M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2023年8月8日更新業種別M&A
不動産管理会社のM&Aとは?相場・費用・案件・不動産管理会社の買収・売却のポイントを解説
不動産管理業界では、多様化するニーズや競争の激化への対応力強化を狙い、M&Aを検討する不動産管理会社が増えています。この記事では、不動産管理会社におけるM&Aの現状・動向、M&Aの相場や費用、M&Aの成功事例などを紹介します。
目次
不動産管理会社のM&Aの現状
不動産管理会社のM&Aの現状と動向を知れば、自社のM&A戦略策定に役立ちます。最近では、様々な業界でM&Aが活発化しており、ニュースなどでM&Aに関して触れる機会も多く、自社におけるM&Aの有用性に関心のある経営者の方も少なくありません。
M&Aを活用すれば、事業の強化や拡大・新規事業への参入・事業承継による後継者不足問題の解決など、さまざまなメリットを獲得できます。こうしたメリットのためにM&Aを検討する企業は増えており、不動産管理会社だけでなく、幅広い業界でM&Aが一般的になりつつあります。
当然ながら、近年、不動産業界のM&A件数も増加しており、多くのケースで不動産管理会社がM&Aの当事者となっています。特に不動産管理会社では、幅広い顧客ニーズに対応すべく、M&Aにより大手グループの傘下に加わる経営者もが少なくありません。
なお、不動産管理業界では競争激化も目立っており、M&Aにより競争力の強化や事業の強化・拡大を図るケースも増加中です。
不動産管理会社とは?
不動産管理会社とは、不動産の運用を総合的にサポートする業務を行う会社のことです。例えば、入居者のクレーム対応・家賃回収・維持管理(メンテナンス)・入居者募集など、不動産の運用で必要不可欠の業務を総合的に行います。
不動産投資を行うオーナーは、単純に不動産を購入したのみでは家賃収入の獲得は望めません。入居者を集め、クレームに対応し、物件自体が万全の状態で維持されるようメンテナンス業務を行う必要があります。しかし、オーナーが上記の業務をすべて実施することは困難です。
そこで、不動産管理会社が入居者対応・物件の維持管理など、不動産の運用を総合的にサポートしているのです。つまり、不動産投資のオーナーと入居者の間に立って、物件の維持管理や入居者対応などを実施しています。
このように多くの業務を行うため、中小規模の不動産管理会社では、低コストかつ高品質なサービスの実現は困難とされています。したがって、M&Aにより大手企業に事業譲渡を行うことで、安定した経営を目指す不動産管理会社が少なくありません。
不動産管理業界の現状と今後の動向
ここからは、不動産管理会社が属する以下2つの業界に関して、現状と今後の動向を取り上げます。
- 不動産業界
- 不動産管理業界
これら2つの業界の現状と今後の動向を順番に紹介します。
不動産業界は比較的順調に推移している
不動産業界とは、土地や建物などの不動産に携わる業界のことです。不動産管理会社以外には、ビル・マンションを開発するデベロッパー・ハウスメーカー・不動産仲介会社・住宅販売会社などが含まれます。不動産管理会社だけでなく、不動産業界にはさまざまな業種が存在します。
不動産業界は、アメリカのサブプライムローン問題・リーマンショックによる影響を大きく受けた業界です。上記の出来事からすでに10年近くが経過しているものの、日本の不動産業界は多大な影響を受け、リーマンショック以降、しばらくは市場縮小の傾向が見られました。
その一方で、近年は東京オリンピックの開催により建築物の需要が高まったこともあり、不動産業界の成長がしばしば話題に挙がっています。外国人旅行客は今後も増加する見込みであり、宿泊施設をはじめ外国人誘致に対する需要も高まり続けています。
加えて、住宅ローン金利の下落傾向により、不動産投資・購入の需要も高まっています。こうした背景があり、近年の不動産業界は、比較的順調に推移しており、今後も市場の活性化が続く見込みです。不動産業界は景気に左右されやすい傾向があるものの、現状から見れば未来は明るいと考えられています。
不動産管理業界の需要は増加傾向にある
ここでは不動産業界の中でも、不動産管理業界を詳しく紹介します。不動産投資・購入の需要が高まっている昨今、不動産管理会社の需要も増加傾向にあります。なぜなら、不動産投資による不動産運用では、不動産管理会社のサポートが大きな役割を担っているためです。
またニーズの高まりとともに、不動産管理会社に求められるサービスの質も向上しています。 物件の維持管理や入居者対応などを主要な業務としているものの、近年では不動産投資のオーナーに対する経営上のアドバイス・提案なども積極的に実施する会社が少なくありません。
不動産投資の需要が増加しており、「経営面でのアドバイス・提案を受けたい」というオーナー側のニーズが高まっているため、こうした業務内容の拡大は自然な流れといえます。そのため、不動産管理会社では、これまで以上にトータル・サポートを提供できる体制を構築しなければなりません。
多様化するニーズに対応するため、各不動産管理会社がさまざまな事業戦略を策定する中で、不動産管理会社同士の競争激化が目立っています。
多様なニーズに対応できる不動産管理会社と、そうでない不動産管理会社の差が目立っており、今度もさらに競争が激化する可能性が高いです。
以上のことから、とりわけ中小規模の不動産管理会社では、生き残りをかけてM&Aを実施するケースが増えています。
不動産管理業界におけるM&Aの目的
不動産管理業界におけるM&Aの目的には相互関連性が見られるものの、本記事では以下の3ケースに分けて紹介します。
- 競争力強化のためのM&A
- 事業拡大や顧客基盤拡充のためのM&A
- 経営上の問題を解決するためのM&A
これら3つのケースのポイントを押さえて、不動産管理業界におけるM&Aの目的を確認しておきましょう。
競争力強化のためのM&A
不動産管理会社には、競争激化の状況で生き残るために、多様化するニーズへの対応力が求められています。これまで以上にトータル・サポートを実現する必要がありますが、自社のノウハウのみでは総合的なサポートの提供ができずに競争に敗れてしまうおそれがあります。
とりわけ中小規模の不動産管理会社では、自社のみで大手企業のような幅広いサポート体制を構築できません。そこで、同業の不動産管理事業を行う会社とのM&Aにより、それぞれのノウハウ・サービス体制を生かしながら、トータル・サポートの実現を目指すケースが増えています。
不動産管理会社では競争激化に伴い、こうした同業者同士のM&Aが今後も増える可能性が高いです。もしも自社で競争力に懸念材料を抱えているならば、同業者とのM&Aを検討することが有効策といえます。
事業拡大や顧客基盤拡充のためのM&A
不動産管理業界では、関連事業を展開する会社とM&Aを行うケースも多く見られます。例えば、グループ事業として不動産管理事業を行っている会社が、不動産開発や不動産販売を行う会社とM&Aを実施して、事業拡大や顧客基盤拡充などにつなげるといったケースが代表的です。
関連事業を行う会社とM&Aすると、多様化するニーズに対応できるようになります。これは、不動産管理事業に求められるニーズが幅広くなればなるほど、関連事業の幅が増える可能性があるためです。
ちなみにM&Aによって事業規模が拡大すれば、幅広いニーズに対応できるサポート体制を構築しつつ、競争力強化も図れます。例えば、特定の業務が得意な会社と、それ以外の業務が得意な会社がM&Aすれば、各会社の特化分野を相互に生かしつつ競争力の強化が狙えるのです。
以上のことから、関連事業も含めたM&Aは、これまでより多くのニーズに応えられるようになります。顧客の要望にこれまで以上に応えたいならば、関連事業を行う会社とのM&Aを積極的に検討することが有効策です。
なお、自社で新しく関連事業を開始するよりも、すでにその事業を行う会社とM&Aした方が、効率的な事業拡大を目指せます。例えば、ある関連事業を展開する会社を買収すれば、比較的短期間でその事業に新規参入する可能性が高まります。
経営上の問題を解決するためのM&A
不動産管理会社の間では、経営上の問題を解決するためのM&Aも盛んに実施されています。特に中小規模の不動産管理会社の場合、大手と比較すると経営が不安定になりやすいです。さらに後継者がなかなか見つからず、事業継続が困難となるケースも少なくありません。
こうした経営上の問題を解決するための手法として、M&Aは広く活用されています。例えば、資金力のある大手企業に自社を売却すれば、安定した財務基盤のもとで事業の継続が可能です。
また、他社に売却して経営を任せることで、後継者不足の問題を解決できます。特に近年では、企業の経営者の高齢化が目立っています。経営者が高齢になり引退を考えても、後継者が見つからずスムーズに引退できない問題が深刻化しています。
こうした状況への対応として、M&Aによる売却で他社に事業を継続してもらうケースが増えています。他社に事業を引継いでもらえば、身近に不動産管理会社の後継者がいなくても会社を存続させられるのです。
他社に安心して経営を任せられれば、高齢の経営者も安心して引退でき、後継者不足の問題を解決できるメリットが得られます。
このように、M&Aによる売却は、経営上の問題を解決するためにも有効です。不動産管理会社でも経営者の高齢化が進んでおり、これを対処するためのM&Aが今後も増加する可能性が高いです。
もしも後継者不足の問題に悩んでいるなら、M&Aによる売却(事業承継)の検討が大切といえます。
不動産管理会社のM&Aの相場と費用
不動産管理会社のM&Aを検討する際、M&Aの相場と費用を意識する経営者の方が多いです。結論からいうと、不動産管理会社のM&A相場や費用を具体的に数値化することは非常に困難です。これは、M&Aの売却価格は、さまざまな要素を考慮して決められるためです。
ここで代表的なM&A事例を1つ挙げておくと、2億5,000万円の売上高の不動産管理会社が、1億円で売却されたケースが過去に存在します。しかし、目安額に関しては一概に述べることはできません。
とはいえ、M&Aを実行する際は、事前に相場や費用を考慮する必要があります。ある程度は金額の目安を付けておかないと、想定外の費用が発生することになりかねないためです。その後の事業展開に支障をきたすおそれもあるため、M&Aにおける費用は十分に検討しなければなりません。
そこで、M&Aを検討するならば、自社と類似する規模・事業内容の会社が行ったM&Aを探し、費用の目安を付けておくことが大切です。このときにM&Aの目的・M&A当事会社の規模・対象事業の規模や内容・会社の業績・従業員数・M&A手法などを総合的にチェックする必要があります。
そして、相場・費用をより正確に把握するには、M&A仲介会社・M&AアドバイザリーなどM&A専門家に相談することが望ましいです。不動産管理会社や不動産管理事業など、不動産業界全体に精通したM&A専門会社であれば、より正確な情報を入手できます。
不動産管理会社のM&Aでお悩みの際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所には、経験豊富なM&Aのアドバイザーが多数在籍しており、ご相談からクロージングまでフルサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。相談料は無料ですので、M&Aをご検討の際はお気軽にご相談ください。
不動産管理会社のM&A買収側が意識するポイント
ここでは、不動産管理会社におけるM&Aの買収側が意識すると良いポイントとして、以下の3つを紹介します。
- 高い相乗効果が獲得できる相手先を選ぶ
- M&A相場や費用についてしっかりと考慮する
- デューデリジェンスを怠らずに実施する
それぞれのポイントを順番に詳しく紹介します。
高い相乗効果が獲得できる相手先を選ぶ
不動産管理会社の買収側は、強化したい・参入したい分野を分析して決めて、高い相乗効果(シナジー効果)を獲得できる相手先を選ぶよう意識すると良いです。不動産管理会社が同業他社を買収すれば、事業強化・拡大・事業エリア拡大などを通じて、競争力強化につなげられます。
また、不動産管理事業自体に求められるニーズが増えているため、こうしたニーズへの対応としてM&Aを活用するケースも少なくありません。さらに、自社が未進出の事業エリアに実績のある不動産管理会社を買収すれば、比較的短期間で事業エリアを拡大できます。
このように、不動産管理会社を買収すれば、競争力や事業基盤強化など相乗効果によるメリットが得られます。ところが、これらのメリットを自社の事業へと生かすには、事前にM&Aで実現したいことを決めておかなければなりません。
M&A戦略を策定せず、ただ漠然とM&Aで会社を買収しても、期待するメリットは得られないためです。そのために、M&Aの買い手側としては、不動産管理業界に精通するM&Aの専門家に相談したうえで、自社に最適な売り手を見つけてもらうことが望ましいです。
M&A相場や費用についてしっかりと考慮する
M&Aの買い手側は、相場や費用面を忘れずに考慮しておかなければなりません。買収費用と仲介費用を合わせると、M&Aでは多くの金額を支払う必要があるためです。
以上のことから、M&Aによる買収を実際に進める際は、M&A専門家に相談したうえで、M&Aでどれだけの金額を支払うことになるのかを事前に確認しておくことが大切といえます。
デューデリジェンスを怠らずに実施する
不動産管理会社の買収側は、デューデリジェンスを怠らずに実施することも意識しておくべきです。デューデリジェンスとは、M&Aを実施する際に、相手側企業の価値やリスクなどを調査する行為をいいます。
事前にデューデリジェンスをしっかりと行い、安全性が確認できた段階でM&Aによる買収を実施することが大切です。デューデリジェンスを怠ってしまうと、期待した収益を得られなかったり、簿外債務をはじめとする隠れた債務によるトラブルが後々に発生したりするおそれがあります。
これらの問題がM&A後に発生してしまうと、買収側としては大きな不利益を被ってしまいかねません。M&Aの成否にも大きな影響を与えるため、デューデリジェンスを怠らずに実施することが大切です。
不動産管理会社のM&A売却側が意識するポイント
次に、不動産管理会社におけるM&Aの売却側が意識すると良いポイントとして、以下の2つを取り上げます。
- 自社と買い手側の強みを比較検討する
- 自社の企業価値を高めておく
それぞれのポイントを順番に詳しく紹介します。
自社と買い手側の強みを比較検討する
不動産管理会社を売却する場合、経営上の問題の解決を目的とするケースが比較的多いです。その中でも、経営者の高齢化が進んで後継者が見つかっておらず、売却によって事業を他社に継続してもらいたいというケースがメインです。
しかし、事業承継を狙うとはいえ、「ただ事業を継続してくれさえすれば、どの会社に売却しても良い」と考えるのは禁物です。同業の不動産管理会社に売却するのであれば、不動産管理事業における自社の強みと買い手側の強みを比較検討することが求められます。
そのうえで、しっかりと相乗効果が期待できるのか、安心して経営を任せられるのかを総合的に判断しなければなりません。また、買い手側に魅力を感じてもらうためにも、自社の強み・魅力をわかりやすく示す必要があります。
相手側が売り手の事業を分析し、買収により高い相乗効果を期待できると判断すれば、それだけ多くの企業が買い手に名乗り出てくれます。その中から自社に最適な買い手を見つければ、不動産管理会社のM&A成功確率は高まります。
そのためにも、まずは売り手側から自社の強み・魅力をしっかりアピールしなくてはなりません。計画どおりのM&Aを実行したいなら、交渉力も必要とされます。不動産管理会社を希望どおりに売却したいなら、実績が豊富なM&A仲介会社に相談することが大切です。
自社の企業価値を高めておく
M&Aによる不動産管理会社の売却を検討しているならば、事前に自社の企業価値を高めておくことも大切です。自社の企業価値を高めておくと、M&Aで自社の希望どおりの価格で会社を売却しやすくなります。
企業価値を高める際は、自社の従業員・取引先・シェアなどに着目すると良いです。一般的に、事業に関連する技術や資格を持つ従業員数が多ければ多いほど、買い手にとって魅力的な売却案件となります。
そのほか、大手企業をはじめとする魅力的な取引先を抱えていたり、特定分野で大きなシェアを誇っていたりすれば、買い手の目に魅力的に映るため、自社の企業価値を高めるポイントとなります。
M&Aでの売却までに時間的余裕がある場合、まずは従業員・取引先・シェアの3つの要素に着目し、自社の企業価値を高めておくと、希望どおりのM&Aに近づけることが可能です。
不動産管理会社におけるM&Aの成功事例
不動産管理会社のM&Aの成功事例を見ておくと、自社のM&A戦略に役立てられます。本記事で紹介する事例は、以下の3つです。
- オリックスが大京を完全子会社化
- 大京が穴吹工務店を買収
- ケイアイスター不動産がフレスコを連結子会社化
それぞれの事例を順番に紹介します
オリックスが大京を完全子会社化
2018年10月、リース事業や金融サービス、不動産事業などを展開するオリックス(東京都港区)は、大京(東京都渋谷区)を完全子会社化しました。大京は、ライオンズマンションなどのマンション開発、不動産管理事業などを手がける会社です。
オリックスは大京の普通株式のすべてをTOB(株式公開買付け)により取得し、完全子会社化しました。買い付け価格は1株につき2,970円で、総額およそ770億円に上るとされました。同年12月、大京へのTOBが完了したことが発表され、持ち株比率は94%に達しています。
そして2019年1月22日に大京は上場廃止となり、同年1月25日付でオリックスの完全子会社となっています。 オリックスはもともと大京の株式の67.95%を保有していましたが、本事例のTOBによって大京を完全子会社化し、大京が上場廃止するという流れです。
こうして大京が完全子会社となったことで経営の一体性が進み、両社の連携が強まりました。こうした経緯で大京を完全子会社としたオリックスですが、その事業内容は「多角的金融サービス業」です。
現在は法人金融・不動産・事業投資・メンテナンスリース・リテール・海外事業という6つのセグメントがあり、国内事業はもとよりグローバル展開も積極的に進めています。このうち不動産事業部門でも、幅広い分野での事業展開を進めている状況です。
一方、大京は1968年にライオンズマンションシリーズ第1号物件を発売し、1978年には事業主別マンション発売戸数で初の業界第1位になり、以降29年間で連続してトップを記録するなど、確かな実績を残しています。
さらに、大京は2013年に穴吹工務店グループを迎えるなどのM&Aも行い、グループ全体のマンション累計供給戸数は約35万戸(2019年12月末時点)、マンション管理受託戸数約53万戸(2019年3月末時点)と、業界でNo.1の実績を誇ります。
このように、それぞれ上場企業として活躍を続けてきたオリックスと大京ですが、事業面での連携は限定的とされていました。両社グループは独立した上場企業として運営をしていることもあり、意思決定プロセスの違いや、情報共有が十分に行われなかったことなど、いくつか問題点もありました。
こうした状況の中、オリックスが大京を完全子会社としたことで、情報共有がこれまで以上に密に行われること、これまで以上に緊密な協業が行われるなどのメリットを実現し、事業の拡大・成長につなげています。
大京が穴吹工務店を買収
2013年3月、大京は不動産開発や不動産販売などの事業を展開する穴吹工務店(香川県高松市)を買収することを発表しました。
この買収は、投資会社の「ジェイ・ウィル・パートナーズ」が無限責任組合員である投資事業有限責任組合と、大京が共同出資する合同会社の「ジェイ・エル・ケイ」から全株式を取得することで、完全子会社化した事例です。なお、この買収事例での取得総額は307億円です。
大京はもともと都市圏を中心とした事業展開に強みを持っていました。そして、穴吹工務店は地方都市に強く、不動産開発・不動産販売・建設請負を事業内容として幅広い事業展開を行っています。
この穴吹工務店を買収したことで、大京からすると事業エリア拡大・顧客基盤拡充・事業拡大を果たせた事例です。大京はグループ全体で業界No.1の実績を残しており、穴吹工務店の買収もグループ全体の実績に大きく貢献しています。
ケイアイスター不動産がフレスコを連結子会社化
最後は、埼玉県本庄市に拠点を構えるケイアイスター不動産と、千葉県千葉市で事業を展開するフレスコの事例です。2018年8月、戸建分譲事業・注文住宅事業・管理事業などを行うケイアイスター不動産は、不動産売買や仲介・管理業務などを手掛けるフレスコを連結子会社化しました。
ケイアイスター不動産では、戸建分譲事業・注文住宅事業・総合不動産流通事業・アセット事業・管理事業・宅地造成などの事業が展開されており、地域密着型の総合不動産企業として関東全域で多角的な事業が進められています。
そしてフレスコでは、千葉県千葉市を中心に戸建住宅の分譲事業や注文住宅事業をコア事業として展開されていました。ちなみに、フレスコの事業内容には、不動産の売買や仲介・建築の請負・リフォーム・賃貸・管理業務まで含まれ多角的です。
このフレスコを連結子会社としたケイアイスター不動産は、グループにおける事業拡大の加速化を見込んでいます。加えて、両者ともに仕入から販売、販売後のメンテナンスまでを自社で一貫して行う体制を構築しており、双方の連携で戸建分譲事業の拡充による成長が狙われています。
不動産管理会社のM&A案件一覧
本章では、不動産管理会社を含む不動産業界のM&A案件を一覧表にして紹介します。案件の詳細に関しましては、M&A総合研究所までお気軽にお問合せください。
①近畿地区の総合不動産 | ②不動産賃貸業 | |
売上高 | 5億円〜10億円 | 1000〜5000万円 |
営業利益 | 5000万円〜1億円 | 赤字経営 |
希望譲渡価格 | 1億円〜2.5億円 | 希望なし |
エリア | 近畿 | 茨城県 |
特徴 | 不動産仲介・リノベーションに強み | テナントビル、月極駐車場を運営 |
高収益不動産保有・不動産管理業(400戸以上)を営む企業
もう一つ、高収益不動産保有・不動産管理業(400戸以上)を営む企業のM&A案件をご紹介します。首都圏にて圧倒的な稼働率(常時95%以上)を誇る簡易宿泊所を2棟運営しています。400戸以上の管理物件を有しており、継続的なストック収入を確保している点も強みです。
売上高 | 1億円〜5億円 |
売却希望額 | 7.5億円〜10億円 |
譲渡希望理由 | 新規事業へ集中するため |
不動産管理会社のM&Aまとめ
不動産管理会社は不動産投資のオーナーと入居者の間に立ち、さまざまな業務を行います。特に不動産投資の需要が高まっている昨今、不動産管理会社に求められるサービスも多様化している傾向が強いです。
こうしたニーズに応えるため、それぞれの不動産管理会社では多種多様な事業戦略を策定しており、M&Aを検討する会社も増加中です。同業者同士のM&Aによって双方の強みを生かし、トータル・サポートを実現してニーズに対応するなど、不動産管理会社のM&Aではさまざまなメリットを享受できます。
不動産管理事業をはじめ、今後の不動産業界は比較的順調に推移する見込みであり、M&Aを活用した事業戦略は狙い目といえます。 業界動向も踏まえM&A事例を検討しつつ、多様な観点から分析することが大切です。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。