M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年12月30日更新業種別M&A
マンション管理会社の売却の相場は?高値で売る方法も解説!
マンション管理会社がM&Aを行うケースは昨今増えています。現在マンション管理会社を経営している方も、いずれはM&Aによる会社売却を考えているでしょう。今回はマンション管理会社を高値で売る方法や売却の相場についてお伝えします。
目次
マンション管理会社の売却
はじめにマンション管理会社と会社売却の概要についてお伝えします。
マンション管理会社とは
マンション管理会社とはマンションの清掃、警備、設備の保守点検、事務管理業務などを行う会社のことを指します。マンションの住人のために整備やサポートを行うことがマンション管理会社の役目というわけです。
マンション管理会社は分譲などを行うデベロッパーのグループ会社として事業を展開している管理会社や、独立系で事業を手掛けていることもあります。
ただ最近は不況の影響もあって、デベロッパーがグループのマンション管理会社を手離すケースが増えています。一方で管理戸数を増やすことを第一に同業他社を買収することで、事業規模を拡大するマンション管理会社もあります。
ビル管理会社との違い
マンション管理会社とよく似たものにビル管理会社がありますが、ビル管理会社はマンションではなく商業用のビルや病院などの管理を行っていますが、業務内容はマンション管理会社と似ています。実際、マンション管理とビル管理を一緒に行っている会社もあります。
しかしビル管理会社は特殊な設備を扱うことも多いため、専門的な資格を必要とすることが多いです。
会社売却とは
会社売却とは文字通り会社を売却する行為です。会社売却は基本的にM&Aで行われるものであり、主に「株式譲渡」や「合併」といった手法が使われます。
基本的に会社売却は買い手となる会社の子会社になるか合併のように組織自体が取り込まれるため、会社の独立性は失われます。しかし大手の資本の恩恵を直接受けられるので経営基盤を強化できますし、買い手のノウハウや商品を利用できるようになります。
また、会社売却は経営者に売却益をもたらすことにもつながります。当然その売却益は自由に扱えるため、経営者にとっては大きなメリットになるでしょう。もちろん高値で売ることができれば売却益も大きくなります。
ただ、会社売却のようなM&Aは成功率が高いものではありません。M&Aの成功率は3割~5割といわれており、中には交渉する買い手を見つけられないまま失敗に終わるケースがあります。
また、売り手が思ったより売却価格を高くできないことも少なくありません。
マンション管理会社の売却相場
マンション管理会社の売却相場は具体的な数字こそありませんが、これまでの事例を見る限り数億円以上で売却できたケースが多いようです。
売却額はマンション管理会社の規模や管理戸数の多さによって変わるため一概にいえませんが、M&Aの進め方や交渉次第では数十億円単位の売却額を達成できる可能性が高まります。
また、大手のマンション管理会社であれば数百億円単位の価格が実現することもあるでしょう。
マンション管理会社の売却価格を算定するには
マンション管理会社の売却価格は、まずバリュエーションを通じて算定されます。バリュエーションは企業価値を算定する手法であり、インカムアプロ―チ・コストアプローチ・マーケットアプローチの3種類を用いて行われます。
バリュエーションは財務の知識が必要だったり、特殊な計算式を用いることがあるため基本的に専門家が行っていきます。M&A仲介会社によっては無料で実施してくれることもあります。
他方で、最終的な売却価格はバリュエーションで確定されるわけではありません。バリュエーションで算定される売却価格はあくまで目安であり、その後の交渉によって金額が上下していきます。
マンション管理会社なら管理戸数や提供しているサービス、人材によって売却価格にプレミアがつくことがあり、バリュエーションの結果より大きな売却価格になる可能性もあります。
ただ、逆にリスクが発覚すれば売却価格が大きく低下することもあるので注意しましょう。
マンション管理会社の売却動向
マンション管理会社には以下のような売却動向が見られます。
- マンション管理会社は開業しやすい
- 競争の激化により廃業・倒産するケースの増加
- お客が求めるニーズの変化に対応できずに売却を検討するケースも
- 今後はますます中小規模の業者数は減少していくと予測
- 経営者の高齢化による事業承継も増加
1.マンション管理会社は開業しやすい
マンション管理会社は比較的開業しやすいという特徴があります。マンション管理会社を開業する際、マンション管理士という資格を獲得した方が有利になりますが、この資格には他の士業のように開業に対する制限がありません。そのため、開業をスムーズに実行することが可能です。
そしてマンションなど不動産を持っている会社がマンション管理会社を始めたいと考えた場合、この特徴は有利に働きます。M&Aでマンション管理会社を買収すれば、そのまますぐに事業を始められるようになるからです。
2.競争の激化により廃業・倒産するケースの増加
マンション管理会社が会社売却を行う背景には、競争の激化による廃業・倒産するケースの増加が挙げられます。そもそもマンション管理会社は管理戸数によって収益が決まる事業であり、どれだけその数を増やせるかが競争を勝ち抜く鍵だといっても過言ではありません。
しかし管理戸数が少ない中小企業は成長が伸び悩むことが多く、管理戸数を拡大することも難しくなっていきます。そのため競争に敗れて廃業・倒産するマンション管理会社も少なくありません。
ただ、廃業・倒産は経営者にとって望ましい選択肢とはいえないものです。そのような事態を回避するため、会社売却を実行し、事業の存続を図るマンション管理会社が増えています。
3.顧客が求めるニーズの変化に対応できずに売却を検討するケースも
マンション管理会社はシェアの獲得のために管理戸数の増大を図りつつも、競合他社との競争で生き残るためにサービスの差別化も急務となっています。
しかしサービスの差別化は新たなノウハウが求められるだけでなく、コストもかかるものです。さらに顧客のニーズも変化するため、柔軟に対応することが難しくなります。
そのような状況下で、大手に自社を売却することでニーズの変化に対応しようとするマンション管理会社が増えています。大手の傘下に入ればそこで提供しているサービスを利用できるようになるため、サービスの差別化が容易に実現できるようになります。
4.今後はますます中小規模の業者数は減少していくと予測
マンション管理会社は今後ますます中小規模の業者数が減少していくと予測されています。これはマンション管理会社に限らず、あらゆる業界・業種で発生し得ることです。
そもそも日本では少子高齢化の影響で国内市場が縮小しており、中小企業は苦境に立たされがちです。海外進出や事業規模の拡大を行うことができない中小規模の業者は簡単に現状を脱することはできません。
さらに人口減少が問題化している地方のマンション管理会社は都心部の業者より苦しい立場になってしまうでしょう。そのため、会社売却を行うことで会社の存続を図るケースが増えています。
5.経営者の高齢化による事業承継も増加
昨今は後継者不在の中小企業が多くなっており、事業承継のために会社売却を実施するケースが増えています。マンション管理会社も例外ではなく、中小規模の業者が事業承継のために会社売却を実行することが多くなっています。
会社売却をはじめとしたM&Aは第三者に経営権を託せるため、会社の存続が実現できます。
このような事業承継のための売却は今後も増加していくと予測されています。マンション管理会社も経営者が高齢化している事例は珍しくなく、事業承継目的のM&Aは積極的に行われるようになるでしょう。
マンション管理会社を売却する際に高値で売る方法
マンション管理会社が会社売却を行うのであれば、以下のような方法を用いれば高値で売れる可能性が高まります。
- 管理戸数・従業員ともに充実している
- 利用者や顧客からの評価が高い
- 経営状態が良好
- 営業力が高い
- マンション管理会社売却の専門家に相談する
1.管理戸数・従業員ともに充実している
管理戸数・従業員ともに充実している一定以上の規模を持つマンション管理会社は、高値で売却できる可能性が高くなっています。マンション管理会社は管理戸数が増えれば増えるほどスケールメリットが得られるため、規模が大きい会社であるほど価値が高くなります。
また、買い手が進出したい・強化したいエリアで事業を展開しているマンション管理会社もそれなりの規模があれば高値で売却できるようになるでしょう。
事業規模の拡大に力を入れているマンション管理会社はゼロベースで特定のエリアに進出するよりも、当該エリアにある既存の会社を買収する形で進出することが多くなっています。そのため、特定のエリアで事業を展開しているということだけでも、買い手が興味を示すことは充分にあります。
2.利用者や顧客からの評価が高い
良質なサービスを提供しているため、利用者や顧客からの評価が高いマンション管理会社も高値で売却できる可能性が高くなるでしょう。
マンション管理会社は住人のためにサービスを提供する事業であるため、利用者や顧客からの評価が高いことは非常に大きな強みだといえます。
買い手にとって良質なサービスや、それを実現できる人材は喉から手が出るほど欲しいものです。また独自性が高いユニークなサービスも高く評価される傾向があるため、会社売却において有利に働きます。
3.経営状態が良好
経営状態が良好なマンション管理会社はリスクが少ないと見られるため、高値での売却・M&Aの成功が実現する可能性が高いです。
マンション管理会社は安定的な事業とはいえ、経営状態が悪化していれば存続は困難になります。また負債が多いなどリスクがあると買い手の買収意欲が低下するため、健全な経営状態であることは重要なアピールポイントだといえます。
他方で、経営状態が悪いからといってM&Aが失敗するとは限りません。経営不振でも事業に価値があると判断されたことでM&Aに成功したケースは多く、中には経営不振の会社を率先して買収する会社もあります。
4.営業力が高い
営業力が高い点もマンション管理会社のM&Aにおいて有利な条件になります。営業力が高ければ経営統合後の管理戸数増加も見込めますし、新たな事業を展開するうえでも貢献できると判断されます。また、それだけ人材が揃っているアピールできるようにもなるでしょう。
買い手が積極的な事業展開を考えている場合、営業力が高いことだけでも十分な強みになります。
5.マンション管理会社売却の専門家に相談する
マンション管理会社売却の専門家に相談することも高値を実現する方法の一つです。
マンション管理会社売却の経験がある専門家がM&Aのサポートをしてくれるなら、業界に精通したプロフェッショナルのアドバイスを元にスムーズにM&Aを進められるようになります。
また、交渉のような場面でもスキルや経験値を活かして万全の対策を立ててくれるでしょう。そのため、高額での売却が実現しやすくなります。
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まとめ
スケールメリットを享受しやすいマンション管理会社はM&Aととても相性がいい事業だといえます。そのため会社売却も行いやすく、専門家としっかり相談して臨めば高額での売却も夢ではないでしょう。
【マンション管理会社の売却動向】
- マンション管理会社は開業しやすい
- 競争の激化により廃業・倒産するケースの増加
- お客が求めるニーズの変化に対応できずに売却を検討するケースも
- 今後はますます中小規模の業者数は減少していくと予測
- 経営者の高齢化による事業承継も増加
- 管理戸数・従業員ともに充実している
- 利用者や顧客からの評価が高い
- 経営状態が良好
- 営業力が高い
- マンション管理会社売却の専門家に相談する
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。