M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年9月25日更新業種別M&A
北海道のM&A動向と成功のポイント【2024年最新】調剤薬局の事例も解説
北海道でのM&Aをご検討中ですか?本記事では、道内のM&Aの最新動向や、特に活発な調剤薬局業界の成功事例、仲介会社選びのコツを解説します。事業拡大や事業承継の参考にしてください。
目次
北海道におけるM&Aの現状【調剤薬局業界】
近年、全国的に調剤薬局のM&A成約件数や案件数は増加しており、これは北海道内においても同様です。
まずこの章では、調剤薬局とはどのようなものを指すのか、北海道内の調剤薬局の現状とM&A事情について解説します。
調剤薬局とは
調剤薬局とは、薬剤師が調剤を行って販売又は授与する場所と定義されています。調剤薬局の正式名称は「薬局」ですが、主に調剤を行うことから「調剤薬局」という呼び名が一般的に使用されています。
調剤薬局が提供する医薬品は、人体に大きな影響を与えるものであるため、調剤薬局の新設には開設許可が必要です。
また、調剤業務は事実上、薬剤師の独占業務となっているので、調剤薬局には薬剤師を常駐させなければなりません。
以上のような理由により、調剤薬局業界への新規参入はほとんど見られず、大手グループによる中小規模の調剤薬局のM&Aが大半を占めています。
北海道の調剤薬局の現状
北海道の調剤薬局は、人口の過密地域と過疎地域に大きな差がみられます。過疎地域では病院の近くに調剤薬局が併設されており、病院から処方される患者を主な顧客としています。
また、在宅ニーズに対しての配達や介護施設向けの医薬品提供など、地域密着型の調剤薬局が道内で展開されています。
しかし、過密・過疎地域を問わず、後継者不足や慢性的な薬剤師不足が深刻な課題となっています。特に、経営者の高齢化に伴う事業承継問題は、地域医療を支える薬局の存続を脅かす要因の一つです。
北海道のM&A動向【地域別の特徴】
株式会社レコフの調査によると、2023年における北海道企業のM&A件数は過去最多の92件を記録し、2024年以降もこの活発な状況は継続すると予測されています。
特に札幌などの都市部では、ITやサービス業を中心に成長戦略としてM&Aが活用される一方、地方の過疎地域では後継者不足による事業承継型のM&Aが増加しており、大手資本による買収が進んでいます。
北海道の調剤薬局のM&A成功事例
この章では、北海道の調剤薬局が関係するM&A事例のうち、成功したものを5つ紹介します。
1.ココカラファインによる有限会社フライトの完全子会社化
1つ目の事例は、ココカラファインによる有限会社フライトの完全子会社化です。フライトは北海道札幌市に本社を置いており、北海道内で5店舗の調剤薬局を運営しています。
ココカラファインは、M&Aによりドラッグストア事業と調剤薬局事業の拡大を進めており、本案件でココカラファインは北海道エリアにおけるドミナントを深耕しようとしています。
買収企業 | ココカラファイン |
子会社企業 | 有限会社フライト(札幌市) |
買収目的 | 北海道エリアにおけるドミナントの深耕 ヘルスケアネットワークの構築 |
2.ココカラファインヘルスケアによる東邦薬品からの調剤薬局1店舗譲受
2つ目に事例はココカラファインの子会社であるココカラファインヘルスケアの譲受です。東邦薬品は北海道で調剤薬局事業を展開しています。
ココカラファイングループは、譲り受ける調剤薬局と既存店舗との連携を図り、地域におけるヘルスケアネットワークの構築を図ります。
譲受企業 | ココカラファインヘルスケア |
譲渡企業 | 東邦薬品(帯広市) |
M&A目的 | 地域におけるヘルスケアネットワークの構築 |
3.アインHDによるコム・メディカル及びABCファーマシーの子会社化
3つ目の事例はアインHDによるコム・メディカル及びABCファーマシーの子会社化です。アインHDは札幌市に本社を置いており、全国に調剤薬局を展開している大手チェーン店です。
コム・メディカル及びABCファーマシーは、新潟県を中心に56店舗の調剤薬局を展開している企業です。本案件で、アインHDは事業規模の拡大、グループ企業の価値向上を目的としています。
買収企業 | アインHD(札幌市) |
子会社企業 | コム・メディカル及びABCファーマシー |
買収目的 | 運営エリアの拡大と患者サービスの向上 グループ企業の価値の向上 |
4.アインHDによるNP HDの子会社化
4つ目の事例は、アインHDによるNP HDの子会社化です。NP HDは、四国で調剤薬局を運営している3つの会社を子会社に持つ持株会社で、調剤薬局チェーン店としては四国最大の規模を誇っています。
本案件により、アインHDは四国エリアに進出し、グループ企業価値の向上を目指します。
買収企業 | アインHD(札幌市) |
子会社企業 | NP HD |
買収目的 | 四国エリアへの進出 グループ企業価値の向上 |
5.株式会社メディカルシステムネットワークによる有限会社アリエス薬局の子会社化
5つ目の事例は、株式会社メディカルシステムネットワークによる、有限会社アリエス薬局の子会社化です。
メディカルシステムネットワークは札幌市に本社を置き、なの花薬局を展開している会社です。一方、アリエス薬局は道内で2店舗の調剤薬局を運営している会社です。
本案件により、メディカルシステムネットワークは事業規模を拡大させ、企業価値を向上させるとしています。
買収企業 | 株式会社メディカルシステムネットワーク(札幌市) |
子会社企業 | 有限会社アリエス薬局(札幌市) |
買収目的 | 事業規模の拡大、企業価値の向上 |
北海道でM&Aを成功させるための3つのポイント
北海道という広大で地域ごとに特色が異なるエリアでM&Aを成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、特に押さえておきたい3つの点を解説します。
地域特性を理解した事業計画の策定
北海道は、札幌のような大都市から、農業・漁業が盛んな地域、観光地まで、多様な経済圏で構成されています。
M&Aを成功させるには、対象企業が根差す地域の特性(人口動態、主要産業、商慣習など)を深く理解し、シナジーを最大化できるような事業計画を策定することが不可欠です。地域経済への貢献という視点も、円滑な事業運営の鍵となります。
適切なM&Aアドバイザーの選定
北海道のM&A市場に精通したアドバイザーを選ぶことは極めて重要です。地元の金融機関(地方銀行や信用金庫)や、地域に特化した
M&A仲介会社は、独自のネットワークや非公開案件の情報を保有している場合があります。全国規模の仲介会社と地域特化型のアドバイザー双方から話を聞き、自社の規模や目的に最も適したパートナーを選定しましょう。
従業員の雇用維持と円滑なPMI
M&A後の統合プロセス(PMI)において、従業員のエンゲージメントを維持することは事業の成否を分けます。特に地域に密着した企業では、従業員は重要な経営資源であり、地域の雇用を守る姿勢を示すことが不可欠です。
M&Aの目的やビジョンを丁寧に説明し、従業員の不安を払拭することで、スムーズな経営統合と長期的な成長を実現できます。
大手企業が北海道でのM&Aを推進する背景
この章では、大手チェーンが北海道の調剤薬局にM&Aを行う理由につい解説していきます。
買い手から見た北海道企業の魅力
先述したように、ココカラファインなど大手チェーンは北海道の調剤薬局を積極的に買収していますが、北海道にある調剤薬局の魅力とはどのようなものなのでしょうか。その理由は以下の2つが考えられます。
- 地域に密着した調剤薬局が多いから
- 過疎地域での売り案件が多いから
理由①地域に密着した調剤薬局が多いから
1つ目の理由は、地域に密着した調剤薬局が多いからです。大手チェーンは全国に展開しているため、特定の地域ではブランド力が弱かったり部外者感が強かったりして、思うように事業を展開できない場合があります。
また、かかりつけ薬局制度の定着により、既存顧客との信頼関係は非常に重要です。地域住民から長年信頼されている薬局をM&Aで引き継ぐことは、大手企業がそのエリアでスムーズに事業基盤を確立するための有効な手段となります。
また、北海道は過疎地域が多く地域密着型を基本とした調剤薬局が多いため、大手チェーンは積極的に北海道の調剤薬局を買収しようとしています。
理由②過疎地域での売り案件が多いから
2つ目の理由は、過疎地域での売り案件が多いからです。
過疎地域では人口減少による市場縮小に加え、2024年度の診療報酬改定が経営に影響を与えています。薬局経営の先行きに不安を感じ、M&Aによる譲渡を決断するケースが増加しているのです。
全国的に薬剤師が不足しているうえ大手チェーンに薬剤師が流れるため、過疎地域では薬剤師を確保することが困難になっており、売り案件が増加しています。
北海道から別地域へのM&Aが行われる理由
逆に北海道から別地域へM&Aが行われる例もあります。その理由は以下の2つが考えられます。
- 事業規模の拡大のため
- 薬剤師を確保するため
理由①事業規模の拡大
近年の診療報酬改定は、個々の薬局の収益性を圧迫する傾向にあります。そのため、M&Aによって店舗網を拡大し、スケールメリットを活かした医薬品の共同購入や効率的な人材配置で収益性を高める動きが活発です。
そのため、大手チェーンは利益を増やすために新規の顧客数を増やそうとしており、その方法として事業規模の拡大戦略がとられています。
理由②薬剤師の確保
2つ目の理由は、薬剤師の確保です。北海道には薬学部を設置している大学が3つしかないため、道内の需要を満たすほどの薬剤師数増加は見込めません。
そこで、北海道外の調剤薬局を買収し、薬剤師不足を補おうとする動きがみられます。
北海道のM&Aに強い仲介会社の選び方
最後に、調剤薬局のM&Aの際に仲介会社を選ぶ5つのコツを紹介します。
- 医療・介護・薬局などのM&A経験があること
- M&Aの知識に精通していること
- 手数料が明確に分かること
- 幅広いネットワークがあること
- 担当者との相性が良いこと
1.医療・介護・薬局などのM&A経験がある
1つ目のポイントは医療・介護・薬局などのM&A経験があることです。通常のM&Aでも知識や経験が必要になります。
調剤薬局のM&Aの場合はそれに加えて、許認可や薬剤師の確保などいくつかの制約に注意する必要があります。
医療・介護・薬局などのM&A経験があれば、手続きや注意すべき点を熟知しているため、成功する確率を高めることに期待できます。
2.M&Aの知識に精通している
2つ目のポイントは、M&Aの知識に精通していることです。M&Aでは会社法や金融商品取引法など多くの法律に違反しないように行う必要があります。
また、交渉においても専門的な知識が不可欠であるため、M&Aアドバイザリーが知識に精通しているかを事前に確認するようにしましょう。
3.手数料が明確に分かる
3つ目のポイントは、手数料が明確にわかることです。M&A仲介会社が設定している手数料は会社によっても異なり、その種類もいくつかあります。
依頼する側は料金体系を把握しておかないと、M&Aサポート費用が予想以上に必要になる場合もあります。手数料が明確にわかる仲介会社に依頼するようにし、不明点がある場合は事前に質問して解決しておくようにしましょう。
4.幅広いネットワークがある
4つ目のポイントは、幅広いネットワークがあることです。近年は、インターネットが普及しているため、簡単にM&A案件が検索できるようになっています。
しかし、ネットで閲覧できる情報には限りもあり、直接問い合わせなければ知り得ない案件もあります。
数多くの士業事務所や金融機関と連携している仲介会社ほど、希少な情報を保有している可能性があるので、できるだけ幅広いネットワークを持っている仲介会社に依頼するようにしましょう。
5.担当者との相性が良い
最後のポイントは担当者との相性が良いことです。担当者との相性が悪いと思うように手続きが進まず、失敗確率を高めることになります。
そのため、相性が悪いなと感じた場合は担当者を交代してもらうよう依頼しましょう。どうしても合わないと感じた場合は、相談先を変更することも視野に入れるとよいでしょう。
まとめ
今回は北海道における調剤薬局のM&A事例などについて解説しました。北海道は地域によって調剤薬局業界の状況は異なります。
しかし、大手チェーンが積極的に進出しようとしている状態は、道内どの地域も同じことであるといえるでしょう。
【大手チェーンが北海道の調剤薬局にM&Aを行う理由】
- 地域に密着した調剤薬局が多いから
- 過疎地域での売り案件が多いから
【調剤薬局M&Aの際に仲介会社を選ぶコツ】
- 医療・介護・薬局などのM&A経験があること
- M&Aの知識に精通していること
- 手数料が明確に分かること
- 幅広いネットワークがあること
- 担当者との相性が良いこと
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。