至りました。
参考:連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ
新日本建物がファーストキャビンのカプセルホテル事業を取得した事例
2020年7月17日に、株式会社新日本建物が、同社の非連結子会社である株式会社NAPが、破産した株式会社ファーストキャビンが保有する、ホテルのフランチャイズ事業及び運営受託事業を譲受したことを発表しました。
新日本建物は、東京都新宿区に本社のある不動産総合デベロッパーで、首都圏を中心に、分譲マンションや戸建住宅等の提供や、収益物件の開発、販売や、既存ビルのバリューアップなどの事業を展開しています。
ファーストキャビンは、飛行機のファーストクラスをイメージした高級感のあるコンパクトホテルの会社で、特に、女性が利用しやすいカプセルホテルの環境を整えてきた会社です。
しかし、新型コロナ禍での急激な収益悪化の影響で、2020年4月に東京地裁へ破産を申請しました。
新日本建物としては、同社が持つ不動産物件の仕入れ力に、ファーストキャビンが所有するコンパクトホテルに関する知的財産権とフランチャイズ展開する運営ノウハウを融合させて、新しい収益物件の開発、販売の可能性を広げることができるとしています。
参考:当社非連結子会社による事業譲受に関するお知らせ
ベストワンドットコムがえびす旅館を子会社化した事例
平成30(2018)年12月26日に、株式会社ベストワンドットコムが、株式会社えびす旅館の全株式を取得して子会社化するM&Aを決議したことを発表しました。
ベストワンドットコムはオンライン旅行業者です。主に「ベストワンクルーズ」でクルージングツアーを扱っています。その他に、国内宿泊予約、格安国内ツアーなどの予約サイトの運営なども行っている会社です。
えびす旅館は2015年に開業した京都市内の旅館で、京都駅から徒歩5分と旅行客が利用しやすい好立地にあります。
ベストワンドットコムとしては、えびす旅館を買収してホテル事業に乗り出すことで、ホテル所有、運営、オンラインでの集客ノウハウを獲得し、同社が企画するクルーズツアーへの参加者への宿泊提供によるシナジー効果を得たいとしています。
さらにはインバウンド需要を取り込む足がかりにもしていきたいとのことです。
参考:株式会社えびす旅館の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
バルニバービが菊水を子会社化した事例
平成29(2017)年6月15日に、株式会社バルニバービから、株式会社菊水の発行済株式の70%を取得して子会社化するM&Aの実施が発表されました。
菊水は、昭和30年に京都市東山山麓にある南禅寺近くで創業しました。60年の歴史ある料理旅館です。約820坪の広大で優美な庭園は宿泊客や食事客に、四季折々の風情を感じさせています。
バルニバービでは、長年、ロケーション開発やデザイン力を生かした店舗運営ノウハウがあり、菊水の美しい庭園と料理と融合させることで、新しい付加価値を提供できるとして、M&Aを実施したとのことです。
参考:株式会社菊水の株式取得(連結子会社化)に関するお知らせ
ビーロットがヴィエント・クリエーションを子会社化した事例
平成29(2017)年1月16日に、株式会社ビーロットから、株式会社ヴィエント・クリエーションの全株式を取得して子会社化するM&Aの実施が発表されました。
ビーロットは、国内外の富裕層を対象とした資産運用サービスを主に提供する、総合不動産会社です。
ヴィエント・クリエーションは、都内のJR山手線の主要駅から徒歩3分以内という希少な立地に、カプセルホテルを2棟所有しています。
ビーロットでは、インバウンド戦略として長期的に収益を見込める宿泊施設やホテルを開発して、海外の投資家へ販売する事業に力を入れています。
そこで、ヴィエント・クリエーションをオペレーショナルアセットとして、不動産再生を図り、プライベートエクイティ投資の事業領域へ進出する礎にしていくとのことです。
参考:株式会社ヴィエント・クリエーションの株式取得(子会社化)に関するお知らせ
ゲストハウス会社をM&Aする際の流れ
ゲストハウスをM&Aする流れについて詳しくみていきましょう。
M&Aの専門家に相談を行う
ゲストハウスの経営を続けることが難しいと考え始めたら、まずはM&Aの専門家に売却できる可能性がないか相談してみましょう。
M&Aの専門家は、中小企業や個人事務所、個人商店などの売買の仲介や手続きのサポートを専門的に手掛けています。
専門家なら豊富なM&Aのサポート経験から、M&Aで売却できそうかどうか、アドバイスをくれるでしょう。M&Aを決断したら、最適な相手とのマッチングや、法律や財務についての高度な知見が必要な手続きもサポートしてもらえます。
まずは、M&Aの専門家への相談から始めましょう。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
ゲストハウス業界で事業譲渡を適切に行うには、各業界に精通した専門家によるサポートを受けるのがおすすめです。
M&A総合研究所では、M&Aの支援経験豊富なM&Aアドバイザーが専任につき、事業譲渡を丁寧にフルサポートいたします。
また、料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)
無料相談も随時受け付けておりますので、こちらの業界で事業譲渡をご検討の際はM&A総合研究所までお気軽にご相談ください。
売却先の選定
M&Aの専門家に相談して仲介を依頼することを決めたら、まずはM&Aの専門家による売却先の選定です。
選定方法は、売却側の社名などの詳細を明かさないノンネームシートをM&A情報サイトに公開したり、ゲストハウスに興味のある顧客に声を掛けたりして探します。
売却先の候補がいくつか見つかったら、その中から数社厳選して、ゲストハウスの経営者に提案して、経営者本人の決断で交渉相手を決定します。
トップ面談・条件交渉
トップ面談とは、売却側と買収側の経営者同士が直接あって話し合う面談です。財務資料等の数字からは見えない、経営理念や企業文化などについて語り合い、お互いの相性を確認します。結婚でのお見合いのようなものです。
トップ面談で、お互いM&Aを進めることを決断したら、最初の条件交渉に入ります。最初の条件交渉では、M&Aのスキーム、譲渡金額と時期の目安、従業員の待遇など、M&Aを進める上での重要事項について決めていきます。
秘密保持契約の締結
M&Aを進めるためには、売却側の財務資料やノウハウなどの機密情報を買収側に開示する必要があります。また、買収側からの提示金額が妥当なものかどうかを判断してもらうために、M&Aの専門家にも見てもらった方がいいでしょう。
開示する機密情報が万が一流出すると、売却側に大きなダメージとなります。流出を防ぐために、必ず機密資料の開示前に秘密保持契約書を締結しましょう。
基本合意の締結
最初の交渉がまとまったら基本合意書を締結します。基本合意書は、今後、クロージングまでに長い時間がかかるM&Aの方向性について、お互いに共通認識を持つためのものです。
基本合意書の内容は今後変更する可能性があるので、秘密保持義務と独占交渉権以外の項目には、一般的に法的拘束力をかけません。
デューデリジェンスの実施
基本合意書締結後に実施されるのが、買収側が売却側を徹底的に調査するデューデリジェンスです。M&Aのデューデリジェンスは、買収監査とも呼ばれるもので、買収側から派遣された専門家チームが、売却側の会社を調べ上げます。
専門家チームは、M&Aについての知見の高い弁護士や税理士で作られており、買収金額の目安となる企業価値の評価と、買収に当たってのリスクについて、法務、財務、人事などを調査します。
粉飾決算や簿外債務など不都合な事実がこの段階で明らかになった場合には、M&Aの破談や大幅な減額交渉となることもあるようです。相手に知られたくない不都合な事実も基本合意書締結までに開示しておいた方が無難でしょう。
最終交渉と最終契約の締結
デューデリジェンスの結果、買収側がM&Aを進めても大丈夫だと判断した場合には、最終交渉です。最終交渉では、譲渡金額や従業員の待遇、経営者の処遇などが最終決定されていき、最終契約書にまとめられていきます。
また、経営者の個人保証を外す方法や、業務には必要ない会社所有の美術品の扱い等の、会社を譲渡する上で必要な細かい点も全て決定されて、最終契約書に盛り込まれます。
最終契約書では、全ての項目に法的拘束力がかけられて、サイン後の変更や破棄には違約金が発生するので、サインする前に内容をよく確認しましょう。
クロージング
最終契約書の締結からしばらく期間を置いてからクロージング、経営権の引き渡しです。クロージングまでは、1ヶ月から1年の間が多く、売却側と買収側の交渉で決めます。
クロージングまでの期間に、M&Aの実施を公表して、従業員と取引先に説明をします。また、経営体制変更に向けた準備も始めて、クロージングの準備を行うのです。
ゲストハウスの売却に反発して、従業員の離職や取引先からの取引停止を招かないように、丁寧に売却の必要性について説明してください。
クロージング日になったら、売却側から株式など譲渡するものを売却側に引き渡し、買収側から代金が支払われて、経営権の引き渡しが完了します。
ゲストハウス会社のM&Aを行う際の注意点
ゲストハウス会社をM&Aする上での注意点をみておきましょう。
営業許可の引継ぎ
ゲストハウスは宿泊施設なので、都道府県の旅館業の営業許可が必要です。包括的譲渡である株式譲渡であれば、営業権も丸ごと譲渡されますが、事業譲渡では営業権が譲渡されません。
M&Aのスキームによって買収側の新規取得が必要かどうか変わるので注意しましょう。
また、包括譲渡の場合も、売却側が営業許可を取得したときと条件が変更されていることがあります。その場合には、買収側の新規取得が必要になる可能性もあるので、都道府県の担当部署に営業許可がそのまま使えるか事前に確認してください。
ゲストハウス業界のM&A・事業売却まとめ
思いもよらぬ新型コロナの流行により、経営方針の変更に迫られているゲストハウスの経営者も多いことでしょう。ゲストハウスの廃業には、さまざまなコストがかかるので、M&Aで売却できるのなら、売却を選んだほうがメリットがあります。
ゲストハウスの今後に不安を感じているのなら、まずはM&Aの専門家へ売却の可能性について相談してみることがおすすめです。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。