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ホテル・旅館の事業承継とは?課題や注意点を解説【事例あり】

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

ホテル・旅館の事業承継は、ホテル・旅館の運営だけでなく、お客様に対する思いやホテル・旅館を運営する上での気持ちなどを大切にする業種でもあります。また、老舗と言われるホテル・旅館ではしきたりやお得様への配慮など、様々な点について承継していくものがあります。

目次
  1. ホテル・旅館の事業承継とは
  2. ホテル・旅館の事業承継課題
  3. ホテル・旅館の事業承継の注意点
  4. ホテル・旅館の事業承継はM&A仲介会社に相談
  5. ホテル・旅館の事業承継事例
  6. まとめ

ホテル・旅館の事業承継とは

現在の日本の中小企業は、後継者がいないことや経営者自身の高齢化などを理由に事業承継が難しい局面を迎えています。

以前であれば、事業承継は経営者の子供に実施することが多く、親が会社を経営していればおのずと、子供が事業を承継するのが当たり前の時代もありました。しかし、現在はライフスタイルの多様化や職業選択の自由などを理由に、親が会社を経営していてもそれを継がない、という選択をする子供も増えているのです。事業承継する後継者がいなければ、廃業を選択するしかないと現経営者は判断しますが、子供が後継者とならない場合には、従業員や役員の中から後継者となる人材を選定する場合もあります。

そのほかには、M&Aを実施して会社を売却して存続させる方法もあります。最近では、従業員や役員の中から後継者候補を選定するほか、M&Aを実施して会社を存続させようとする動きが活発になっています。

後継者不在を理由に1割が「承継せず」

ホテル・旅館を経営する場合では、「事業を承継させたい」とするところが多く54.9%の割合を占めています。反対に「事業承継させるつもりはない」としているのは12.6%となっています。

この中で、事業承継の意思がある会社のうちおよそ半分の後継者が決まっているとしており、後継者となるのはほとんどが「子供」としています。

事業承継をしないとしている会社のうち、その理由としているのは「後継者またはその候補がいない」としているもので、およそ半数がそう回答しています。ホテル・旅館業を営む会社のうち、事業承継の意思がないとしているのはおよそ1割で、「現時点では考えていない」としているのが32.6%となっています。

事業承継の意思のあるホテル・旅館では51.0%は後継者が決まっているとしており、「後継者は未定だが、候補はいる」としているのが32.3%、「親族以外の役員・従業員」としているのが6.3%、「社外の第三者」と回答したホテル・旅館はなかったとしています。ホテル・旅館業を営む会社では、ほとんどが「子供」に事業承継するパターンが多く、子供が後継者とならない場合は、事業承継をしないという考え方があるようです。

ホテル・旅館の事業承継課題

ホテル・旅館業は、政府が打ち出した観光立国としての役割も大きく、地方のホテル・旅館も外国人観光客などを相手に景気が良い状態であるといえます。そのような中で、事業承継となると後継者の有無やM&Aの実施など検討する内容がいくつかあるでしょう。現在の日本は少子高齢化となっており、その波はホテル・旅館業の事業承継にも影響を与えています。

後継者不在

ホテル・旅館業においても、後継者不足の問題は大きく今後のホテル・旅館の運営にも大きな影響を与えています。

適切な後継者が見つからずに、事業承継を断念して「自分の代で廃業しよう」と考える経営者も多く、何かしらの手立てをしないと、そのままホテル・旅館を廃業することとなる可能性が高いのです。利用客も多く、業績もいいのに廃業してしまうのはとてももったいない話となってしまいますが、適切な後継者がいなければ事業承継をすることができません。

ホテル・旅館を営んでいる会社では、「子供」に事業承継しようとする傾向が強く、M&Aを実施しようと検討する会社は少ないようです。ホテル・旅館によっては老舗として有名なところも多く、事業承継したいが後継者がなかなか決められない、という理由を抱えている場合もあります。事業承継が決まっていないホテル・旅館では「後継者がまたは後継者候補者がいない」としている会社が55.0%となっており、後継者不在の問題が大きいと考えられます。

経営者の高齢化

ホテル・旅館を営む会社だけでなく、ほかの業種にも共通していることですが、経営者自身が高齢となって廃業している場合もあります。中小企業庁の調査では、2015年には経営者の年齢が66歳を迎えようとしており、その年齢に達しても経営者を続けるケースが多くあります。

ホテル・旅館業においても同様のことが言える状態で、後継者がいないために現経営者が高齢になっても、経営者を続けているという図式が出来上がっている状態です。中には、経営者が高齢となり、体が利かなくなったことを理由に廃業しようと考えていたところに、同じ宿泊施設を運営する会社代表者から引き継ぐ意思を聞いて、M&Aを実行した事例もあります。

現経営者が高齢になってから事業承継を実施しようとしても、準備期間が足りないために十分な準備をしてから事業承継できない場合もあります。経営者の年齢が概ね60歳になった頃には、事業承継の準備を始めた方が良いでしょう。

ホテル・旅館の事業承継の注意点

事業承継は、会社にとって大きな変化となる場合もあります。経営者の交代によって、ホテル・旅館の雰囲気が一新することも考えられるので、事業承継計画を的確に策定して進めていくことが前提となります。

事業承継には、概ね10年の期間を要すると言われており、ホテル・旅館の場合も10年先を見据えて事業承継を進めていく必要があります。老舗と言われるホテル・旅館では、これまでのしきたりやお客様とのおつきあいなどもあるので、様々な点において注意しながら事業承継を進めていくべきでしょう。

情報が漏れないように注意

事業承継については、親族内承継、役員・従業員承継、社外への引継ぎの3つの方法がありますが、ホテル・旅館を営む会社では、親族内承継をしたいと考えている経営者が多くいます。既に、後継者候補である子供が自社で働いている場合は、従業員や取引先、顧客においていずれ子供が後継者となるのだろうという予測をしている場合もあります。

しかし、事業承継に関する内容は情報が漏れないように注意した方が良いでしょう。事業承継によって、会社の業務が一新される可能性もあり、そのことが従業員の間で情報が広まると、様々な憶測が広がる可能性があります。「従業員のリストラがあるのではないか?」というものや「事業を縮小するのではないか?」など、従業員に不安を与える要素となる可能性があります。また、取引先や顧客にまで情報が広がると「業績が悪いのではないか?」などの不安を与える可能性があり、その後の取引にも影響を与える場合があります。

親族内承継の場合は、従業員や取引先、顧客も心情的に受け入れられやすくスムーズに事業承継ができることが多いですが、役員・従業員承継の場合は、従業員の間に不満が出る場合もあります。社外への引継ぎによって、M&Aを実施する場合には特に注意が必要で、いろいろな憶測が広がるので、内容が確定するまでは情報が漏れないように注意しなければなりません。M&Aを実施すること自体、「身売り」や「マネーゲーム」のようなマイナスのイメージを持たれやすいので注意しましょう。

後継者の経営者教育

現経営者の子供が後継者となる場合は、早期に教育を始めることができるので、10年先を見据えて着実に教育することができます。ホテル・旅館での事業承継は、これまでのしきたりやお客様とのおつきあいなど、気を配る点が多いでしょう。それらを事業承継の内容としてしっかりと承継していくことも重要なポイントとなります。

役員・従業員承継の場合は、すでに役員や従業員であることからホテル・旅館の方針などは理解しているので、後継者教育の期間を短縮することができるでしょう。M&Aの場合は、ホテル・旅館の売却になりますが、希望の条件を明確にしておき、売却後も同様の運営ができるようにすることもできます。

親族内承継で、子供を経営者としての教育をするには、自社に迎え入れて教育をしていく方法と、社外へ就労させて業界のことや他社のやり方などを学んでから、自社に迎え入れる方法もあります。どのような方法が良いか、は後継者の年齢や適性などを考慮して決めるようにすると良いでしょう。

ホテル・旅館の事業承継はM&A仲介会社に相談

ホテル・旅館の事業承継をスムーズに実行するには、いろいろな点において配慮しなければならないことがあるでしょう。事業承継についての悩み事は、経営者が1人で悩んでいることが多く、どのように進めるべきか迷った時は、M&A仲介会社を利用する方法もあります。

事前相談を活用

M&A仲介会社は事前相談を実施しており、M&Aに限らず事業承継についても相談することができます。M&A仲介会社には、弁護士や会計士、税理士などの士業の資格を保有しているスタッフが在籍しているところも多く、会計士などのサポートやアドバイスを受けることができるところが多くあります。M&A仲介会社によっては、M&Aだけの事前相談をしている場合もありますが、事業承継における相談についても応じているところがたくさんあります。

東京都に本店を構えており、東証一部上場を果たしているM&A仲介会社は、経験が豊かでいろいろなパターンのM&Aのサポートやアドバイスを実施しているので、ホテル・旅館の事業承継についても対応してもらえることが多いでしょう。地元のM&A仲介会社の場合も、地元のM&A案件を多く抱えており、適切なM&Aができるようにサポートしている会社も多くあります。地元の地域性なども考慮して、アドバイスやサポートをしてくれるので安心して依頼できる場合もあります。

経験豊富なところを選ぶ

M&A仲介会社は、比較的どの業種にも対応していますが、得意としている分野もあります。ホテル・旅館を得意としているM&A仲介会社もあるので、探してみると良いでしょう。

大手M&A仲介会社は、多くのM&A成約の実績があり経験が豊富なので、M&Aだけでなく事業承継の相談に応じてくれるところがあります。そのほかにも、中堅や地元密着型のM&A仲介会社の場合でも、ホテル・旅館を営む経営者との取引が多い会社もあります。

M&A仲介会社の多くは、金融機関や税理士、会計士事務所などをネットワークが確立しており、地方の会社でもしっかりと対応してくれるところが多いので、地方の会社だからと諦めずに相談できる仲介会社を探してみると良いでしょう。M&A仲介会社だからM&Aに関する相談しかできないということはないので、事業承継についても相談できます。

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ホテル・旅館の事業承継事例

外国人観光客も増加しており、ホテル・旅館の業績は良いように感じられますが、外国人旅行客は割安なシティーホテルなどを利用することが多く、リゾートホテルや旅館を利用する割合は少なくなっています。そのような中で、ホテル・旅館の運営が立ち行かなくなり、M&Aや事業再生を実施しているホテル・旅館もあります。その事例をご紹介します。

大江戸温泉物語による旅館再生

大江戸温泉物語ホテルズアンドリゾーツ株式会社が、2010年ごろに四国の「レオマワールド」や「ホテルニュー岡部」などの買収をして、多くの旅館再生を手掛けています。

この背景は、アメリカの大手投資ファンド「ベインキャピタル」が全株式を買収した大江戸温泉ホールディングスによるもので、経営破綻した地方の温泉宿の買収をしながら、全国に施設を広げています。ベインキャピタルが持つ外国人向けの販売促進策のノウハウを活用して、外国人観光客の「温泉」への興味を拡大する見込みがあります。

高級旅館の事業承継

株式会社温故知新が、九州の高級旅館である「海里村上」を2018年8月に事業を承継しています。

海里村上は、ミシュランガイドにも掲載されるホテルで、名旅館とされています。運営状況は良く、経営不振ではありませんでしたが、現経営者の体調面を理由に引退を考えた時、後継者がいないことが問題となっていました。前経営者は「海里村上の良さを理解して、さらに磨き上げてくれるような人に売却したい」と言う考えを持っており、売却先を探すことになりました。その後、株式会社温故知新が事業承継することになり、2018年8月1日から株式会社温故知新が運営会社となりました。

海里村上は、建物やスタッフ、取引先はそのまま引き継ぐこととしており、前経営者が大切にしてきた「すべてほんもの」、「おもてなしの姿勢」など、旅館を運営するにあたって、これまで大切にしてきたものも引き継ぐことを約束しています。

まとめ

ホテル・旅館の事業承継は、ホテル・旅館の運営だけでなく、お客様に対する思いやホテル・旅館を運営する上での気持ちなどを大切にする業種でもあります。また、老舗と言われるホテル・旅館ではしきたりやお得様への配慮など、様々な点について承継していくものがあります。

近年では、外国人観光客が増え、観光立国としてホテル・旅館は発展していくことが予測できますが、外国人観光客の多くは、シティーホテルのような簡易宿舎などを選ぶことが多く、高級ホテルや旅館は、経営が難しい局面を迎えているかもしれません。事業承継については、経営者の子供を後継者としたいと考えるところが多いようですが、そのほかの選択肢としてM&Aを検討しても良いでしょう。

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