2021年12月22日更新業種別M&A

調剤薬局の売買を徹底解説!流れ・手数料・相談先は?【東京/大阪】

近年、調剤薬局のM&Aの成約件数は、東京や大阪だけでなく全国的に増加しています。この記事では調剤薬局の売買について、流れや手数料などを徹底解説します。また、東京や大阪の調剤薬局が売買を行う際におすすめの相談先も紹介しています。

目次
  1. 調剤薬局の売買
  2. 調剤薬局の売買の主な流れ
  3. 調剤薬局の売買の手数料一覧
  4. 【東京/大阪】調剤薬局の売買の相談先
  5. 東京・大阪で調剤薬局を売買する際のポイント
  6. まとめ
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調剤薬局のM&A・事業承継

調剤薬局の売買

調剤薬局の売買

近年、中小企業のM&Aは活況となっており、調剤薬局業界も同様です。その背景には、調剤薬局の将来的な収益の減少や後継者問題などがあり、調剤薬局の売買件数は増加しています。

この記事では、調剤薬局の売買について流れ・手数料、おすすめの相談先などについて紹介します。まずは、調剤薬局とはどのようなものなのか、その概要について解説します。

調剤薬局とは

調剤薬局とは、薬剤師が処方箋の内容に基づき調剤の業務を行ったり、医薬品を販売する場所です。調剤薬局では、人体に影響を及ぼし得る医薬品を販売するため、薬局開設許可を受けなければ営業することはできません。

また、医薬品の調剤業務は事実上、薬剤師の独占業務となっているため、調剤薬局には薬剤師が常駐していなければなりません。

そのような理由により、薬局業界に新規参入することは容易ではないため、調剤薬局業界では同業者間のM&Aが半分以上を占めており、その多くはM&Aが小規模薬局から大規模薬局への事業承継です。

調剤薬局の売買とは

調剤薬局の売買とは、自社(調剤薬局)を売り買いすることを指し、主な手段には、事業譲渡と株式譲渡の2種類があります

2つの手法の違いは、許認可の引き継ぎにあり、事業譲渡では、原則として許認可を引き継ぐことはできません。対して、株式譲渡は包括承継となるため、許認可を引き継ぐことができます。

M&Aのスキームによって許認可の取り扱いや手続きが異なるため、専門家との相談しながら目的に合ったスキームを選ぶとよいでしょう。

調剤薬局の売買の主な流れ

調剤薬局の売買の主な流れ

次は調剤薬局の売買の流れについて紹介します。調剤薬局の売買は、以下の手順に経てM&Aが完了します。

  1. 仲介会社への相談
  2. 秘密保持契約の締結
  3. 企業評価価値の算定
  4. 売却先企業の選定
  5. 売却先企業との交渉・トップ面談
  6. 意向表明書の提示
  7. 基本合意書の締結
  8. デューデリジェンスの実施
  9. 最終契約の締結
  10. クロージング

1.仲介会社への相談

調剤薬局の売買を行うとき、まずは仲介会社などの専門家に相談するのが一般的です。M&Aを進めるうえでは専門的な知識や、取引価格の交渉では経験も必要になります。

また、自社の希望に合ったM&Aの相手先を自社のみで探すのは難しいですが、仲介会社は多くの案件を持っているため、効率的に探すことが可能です。

以上のことを踏まえると、調剤薬局の売買を行う際には仲介会社からのサポートが不可欠ともいえるので、まずは相談してみるとよいでしょう。

2.秘密保持契約の締結

M&A仲介会社にサポートを依頼することを決めたら、次はその仲介会社と秘密保持契約を締結します。秘密保持契約とは、自身が運営している調剤薬局を売買している情報を公開しないことを約束するものです。

M&Aの情報は利害関係者に大きな影響を及ぼし得るものであり、事前に情報が漏れてしまっては従業員の離職や企業価値の低下につながる可能性もあります。

このような事態を避けるため、M&Aで知り得た情報を第三者に漏洩しない旨の契約を結びます。

3.企業評価価値の算定

次は、調剤薬局の企業評価価値の算定を行います。調剤薬局の売却希望金額は、企業価値をもとに決められます

M&A先が希望する買収金額と自身が希望する売却金額に乖離がある場合、交渉によって取引金額を決めますが、その際に適正な価格で取引できるように自社の企業価値を知っておく必要があります。

アドバイザリー契約締結

アドバイザリー契約とは、M&Aを行う際に仲介会社からアドバイスや手続きを行うためのサポートを依頼する契約です。

アドバイザリー契約を締結することにより、初めてM&Aに必要なサポートを受けることができます。

なお、アドバイザリー契約には、M&Aのサポート範囲や手数料などについて記載があるため、事前に確認しましょう。

4.売却先企業の選定

売却先企業の選定では、初めに調剤薬局をどのような企業や個人に売却したいかなど、自社の希望を仲介会社に伝えます。

その後は、仲介会社が希望に合った案件をいくつかピックアップします。この段階では、企業名は伏せられており、事業・財務状況・売却条件などがわかる資料から売却先を絞り込みます

5.売却先企業との交渉・トップ面談

売却先が決まったら、相手先企業とも秘密保持契約を締結します。この段階で初めてM&A先の企業名が伝えられ、これをネームクリアといいます。

ネームクリア後は売却先企業に関する詳細な資料がみられるようになり、それをもとにヒアリングや条件交渉を進めていきます。また、経営陣同士によるトップ面談も行います。

6.意向表明書の提示

条件交渉やトップ面談を行いM&Aを行う意思が固まったら、買い手側は売り手に対して意向表明書を提示します。

意向表明書とは、簡単に言うと「売り手側企業を買う意思がある」ということを書面によって示すもので、希望条件などが内容に盛り込まれています。

7.基本合意書の締結

交渉を進め、売り手・買い手両社がM&A成立に大筋で合意したら、基本合意書を締結します。

基本合意書には、両社がM&Aの意思があることを示すとともに、独占交渉権や独占交渉を行う期間なども記載されます

M&Aの一連の流れで基本合意書の締結が中間地点となり、中間金を設定している仲介会社では、この時点で中間金を支払います。

8.デューデリジェンスの実施

デューデリジェンスとは企業監査のことをいい、財務面・法務面などから対象企業を細かく調査します。

売り手の調剤薬局については、基本合意書の締結前に提出された資料で財務情報などを確認していますが、簿外債務などの問題点を隠れている可能性もあります。

簿外債務などのリスクを避けるため、買い手は売り手の調剤薬局に対してデューデリジェンスを行います

デューデリジェンスには専門知識が必要になるため、経営法務に詳しい弁護士・会計士など、それぞれの専門家が行うのが一般的です。

【関連】デューデリジェンス(買収監査)とは?意味やM&Aでの活用、必要書類を解説

9.最終契約の締結

デューデリジェンスを実施し、問題がないと判断されたら最終契約の締結を行います。

最終契約の締結する際は、デューデリジェンスの結果をもとに、取引金額の調整や雇用条件など詳細な部分まで話し合い、互いが条件に合意したら最終契約書を締結します。

10.クロージング

クロージングとは、M&Aが成立しヒト・モノ・カネが移動することをいいます。最終契約書を締結すると調剤薬局の売買が正式に成立したことになり、クロージングが行われます。

売り手はこの時点で売却益を得ることができ、サポートを受けた仲介会社とは契約が成立したことになり、クロージングとなった時点で成功報酬を支払います。

調剤薬局の売買の手数料一覧

調剤薬局の売買の手数料一覧

続いて、M&Aを行う際に仲介会社に支払う手数料について紹介します。一般的に、仲介会社へ支払う手数料には以下7種類があります。

  1. 着手金
  2. 月額報酬
  3. 中間金
  4. 企業評価費用
  5. 相談料
  6. 成功報酬
  7. 最低手数料

1.着手金

着手金とは、仲介会社に調剤薬局の売買に関する業務を依頼するときに支払う手数料のことで、いわゆる前払金になります。そもそも着手金とは、売却する調剤薬局の企業価値の調査やM&A先の選定などにかかる費用であるため、M&Aが成立しなくても返金はされません。

一般的な相場は50~200万円程度となっています。しかし、近年は仲介会社同士の競争激化やオンラインによる案件の情報共有などが理由で着手金を無料としている仲介会社が増えています。

2.月額報酬(リテイナーフィー)

月額報酬とは、仲介会社に毎月支払う手数料のことです。月額報酬の相場は30~200万円で、この手数料を設定していない仲介会社もあります。原則として、M&Aが成立するまで月額報酬を支払う必要があるため、期間が長くなれば費用負担が大きくなります。

時間をかけてM&A先の選定や交渉を行いたい場合は月額報酬を設定していない仲介会社を選ぶようにしましょう。

3.中間金

中間金とは、M&Aで基本合意書を締結したときに支払う手数料です。先ほど紹介したように基本合意書の締結はM&Aの手続きの中で中間にあたるため、その時にかかる手数料は中間金と呼ばれています。

相場は50~200万円となっていますが、仲介会社によっては成功報酬の10~20%と設定しているところがあり、最後の成功報酬とともに請求されます。

4.企業評価費用

企業評価とは、財務調査などデューデリジェンスを行うための費用です。通常、着手金や成功報酬に含まれているため、この手数料が別途設定されていることはあまりありません。相場価格は10~80万円程度です。

5.相談料

相談料とは、正式なM&Aの依頼をする前にかかる手数料のことです。M&A総合研究所を含め、ほとんどの仲介会社では相談料は無料です。しかし、仲介会社によっては相談料を設定しているところもあります。

仲介会社に相談する際には事前に相談料が設定されているか確認しましょう。

6.成功報酬

成功報酬とは、M&A取引に成功したときに支払う手数料のことです。成功報酬額は、ほとんどの仲介会社でレーマン方式によって計算されます。レーマン方式とは、M&Aの取引金額に応じて成功報酬額を決める計算方法で、M&A取引金額が大きくなるほど成功報酬額も高くなります。

また、レーマン方式の手数料割合は仲介会社によって異なっています。成功報酬の計算方法を理解した上で仲介会社に依頼しましょう。

7.最低手数料

最低手数料とは、成功報酬額で最低限支払う必要のある手数料です。ほとんどの仲介会社は成功報酬にレーマン方式を採用しています。しかし、レーマン方式はM&A取引金額が小さければ仲介会社が得られる成功報酬額は少なくなります。

成功報酬額が小さすぎると利益にならないため、仲介会社によっては最低手数料を設けています。取引額が小さいM&Aになると予想されるときは最低手数料がいくらなのか確認しましょう。そのほか、調剤薬局に関するM&Aで仲介会社に支払う手数料については以下の記事でも紹介しています。

【関連】薬局の譲渡支援の手続き・流れや手数料体系を比較解説!

【東京/大阪】調剤薬局の売買の相談先

調剤薬局のM&A・事業承継
調剤薬局のM&A・事業承継
【東京/大阪】調剤薬局の売買の相談先

東京や大阪で調剤薬局の売買を行う際、相談先となるのは主に以下の5つがあります。ここでは、それぞれの特徴について説明します。

  1. M&A仲介会社
  2. 地元の金融機関
  3. 地元の弁護士・会計士・税理士
  4. 地元の公的機関
  5. マッチングサイト

1.M&A仲介会社

最も一般的な相談先は、M&A仲介会社です。M&A仲介会社に依頼すると、交渉や手続きなど一括サポートを受けられる点がメリットです。

2.地元の金融機関

地元の金融機関でも、調剤薬局の売買についての相談ができます。地元の金融機関は、調剤薬局を含む多くの融資先であるため、財務や経営に関する相談先にもなっています。

地元の調剤薬局に関するいくつかの売買案件を持っていることもあるため、金融機関が仲介役を果たすケースもみられます。

3.地元の弁護士・会計士・税理士

士業は経営や法律・手続きに関する各分野のスペシャリストであり、会社の経営法務や財務状況などの相談先になっています。

また、最近ではM&A支援を行っている事務所も増えており、調剤薬局の売買の相談・サポートを依頼することもできます。

しかし、どの程度までのサポートが可能なのかは士業事務所によって異なるため、事前に実績なサポート範囲について確認しておくことが大切です。

4.地元の公的機関(事業引継ぎセンター)

地元の公的機関でも、調剤薬局の売買について相談することができます。代表的な公的機関には事業引継ぎセンターがあります。

事業引き継ぎデンターでは、M&Aや事業承継に関する相談を無料でできる点がメリットで、M&Aや事業承継が必要な企業をデータベースに登録し、登録情報をもとにM&Aマッチングを行います。

しかし、マッチング後のM&A支援業務は、提携しているM&A仲介会社に依頼するため、その際は別途費用がかかります。

5.マッチングサイト

M&Aマッチングサイトとは、仲介会社や金融機関など企業や士業などを通さず、インターネット経由でM&A先を探すことができるプラットフォームのことです。以下では、国内の代表的なマッチングサイトを2つ紹介します。

1.Batonz【バトンズ】

Batonzは、主に事業承継に関する売買のマッチングを行っており、地方自治体と連携していることが特長です。

その地域が持つ特長や問題点に合わせて、地方自治体と協力しながら事業承継を行っています。

2.TRANBI【トランビ】

TRANBIは国内最大級の事業承継・M&Aを行うプラットフォームです。登録者数は4万人以上、累計マッチング数は約2万件と信頼性と豊富な実績をあります。

手数料については売り手側が無料、買い手側は成功報酬のみと非常に安価な設定になっています

東京・大阪で調剤薬局を売買する際のポイント

東京・大阪で調剤薬局を売買する際のポイント

最後に、東京や大阪で調剤薬局の売買を成功させるために意識しておくべき4つのポイントを紹介します。

  1. 事前に売買計画を入念に行うこと
  2. 従業員・関係各所に丁寧に対応すること
  3. 手数料が明確に表示されていること
  4. タイミングを逃さない相談先を選ぶこと

1.事前に売買計画を入念に行う

1つ目のポイントは、事前に売買計画を入念に行うことです。調剤薬局の売買には、手数料など莫大な資金が必要なだけでなく、成約するまでにはある程度の時間がかかります。


M&Aを行うと決めたら簡単に失敗するわけにはいかないため、事前に売買計画を入念に行うことが大切です。まず大切なのは、M&Aを行う目的を明確にしておくことです。

調剤薬局の売却側の場合、例えば、売却益をたくさん得る・売却後、従業員の雇用を確保するなどがあるでしょう。買収側の場合、シナジー効果を得る・薬剤師を確保するなどが目的となります。

M&Aの目的を明確にして計画を立てておけば、迷いなく判断ができスムーズに交渉を進められるので、結果としてM&Aの成功確率を高めることができます。

2.従業員・関係各所に丁寧に対応する

2つ目のポイントは、従業員や関係各所に丁寧に対応することです。これは調剤薬局を売却する際に注意するべきポイントといえるでしょう。

調剤薬局を売却する際に影響を受けるのは従業員だけでなく、そこをかかりつけ薬局としている患者にも及びます

従業員や患者には適切なタイミングで調剤薬局の売却を公表し、転職先のあっせんや薬局の紹介など患者たちが困らないように丁寧に対応する必要があります。

また、関係の深い医師や医療機関へては早めに伝えておき、患者に対して薬局の紹介をしてもらうなど協力を依頼しておくとよいでしょう。

3.手数料が明確に表示されている

3つ目のポイントは、手数料が明確に表示されているかを確認しておくことです。先述したように、一般的なM&A仲介会社には7種類の手数料があるため、把握しておかなければ予定していた以上の支払いが発生する可能性もあります

しかし、近年のM&A仲介会社は、手数料が原則無料であったり、手数料を明確に表示するようになっています。

相談する際には手数料を確認するとともに、明確でない仲介会社への相談は避けるようにしましょう。

4.タイミングを逃さない相談先を選ぶ

最後のポイントは、タイミングを逃さないように相談先を選ぶことです。相談先を選ぶ基準には、手数料の金額・扱っている案件数などがありますが、M&A仲介会社が業界に精通していることも必要です。

調剤薬局の売買を成功させるためには、業界の動向を把握して適切なタイミングで行うことが必要になるため、知識・実績が求められます。

適切なタイミングでより希望条件に近い売却を行うためには、調剤薬局のM&A・売買に実績のある仲介会社を選ぶことがポイントです。

まとめ

まとめ

今回は、調剤薬局の売買に関する流れや手数料について解説しました。調剤薬局の売買を検討する際は、信頼できる専門家のサポートを受けるとともに、経営者自身もM&Aのながれやそれにかかる料金について把握しておくことが大切です。

【調剤薬局の売買の主な流れ】

  1. 仲介会社への相談
  2. 秘密保持契約の締結
  3. 企業評価価値の算定
  4. 売却先企業の選定
  5. 売却先企業との交渉・トップ面談
  6. 意向表明書の提示
  7. 基本合意書の締結
  8. デューデリジェンスの実施
  9. 最終契約の締結
  10. クロージング

【調剤薬局の売買を行い際にかかる手数料】

  1. 着手金
  2. 月額報酬
  3. 中間金
  4. 企業評価費用
  5. 相談料
  6. 成功報酬
  7. 最低手数料

【調剤薬局の売買を行う際の相談先】

  1. M&A仲介会社
  2. 地元の金融機関
  3. 地元の弁護士・会計士・税理士
  4. 地元の公的機関
  5. マッチングサイト

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