M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年1月31日更新都道府県別M&A
大阪府のM&A・事業承継の現状は?案件や最新事例も紹介!
本記事では、大阪府のM&A・事業承継の現状や増加している背景、案件一覧などをまとめました。また、M&Aのメリット・デメリット、M&A案件の探し方、実際に大阪府の企業が関わったM&A事例なども解説します。大阪府でM&Aを検討中の方は必見です。
大阪府の経済状況
大阪府の発表では、推計人口8,773,053人(2024⦅令和6⦆年11月1日現在)、東京都、神奈川県に次いで全国で3番目に人口の多い自治体です。
大阪府発表の「令和3年度大阪府民経済計算(確報)」によると、大阪府の2021(令和3)年度の府内総生産(名目)は41兆3204億円でした。以下が大阪府の産業の特徴です。
- 大阪府で盛んな産業:卸売・小売業、運輸・郵便業、情報通信業
- 全国平均より比率が低い産業:農林水産業、製造業、建設業、公務
関西地方のM&A・会社売却・事業承継の現状については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
大阪府のM&A・事業承継の現状
大阪府では、経営者の高齢化と後継者不足が深刻な課題となっており、これらの問題を解決する手段としてM&A(合併・買収)や事業承継が注目されています。
特に中小企業において、事業の継続と発展を図るために、第三者への事業承継が増加傾向にあります。
M&A・事業承継が増加している
帝国データバンクの「近畿地区『休廃業・解散』動向調査(2022年)」によれば、2022年の大阪府における休廃業・解散数は3,491件でした。
同じく帝国データバンクの「近畿企業の「後継者不在率」調査(2022年)」を見てみると、近畿企業の「後継者不在率」は53.6%です。2022年の大阪府では、中小企業の後継者不在率が55.4%でした。
多くの中小企業の代表者平均年齢も70歳を突破しており、今後も後継者がおらず経営者の引退に伴って休廃業・解散する企業は増加していくでしょう。
このまま後継者不在による廃業が後を絶たなければ、大阪府の経済や社会に大きなダメージが出てしまうのは明らかです。そこで最近では、その解決手段としてM&Aによる事業承継が、国や自治体からPRされるようになってきました。
M&Aで事業や会社を売却すれば、その買い手が後継者(新たな経営者)となり事業承継が実現します。従業員の雇用は守られ、売却側は、廃業では得られない「売却益」を手にできるのです。
「M&A Online」の調査では、大阪府の企業が関わったM&Aは、過去4年間で以下のように推移しています。2020年は新型コロナウィルス感染拡大問題の影響で前年より減少しましたが、2021年は増加しており今後もその傾向は続いていくでしょう。
- 2018年:105件
- 2019(平成31、令和元)年:137件
- 2020年:114件
- 2021年:125件
大阪府は東京に次いで日本で2番目にM&Aが盛んに実施されている自治体です。ただし、上記の数値は上場企業が発表したものの集計であり、情報開示が義務付けられていない非上場企業のM&Aは含まれていません。つまり、実際にはもっと多くのM&Aが行われています。
昨今、大阪府でM&Aが盛んになっている理由は以下の3点です。
- 事業拡大・シェア拡張・新規事業参入・海外市場進出などを目的とする企業が積極的に買収を実施
- 後継者不在の中小企業が事業承継のため、M&Aで会社・事業を売却
- ベンチャー企業やスタートアップがイグジット戦略としてM&Aを選択
事業拡大や新規市場への参入
M&Aは、企業が事業拡大や新規市場への参入を図る手段として効果的です。
大阪府内でも、他社との統合や買収を通じて、新たなビジネスチャンスを追求する企業が増えています。
例えば、関西地方では薬の製造・卸売業を営むウエルシアグループが、事業エリアの拡大を目的としてM&Aを積極的に進めています。
このような動きは、企業が自社の成長戦略としてM&Aを積極的に活用していることを示しています。
後継者不在の中小企業による第三者への承継
大阪府内の中小企業の多くが、後継者不在という課題に直面しています。
この問題を解決する手段として、第三者への事業承継が注目されています。
例えば、大阪府茨木市の自動車板金塗装・中古車販売業「小林オート」は、後継者不在のため、創業希望者に事業を譲渡し、工場や得意先を引き継ぐ形で事業承継を実現しました。
このような事例は、第三者への承継が事業の継続と発展に寄与することを示しています。
ベンチャー・スタートアップ企業のイグジット戦略として活用
ベンチャーやスタートアップ企業にとって、M&Aは投資回収や事業拡大のための有効なイグジット戦略となります。
大阪府内でも、教育関連事業を展開する企業が、同業他社に事業を譲渡することで、事業の継続と発展を図った事例があります。
このようにM&Aは、企業の成長戦略や投資家のリターン確保の手段として重要な役割を果たしています。
大阪府の中小企業が抱える課題点
大阪府の中小企業が抱える課題点としては、主に以下の項目が挙げられます。
- 後継者不在
- 経営者の高齢化
- 人材の確保
- 経営基盤の見直し
こうした課題を解決するために、大阪府の中小企業はM&Aを積極的に活用しています。
近畿地方のM&A・会社売却・事業承継の動向については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
大阪府近郊のM&A・事業承継の案件
本章では、大阪府近郊のM&A・事業承継案件一覧を紹介します。
【大阪府】 業歴30年以上/地域密着の産婦人科
大阪府内にて産婦人科・助産師外来を運営する医療法人です。
近隣のクリニックと比較し、最大規模の病床数を有しています。寄駅から徒歩5分圏内の好立地で、女性が安心して来院できるように女性医師が複数名在籍しています。
売上高 | 5億円〜10億円 |
営業利益 | 赤字経営 |
総資産額 | 非公開 |
譲渡希望額 | 1000万円〜5000万円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【大阪エリアの好立地物件所有】不動産仲介・売買・賃貸業
次に紹介するのは、大阪府にて不動産仲介・売買・賃貸業を展開する企業です。
資産価値の高い収益不動産を4棟保有しており、所有不動産の土地評価額は8億8,000万円超を誇っています。
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
営業利益 | 〜1000万円 |
総資産額 | 10億円〜15億円 |
譲渡希望額 | 5億円〜7.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継)、事業存続に対する不安、資金調達 |
M&A・事業承継案件一覧については下記のページで詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
大阪府のM&A・事業承継案件の探し方
大阪府でM&A案件を探す際は、主に以下の方法が採用されます。
- M&A仲介会社・専門家への相談
- 公的機関・地元の金融機関への相談
- M&Aマッチングサイトの活用
M&A仲介会社や専門家に相談すると、管理案件が多く希望する内容の案件を見つけやすいなどのメリットがある一方で、M&A仲介会社ごとに手数料が異なるため、高額な費用がかかるおそれがある点などがデメリットとなります。
公的機関・地元の金融機関への相談では、地域性が強いため独自の案件を管理している可能性が高いなどのメリットが期待できる一方で、M&A仲介会社に比べて管理案件が少ない点は大きなデメリットです。これらの点を比較して、相談先を吟味しましょう。
M&Aマッチングサイトなどの活用も効果的な方法です。利点として、場所や時間帯にとらわれず手軽にM&Aの案件探しを実施できます。ただし、当事者間での交渉に不安がある場合には、別途、専門家に依頼する手間・費用がかかる点には注意が必要です。
大阪府のM&A・事業承継に強い仲介会社
大阪でM&A仲介会社をお探しの際は、ぜひM&A総合研究所へお任せください。全国の案件に対応しているM&A総合研究所では、大阪オフィスも構え、M&Aの知識・経験が豊富なアドバイザーが、専任となってフルサポートいたします。
料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。
大阪府のM&A・事業承継の事例4選
ここでは、実際に大阪府の企業が関わった最新のM&A事例を紹介します。
- 大阪メトロと交通電業社のM&A
- ウエルシアホールディングスとコクミン、フレンチとのM&A
- リグアと日本ソフトウエア販売とのM&A
- 住江織物とプレテリアテキスタイルとのM&A
①大阪メトロと交通電業社のM&A
大阪市高速電気軌道株式会社(以下「大阪メトロ」)は、株式会社交通電業社(以下「交通電業社」)の全株式を取得し、2024年2月29日付で子会社化しました。
交通電業社は、LED電子機器や列車情報モニタ装置、映像記録装置などの製造を手掛ける企業で、公共交通車両向け機器市場において70年以上の実績と高度な技術力を有しています。
大阪メトロは、交通電業社の鉄道機器製造開発技術を獲得することで、以下のシナジー効果を期待しています。
- 地下鉄の自動運転化
- 顧客サービスの向上
- 防犯・セキュリティの強化
- サイネージ技術を活用した車両や駅の進化
これらの取り組みにより、Osaka Metroの交通事業の目指す姿を実現していく方針です。
②ウエルシアホールディングスとコクミン、フレンチとのM&A
2022(令和4)年1月、東京都千代田区のウエルシアホールディングスは、大阪府大阪市のコクミンの株式76.26%を取得して子会社化することと、大阪府大阪市のフレンチの全株式を取得して完全子会社化することを発表しました。
株式譲渡予定日は同年6月、取得価額は公表されていません。ウエルシアホールディングスは、調剤併設型ドラッグストアチェーンの運営を行うグループの持株会社です。コクミンは薬局・薬店の経営、フレンチは薬局の経営を行っています。
ウエルシアホールディングスとしては、経営規模拡大と経営体質強化が狙いのM&Aです。
③リグアと日本ソフトウエア販売とのM&A
2022年1月、大阪府大阪市のリグアは、大阪府大阪市の日本ソフトウエア販売の全株式を取得し完全子会社化することを発表しました。株式譲渡予定日は同年2月、取得価額は2億8,000万円です。リグアは、接骨院ソリューション事業を行っています。
日本ソフトウエア販売は、接骨院向けレセプト計算システムの販売などを行っている企業です。リグアとしては、このM&Aでシェア拡大、ワンストップサービスの強化など、多くのシナジー効果が得られると判断しています。
④住江織物とプレテリアテキスタイルとのM&A
2022年1月、大阪府大阪市の住江織物は、大阪府大阪市のプレテリアテキスタイルの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。住江織物は、インテリア事業、自動車・車両内装事業、機能資材事業などを行っています。
プレテリアテキスタイルは、内装仕上工事やインテリアオプション販売を行っている企業です。住江織物としては、子会社が行うインテリア事業とプレテリアテキスタイルの間で高いシナジー効果が得られると判断しM&Aを実施しています。
大阪の会社売却事例については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
大阪府のM&A・事業承継まとめ
大阪府は、商業の街・食い倒れの街として卸売・小売業が発展している地域です。しかし、大阪の多くの中小企業では、後継者不在による事業承継問題を抱えています。M&Aがその解決策となるのはわかっていても、実施にはためらいもあるようです。
たとえ小規模な事業者であっても、一度、M&A仲介会社などの専門家に相談し話を聞いてみるとよいでしょう。中小企業を専門にM&A仲介サポートを行う会社も多いので、有意義な情報を得られるはずです。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。