M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年12月25日更新業種別M&A
ゲーム会社のM&A・売却・買収の最新動向!事例や案件例・相談先も解説
ゲーム会社のM&Aに関して、現状や動向から事例やメリットまで紹介します。ゲーム市場では、各ゲーム会社の競争は激化しています。その中で有効な経営戦略のひとつがM&Aです。ゲーム会社のM&Aを検討している方は必見の内容です。
目次
ゲーム業界の市場規模
「ファミ通ゲーム白書2024」によると、2023年の国内ゲーム市場規模は2兆1255億円で、前年比4.6%増加しました。
特に家庭用ゲームハードの成長が顕著で、前年比27.5%増となっています。この要因として、プレイステーション5(PS5)の販売増加や、Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)の継続的な人気が挙げられます。
また、2022年に減少していた国内ゲーム人口も2023年には5553万人と前年比2.8%増に回復しました。一方、2023年の世界ゲームコンテンツ市場は29.5兆円で、同一為替レートで前年比3.1%増加しています。
国内では家庭用ゲームが好調を維持する一方、ゲームアプリ市場は1兆2321億円と横ばいの推移を見せています。
参考:ファミ通.com「2023年の国内ゲーム市場規模は前年比4.6%増の2兆1255億円。“ファミ通ゲーム白書2024”で過去20年の国内市況推移を紹介」
ゲーム業界の課題と展望
ゲーム業界の課題と展望を3つのトピックに分けて解説します。
慢性的な人手不足への対応が求められる
各ゲーム会社は、慢性的な人手不足が続いています。国内市場だけでなく海外市場にも垣根なく進出できる業界であるため、人員とプロジェクトのいたちごっこのような状態になっているのがその理由です。
そこで、同業者間でのM&Aになっていくのですが、ゲーム業界の場合、異業種からの参入も多くあります。1つのゲームがヒットした場合の高収益に目をつけ、資金に余裕のある異業種企業が、ゲーム会社を買収して業界参入を図るのです。
そうなると、ますます人材が不足しますから、当面のゲーム業界において、積極的なM&Aは今後も継続されていくでしょう。
法規制次第ではビジネスモデルを変容させねばならない
現在、ゲーム市場の中で隆盛を極めているスマートフォン向けのソーシャルゲームは、その課金システムについて、消費者庁から通達を受けたことがあります。ユーザーの射幸心をあおり、一瞬で高額を使わせるような課金システムに警鐘が鳴らされたのです。
これにより「ボックスガチャ」というアイテム販売方法は、中止・変更を余儀なくされました。このことは、法規制次第ではビジネスモデルを変容させねばならない可能性があることを示唆しており、課金システムの慎重な運用が行われていくべきでしょう。
eスポーツの発展をサポートできるかがカギ
eスポーツを世界規模で発展させられれば、新たなゲームブームの潮流となり得ます。業界団体が音頭を取り、この動きをサポートできるかが注目のポイントです。
ゲーム業界の1つであるアプリ開発会社のM&A動向について、下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。
ゲーム会社のM&Aの最新動向
ここでは、ゲーム会社のM&A最新動向として、5つの方向性に焦点を当てて解説します。
海外展開を目指すM&A
海外での事業展開を目的に、M&Aを活用するケースが増えています。現地企業とのM&Aは、海外拠点を短期に構築できるからです。国内で成功したゲームを海外展開するためのM&Aは、海外市場の拡大とともに今後、加速すると考えられます。
事業の存続・成長を目指すM&A
ゲームクオリティの向上や、新規ユーザー確保などを実現する手段としてのM&Aも加速するでしょう。スマートフォン向けゲームの場合、熱心なゲームファン以外のユーザー層をターゲットにすることもあります。
これまで以上に、ターゲット層やサービス内容を拡大して考えなくてはなりません。多様化するニーズに対応するためにも、M&Aによって事業規模やサービス領域の拡大、専門性の高い人材の確保を図ることが効果的です。
新市場への適応を目指すM&A
スマートフォン向けゲームのニーズが高まる中、大手の家庭用ゲーム機向けゲーム会社が、新規参入のためにM&Aを活用する傾向も見られます。
家庭用ゲームで人気のキャラクターをスマートフォン向けゲームに登場させるため、スマートフォン向けゲーム会社とのM&Aや資本提携を行うといったケースなどが代表例です。
競争激化への対応を目指すM&A
ゲーム業界の市場拡大に伴い競争も激化中です。スマートフォンの普及や性能向上により、スマートフォン向けゲームも多様化し、ゲームの内容、対象となる層、サービス形態など、さまざまな特徴を持つゲームが次々に誕生しています。
しかし、少子化で人口減少が起こっている日本で、今後も右肩上がりで市場が伸びていくとは、あまり想像できません。したがって、現在すでにそうなっているように、ユーザーのサイフの取り合いという競争が、今後はますます激化していくでしょう。
このような状況では、事業規模の拡大が重要な意味を持ちます。事業内容やサービス対象が広がれば、それだけ競争力は強化されるからです。そこで、M&Aが効果的な手法となります。
たとえば、あるゲーム会社が、自社で扱っていないゲームジャンルに強みのあるゲーム会社を買収し、ラインアップを充実させることで事業拡大を図ることが、M&Aで実現可能です。ラインアップの充実は、多様化するユーザーニーズに迅速に対応できます。
また、スマートフォン向けゲームの場合、言語対応だけ行えば世界規模で配信展開が可能です。面白い現象として、特定の地域や国で人気が出るゲームが存在します。そのようなゲーム会社を買収すれば、サービス領域の拡大とともに国内市場のリスクヘッジも可能です。
さらに、海外に拠点のあるゲーム会社を買収するクロスボーダーM&Aも増えていくでしょう。国内での競争が激化する中、海外も含めてサービス領域を拡大することは、企業が競争力強化をもたらす手段として有効と考えられています。
人手確保を図るM&A
各ゲーム会社では、毎年続いているゲーム市場拡大によって人手不足が明白です。そこで、M&Aによって人材を大量確保し、人手不足の解消を図るケースも見られます。現在のゲーム制作スタイルは、多人数編成によるプロジェクト内での分業体制です。
この場合、数人単位の人材補充では1プロジェクトをまかなえません。その意味でもM&Aは有効な選択肢となるのです。また、M&Aの買収予算などない中小規模のゲーム会社が売り手の場合、売り手側にとってもM&Aを人材確保の契機です。
大手企業の傘下になることで開発環境は整備・向上され、ゲーム会社の知名度も上がるので、人材の一般募集への応募状況が一変します。中小規模のゲーム会社は、そのクリエイティビティが生命線であり、そのためには人材が必要です。
このように、ゲーム会社として今後も力を発揮していくための選択肢として、M&Aでの売却も考えられる場合があります。
ソフトウェア業界のM&A・会社売却・買収の動向については下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。
ゲーム会社のM&Aのメリット
ゲーム会社がM&Aをする際に得られるメリットについて、買収側・売却側それぞれの観点で見てみましょう。
ゲーム会社の買収メリット
ゲーム会社を買収するケースとして想定されるのは、大体、以下の5パターンです。
- 大手ゲーム会社が優秀なゲーム開発会社を買収して傘下に加える
- 家庭用ゲーム機向けゲームが主力のゲーム会社がスマホ向けゲーム会社を買収する
- 中堅ゲーム会社同士による合併
- 国内展開中心のゲーム会社が海外のゲーム会社を買収する
- 異業種の企業が新規参入のためゲーム会社を買収する
国内、海外問わずゲーム会社同士のM&Aの場合、買い手側のメリットは事業規模や事業領域の拡大です。これには人的資源の獲得も含まれます。また、異業種の会社が買い手の場合、ゲーム業界への新規参入がたやすく行えるのが最大のメリットです。
なぜならゲーム業界は、その専門性の高さから、異業種企業が独自で新規参入するには、準備に相当の苦労があります。場合によっては無理かもしれません。つまり、M&Aがとても有効な方法なのです。
ゲーム会社の売却メリット
基本的にM&Aによる会社の売却には、後継者不足問題の解決、経営基盤の安定化、創業者利益の獲得、個人保証や担保の解消、従業員の雇用維持といったメリットがあります。この中でゲーム会社が特に該当するメリットは、経営基盤の安定化、創業者利益の獲得でしょう。
ゲーム開発は長ければ1年以上にもおよぶ長丁場です。制作が完了するまで売上の入らない完全な先行投資ビジネスですから、制作期間中の運転資金の工面で苦労するゲーム会社も多くあります。売却によって資金力のある大手の傘下となれば、その苦労がなくなるわけです。
スマートフォン向けゲーム会社には新興企業も多く、売却によって多額の創業者利益獲得を狙っている経営陣も少なくありません。ただし、ヒット作がないと思うような金額にはならないでしょう。また、スマートフォン向けゲームの特性により、売却を目指す会社もあります。
家庭用ゲーム機向けゲームであれば、制作が完了すればスタッフの業務はそれで終わりです。しかし、配信課金型であるスマートフォン向けゲームは、配信が続く限り、ゲーム内容の改良や機能追加作業がずっとついて回ります。
この場合、中小規模のゲーム会社では、新作にスタッフを回す余裕がありません。端的に言えば人手不足なのですが、このようなスマートフォン向けゲームの特性も、会社売却で大手グループに加わることによって解消され、次のチャレンジに向かえる環境を得られます。
ゲーム会社のM&A相場と費用
ゲーム会社のM&Aは、その目的や対象事業、会社規模などが多岐に渡るため、一概に相場と費用を把握することは難しいと言えます。ただし、M&Aの検討をするにあたっては、ある程度の予算の目安をつけておかなければなりません。
一般的に中小企業の売却価格は、時価純資産に2〜5年分の営業利益を加えた金額で決められることが多いです。したがって、ゲーム会社の場合も「時価純資産+2〜5年分の営業利益」を基本とした売却価格の相場を参考にすると良いでしょう。
しかし、会社の持つ技術力などの経営資源の質や量、買い手の期待するシナジー効果、またM&Aの緊急度など、他の要因も売却価格に大きく影響します。そのため、上記の計算方法で出した価格は、参考値として捉え、具体的な状況に応じて調整することが必要です。
なので、正確に売却・買収価格について知りたい場合は、M&A仲介会社やM&Aアドバイザリーなどの専門家に相談するのがおすすめです。最終的にM&Aを実施することになるのであれば、M&A仲介会社などに業務を依頼することになります。
M&Aでは成約までにプロセスが多数あり、それぞれの手続きも財務、法務、税務など専門性の高いものばかりで、自社内だけで進めるのは困難です。無料相談を実施しているM&A仲介会社もありますので、まずは一度、相談をしてみましょう。
M&A総合研究所には、M&Aに関する知識・経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、これまで培ってきたノウハウを生かしてM&Aをフルサポートいたします。
料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談をお受けしておりますので、ゲーム会社のM&Aをご検討の際には、お気軽にお問い合わせください。
ゲーム会社のM&A案件例
弊社M&A総合研究所が取り扱っているゲーム会社のM&A案件例をご紹介します。
【大手パブリッシャーと取引あり】ゲーム企画・開発・運営
ゲームの企画、開発、運営を一気通貫で行っています。ブラウザ、スマートフォン、コンシューマ等、幅広い領域での開発が可能です。
エリア | 関東・甲信越 |
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望額 | 希望なし |
譲渡理由 | 親会社の選択と集中 |
【全国店舗展開・自走可能/高収益】スマホ・PC・ゲーム修理・買取事業
全国に店舗展開しており、3期連続で増収増益です。他社と比べ、修理対応可能メーカーや機種が豊富にあります。
エリア | 関東・甲信越 |
売上高 | 5億円〜10億円 |
譲渡希望額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡理由 | 選択と集中 |
【優秀なエンジニア多数/大手取引あり】都内のゲーム開発会社
業界経験の長い、グラフィック制作人材が多数在籍しています。大手ゲーム開発/有名ゲームタイトルの一部制作実績を多数保有しています。
エリア | 東京都 |
売上高 | 5000万円〜1億円 |
譲渡希望額 | 1000万円〜5000万円 |
譲渡理由 | 自社単独での成長限界、更なる事業展開 |
ゲーム会社のM&A事例
ここでは、ゲーム会社のM&A事例を紹介します。公表されるM&A事例は、全て上場企業のものしかありませんが、上場企業のM&A動向を分析すれば、現在のゲーム業界の方向性や、M&Aの当事者ではないゲーム会社にとっても、今後の展望などのヒントになるでしょう。
ブシロードによるフロントウイングラボの全保有株式の譲渡
2024年9月20日、ブシロードは、連結子会社であるフロントウイングラボ(東京都千代田区)の全保有株式を、グッドスマイルカンパニーのグループ会社であるフロントウイングに譲渡することを発表しました。この株式譲渡により、フロントウイングラボはブシロードの連結範囲から除外されます。
フロントウイングラボは「グリザイア」シリーズなどの有力IPを保有し、アニメプロデュースやコンソールゲーム開発を手掛けています。今回の譲渡は、グッドスマイルカンパニーグループとの親和性を活かし、フロントウイングラボのさらなる成長と発展を目指すための決定です。なお、開発中タイトルを含むブシロードグループとの協業は引き続き行われます。
PTW AmericaによるGhostpunch Gamesのゲーム開発外注事業の譲受
2024年8月27日、ポールトゥウィンホールディングスの連結子会社であるPTW America, Inc.(米国カリフォルニア州)は、Ghostpunch Games, LLC(米国フロリダ州)からゲーム開発に関わるアウトソーシングサービス事業を譲り受けることを決定しました。
PTW Americaは、ポールトゥウィンHDグループの海外ソリューション業務を担う子会社で、音声収録やプレイヤーサポートを行っています。今回の事業譲受により、従来のゲーム開発支援に加え、ゲームそのもののアウトソーシングサービス提供が可能となり、顧客ニーズにワンストップで対応する体制を強化します。
さらに、Ghostpunchの顧客に対してローカライズやQAデバッグ、ユーザーサポートなどを提供し、相互送客による売上向上も図ります。この取り組みにより、グループの海外ソリューション事業を拡充し、競争力を高めることを目指します。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントがFirewalk Studiosを買収
2023年4月、ソニー・インタラクティブエンタテインメントはFirewalk Studiosを買収しました。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントはゲーム機器開発・販売を行う企業です。Firewalkはアメリカの企業でゲーム開発スタジオを運営しています。
今回のM&Aにより、PlayStation Studiosにおける20番目のスタジオとなります。Firewalkが保有するサービスやノウハウを獲得し、さらなる成長を目指します。
任天堂がSRDを買収
2022(令和4)年4月、任天堂は、SRDの全株式を取得して完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。任天堂は、家庭用ゲーム機「NINTENDO SWITCH」とその対応ソフトを販売しているゲーム会社です。
SRDは、約40年間にわたり任天堂のセカンド・パーティー(任天堂から発売されるゲームの受託開発会社の意)を続けてきました。任天堂としては、子会社化でSRDの経営基盤を強化して開発効率を向上させ、将来にわたる安定的な開発リソース確保が目的です。
サイバーステップがネッチを買収
2022年4月、オンラインゲーム開発を行う株式会社サイバーステップは、オンラインクレーンゲームサービス「ネットキャッチャー ネッチ」を運営する株式会社ネッチの全株式を取得し、子会社化しました。
サイバーステップは、自社でゲームの開発とサービスを手がけ、その技術を生かして複数のゲームタイトルを国内外で展開しています。一方、ネッチはPlayStation®4で初めてのオンラインクレーンゲームを提供するなど、特定分野での豊富な経験と戦略を持つ企業です。
この提携により、サイバーステップとネッチは互いの経験や技術、運営ノウハウを共有し合い、運営体制の強化と顧客基盤の拡大を目指します。結果として、グループ全体の企業価値向上と収益機会の拡大が期待されています。これにより、両社はさまざまなシナジー効果を享受することが可能になります。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントがHaven Entertainment Studios Inc.を買収
2022年3月、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下ソニー・I)が、Haven Entertainment Studios Inc.(以下HES)との買収契約締結を発表しました。買収価額は公表されていません。
ソニー・Iは、家庭用ゲーム機「プレイステーション」とその対応ゲームを販売しています。HESはカナダのゲーム会社で、すでにプレイステーション向けゲームを制作中です。
ソニー・Iとしては、プレイステーション用大型マルチプレイタイトルのラインナップ拡充に向け、優秀なゲーム会社を内製開発スタジオとして迎えることが目的のM&Aになります。
ブシロードとSHOWROOMの資本業務提携
2022年3月、ブシロードとSHOWROOMが資本業務提携を締結しました(資本の移動を伴う資本締結は広義のM&Aとされています)。資本提携の内容は、ブシロードがSHOWROOMの第三者割当増資を引き受けていますが、具体的な出資額は公表されていません。
ブシロードは、グループとしてアニメ、ゲーム、音楽、イベントなどの事業をミックス展開している企業です。SHOWROOMは、ライブ動画ストリーミングプラットフォーム「SHOWROOM」やバーティカルシアターアプリ「smash.」を開発・運営しています。
業務提携の内容は、新たなデジタル領域のビジネスやIPの創出を行うことで、第一弾としてブシロード傘下の女子プロレス団体「スターダム」の動画アーカイブを活用したNFT(Non-fungible token)化が進められる予定です。
オルトプラスが子会社を株式譲渡
2022年3月、オルトプラスは、完全子会社であるプレイシンクの全株式をプレイシンクの代表取締役に譲渡しました。譲渡価額は100万円です。オルトプラスは、ソーシャルゲームの企画・開発・運営、ITサービスの開発・運営支援を行っています。
プレイシンクは、モバイルコンテンツなどの企画・開発・運営を行っており、その一環としてNFTを含む暗号資産事業も準備してた企業です。しかし、プレイシンクが直接、暗号資産を保有する場合の体制整備や追加コストなどの問題点が発生しました。
そして、オルトプラスがプレイシンクをグループから切り離す判断をしたところ、代表者から株式買取の申し出があり、この株式譲渡に至っています。
コムシードがアイビープログレスを買収
2022年2月、コムシードは、アイビープログレスの全株式を取得して完全子会社化しました。取得価額は3,000万円です。コムシードは、ソーシャルゲームの企画・開発・運営、各種サイトの運営や受託開発事業などを行っています。
アイビープログレスは、ソフトウエアの開発、ゲームソフトの企画・制作・販売を行っている企業です。コムシードとしては、アイビープログレスの経営基盤を強化することで、利益率向上・業容拡大などのシナジー効果が得られると判断しました。
Microsoft Corp.がActivision Blizzard Inc.を買収
2022年1月、Microsoft Corp.(米国マイクロソフト、以下マイクロソフト)は、Activision Blizzard Inc.(以下Activision)の買収決定を発表しました。買収価額は、687億ドル(1$=120円換算で8兆2,440億円)です。
マイクロソフトは、ソフトウェアの開発・販売とともに、家庭用ゲーム機「Xbox」とその対応ゲームを販売しています。Activisionは、世界有数のゲーム会社です。この買収によりマイクロソフトは、グループとして世界第3位のゲーム売上高になります。
バンダイナムコエンターテインメントとソフトギアの資本業務提携
2021(令和3)年11月、バンダイナムコエンターテインメントとソフトギアは資本業務提携を締結しました。資本提携の具体内容は公表されていません。ソフトギアは、オンラインゲーム受託開発事業、ライブラリ開発・販売事業を行っています。
バンダイナムコエンターテインメントは、家庭用ゲーム機用ソフトの開発・販売、スマートフォン向けソーシャルゲームなどのネットワークコンテンツの開発・配信・運営、ライブイベントなどのライフエンターテインメント事業を行っている企業です。
業務提携の目的は、オンラインゲームのネットワークインフラ開発で国内トップクラスであるソフトギアの技術力を、バンダイナムコエンターテインメント側が自社のオンラインゲーム事業に取り入れたいことになります。
ゲーム会社のM&Aを成功させるポイント
ゲーム会社のM&Aを成功させるポイントについて、当事者双方の視点に分けて解説します
譲渡側のポイント
譲渡企業がM&Aを成功させるためには、以下の点を譲受企業に効果的に伝えることが重要です。
- 優秀な人材の存在
- 収益性の裏付け
まず、自社に優秀な人材が在籍しており、事業運営の強みとなることをアピールしましょう。
また、自社が保有するコンテンツが継続して売上を上げる根拠を明確に伝えます。例えば、海外市場での売上拡大の可能性や、インターネット以外のメディアで収益を上げられることなどを示します。
差別化された強みやアクティブユーザーの規模も具体的に説明すると効果的です。
譲受側のポイント
譲受企業にとって、M&Aを成功させるための鍵は、買収後の「PMI(Post Merger Integration)」にあります。長期的に安定した収益を確保するためには、以下の点に注意しましょう。
- 企業文化と業務フローの統合
- 事前計画の重要性
譲渡企業の人材を有効活用するためには、企業文化や業務フロー、評価制度を統合し、円滑な事業運営を実現する必要があります。
また、M&Aの検討段階から、PMIの具体的な計画を立てて進めることが、買収後の成功につながります。これらのポイントを押さえることで、M&Aの効果を最大限に引き出すことができます。
ゲーム会社のM&A時におすすめの相談先
ゲーム会社のM&A時におすすめの相談先をご紹介します。
金融機関
金融機関に事業承継を相談することには、いくつかのメリットがあります。金融機関は幅広い取引先ネットワークを活用して、適切な事業承継先を紹介してくれる可能性があります。また、企業の財務状況や事業内容を深く理解しているため、具体的で効果的なアドバイスや支援を期待できます。
さらに、事業承継に必要な知識が不足している場合でも、金融機関が提携する専門家を紹介してくれるため、安心して相談できるのも大きな魅力です。
ただし、金融機関では小規模の事業承継案件に対応していないケースもあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
公的機関
中小企業庁が全国47都道府県の認定支援機関に設置した公的な専門機関として、事業承継・引継ぎ支援センターがあります。このセンターでは、事業承継に関する相談や支援を提供しており、国が運営しているため信頼性が高いのが特徴です。
公的機関ならではの強みとして、事業承継に関する専門知識を無料または低コストで提供しており、中小企業や個人事業主が気軽に利用できる環境が整っています。
一方で、M&Aや事業承継で高度な専門性が求められる場合には、センターのサービスだけでは十分に対応できないこともあります。そのような場合には、民間の専門機関を併用することで、より的確なサポートを受けることができます。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、M&Aや事業承継に関する相談先として信頼できる選択肢の一つです。事業承継がM&Aと深く関わるケースが多いため、仲介会社に相談することで、豊富な経験と専門知識を活かし、スムーズに手続きを進めることが可能です。
また、多くの仲介会社は税理士や弁護士などの専門家と連携しており、必要に応じて専門的なアドバイスを受けられる点も魅力です。
さらに、計画段階から契約締結、実行、アフターフォローに至るまで、一貫してサポートを提供できる体制が整っています。そのため、仲介会社を利用することで、M&Aや事業承継を効率的かつ円滑に進めることが期待できます。
ゲーム会社のM&A・売却・買収についてまとめ
ゲーム会社にとって開発実績も重要ですが、それよりも大切な資産は実績を生み出す人材でしょう。人材の充実なくして成功するゲーム会社は、おそらく皆無です。そのため、他業種のM&Aに比べて売り手市場となる傾向です。
ゲーム会社のM&Aの場合、会社の風土の相性も関連します。売り手、買い手ともお互い相手をよく見極めることが、M&A成功の秘訣と言えるかもしれません。本記事の要点は以下のとおりです。
・ゲーム会社のM&A事情
→市場動向、競争激化、人手不足への対応のため
・ゲーム会社M&Aの買収メリット
→事業規模や事業領域の拡大、異業種からの新規参入実現
・ゲーム会社M&Aの売却メリット
→経営基盤の安定化、創業者利益の獲得
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。