2023年11月30日更新業種別M&A

外装工事業界のM&A動向!会社売却のメリットや成功のポイント・事例5選を徹底解説【2023年最新】

外装工事各社は新築建築市場が落ち込むなか、リフォーム市場へ進出し生き残りを図っています。そこに必要なのは、他社との差別化です。外装工事会社にとってM&Aは重要な手段となります。内装・外装工事業界のM&A事情について掘り下げます。

目次
  1. 外装工事業界とは
  2. 外装工事業界の動向
  3. 外装工事業界のM&A動向
  4. 外装工事業界のM&Aのメリット
  5. 外装工事業界のM&Aを成功させるポイント
  6. 外装工事業界のM&Aでの注意点
  7. 外装工事業界のM&Aの売却相場
  8. 外装工事業界のM&Aの事例5選
  9. 外装工事会社をM&Aで売却する流れ
  10. 外装工事業界のM&Aまとめ
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内装工事 外装工事のM&A・事業承継

外装工事業界とは

他業界と同様、近年の外装工事業界ではさまざまなM&Aが行われており、実施件数も増加傾向にあります。M&Aを実施する企業が目的とするのは、事業の強化・事業エリアの拡大・新規事業への参入などさまざまです。外装工事業界のM&Aについて述べる前に、まずは業界の特徴や動向について整理しておきましょう。

外装工事業界の定義

外装工事とは、建物の外壁の塗装などを中心に行う工事を指し、屋根工事・外壁工事・外構工事の大きく3つに分けることができます。

屋根工事には、屋根葺き替え工事・屋根重ね葺き工事・屋根塗装工事・漆喰補修工事・棟板金交換工事・雨樋交換工事の6つがあり、屋根の補修や交換などに関する工事のことです。

外壁工事には、塗装工事・張り替え工事・重ね張り工事の3つがあり、建物外壁の補修や塗り替えなどが該当し、現状のまま塗り替えや補修を行う工事だけでなく、外壁を一度撤去して新しい外壁を張り付ける工事もあります。

そして、外構工事とは建物の外側に関する工事を指し、エクステリア工事とも呼ばれるものです。外塀・庭・フェンス・ウッドデッキ・駐車場に関する工事などがあります。

外装工事業界の特徴

建築工事の最終工程となる外装工事は、建築市場の動向に大きく左右されます。例えば、新築住宅の着工戸数が減少すると、当然、内装工事業の仕事も減少するため、新築住宅建築に頼らない手段として、リフォーム市場に進出する企業も増えてきました。

リフォーム工事というと新築工事よりも限定的な工事をイメージしがちですが、実は新築工事と同じような技術が必要です。もちろん、外装の改装工事も含まれており、外装工事業者にとって、今やリフォーム市場はなくてはならない存在となっています。

外装工事業界の動向

新規参入の増加

建築業界のなかで外装工事業は比較的少ない設備投資で始めることができるので、新規参入しやすい業界といえるでしょう。そのため、近年では、外装工事業界へ新規参入する事業者が増加傾向にあります。

市場規模

外装工事業界に含まれる事業には、左官工事・屋根工事・塗装工事・防水工事などがあります。国土交通省によれば、2021年度における外装工事の種類別市場規模は、塗装が1兆7541億円(前年度比13%増)です。

次いで、煉瓦・タイル・ブロックが7447億円(前年度比11%減)、屋根が4229億円(前年度比1%増)、板金が4103億円(前年度比3.8%増)、左官が3565億円(前年度比1%増23.2%減)、金属製屋根2738億円(前年度比17.8%増)、ガラスが1805億円(前年度比54.8%減)となっています。

外装工事と聞くと限定的な工事をイメージしがちですが、外装のみを下請けで行う事業者もいれば、建築から総合的に行う事業者など形態もさまざまです。

近年では、新築住宅の着工戸数の低迷などを踏まえ、リフォーム市場などの新分野への参入を図る企業も少なくありません。というのは、外装工事業界は建築市場の動向に大きく左右されるため、市場が低迷した場合に備えた事業戦略も必要なためです。

その事業戦略として多いのは、新規事業参入などに代表されるような、他社との差別化を図るケースです。事業戦略を実現する具体的な手段として、M&Aが大きくクローズアップされています。

参考:国土交通省「建設工事施工統計調査報告(令和3年度実績)」

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外装工事業界のM&A動向

ここからは、外装工事業界のM&Aについて見ていきましょう。近年の外装工事業界におけるM&Aを俯瞰すると、他業種同様、それぞれの企業の事情によるさまざまな目的でのM&Aが実施されています。

例えば、同業者同士のM&Aであれば、双方の技術力や異なる事業エリアなどを融合させることによって、既存事業の技術力は強化されます。なおかつ事業エリアは拡大されますから、収益増強が望めるはずです。

新規事業を開始したい場合も、M&Aによってその事業に強みのある企業を買収できれば、自社で一から事業を開始するよりも圧倒的に短期間で新分野への参入が可能となります。

特に今後は、新築建築市場からリフォーム市場重視へとシフトしていくなか、周囲の関連業界も含めてM&Aが多様化するかもしれません。もう1つのキーポイントとして期待される海外市場への参入として、M&Aを活用するケースも増えていくでしょう。

それぞれの企業が持つ外装工事のノウハウが、M&Aによって関連業界や海外市場で活かされる形になるわけです。同業種だけの合従連衡では実現できない外装工事業界の新たな発展への可能性として、今後のM&A動向が注目されます。

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外装工事業界のM&Aのメリット

内装工事 外装工事のM&A・事業承継
内装工事 外装工事のM&A・事業承継

この章では、内装・外装工事業界のM&Aで、売却側・買収側がそれぞれに得られるメリットを紹介します。

売却側のメリット

売却側は、次のようなメリットが得られます。

従業員の雇用を確保

まずメリットとして挙げられるのは、従業員の雇用を確保できることです。比較的年齢層の高い職人が多い業界のため、廃業などの場合の再雇用先を探すのは容易ではありませんが、M&Aであれば雇用を継続できます。

後継者問題の解決

2つ目のメリットは、後継者問題を解決できる点です。近年、中小企業においては後継者不足による廃業が後を絶ちませんが、M&Aによる売却ができれば後継者問題による廃業を回避できます。

売却・譲渡益の獲得

3つ目のメリットは、売却・譲渡益が獲得できることです。売却・譲渡が実現すれば、売却・譲渡益を確保できます

株式譲渡の場合は経営者が得られるので、他事業立ち上げの資金に充当したり、リタイア後の生活費などに充てたりすることが可能です。

大手企業の傘下に入る

4つ目のメリットは、大手企業の傘下に入れることです。大手企業のグループに入れば、安定した経営が継続でき、自社のみでは実現が難しかった事業拡大や新しい領域へのチャレンジなども可能となります。

個人保証や担保などの解消

また、個人保証や担保などが解消できることもメリットといえるでしょう。経営者は、融資を受けるために個人保証などを行っている場合が多いですが、会社を売却・譲渡の手法によっては債務もそのまま買い手側に引き継がれるので、個人保証や担保などが解消されます。

買収側のメリット

一方で、買収側は次のようなメリットが得られます。

従業員の確保

1つ目のメリットは、従業員を確保できることです。売却側の経験ある優秀な人材を一度に獲得することができます。

事業を低コストで獲得

また、事業を低コストで獲得できるのも大きなメリットといえます。事業を新規に立ち上げようとすれば、当然それなりの費用がかかりますが、M&Aによって必要な事業の引き継ぎができれば、コストを抑えることが可能です。

グループ体制の強化

3つ目のメリットは、グループ体制を強化できる点です。受注から施工までをグループ内で行うことで、体制の強化と事業の効率化が図れます

顧客・取引先・ノウハウの獲得

売却側の顧客・取引先・ノウハウを獲得できるのも買収側の大きなメリットです。自社の既存事業とのシナジーを生み出したり、事業領域を拡大したりなど、事業の成長・発展につなげることが可能です。

事業エリアの拡大

5つ目のメリットは、事業エリアを拡大できることです。この業界は地域密着で経営している企業に強みがあるので、M&Aにより買収できれば、事業エリアの拡大が期待できます。

外装工事業界のM&Aを成功させるポイント

外装工事業界でM&Aを実施するにあたり、それを成功へと導くポイントがあります。売却側、買収側それぞれの立場におけるM&A成功のポイントについて見てみましょう。

売却の場合のポイント

外装工事業界のM&Aで売却するにあたっては、自社の魅力・強みを相手企業にきちんとアピールする必要があります。具体的にどのような事業に強みがあるのか、特徴的な技術やノウハウは何かなど、長所をわかりやすく伝えましょう。

わかりやすく魅力が伝わるようでなければ、買い手として名乗り出る企業も現れづらくなります。買い手が売り手に魅力を感じてこそ売却が成功するわけですから、魅力や強みをどのようにわかりやすく伝えるか工夫が大切です。

特に外装工事業界では、同業種以上に関連業界とのM&Aが増えるかもしれません。同業種であれば、それほど工夫しなくてもこちらの長所は伝わるでしょう。しかし、異業種相手であれば、より工夫したアピールを心掛けなくてはいけません。

買収の場合のポイント

外装工事業界のM&Aで、買収によって事業の強化・拡大や新規事業開始などを実現するためには、自社が強化すべき事業は何か、新しく開始したい分野は何かなど、具体的な目的をはっきりと定めておかなければなりません。

それがはっきりしていれば、あとは自社に必要な売り手を見つけるだけです。近年の外装工事業界の動向を踏まえると、他社との差別化を図るためにM&Aでの買収を活用することには大きなメリットがあります。

既存事業強化にしろ、新規事業開始にしろ、自社とシナジー効果の高い企業の買収は、今後の業界動向に対応するために大きな意味があるからです。買収を成功させるためにも、相手企業の事業内容、技術、サービス体制、実績などを徹底的に分析しましょう。

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外装工事業界のM&Aでの注意点

外装工事業界のM&Aについて、引き続き注意点を論じていきます。成功へのポイントにも密接に関連する内容です。本章では、3つの注意点について説明します。

目的をはっきりさせること

外装工事業界のM&Aにあたっては、目的の明確化が非常に重要です。目的が不明確なM&Aなどはあり得ませんが、他の業種以上にM&Aの目的を鮮明化しておくことが、成功を左右するといっても過言ではありません。

漠然と事業拡大などをイメージするような状態でM&Aをしても、失敗して損失が発生することもあるでしょう。「M&Aの費用がかかっただけで、結果として損失になってしまった」などという事態は、避けなくてはなりません。

M&Aで失敗することのないようM&Aの目的を鮮明化したうえで、その目的に十分合致する相手とM&Aを進める必要があります。内装・外装工事業界の動向を踏まえつつ、具体的な将来の収益目標を持ってM&Aに臨むといいでしょう。

M&Aの対象は丁寧に選ぶこと

外装工事業界のM&Aにおいては、相手企業に経営を任せることになる売却の場合も、相手企業を傘下に迎える買収の場合も、どちらにしてもその相手企業は信頼できる企業でなければなりません。

M&Aで相手の候補企業を絞り込む際には、信頼できるかどうかを慎重に見極めたうえで、丁寧に慎重に選ぶ必要があります。100%信頼しきれないような状態でM&Aを行っても、後になってトラブルが発生するかもしれません。

そのような事態を防ぐためにも、相手企業の事業内容や経営方針、収支状況などを細かく分析することが肝要です。ふさわしいと思える相手が見つかったときは、早急にアプローチしましょう。良い企業は他社もすぐに目を付けます。決断したらすぐに動くべきです。

専門家のサポートがおすすめ

外装工事業界でM&Aを実施する場合、そのプロセスでは法務、税務、財務などの専門知識が求められます。また相手企業との交渉力も必要です。それらを自社だけで進めることは困難なので、M&A仲介会社・アドバイザリーなど専門家のサポートがおすすめです。

M&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所では、豊富な知識と経験を持つアドバイザーによる専任フルサポートを行っています。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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M&AサポートにおけるM&A仲介業者の役割や売却事例/買収事例をご紹介

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

外装工事業界のM&Aの売却相場

外装工事業界のM&Aを検討している売却側にとって、自社(事業)がどのくらいで売却できるのかというのは非常に気になるものです。M&Aの最終的な売却価額は買収側との交渉で決定されるため、明確な相場というものはありません。

ですが、交渉は言い値で行われるわけではなく、企業価値をベースとするため事前に算出することで大まかな売却相場を知ることは可能です。

大まかな売却相場の求め方

価額交渉のベースとなる企業価値の算出方法にはいくつかの種類があり、どの方法が適しているかは企業の規模や状況によって異なります。中小企業がM&Aを行う場合は「年倍法」と呼ばれる方法を用いるケースが多いです。

年倍法による企業価値算出は「時価純資産+営業利益×年数」で求めることができます。計算式中の乗ずる年数は2〜5年であることが多いですが、何年に設定するのが妥当なのか判断に迷う場合はM&A仲介会社などの専門家へ相談して企業価値を算出してもらうとよいでしょう。

外装工事業界は関連業界とのM&Aが活発化する可能性もあり、今後はM&A事例が多様化することも予想されます。こうしたなかでM&Aの相場・費用を正確に把握することは難しいですが、企業価値評価を行ったり自社と似たM&A事例を分析したりして、M&Aの相場・費用を検討しておくことも必要です。

各事例におけるM&Aの目的、M&Aの当事者となる会社の規模、対象事業の規模、業績、従業員の数、M&Aのスキームなどの詳細を確認し、その中で自社と類似するものは徹底的に分析しておきましょう。

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外装工事業界のM&Aの事例5選

内装・外装工事業界の上場企業が実施したM&A事例は、自社の参考になることもあります。ここでは、近年実施された内装・外装工事業界のM&A事例を5つみていきましょう。

ヨシックスホールディングスが芝産業を子会社化

2021年10月、ヨシックスホールディングスは神奈川県の芝産業の全発行済み株式を取得し、同社を子会社化すると発表しました。

子会社となった芝産業は、店舗などの内外装の設計施工や空調・ダクト工事、電気・看板工事などを手掛ける企業です。ヨシックスホールディングスは、飲食店などのフードビジネスや店舗の設計施工をグループで展開しています。

ヨシックスホールディングスが芝産業を子会社化したのは、グループ外の顧客との取引を広げることでグループでの売上・利益の向上を図ることが目的です。

参考:株式会社ヨシックスホールディングス「芝産業株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ 」

第一カッター興業によるアシレの子会社化

2019年5月、第一カッター興業は横浜市のアシレを完全子会社化すると発表しました。子会社となったアシレは、建築構造物の外壁やコンクリートはつり事業、内外装コーティング・クリーニングを手掛けており、ウォータージェット工法など特殊洗浄技術を持つ企業です。

第一カッター興業は「切る・はつる・洗う・削る・剥がす」の5つに関連する事業をグループで展開しています。本M&Aの目的は、第一カッター興業グループ中核事業の強化および補完です。

第一カッター興業は、アシレの高い技術と人材を獲得し、互いが強みとする建築と土木との間でシナジー発揮を目指すとしています。

参考:第一カッター興業株式会社「株式会社アシレの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ 」

安江工務店がトーヤハウスを子会社化

2018年5月、安江工務店(愛知県)は、熊本県を中心に住宅建築やリフォームなどを手掛けるトーヤハウスの全株式を取得して子会社化しました。株式取得価額は、約2億5000万円です。

安江工務店は、愛知県や兵庫県で住宅リフォームや新築住宅事業、不動産流通事業などを展開しており、トーヤハウスを傘下とすることで、熊本エリアへの事業拡大とさらなる企業価値向上を目指します。

参考:株式会社安江工務店「株式会社トーヤハウスの全株式譲受に関する契約締結のお知らせ 」

OCHIホールディングスが子会社を通じて丸滝を買収

2017年12月、住宅建材卸売を行うOCHIホールディングス(福岡県福岡市)は、同業の丸滝(長野県駒ケ根市)の発行済株式の全てを、連結子会社である越智産業が取得し、丸滝をグループ会社とすることを発表しました。

丸滝は建材・住宅設備機器の卸売と建築工事の請負を行っています。特に内装工事を中心とした建築分野における技術力・ノウハウに強みがあります。

今回のグループ化で双方の技術・ノウハウを活かしながら、丸滝を中核として甲信越地区での事業展開を進める考えです。

参考:OCHIホールディングス株式会社「株式会社丸滝の株式取得に関するお知らせ」

ラックランドが静清装備から全事業を譲り受け

2017年6月、店舗の企画・設計・施工などを手がけるラックランド(東京都新宿区)は、内装仕上げ工事などの事業を展開する静清装備(静岡県静岡市)から全事業を譲り受けたことを発表しました。

ラックランドが新設した同名の子会社である静清装備(静岡県静岡市)が事業の全部を譲り受ける形となります。譲受価額は2,000万円です。ラックランドは主力事業のほかにも、商空間の総合サービス提供事業も進めています。

譲渡会社の静清装備は、木工を中心とした内装仕上げ工事、建具工事の設計施工・受託を主な事業としています。静岡県を基盤として事業を展開してきました。

新会社では、木工を中心とした建具工事や家具・什器の製造事業を進め、静岡地区での営業力強化を目指します。

参考:株式会社ラックランド「新設子会社 静清装備株式会社にて全事業を譲受」

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外装工事会社をM&Aで売却する流れ

最後に、外装工事会社をM&Aで売却する流れを説明します。実際のM&Aではアドバイザーなどの専門家が工程をサポートしてくれますが、スムーズに進めるためにも大まかな流れを把握しておくとよいでしょう。

M&Aを行う目的の明確化

M&Aによって売却を進めるうえで、経営者は判断が必要となる場面も多いです。もし判断を誤ればM&Aを成功させるのは難しくなりますが、M&Aを進める前に「なぜ売却を行うのか」を明確にしておくと選定や譲歩がしやすくなります

また、売却時の希望条件に優先順位をつけておくことも重要です。相手先企業との交渉ではなにかしら譲歩が必要となるものですが、そのような場合は希望条件に優先順位を付けておけば交渉をスムーズに進めることができます。

M&Aの専門家へ相談

自社あるいは事業を売却する意思が固まったら、M&A仲介会社などへ相談して支援業務を依頼します。自社のみで売却の交渉を進めることもできますが、リスクやトラブルを回避し、満足度の高いM&Aを実現するためにも専門家へ相談したほうがよいでしょう。

支援業務を依頼する際は、支援実績や得意とする業種・規模のほか、支援範囲や手数料体系なども考慮して検討することが重要です。
支援業務の委託契約を結んだら、次はM&A相手候補の選定や具体的な戦略策定などを進めていく流れとなります。 

M&Aを行う候補先の選定

まず、M&Aアドバイザーが希望条件に合ったM&A相手候補を複数社リストアップした資料を用意してくれるので、そのなかから条件・価額・想定されるシナジーなどを考慮して交渉を行いたい相手先を選定します。

この段階では「ノンネーム」という詳細情報を伏せた資料を使用するため、互いの社名や所在地、具体的な事業内容まではわかりません。

双方にM&A交渉の意思があると確認できたら、秘密保持契約を締結してから互いの詳細情報を開示し、本格的な交渉へ進む流れとなります。

トップ面談

トップ面談は、買収側・売却側のトップが会い、書面ではわからない部分を確認し信頼関係を築くための機会です。M&Aの多くは面識のなかった企業同士で行うため、トップ面談によって互いの人となりや企業理念、M&A後のビジョンなどを確認します。

トップ面談はM&A成功に不可欠となる信頼関係の構築が主な目的なので、売却価額や条件といった具体的な交渉は行わないのが一般的です。

基本合意の締結

トップ面談が終わり、売却価額や条件などのM&A内容に互いが大筋で合意したら、その時点までに取り決めた内容を基本合意書に記載して締結します。

基本合意書は買収側・売却側がその時点までに取り決めた内容を確認し合うために作成するものです。売却価額・M&Aの条件・M&Aスキーム・M&A完了までの日程などを記載しますが、基本合意書そのものに法的な拘束力はありません。

ただし、独占交渉権やデューディリジェンスに関する事項など一部事項には法的な拘束力を持たせるケースが一般的です。

デューデリジェンス

デューデリジェンスとは、対象となる企業の実態を法務・財務・法務・人事などの面から細かく調査することです。M&Aにおけるデューデリジェンスは買収側が売却側に対して行い、開示された情報が正確であるか、M&Aによるリスクはどの程度あるのかを調査します。

買収側はデューデリジェンスの結果をもとに、M&Aの実行可否や最終的な価額・条件などを判断するため、売却側は資料の提出などの対応を求められた際は誠実に対応しなければなりません。

なお、デューデリジェンスの結果によって、最終交渉時に価額や条件が変更される可能性もあり、大きな問題が発覚した場合はM&Aそのものが白紙撤回されることもあります。

最終交渉・最終契約の締結

M&A実行を買収側が決定したら、最終的な価額や条件などについて交渉を行います。最終交渉はデューデリジェンスの結果を考慮して行われるものです。

そして、最終交渉の内容すべてに買収側・売却側が合意したら最終契約書を締結し、これによってM&Aが成立します。最終契約書の記載事項はすべてに法的拘束力があるため、締結前に内容を再確認しておくことが重要です。

また、最終契約書の締結以降は特別な理由なくM&Aを撤回することは原則認められず、違反した場合は損害賠償を請求される可能性もあります。

クロージング

クロージングとは、M&A価額の決済手続きと買収側へ売却対象企業(事業)の経営権を移転させる手続きのことです。具体的に必要となる手続きは使用したM&A手法によって変わるため、M&Aアドバイザーに確認しながら進めていくようにしましょう。

クロージングは「クロージング条項」などと呼ばれる最終契約で取り決めた前提条件を満たしていなければ実行することができません。

必要条件に法的手続きが含まれる場合もあるため、最終契約締結日からクロージング実行日までは一定期間を空けるケースが多いです。このクロージングが完了したらM&Aの手続きは完了となります。

外装工事業界のM&Aまとめ

外装工事各社は、建築市場とリフォーム市場を両にらみしながら、自社の強みを持つために他社との差別化が急務といえる状況です。そのような状況の中で、M&Aは事業の強化・拡大に有効な手段として注目が集まっています。

ただし、M&Aは慎重に相手を選んで行わなければ、実施後、想定したようなシナジー効果が得られない可能性もあります。M&A実施の際は、実績あるM&A仲介会社を伴って進めるようにしましょう、

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