2024年1月19日公開業種別M&A

サービス付き高齢者向け住宅のM&Aの動向は?事例から相場・注意点まで解説!

近年急速的に進行している要介護者の増加の動向に伴い、サービス付き高齢者向け住宅のM&Aが盛んに行われ、企業の統合が増加しています。本記事ではサービス付き高齢者向け住宅のM&Aの動向を解説して事例から相場、注意点まで解説します。

目次
  1. サービス付き高齢者向け住宅の現状と事業承継の動向
  2. サービス付き高齢者向け住宅のM&Aを行うメリット
  3. サービス付き高齢者向け住宅のM&A成功事例
  4. サービス付き高齢者向け住宅のM&Aを行う基本的な方法と流れ
  5. サービス付き高齢者向け住宅のM&Aの費用と価格相場
  6. サービス付き高齢者向け住宅のM&Aを行う上での注意点と成功のポイント
  7. サービス付き高齢者向け住宅のM&Aは専門家のサポートを受けて行おう
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サービス付き高齢者向け住宅の現状と事業承継の動向

サービス付き高齢者向け住宅のM&Aの動向を把握するためにも、現状と事業承継の動向も把握しなければいけません。

そこでここからはサービス付き高齢者向け住宅の現状と事業承継の動向を解説します。

サービス付き高齢者向け住宅とは

特別な介護が不要な場合や軽度の要介護に認定されている、高齢者向けの賃貸住宅をサービス付き高齢者向け住宅といいます。

同施設内には日中に特定のサービス員が常駐し、入居者であれば簡易的なサービスを受けることが可能です。

また一般的な賃貸住宅とは違って入居費用は敷金に月額料金を加算した金額で支払うので、入居一時金などの金額がかからない点がメリットです。

サービス付き高齢者向け住宅の市場規模

2011年に実施された介護報酬の改正や高齢者の増加の動向に伴って、サービス付き高齢者向け住宅の市場規模は拡大を続けています。

一方で業者数が急速的に増加した動向に伴い、入居者の獲得競争が激化しているのが現状で、中には入居者を確保できずに経営不振に陥るケースも見受けられます。

さらに2018年の介護報酬改定により、医療機関との連携が求められる法律が策定され、連携が困難な企業は厳しい状況を強いられているのが現状です。

 

サービス付き高齢者向け住宅のM&Aの動向

前述のように現在は医療機関との連携が困難な介護事業者は厳しい局面を強いられ、その動向に伴って大手グループに事業を売却するサービス向け住宅が増加しています。

また入居者獲得のための競争も年々激化しており、競争力を高めるためにM&Aによる買収を進めるサービス付き高齢者向け住宅も増加しているのが現状です。

 

サービス付き高齢者向け住宅のM&Aを行うメリット

現在は競争力を強化するためにM&Aによる買収を手掛けるサービス付き高齢者向け住宅が多いですが、M&Aを行うメリットにはどのような点が挙げられるのでしょうか。

ではサービス付き高齢者向け住宅のM&Aを行うメリットを、売却側・買収側双方の立場から解説します。

売却側のメリット

サービス付き高齢者向け住宅のM&Aでは、売却側の経営者は売却による利益を取得できる点がメリットです。

業績が悪化して倒産・廃業すれば、経営者は事業を失うと同時に多額の負債を抱えます。

一方で業績が悪化する前にM&Aを行って事業を売却すれば、経営者は事業を継続できるうえに多額の売却益を取得できます。

買収側のメリット

介護に必要な有資格者を確保できる点が、サービス付き高齢者向け住宅のM&Aで買収側が得られるメリットです。介護業務を行うために取得しなければいけないいくつかの資格があり、新規事業を立ち上げる場合にはスタッフに全ての資格を取得させなければいけません。そこで既存の事業を買収すれば、業務に必要な資格を取得しているスタッフもそのまま引き継げるので、資格取得にかかる手間や経費を削減できます。

サービス付き高齢者向け住宅のM&A成功事例

多くのサービス付き高齢者向け住宅が、効率的な事業継続のためにM&Aを積極的に手掛けています。

では実際に行われたサービス付き高齢者向け住宅のM&A成功事例を紹介します。

 

フランスベッドとホームケアサービス山口のM&A

2021年12月には主に寝具の製造・販売を手掛けるフランスベッドが、山口県を中心に福祉用具の販売・レンタル事業を手掛けるホームケアサービス山口の株式を取得して子会社化しました。

このM&Aは、フランスベッドが山口県での事業基盤を固めるために手掛けた事例です。


参考:ホームケアサービス山口コーポレートサイト

ケア21と凛のM&A

2022年4月には関西を中心に介護・福祉事業を手掛けるケア21が、東京都で訪問介護・居宅介護支援事業を手掛ける凛の全株式を取得して子会社化しました。

このM&Aは、ケア21が東京都での事業基盤を作るために手掛けた事例です。

 

参考: ケア21による株式会社凛の株式取得に関するお知らせ

ソラストとなごやかケアリンクのM&A

2019年3月には主に介護サービス事業を手掛けるソラストが、東京都を中心に通所介護事業所を展開しているなごやかケアリンクの全株式を買収して子会社化しました。

このM&Aは、ソラストが事業シェア拡大のために手掛けた事例です。

 

参考: 株式会社ソラストによるなごやかケアリンクの子会社化に関するお知らせ

テノHDとフォルテのM&A

2022年1月には主にベビーシッターサービスやハウスサービスを手掛けるテノHDが、大阪府内で介護事業を手掛けるフォルテの全株式を買収して子会社化しました。

このM&AはテノHDが、介護事業への参入の足掛かりを作るために行った事例です。

 

参考: テノHDによる株式会社フォルテの株式取得に関するお知らせ

ユニマットリタイヤメント・コミュニティとホームライク湘南のM&A

2018年11月にはデイサービスやホームステイ事業を手掛けるユニマットリタイヤメントが、全国に有料老人ホーム事業を展開しているホームライク湘南の全株式を買収して子会社化しました。

このM&Aは、ユニマットリタイヤメントが事業シェア拡大のために手掛けた事例です。

 

参考:ユニマットリタイヤメントによるホームライク湘南の株式取得に関するお知らせ

ニチイ学館と西日本ヘルスケアのM&A

2021年6月にはLe Techが介護事業を分割して設立した西日本ヘルスケアの株式を、介護事業大手のニチイ学館に譲渡しました。

このM&Aはニチイ学館が大阪府での事業基盤を拡充するために手掛けた事例です。

 

参考: 株式会社ニチイ学館による西日本ヘルスケア統合に関するお知らせ

 

サービス付き高齢者向け住宅のM&Aを行う基本的な方法と流れ

サービス付き高齢者向け住宅のM&Aに成功すれば、事業シェア拡大などさまざまなメリットを得ることができます。

ではサービス付き高齢者向け住宅のM&Aを行う基本的な方法と流れを紹介します。

 

①M&Aの検討・専門家への相談

サービス付き高齢者向け住宅のM&Aでは、最初にM&Aの必要性を検討します。

M&Aの必要性を検討する際には自社の現状を把握し、改善しなければいけない点なども抽出して取引相手を選定しましょう。

その後に仲介会社などの専門家に相談して、自社の希望条件に適した取引相手とのマッチングを進めます。

 

②M&A売却価格・条件・課題などを検討

M&Aの必要性を検討し専門家への相談が完了すれば、次にM&Aの売却価格や条件、課題などを検討します。

売却価格の設定には専門的な知識が必要なので、専門家に相談して適切な企業価値評価を行いましょう。

また譲渡する権利や資産など、契約に関する条件やM&Aにより改善すべき課題などを検討するのも重要なポイントです。

③交渉相手を選ぶ

M&Aの条件や売却価格が決定した時点で、交渉相手の選定に進みます。

自社で交渉相手を探してマッチングするのは大変なので、仲介会社などの専門家に依頼して希望条件に適した交渉相手を選定しましょう。

交渉相手を選定する際には自社の業務を十分把握し、高いシナジー効果が期待できる企業を選択するのが重要です。

④秘密保持契約の締結

M&Aの交渉相手が決まれば、次に情報漏洩防止のための秘密保持契約を締結します。

M&Aでは売り手・買い手双方の事業ノウハウや運営状況、技術などの重要事項に関する情報が交換されます。

そのような重要な情報が競合他社に漏れれば、今後の運営に悪影響を及ぼしかねません。

 

このような事態を予防して健全な取引を行うためにも、売り手・買い手の双方で秘密保持契約の締結を徹底しましょう。

⑤相手企業との交渉開始

秘密保持契約締結後に、実際に相手企業との交渉を開始します。

交渉開始前に売り手・買い手双方の経営者同士が、M&Aに関する意思を統一するためのトップ面談を行います。

トップ面談が問題なく完了すれば、お互いがM&Aを行うことに了承した意向表明書を発行するのが一般的です。

 

⑥基礎情報開示

相手企業との交渉が開始した時点で、M&Aに対する理解を深めるための基礎情報の開示を行います。

基礎情報開示は買い手企業と仲介会社のみで行われ、売り手企業の関係者は参加しません。

この時に売り手側は仲介会社と秘密保持契約を結んで、情報漏洩を防止します。

⑦デューデリジェンス実施

基礎情報開示が完了すれば、次に買い手側が売り手の財務面の監査を行うデューデリジェンスを行います。

デューデリジェンスを行わなければ、取引完了後に簿外債務や突発債務などの予想外の債務が発生する可能性が高いです。

このような事態を予防し、取引完了後の余計な出費を抑えるためにもデューデリジェンスを必ず実施しましょう。

DD(デューデリジェンス)の意味とは?種類からM&Aにおける役割・注意点・期間まで解説!

⑧最終契約締結

デューデリジェンスが完了し、売り手側の財務面の監査が完了すれば、次に取引の最終段階である最終契約の締結へと進みます。

最終契約は一度設定すれば契約内容の変更はできないので、締結前に内容確認を徹底して取引締結へと進みましょう。

⑨クロージング

取引の最終段階であるデューデリジェンスが完了すれば、次に契約内容に沿って実際の資産や労働力、権利などを移行するクロージングを行います。

クロージングではさまざまな事項の変化に伴う混乱が予測されるので、事前に綿密な計画を立てて取引を進めましょう。

サービス付き高齢者向け住宅のM&Aの費用と価格相場

近年はサービス付き高齢者向け住宅のM&Aが多数行われていますが、実際にどれくらいの価格で売却・買収が行われているのでしょうか。

ではサービス付き高齢者向け住宅のM&Aの費用、価格相場を算出するための3つの方法を紹介します。

コストアプローチ

企業の純資産を基準として企業価値評価を行い、売却時の価格相場を算出する方法をコストアプローチといいます。

この方法における純資産とは資産から負債を差し引いた金額のことで、その金額を基準に企業価値評価を行うのが一般的です。

コストアプローチは主に中小企業の売却・買収時の企業価値評価算出で利用されます。

インカムアプローチ

今後の運営におけるキャッシュフローなどを基準に企業価値を算出し、価格相場を決定する方法がインカムアプローチです。

この方法では企業の今後の将来的な収益性なども考慮し、その数値を現在における価値として評価して企業価値評価を行います。

企業の将来性や成長性も視野に入れた、予測的な企業価値評価法です。

 

マーケットアプローチ

対象企業と同業の一部上場企業などの数値を参考に、企業価値評価を行う方法をマーケットアプローチといいます。

この方法は既存で確定している正確な数値を参考にするので精度が高く、客観性に優れているのが特徴的です。

 

サービス付き高齢者向け住宅のM&Aを行う上での注意点と成功のポイント

サービス付き高齢者向け住宅のM&Aを成功させるためには、どのような点に注意すればいいのでしょうか。

ここからはサービス付き高齢者向け住宅のM&Aを行う上での注意点や成功のポイントを紹介します。

 

前もって準備を始める

M&Aを成功させるためにも、早い段階から前もって準備を進めましょう。

サービス付き高齢者向け住宅のM&Aでは法務や税務、財務に関する複雑な手続きが多く、関係書類を作成するだけで時間がかかります。

M&Aの事例の中には手続きや書類作成に時間がかかりすぎてしまい、交渉が決裂するケースも少なくありません。

 

このような事態を防いでスムーズに取引を進めるためにも、早めの準備を心がけましょう。

補助金の手続きを忘れない

M&Aに関する補助金の手続きを忘れないようにするのも、サービス付き高齢者向け住宅のM&Aを成功させるためのポイントの1つです。

現在進行し続けている高齢化社会への対策として、引継ぎ補助金などの補助金が支給される事例があります。

そのような補助金を活用してM&Aを進めれば、経費を削減できるのでおすすめです。

【2022年最新】事業承継・引継ぎ補助金とは?申請方法や条件、流れを解説!

情報の漏洩に注意する

サービス付き高齢者向け住宅のM&Aを成功させるためにも、情報漏洩には十分注意しましょう。

M&Aは売り手・買い手双方の重要な情報が交換される企業間取引で、重要な情報が漏れれば今後の運営に悪影響を及ぼしかねません。

また情報漏洩により、顧客の情報が漏れれば大変な事態に陥ります。

 

そのような事態を防いで健全な取引を行うためにも、秘密情報保持契約を締結して情報漏洩を防ぎましょう。

利用者への説明を怠らない

利用者への説明を怠らないようにするのも、サービス付き高齢者向け住宅のM&Aを成功させるポイントの1つです。

M&Aでは売り手側の資産や従業員などが移動するので、サービス利用者も施設の移動などが必要な事例もあります。

全く説明がないまま変化が進めば利用者が混乱しかねないので、事前の説明を徹底しましょう。

M&Aの専門家に相談する

サービス付き高齢者向け住宅のM&Aを成功させるためにも、M&Aの専門家に相談しましょう。

M&Aには法務や税務、財務に関する専門的な知識が必要で、関係書類作成や交渉を自社で行うのは大変です。

そこで仲介会社などのM&Aの専門家に相談すれば、豊富な知識と実績を活かしてスムーズ且つ正確に取引を進めてくれるのもメリットです。

 

サービス付き高齢者向け住宅のM&Aは専門家のサポートを受けて行おう

今回はサービス付き高齢者向け住宅のM&Aの動向を紹介し、事例から相場・注意点まで解説しました。

サービス付き高齢者向け住宅のM&Aに成功すれば、事業シェア拡大や利用者確保などさまざまなメリットを得ることができます。

しかしM&Aの手続きには法務や税務、財務に関する専門的な知識が必要で、そのような手続きを自社で行うのは大変です。

 

そこでM&Aの専門知識を有した仲介会社などの専門家のサポートを受ければ、最適なM&Aが実施されるのでぜひご利用ください。

またM&Aでも効率的なサービス付き高齢者向け住宅の売却・買収が可能ですが、さらにスムーズな引継ぎや買収・買収を行うのであれば事業承継がおすすめです。

 

さらに親族や従業員内に後継者がいなくても、第三者企業から最適な後継者の擁立ができるのも事業承継のメリットです。

特に近年は事業承継に特化している仲介会社も多いので、一度利用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

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