M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年6月14日更新業種別M&A
スポーツ用品業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!
スポーツ用品業界では、スポーツ用品業界内でのM&Aだけでなくシナジーを見込める他業種とのM&Aも活発化しています。この記事では、スポーツ用品業界で実際に行われているM&Aの事例や注意点などについて詳しく解説します。
目次
スポーツ用品業界の動向
スポーツ用品の売上は、近年の健康ブームの盛り上がりもあり、順調に売上を伸ばしています。業界動向サーチの分析によると、2021年の業界規模は約1.2兆円で、2015年から売上に大きな変化は見られません。
2020年には新型コロナ禍における行動制限の影響で売上が落ち込みましたが、2021年にはコロナ禍における健康意識の高まりもあり、2019年よりも増加しています。
参考:業界銅壺サーチ「スポーツ用品業界の動向、ランキング、現状など」
スポーツ用品会社をM&Aで売却・買収するメリット
スポーツ用品会社をM&Aで売却・買収するメリットは次のとおりです。
売却側のメリット
売却側としては、経営の安定化と効率化を図ることができるというメリットが挙げられます。
スポーツ用品はトレンドの変化が年々激しくなっており、中小企業には設備投資などの面から変化についていくのが難しくなりつつあります。
大手の傘下に入ることで、経営基盤を安定させつつ、親会社の経営資源の活用や新規の設備投資による経営の効率化を図ることが可能になるでしょう。
買収側のメリット
スポーツ用品会社をM&Aで買収すると、規模のメリットを得られる、自社にはないノウハウや顧客・優秀なスタッフを獲得できる、といったメリットを得られるでしょう。
M&Aにより会社の規模を拡大することで、原価や物流費の規模のメリットでのコスト低減が見込めます。
自社のもともとの事業にはなく、シナジー効果を見込める事業を展開している会社を買収すれば、買収する会社のノウハウや人材、販路を生かした、今までにはない事業の展開を期待できるでしょう。
結果として、全体的なコストを下げながら、新しい展開を得られることで、会社の成長スピードを向上させることができます。
スポーツ用品業界のM&A・売却・買収事例7選
スポーツ用品業界でM&Aが実施された事例を紹介します。
エービーシー・マートがオッシュマンズ・ジャパンをM&Aした事例
2022年2月に株式会社エービーシー・マート(以下、「ABCマート」)が、株式会社オッシュマンズ・ジャパン(以下、「オッシュマンズ」)の全ての株式を取得して子会社化するM&Aを発表しました。
ABCマートは国内に約1,000店舗、海外に約300店舗を展開する靴を中心としたファッションアイテムを扱う小売チェーンです。オッシュマンズは、ランニングやフィットネスなどの個人向けのスポーツ用品を提供するスポーツセレクトショップです。
ABCマートとしては、このM&Aにより、オッシュマンズが長年築き上げてきたブランド価値と顧客との関係性を活かしながら、さらなる発展拡大が可能だと判断したとのことです。
参考:株式会社エービーシー・マート 「株式会社オッシュマンズ・ジャパンの株式取得及び それに伴う子会社の異動に関するお知らせ」
いつもがビーランをM&Aした事例
2021年8月に、株式会社いつもから、子会社であるいつもコマース株式会社が株式会社ビーランの全ての株式を取得して子会社化するM&Aが発表されました。
株式会社いつもは、中小企業から大手企業まで幅広いメーカーに対するEC事業の総合支援を行う会社です。ビーランは、主にスノーボードを中心としたスポーツ用品の企画、製造、販売を行っています。
このM&Aにより、いつもが取り扱うブランドの一部が夏季に売上が偏っているのを、冬季に売上が上がるビーランを傘下に収めたことで、年間を通して売上を平均化できるとのことです。
参考:株式会社いつも「当社子会社による「株式会社ビーラン」の株式取得に関するお知らせ」
ゼットがベンゼネラルをM&Aした事例
2020年11月に、ゼット株式会社が、ベンゼネラル株式会社からスポーツウェア用品卸売事業を譲り受ける、事業譲渡のM&Aを実施することを発表しました。
ゼットはスポーツ用品の卸売会社です。ベンゼネラルはもともとは日本のスポーツ用品メーカーでしたが、2023年現在はアマダナスポーツエンタテインメントの野球用品ブランドとなっています。
ゼットとしては、このM&Aにより、ベンゼネラルのスポーツ用品事業の在庫及び取引先を継承することで、売上拡大とシェアアップ図り、収益を強化できるとしています。
参考:ゼット株式会社「事業譲受に関するお知らせ」
丸井織物がwundouをM&Aした事例
2020年8月に、丸井織物株式会社が、株式会社アドベンチャーの連結子会社である株式会社wundouの全ての株式を取得して子会社化するM&Aが発表されました。
wundouはスポーツウェアやチームウェアの製造販売や、小ロットでのオーダー販売をしている会社です。
丸井織物では、2015年にオリジナルTシャツサービスのUp-Tを開始しており、wundouの事業とのシナジー効果が期待できると判断したとのことです。
参考:株式会社アドベンチャー 「連結子会社の異動(株式譲渡)を伴う株式譲渡契約締結に関するお知らせ」
モリトがマニューバーラインをM&Aした事例
2018年3月に、モリト株式会社が株式会社マニューバーラインの全ての株式を取得して子会社化するM&Aを発表しました。
モリトは履物とアパレルを中心とした事業を展開している会社です。マニューバーラインは、マリンレジャー、スノーボード、アパレル用品の輸入販売と卸を行う会社でしたが、後継者不足という問題に直面していました。
モリトとしては、マニューバーラインの事業は安定性が高く、既存の事業とのシナジー効果も見込めると判断してのM&Aだとのことです。
参考:モリト株式会社「株式会社マニューバーラインの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
RIZAPグループがビーアンドディーをM&Aした事例
2017(平成29)年12月に、RIZAPグループ株式会社が、株式会社ビーアンドディーの株式を取得して子会社化するM&Aを発表しました。
RIZAPグループはフィットネスジム経営を中心に、健康食品やダイエット食品などを展開しています。ビーアンドディーは首都圏に27店舗を展開しているスポーツ用品の販売会社です。
このM&Aにより、RIZAPとしてはスポーツ小売事業の事業基盤を強化できるとしています。
参考:RIZAPグループ株式会社「株式会社ビーアンドディーとの戦略的提携方針のお知らせ」
ゼットがシウラスポーツ用品の卸事業をM&Aした事例
2017(平成29)年12月に、ゼット株式会社が、シウラスポーツ用品株式会社から卸事業を事業譲渡することを発表しました。平成30年3月31日にシウラスポーツが卸事業を終了した時点から、在庫と取引先を継承します。
シウラスポーツが卸事業を終了するにあたって、事業を継承することがゼットの事業拡大強化に有益であると判断したとのことです。
参考:ゼット株式会社「事業譲受に関するお知らせ」
スポーツ用品会社をM&Aで売却する流れ
スポーツ用品会社でM&Aをする流れをみていきましょう。
専門家に相談する
スポーツ用品会社の売却を考え始めたら、まずは専門家に相談してみましょう。日本には中小企業のM&Aを専門的に取り扱う専門家がいます。
M&Aが最適な選択かどうかから、売却先選び、専門的な知識が必要となるM&Aの手続きまで、徹底的にサポートしてもらえます。M&Aするべきなのかどうか、というところから相談に乗ってもらえるので、まずは専門家に連絡を入れてみましょう。
M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A案件を主に取り扱っており、全国の案件に対応しています。
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売却先の選定と交渉
M&Aの専門家に依頼することを決めたら、次は売却先の選定に入ります。選定方法は、専門家が顧客でスポーツ用品店の買収を希望している会社に声を掛けたり、M&A情報サイトで探したりします。
相手先として適切な会社をリストアップしたら、その中から経営者が自分で交渉先を選んで交渉に入ります。
交渉するときには、相手方に会計資料やノウハウなどの機密事項を開示する必要があるので、必ず秘密保持契約を結びましょう。
基本合意の締結
交渉が合意に至ったら、基本合意書を締結します。基本合意書には、譲渡価格、M&Aのスキーム、スケジュール、従業員や役員の待遇などが記載されます。
通常は、基本合意書では、独占交渉権と秘密保持以外の項目では法的拘束力を掛けません。その後の展開によってはM&Aの破談もありえます。
最終条件の交渉と最終契約の締結
基本合意書が締結されたら、買収側が売却側のリスクを調べるデューデリジェンスが実施されます。法務や財務の専門家チームが、売却側の会社を徹底的に調査します。
デューデリジェンスの結果に基づいて最終交渉が行われます。デューデリジェンスで問題が見つかったら、減額交渉などもあり得るでしょう。
最終交渉がまとまったら最終契約書を締結します。最終契約書では、全ての項目に対して法的拘束力が掛けられます。不利になる点や問題点がないか、サイン前によく確認しましょう。
クロージング
最終契約書の締結から、1ヶ月から1年程度の期間を置いてクロージング、経営権の引き渡しとなります。株式や譲渡する資産を買収側に引き渡し、代金を受け取ります。
最終契約書の締結からクロージングまでの期間を置くのは、経営体制の移行に向けた準備を整えるためです。この間に、従業員と取引先へ説明をしてM&Aについての理解を求めます。
また、体制をスムーズに移行できるように、買収側からクロージングまでの間に経営陣に加わってもらうこともあります。
スポーツ用品会社をM&Aで売却する注意点
スポーツ用品会社でM&Aをするときの注意点についてみておきましょう。
M&Aの目的を明確化して見失わない
M&Aで自分が育ててきた会社や事業を売却するというのは、よほどの理由があってのことでしょう。後継者問題の解決であったり、経営の選択と集中であったりするはずです。
M&Aで売却することを決めたら、M&Aが完了する最後まで目的を見失わないようにしましょう。
M&Aの交渉や手続きを進めていると、ついつい最終目標から逸脱した些末なことに固執するようになってしまいがちです。それでは、最終目標から外れた結果になってしまう可能性が高いので、折に触れて、何のために売却するのかと、何度でも確認するようにしましょう。
M&Aありきで検討しない
後継者問題の解決以外の理由でのM&Aは、M&Aが最適な答えなのかどうか、他の選択肢はないのか、よく検討することが大切です。
自社の現状や市場価値をよく見極めないと、魅力的に見えたオファーも、後から考えたらかなり買い叩かれていたことに気がついて後悔する、ということにもなりかねません。
スポーツ用品会社のM&A・事業譲渡まとめ
スポーツ用品会社でも、幅広くM&Aが実施されています。地方の卸や小売店では、後継者問題からM&Aでの売却を急ぐ動きもあるようです。
M&Aで売却すれば売却益が得られて、従業員の雇用も守られるので、廃業よりもおすすめです。ぜひ、スポーツ用品会社のM&Aを検討中の方は、まずはM&Aの専門家に相談するところから始めてみましょう。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。