2025年12月24日公開業種別M&A

コンテンツ制作業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例5選や流れと注意点も解説!

本コラムではコンテンツ制作業界のM&Aについてまとめました。主な内容として、コンテンツ制作業界の概要と市場動向、コンテンツ制作会社のM&Aで得られるメリットや注意点、M&Aプロセスの概略などの解説と、実際に行われた売却・譲渡・買収などのM&A事例も紹介します。

目次
  1. コンテンツ制作業界の動向
  2. コンテンツ制作業界におけるM&Aのメリット
  3. コンテンツ制作業界のM&Aによる売却・買収事例5選
  4. コンテンツ制作会社のM&Aを行う流れ
  5. コンテンツ制作会社のM&Aにおける注意点
  6. コンテンツ制作業界のM&Aまとめ
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コンテンツ制作業界の動向

コンテンツ制作におけるコンテンツとは、映像系ソフト、テキスト系ソフト、ゲームソフト、音声系ソフトなどのことです。ゲームソフト以外の分野には、複数の種類のコンテンツがカテゴライズされます。

また、ゲームソフトも、ゲーム機向け、PC向け、モバイル向けなどに分類することも可能です。なお、総務省の「情報通信白書」においては、ゲームソフトは映像系ソフトの1つとしてカテゴライズされています。

コンテンツ制作業界の市場動向

総務省情報通信政策研究所の発表資料によれば、2023(令和5)年のコンテンツ制作業界における各コンテンツの売上高動向は以下のようになっています。カッコ内の数値は市場全体に占める比率です。

  • 地上テレビ番組:2兆6,108億円(20.7%)
  • ゲームソフト:1兆6,863億円(13.4%)
  • 新聞記事:1兆1,106億円(8.8%)
  • ネットオリジナル(テキストコンテンツ):1兆355億円(8.2%)
  • ネットオリジナル(映像コンテンツ):9,468億円(7.5%)
  • 映画ソフト:8,506億円(6.8%)
  • 衛星・CATV番組:8,328億円(6.6%)
  • 書籍ソフト:7,938億円(6.3%)
  • 音楽ソフト:7,237億円(5.8%)
  • 雑誌ソフト:6,355億円(5.1%)
  • コミック:4,717億円(3.7%)
  • データベース情報:3,689億円(2.9%)
  • ビデオソフト:3,141億円(2.5%)
  • ラジオ番組:1,709億円(1.4%)
  • ネットオリジナル(音楽コンテンツ):312億円(0.2%)

これらのコンテンツ売上高の合計は12兆5,833億円という動向となっています。なお、ネットオリジナルとは、インターネットに接続されているモバイルやPC向けに配信されるアプリや番組、情報などのソフトのことです。テキスト系、映像系、音楽系のネットオリジナルを合計すると2兆135億円(15.9%)の規模になります。

参照元:総務省情報通信政策研究所

コンテンツ制作業界におけるM&Aのメリット

コンテンツ制作業界においてM&Aを実施すると以下のようなメリットが得られます。

  • 事業承継問題の解決
  • 従業員の雇用継続
  • 対価の獲得
  • 債務からの解放
  • 経営の安定化
  • 市場シェア拡大
  • 人材の獲得
  • 知的財産の獲得

コンテンツ制作業界のM&Aにおける各メリットの内容を説明します。

事業承継問題の解決

後継者不在のコンテンツ制作会社にとって、M&Aで事業承継が実現するメリットがあります。M&Aでコンテンツ制作会社を売却・譲渡すると、その後の経営を引継ぐ買収側は新たな経営者であり、いわば後継者です。M&Aによって会社は存続し、廃業を免れられます。

従業員の雇用継続

廃業危機にあるコンテンツ制作会社がM&Aによる売却・譲渡を行えば、従業員の雇用が守られるメリットも得られます。仮にコンテンツ制作会社が廃業した場合、従業員との雇用関係はなくなり解雇せざるを得ません。しかし、M&Aによってコンテンツ制作会社が存続すれば、雇用関係もそのまま継続されます。

対価の獲得

コンテンツ制作会社が、M&Aによる売却・譲渡で得られる大きなメリットが対価の獲得です。コンテンツ制作会社には企画力、技術力、開発力、ノウハウなど、さまざまな無形固定資産があります。また、IP(知的財産)を所有しているコンテンツ制作会社もあるでしょう。高額の対価を期待できます。

債務からの解放

コンテンツ制作会社を株式譲渡や合併などのM&Aスキーム(手法)で売却・譲渡すると、債務から解放されるメリットが得られます。それは、M&Aによって債務が買収側に引継がれるからです。個人保証も同時に解消されるでしょう。ただし、事業譲渡では債務が残ることが注意点です。

経営の安定化

M&Aでコンテンツ制作会社を売却・譲渡すると、経営が安定するメリットも期待できます。M&A後、買収側による財務面のサポート、さまざまな経営資源の共用や協業など、これまでとは経営環境が一変するはずです。新たな環境下で経営は安定していくでしょう。

市場シェア拡大

コンテンツ制作会社が同業者とM&Aを行った場合、市場シェアを一気に拡大できるメリットがあります。企業努力で市場シェアを拡大することは可能ですが、それを瞬時に行えるのはM&Aだけです。

人材の獲得

M&Aの買収側にとっては、人材の獲得も大きなメリットです。コンテンツ制作業界の場合、人材には技術やスキルが求められます。M&Aを行えば、一定の技術やスキルを持った売却・譲渡側の人材をまとめて獲得できるのです。それは通常の採用活動の比ではありません。

知的財産の獲得

コンテンツ制作会社をM&Aで買収すれば、新たな知的財産(IP)を獲得するチャンスというメリットがあります。受託中心のコンテンツ制作会社の場合は発注側が著作権(財産権)を持つのが通例です。しかし、そうでないケースでは売却・譲渡側が何らかのIPを有している可能性があり、ビジネスとして期待が持てます。

コンテンツ制作業界のM&Aによる売却・買収事例5選

ここでは、実際に行われたコンテンツ制作業界関連のM&A事例として以下の5事例を紹介します。

  • ガーラによるROAD101 Co., Ltd.の買収事例
  • MS-Japanによるシータとの資本業務提携事例
  • アイフリークモバイルによるリアルタイムアニバーサリーの買収事例
  • アイフリークモバイルによるフリーの買収事例
  • 日本創発グループによるFIVESTARinteractiveの買収事例

各M&A事例の内容を説明します。なお、表中に売上高を記載している場合、それはM&Aが実施された時期の直前期決算の数値です。最新の決算数値とは違う点にご留意ください。

ガーラによるROAD101 Co., Ltd.の買収事例

事例1 売却側 買収側
法人名 ROAD101 Co., Ltd. ガーラ
所在地 大韓民国ソウル市 東京都渋⾕区
事業内容 エージェンシー事業、
Digital Intermediate事業、
VFX(Visual Effects)事業
ゲーム&アプリ事業、
VFX事業、メタバース事業、
ツリーハウスリゾート事業
売上高 7億3,300万円 32億700万円(連結)

2023(令和5)年9月、ガーラは、ROAD101 Co., Ltd.(以下ROAD101)の第三者割当増資を引受け45.9%の株式を取得しました。株式取得額は約3億9,600万円、アドバイザリー費用が2,400万円です。

同時にガーラの関係会社が、ROAD101の株式5.1%分の第三者割当増資を引受けています。これにより合計でガーラグループとして51%の株式取得となり、ROAD101はガーラの子会社となりました。ガーラとしては、グループにおけるメタバース事業強化のために行ったM&Aです。

参照元:株式会社ガーラ

MS-Japanによるシータとの資本業務提携事例

事例2 売却側 買収側
法人名 シータ MS-Japan
所在地 東京都新宿区 東京都千代田区
事業内容 VR映像コンテンツ制作 人材関連事業、
各種ポータルサイトの運営
売上高 非公開 38億2,800万円

2019(令和元)年9月、MS-Japanは、シータとの資本業務提携を決定しました。なお、トラスト・テック(オープンアップグループとの合併により現在は消滅)もMS-Japanと共に資本提携を結んでいます。

資本提携としてはMS-Japanがシータに出資したと思われますが、具体的な内容は公表されていません。業務提携の内容は、会社紹介および人材育成分野におけるVRサービスでの協業とされています。

参照元:株式会社MS-Japan

アイフリークモバイルによるリアルタイムアニバーサリーの買収事例

事例3 売却側 買収側
法人名 リアルタイムアニバーサリー アイフリークモバイル
所在地 東京都渋谷区 福岡県福岡市
事業内容 IT事務、SEサポート、webデザイン、
OAサポート、キャラクターデザイン
コンテンツ事業、
DX事業
売上高 1億8,710万8千円 9億400万円

2018(平成30)年12月、アイフリークモバイルは、リアルタイムアニバーサリーの全株式を買収し完全子会社化しました。買収額は2,277万円、アドバイザリー費用が100万円です。

アイフリークモバイルとしては、自社が行うモバイルコンテンツ事業やコンテンツクリエイターサービス事業における人材補強を目的にM&Aを実施しています。

参照元:株式会社アイフリークモバイル

アイフリークモバイルによるフリーの買収事例

事例4 売却側 買収側
法人名 フリー アイフリークモバイル
所在地 神奈川県秦野市 福岡県福岡市
事業内容 知育アプリの企画・
開発・運用・販売
コンテンツ事業、
DX事業
売上高 1億1,925万2千円 9億400万円

2018(平成30)年12月、アイフリークモバイルは、フリーの全株式を買収し完全子会社化しました。買収額は3,000万円、アドバイザリー費用が2,100万円です。

アイフリークモバイルとしては、17万ダウンロードという実績があるフリーの知育アプリ企画力・収益モデルに着目し、自社が行っているファミリー向けコンテンツの収益性改善に役立てるため、M&Aを実施しました。

参照元:株式会社アイフリークモバイル

日本創発グループによるFIVESTARinteractiveの買収事例

事例5 売却側 買収側
法人名 FIVESTARinteractive 日本創発グループ
所在地 東京都中央区 東京都台東区
事業内容 インターネットによる情報提供サービス、
コンサルティング、ホームページ制作、
コンピューターのシステム開発・設計・販売、
広告・宣伝に関する企画・制作・出版、
イベント・ピーアールに関する企画・制作・運営
印刷事業、プロダクツ事業、
ITメディアセールスプロモ
ーション事業などを行う
企業グループの持株会社
売上高 3億300万円 332億9,000万円(連結)

2017(平成29)年1月、日本創発グループは、FIVESTARinteractive(以下FIVESTAR)の第三者割当増資を引受けて同社株式の87.08%を取得し子会社化しました。取得額は2億2,000万円、デューデリジェンス(FIVESTARの経営状況調査)費用が200万円です。

日本創発グループとしては、FIVESTARがグループに加わり協業を行うことで高いシナジー効果が得られると見込んでM&Aを実施しました。

参照元:株式会社日本創発グループ

コンテンツ制作会社のM&Aを行う流れ

コンテンツ制作会社のM&Aは以下のような流れで進めます。

  1. M&Aの検討・実施決定
  2. M&A業務委託先の選定
  3. M&A交渉相手探し
  4. M&A交渉相手との秘密保持契約締結
  5. M&A交渉開始
  6. トップ面談
  7. 基本合意書の取りまとめ
  8. デューデリジェンス
  9. 最終交渉
  10. M&A契約の締結
  11. クロージングに向けた諸手続き
  12. クロージング
  13. PMI

上記のプロセスのうち、クロージングとは契約内容の履行のことです。PMI(Post Merger Integrationの略称)は経営統合プロセスを意味します。

以下の動画はM&Aの基本的な流れを解説したものです。また、その他にポイントとなるM&Aのプロセスについては、順次、個別に説明動画を掲載します。

M&Aプロセスの個別解説動画として、まずは「M&A検討段階の準備」です。

次は「M&Aアドバイザーの見極め方」の解説動画です。

続いて「M&Aにおける譲渡先の探し方」の解説動画です。

次の動画は「M&Aにおける秘密保持契約と情報漏えい」を解説しています。

こちらは「トップ面談」の解説動画です。

こちらの動画は「デューデリジェンスの種類」を解説しています。

この動画では「デューデリジェンスにおける売却・譲渡側の注意点」を解説しています。

以下の動画では「M&A成約当日の流れ」を解説しています。

最後に「M&Aの契約書」に関する解説動画です。

コンテンツ制作会社のM&Aにおける注意点

コンテンツ制作会社のM&Aを行う場合、以下のような注意点があります。

  • M&Aの専門家に相談をする
  • 事業譲渡時の人材流出を防ぐ
  • 的確な企業価値評価を行う

コンテンツ制作会社のM&Aにおける各注意点の内容を説明します。

M&Aの専門家に相談をする

コンテンツ制作会社のM&Aにおける注意点としては「早期にM&Aの専門家に相談する」ことです。M&Aの初期における戦略策定と交渉相手探しを円滑に行うには、M&Aの専門家が欠かせません。各専門家が実施している無料相談を活用し、早期に業務委託する相手を決めるとよいでしょう。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

コンテンツ制作会社のM&Aを相談できる専門家をお探しであれば、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は多くのM&A成約実績を有しており、知識・経験ともに豊富なアドバイザーによる専任フルサポートを行っています。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(ただし譲受側企業様には中間金が発生します)。随時、無料相談を承っておりますので、お気軽にご連絡ください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

事業譲渡時の人材流出を防ぐ

コンテンツ制作会社のM&Aを事業譲渡で行う場合の注意点が人材流出です。事業譲渡では、売却・譲渡側の従業員は退職手続きを経て買収側と新たな雇用契約を結びます。

しかし、会社がM&Aを決めたからといって従業員へ転籍を強要できません。従業員への説明・説得を十分に行っておかないと、退職後、他社に転職してしまう可能性があります。

的確な企業価値評価を行う

的確な企業価値評価を行うことが、M&A交渉時の重要な注意点です。M&Aでは、交渉に先立ち売却・譲渡側に対する企業価値評価を、売却側、買収側が個別に行います。その結果を基に交渉条件を決めるのが通例です。どちらかの企業価値評価が的確でないと、提示条件がかい離し交渉が難航してしまうでしょう。

以下の動画は企業価値評価方法の1つである「コストアプローチ」について解説したものです。ご参考まで掲載します。

以下の動画は企業価値評価方法の1つである「マーケットアプローチ」について解説したものです。ご参考まで掲載します。

コンテンツ制作業界のM&Aまとめ

コンテンツ制作会社のM&A成功確度を上げるために肝要なのは、M&A業務委託先の選び方です。具体的には、コンテンツ制作会社のM&Aを支援した実績があること、自社と同規模のM&Aを支援した実績があること、特定の地域に強みがあったり全国対応や海外対応をしていたりすることなどがポイントになります。

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