M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年4月9日更新業種別M&A
窯業業界のM&A・事業承継の事例を紹介!動向やメリットから売却額の相場まで解説!
本記事では、窯業業界のM&Aや事業承継を行った事例やメリット、実施する場合の具体的な流れを紹介します。また、注意点・成功させるコツ、窯業業界でのM&A・事業承継の動向なども解説しています。M&Aを検討中の方は必見です。
目次
窯業業界のM&A・事業承継とは
窯業業界とは
窯業とは、陶磁器やセメント、ガラス、セラミックスなどを非金属原料から作り出す事業であり、窯を使うことから窯業と呼ばれます。窯業の範囲は国によって異なっており、日本ではガラスやセメント製造などを窯業に含めていますが、ヨーロッパでは含めません。
窯業業界にはTOTO、旭硝子などといった著名な大手が名を連ねており、海外進出を果たしている会社も多くいます。
M&Aとは
M&Aとは「Mergers and Acquisitions(合併と買収)」の略称であり、会社間の経営統合を実現する経営手法のことです。M&Aにはさまざまなスキームがあり、会社の内情に合わせて使い分けます。
いずれのスキームも方法が全く異なっているため、どのようなスキームかを把握してから行うことがおすすめです。また、M&Aは一般的に成功率が3割~5割程度といわれており、必ずしも成功するわけではありません。
さらに、M&Aは半年~1年程度の時間がかかるものであり、長いと2年近く歳月を費やすこともあります。M&Aを成功させるためには、後述するポイントを抑えて入念に計画し、専門家のアドバイスを受けるのが効率的です。
事業承継とは
事業承継とは、後継者に事業を引継がせることです。事業承継は、後継者の立場の違いによって、以下の3種類があります。
- 親族内事業承継
- 親族外事業承継
- M&Aによる事業承継
親族内事業承継
親族内事業承継とは、経営者が自身の親族を後継者にすることです。日本の中小企業では、特に経営者の子供が後継者となる形で広く行われてきました。ただし昨今は、少子化や価値観の多様化により、親族内事業承継は、減少傾向にあります。
親族内事業承継は、後継者が経営者の親族であることから周囲の理解を得やすいため、従業員や取引先などの心証を悪化させずに事業承継できる点がメリットです。ただし、親族であるからといって、必ずしも経営者の資質があるとは限りません。十分な見極めが必要です。
親族外事業承継
親族外事業承継とは、経営者の親族ではない人材を後継者に据えることです。この場合、主に社内の役員や従業員、さらに外部の人材(経営経験のある取引先関係者や経営者の知人など)が後継者候補となります。
外部の人材が後継者になる場合、周囲からの反発を受けやすいことが親族外事業承継のデメリットです。しかし、すでに業務や経営の経験を持つ人材が後継者になるため、育成の手間が省ける点がメリットです。
社内の役員や従業員が後継者となる場合には、社内承継、役員承継、従業員承継などとも呼ばれます。親族でない後継者が経営権を獲得するには株式を買収せねばならず、その資金が用意できるかどうかが問題です。
M&Aによる事業承継
身近に後継者候補がいない場合、M&Aを用いることで事業承継を実行できます。会社を売却することで、その買い手が後継者(新たな経営者)となって事業承継が実現するのです。従来は、後継者不在の場合、廃業するしかありませんでした。
しかし、現在では、後継者不在の中小企業において、積極的にM&Aによる事業承継が行われるようになっています。廃業を免れれば従業員の雇用を守れるだけでなく、売り手は売却益を獲得できる点がメリットです。
ガラス・土石製品製造のM&A・事業承継の最新動向については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
窯業業界のM&A事例6選
ここでは、実際に窯業業界の企業が関わったM&A事例を紹介します。
- 美濃窯業によるM&Aその1
- 美濃窯業によるM&Aその2
- アイナボホールディングスによるM&A
- 東海カーボンによるM&A
- 日本コンクリート工業によるM&A
- 京セラによるM&A
①美濃窯業によるM&Aその1
2021(令和3)年12月、美濃窯業は、完全子会社3社(ビヨーブライト、ミノセラミックス商事、日本セラミツクエンジニヤリング)を吸収合併すると発表しました。合併予定日は2022(令和4)年4月です。
美濃窯業は、耐火物・耐火材料・工業用セラミックス製品の製造・販売、工業窯炉および付帯品の設計・製作・施工・販売、熱処理・自動化プラントの設計・建設、建築材料・舗装用材の製造・施工・販売などを行っています。
美濃窯業としては、自社グループの競争力強化と経営効率化を図るため、子会社3社を吸収統合しました。
②美濃窯業によるM&Aその2
2021年10月、美濃窯業は、岩佐機械工業の全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。岩佐機械工業は、ロータリーキルン装置などのエンジニアリング・設計・製作を行っている企業です。
美濃窯業としては、このM&Aによってシナジー効果が創出され、自社グループの事業基盤の強化と拡大の実現を目指します。
③アイナボホールディングスによるM&A
2020(令和2)年10月、アイナボホールディングスは、中央窯業の全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。中央窯業は、関東地方を中心にタイル工事事業を行っています。
アイナボホールディングスは、戸建住宅や大型マンション向けにタイル・建材・住宅関連設備の販売・工事、空調衛生設備工事などを行っているグループの持株会社です。
アイナボホールディングスとしては、グループ内に技術力のある職人を確保し、タイル工事の施工力を向上させる目的でこのM&Aを実施しました。
④東海カーボンによるM&A
2019(令和元)年7月、炭素製品の大手メーカー東海カーボンは、ドイツの炭素黒鉛製品メーカー大手COBEX HoldCo GmbHとそのグループ会社COBEX GmbH、COBEX Polska sp. z o.o.、COBEX (Shanghai)Ltd.を子会社化しました。
COBEX HoldCo GmbHは、炭素電極、高炉用ブロック、アルミ精錬用のカソードの3分野において世界有数の市場シェアを有している企業です。今回のM&Aによって、東海カーボンは、建材分野における伸長が見込まれるアルミニウム市場への参入を実現しました。
欧州事業の強化や事業の多角化により、さらなる収益力の向上・自社の規模拡大を目指しています。
⑤日本コンクリート工業によるM&A
2018(平成30)年1月、親杭パネルやPC壁体などのコンクリート製品を製造販売する日本コンクリート工業は、フリー工業を連結子会社化しました。フリー工業は、建設資材の販売と土木分野の工事を行っている企業です。
日本コンクリート工業は今回のM&Aにより、自社のコンクリート製品製造に関する開発力・技術力と、フリー工業の工事に関する高い開発力・技術力を融合させ、さらなる発展を目指しています。
⑥京セラによるM&A
2017(平成29)年6月、京セラは、アメリカのSENCO Holdings, Inc.の全株式を取得する株式譲渡契約を締結しました。京セラは陶磁器やセラミック製品のみならず、機械工具事業におけるグローバル展開を企図し、木工工具や医療用工具開発への進出を図っています。
空圧工具メーカーのSENCO Holdings, Inc.は、ステープラーや釘打機などを展開している企業です。京セラは今回のM&Aにより、機械工具事業における製品の開発力強化と、さらなる事業拡大が期待されています。
関連性の高い土石製品製造業のなかのコンクリート製造業界のM&Aについて下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
窯業業界のM&A・事業承継の動向3選
窯業業界のM&A・事業承継には以下のような動向が見られます。
- 市場の縮小により事業継続が難しい業者多数
- 陶器製造業には特に厳しい現状
- M&Aでの事業承継を選ぶ業者が増加
①市場の縮小により事業継続が難しい業者多数
窯業業界は、景気、および扱っている製品需要の影響を受けやすいという特徴があり、昨今は陶器製造業の不調が著しく、それに伴い窯業業界市場は縮小傾向にあります。一方で、セメントなど土石製品を扱っている会社は東京オリンピック特需の影響で好調です。
リーマンショック前後の落ち込みから回復の傾向を見せている会社もありますが、土石製品業は建築業界などの影響を受けやすいため、東京オリンピックの特需が終わった今後が正念場といえるでしょう。
窯業業界は安定的ではないうえに人材も不足がちで、事業継続が難しい業者が多数、現れています。以上のことから、現状を打破すべくM&Aで大手の傘下に入ろうとする会社が増加傾向にあるのです。
②陶器製造業には特に厳しい現状
窯業業界においてとりわけ厳しい現状にさらされているのが陶器製造業で、陶器製造業は10年で6割ほどの市場を失うほど低迷しています。その理由には、「安価な中国製品の大量流入」、「原材料不足」、「人手不足」などが挙げられます。
そもそも陶器製造業は、小規模な事業者が多く資金や規模に限界があるため、安価な中国製品に太刀打ちすることが難しいのです。加えて、経営者の高齢化が進み、同時に人材も不足しているため、年月を重ねるごとに事業が立ち行かなくなってしまいます。
③M&Aでの事業承継を選ぶ業者が増加
窯業業界において、事業承継は重要な課題となりつつあります。特に中小企業は、経営者が高齢化している中で後継者を見つけられず、引退を迎えると同時に廃業せざるを得ない状況に陥りがちです。
このような現状があるため、M&Aによる事業承継が増加しています。窯業業界では、M&Aによる事業承継が今後もますます盛んになるでしょう。
窯業業界のM&Aによる事業承継のメリット3選
窯業業界においてM&Aによる事業承継を実施する場合、考えられる主なメリットは以下の3点です。
- 後継者問題の解決
- グローバル化の実現
- 将来性の不安解消
①後継者問題の解決
窯業業界で後継者不在の中小企業にとって、M&Aはその解決手段であり目的といってもいいでしょう。後継者不在のままM&Aを実施しなければ、会社は廃業となります。廃業となれば従業員は解雇となり、地域社会・経済にもダメージとなるはずです。
また、廃業では、手続きや設備の処分などで費用が発生します。M&Aによる事業承継を実施すれば、そのような出費がなくなるばかりか、売却益も得られるのです。
②グローバル化の実現
ほとんどの産業において、国内市場は頭打ちや減少傾向にあります。その落ち込み分をカバーし、さらに上昇させるため、多くの企業は海外進出を行っており、窯業業界も例外ではありません。しかし、中小企業の場合、単独で海外進出するのは高いハードルです。
そこで、M&Aによって大手企業の傘下に入れば、親会社やグループ会社とともに低リスクで海外進出できるようになります。
③将来性の不安解消
窯業業界の中小企業の経営課題として、人手不足問題、天然資源である原材料高騰化への対応などがあります。場合によっては、常に経営に圧迫感があり、自転車操業状態に陥っているケースもあるかもしれません。
このような現状では会社の将来への不安感も拭い去れず、M&Aで会社を売却し、買い手に会社の将来を委ねる決断をしている経営者もいます。
海外進出の課題については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
窯業業界の事業承継の流れ:親族内・親族外事業承継
ここでは、窯業業界の事業承継を親族内事業承継、または親族外事業承継で行う場合のプロセスを説明します。M&Aによる事業承継のプロセス説明は次章です。
- 事業承継計画の策定
- 後継者の育成・教育
- 資産・株式などの承継
- 個人保証・負債の処理
①事業承継計画の策定
事業承継を行うのであれば、まず事業承継計画を策定しましょう。事業承継は長いと10年も歳月を費やすことが珍しくなく、またプロセスも多様で煩雑なため、綿密に計画を立てておくだけでも円滑に進行できるようになります。
親族の了承(親族外事業承継の場合)
親族外事業承継を行う場合、トラブルを避けるために親族の了承は得ておくようにしましょう。経営者の親族の中には、親族外の人材を後継者に据えたことに反発する人間が出てくることもあります。
また、株式のように本来、親族が相続すべき財産の扱いを巡ってトラブルが起こる可能性も否定できません。親族の了承を得ることは、親族外事業承継を円滑に進めるうえで欠かせないプロセスであるといえます。
専門家への相談
事業承継計画の策定は、士業などの専門家に相談しながら行うようにしましょう。そもそも事業承継計画は、それぞれのプロセスを把握していないと策定するのは困難で、ばあいによっては具体的な数字も付加することがあります。
したがって、事業承継計画の策定は、専門家のアドバイスを受けながら進めていくのがおすすめです。
②後継者の育成・教育
後継者の育成・教育は、事業承継に不可欠なプロセスです。経営を引き継いでもらう以上、後継者は業務・経営のノウハウをしっかり修める必要があり、このプロセスをおろそかにすると事業承継後に経営が傾く可能性もあります。
また、事前に従業員とのコミュニケーションも積極的に取ることで、事業承継後の経営がスムーズに進むようになるでしょう。
③資産・株式などの承継
資産・株式などの承継は、後継者が経営者となるうえで不可欠なものであり、いずれが欠けると事業承継が成立しなくなる恐れがあるため、確実に実行しましょう。ただし、承継の手法には注意が必要です。
株式の承継には相続・贈与・譲渡といった手法がありますが、いずれも課税方式が異なるため、その点を意識しないと後継者に多大な負担を背負わせることになりかねません。承継は税理士と相談しつつ、節税対策を講じながら行うようにしましょう。
④個人保証・負債の処理
個人保証・負債は、事業承継が完了する前に処理することがおすすめです。個人保証・負債は財産の一部として扱われるものであり、後継者にそのまま承継されてしまう恐れがあります。
また、会社の負債も後継者にいきなり背負わせると負担となるでしょう。全ての個人保証・負債を完全に処理することは難しいですが、できる限り後継者の負担を減らすに越したことはありません。
窯業業界の事業承継の流れ:M&A
ここでは、M&Aによる事業承継の流れを紹介します。
- 仲介会社などへの相談
- 事業承継先の選定
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンスの実施
- 最終契約書の締結
- クロージング
①仲介会社などへの相談
M&Aは事業承継と同様にさまざまなプロセスがあり、専門的な知識や経験が必要な場面があるため、M&A仲介会社などの専門家へ相談しましょう。また、M&Aにおける売り手は経験が乏しいことが多く、単独でM&Aを行うことは難しいです。
しかし、M&A仲介会社などのような専門家のサポートを得られれば、M&Aの成約率が上がるのはもちろん、費やす時間も短縮化できる可能性が高まります。
秘密保持契約書の締結
秘密保持契約書とは秘密情報に関する取り扱いをまとめた契約書で、秘密情報の漏えいを防ぐためにM&A仲介会社やM&Aの取引相手とまず最初に締結するものです。M&Aは秘密情報を開示する場面が多いため、秘密保持契約書の内容はしっかりチェックしましょう。
②事業承継先の選定
事業承継先の選定は、M&A仲介会社などに任せるのがおすすめです。M&A仲介会社などのような専門家は、独自のネットワークを持っており、理想的な事業承継先を見つけられる可能性が高いでしょう。
意向表明書の提示
意向表明書とは事業承継先、つまり買い手が提示する書類の1つで、M&Aを行うにあたって重視したい条件や買収希望価格などが記されている書類です。意向表明書には法的拘束力はなく、必ず提示されるものでもありませんが、これがあるだけでM&Aの進行がスムーズになります。
③基本合意書の締結
基本合意書はM&Aの交渉のベースとなる契約書であり、M&Aを行ううえでの基本的な条件や大まかな譲渡価格、独占交渉権などが記載されているものです。基本合意書は独占交渉権など一部の事項を除いて法的拘束力はなく、今後の交渉次第では内容が変わることもあります。
基本合意書を締結したからといって、M&Aの成約が確約されているわけではありません。その後の交渉が決裂すれば、M&Aが失敗に終わることもあります。
④デューデリジェンスの実施
デューデリジェンスとは、売り手の会社を精密監査するプロセスです。デューデリジェンスには財務、税務、法務などといったさまざまな観点があり、リスクを洗い出したり企業価値評価のための情報を収集したりします。
デューデリジェンスの結果は、M&Aにおいて大きな意味を持ちます。譲渡価格やM&Aの成否は、デューデリジェンスによって決まるといっても過言ではありません。
⑤最終契約書の締結
最終契約書は、交渉をして決定された最終的な条件をまとめた契約書です。最終契約書という名前はあくまで便宜的なものであり、実際はM&Aスキームに合わせて名前が変わります。
最終契約書は法的拘束力を持っているため、基本合意書や意向表明書と違い、内容に違反すれば損害賠償が発生するので注意しましょう。
⑥クロージング
最終契約書の締結後、契約書の内容をそれぞれが履行するプロセスがクロージングです。ここでは、対価の支払いや役員の選任、資産や株式の引き渡し、株主名簿の書換などが行われます。
窯業業界のM&A・事業承継の注意点6選
窯業業界のM&A・事業承継には、以下の6つの注意点があります。
- 最初から買い手・承継先を限定して考えない
- 契約書の内容をきちんと確認する
- 事業承継する場合は後継者の教育を行う
- 計画的に準備する
- 最終的な契約成立までは口外しない
- 売却価格に注目しすぎてタイミングを逃さない
①最初から買い手・承継先を限定して考えない
M&Aによる事業承継を行う場合、最初から買い手・承継先を限定して考えないようにしましょう。もちろん買い手・承継先の条件を決めておくことは大切ですが、条件を厳しく設定することで合致する相手が見つかりにくくなるうえ、交渉がうまくいかなくなる恐れもあります。
デメリットが発生しないラインを把握し、時には妥協点を設けながら選定した方が、相性の良い買い手・承継先を見つけやすくなるでしょう。
②契約書の内容をきちんと確認する
M&Aによる事業承継を行う場合、買い手や仲介会社と交わす契約書の内容をきちんと確認しておくことが必要です。契約書を確認しなければ、自分に不利な事項が記載されていることを見落としてしまう恐れがあります。
もちろん見落としてしまうと、後々トラブルの原因になってしまうはずです。契約書の内容を確認する際は、弁護士や司法書士のような契約書の専門家にチェックを依頼しましょう。
③事業承継する場合は後継者の教育を行う
後継者に事業承継する場合、後継者の質は会社の今後を左右する大事なファクターとなるため、教育はしっかり行いましょう。業務や経営を教える際には、経営者だけでなく、さまざまな外部講師に指導を受ける方が、後継者の成長をより促進できます。
最近は事業承継を控えている後継者向けのセミナーも多く、そこでは著名な講師が良質な講義をしているため、後継者にとっては良い学びの場です。また、セミナーを通じて外部の人脈を形成するきっかけにもなります。
④計画的に準備する
事業承継もM&Aも時間がかかるうえに、煩雑なプロセスがあるため、どのような手法で事業承継を行うにせよ計画的に準備することが大切です。円滑に進めたいのであれば、綿密に計画を立てたうえで進めておくようにしましょう。
また、綿密に計画を立てておくことで、経営者に万が一のことがあった際にも計画や手法のリカバリーがしやすくなります。
⑤最終的な契約成立までは口外しない
M&Aは情報漏えいが成否に関わることも珍しくなく、最終的な契約成立まで口外しないことは非常に重要なことです。M&Aを行うという情報は従業員や取引先に動揺を与えることにつながり、競合他社に利益を与えてしまう恐れもあります。
基本的にM&Aは一切のプロセスを極秘裏に進め、最終契約書の締結まで情報を秘匿しておくものです。情報の守秘は、何よりも心がけておきましょう。
⑥売却価格に固執しすぎてタイミングを逃さない
M&Aを行う場合、売却価格にこだわることは大切ですが、執着しすぎるのも問題です。市場や業界の動向、買い手のニーズの変化によって売却価格は変動するため、売却価格を高く見積もってくれる買い手が登場するまで待つことは戦略の1つといえます。
しかし、M&Aは業界再編が落ち着くと一気に行われなくなる可能性もあり、もしタイミングを逃してしまうとM&Aを考える会社自体が減ってしまうでしょう。つまり、売却価格に固執しすぎるとM&Aのチャンス自体を失ってしまう恐れがあるわけです。
そのためM&Aを行うのであれば売却価格に固執せず、なるべくタイミングを逃さないように早めに決める観点も持っておきましょう。
窯業業界のM&A・事業承継の売却額の相場
窯業業界のM&A・事業承継における、売却額の相場はどれくらいなのでしょうか。日本ではM&Aを行った際に必ずしも売却額が公表されないため、窯業業界全体の売却額相場がデータとしてあるわけではありません。
ただ、窯業業界は小規模な事業者が多いため、大企業でない限り、数千万~数億円程度の売却額が多いと考えられます。ただし、事業価値や規模によっては売却額が数十億円に達することもあるでしょう。
自社の売却価格の算出手段
自社の売却価格は、企業価値評価(バリュエーション)によって算出します。企業価値評価には、大別してインカムアプローチ、マーケットアプローチ、コストアプローチの3分類があり、それらを組み合わせて算出するのです。
なかでも、将来的な収益・キャッシュフローに注目するインカムアプローチが、M&Aで最も用いられます。いずれの手法も財務の知識が必要であり、特殊な計算式を使うため、企業価値評価は公認会計士などの専門家に依頼するのが一般的です。
ただし、企業価値評価=売却価格ではありません。その後のデューデリジェンスや交渉によって、金額が変わる余地はあります。つまり、最終的な売却価格を決めるのは交渉次第であるともいえるでしょう。
窯業業界のM&A・事業承継を成功させる方法3選
窯業業界のM&A・事業承継を成功させる方法には、以下のようなものがあります。
- 事業の価値や強みをアピールする
- 信頼できる相手に事業を引き継ぐ
- M&A・事業承継の専門家に相談する
①事業の価値や強みをアピールする
M&Aによる事業承継を行うのであれば、自社の事業の価値や強みをしっかりアピールできるようにしましょう。M&Aは会社の売買であるため、事業の価値や強みをいかにアピールして買い手に買収させるかが重要になります。
そのため、交渉に臨む際は事業の価値や強みを効率的にアピールできるよう、事前に資料をまとめておくことがおすすめです。
②信頼できる相手に事業を引き継ぐ
後継者への事業承継、またM&Aによる事業承継双方にいえることですが、事業を引き継がせる相手が信頼できるかどうかしっかり見極めるようにしましょう。経営者の引退後、会社の経営は後継者や第三者が行うことになります。
現経営者が現場から離れても、会社の経営をしっかりと続け、さらなる発展を実現させてくれる人材に事業承継をさせた方がいいでしょう。後継者や承継先の選定は経営者が行いますが、なるべく多角的に相手を評価することが重要です。
自分の意向に従ってくれる相手を選ぶだけでは、必ずしも良い事業承継になるとは限りません。周囲の意見や評判も聞いて、なるべく公平な目線で評価するようにしましょう。
③M&A・事業承継の専門家に相談する
これまでの繰り返しになりますが、M&A・事業承継の専門家への相談をするのがベストな選択です。M&Aも事業承継も会社の将来を左右する重要な取り組みであり、その成否がそのまま会社の存続を決定することでもあります。
また、M&Aは経験やスキルが大きく影響するものであり、経営者だけでは対応できないことが多いです。円滑に進めるうえでも、専門家の助力を得るようにしましょう。
M&A・事業承継の相談先
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料金体系は、料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。
電話・メールによる無料相談は随時お受けしておりますので、窯業業界のM&A・事業承継をご検討の際は、どうぞお気軽にご連絡ください。
窯業業界のM&A・事業承継のまとめ
窯業業界は市場規模の縮小が著しく、とりわけ陶器製造業はいかに生き残りを模索していくかが課題となっています。そのため、M&A・事業承継は、窯業業界の経営者にとって真剣に取り組まなければならないものです。
専門家と相談しつつ、理想的な結果を得られるように準備を進めていきましょう。本記事の概要は、以下のとおりです。
・窯業業界とは
→陶磁器やセメント、ガラス、セラミックスなどを作り出す事業
・窯業業界の動向
→陶器製造業は特に市場が縮小、M&A・事業承継を選ぶ業者が増加
・窯業業界のM&A・事業承継の注意点
→計画的に準備をして、契約成立まで口外しない
・窯業業界のM&A・事業承継を成功させるコツ
→自社の強みをアピール、信頼できる相手探し、専門家への相談
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。