M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年9月20日更新都道府県別M&A
中国・四国地方のM&A・会社売却・事業承継の動向!事例や案件も紹介
本記事では、中国・四国地方のM&A・会社売却・事業承継の動向や実際に行われたM&A事例、相談できる公的機関情報などを掲示します。中国・四国地方ではM&Aが盛況です。中国・四国地方でM&Aを検討している方は必見の内容です。
目次
中国・四国地方のM&A・会社売却と事業承継の現状
中国・四国地方のM&A・会社売却及び事業承継の事情はどのようになっているのでしょうか?それぞれを詳しく見ていきましょう。
中国・四国地方のM&A・会社売却の現状
中国・四国地方は、自動車工業などの製造業を中心に発展を遂げてきました。以前から造船業などに加えて、鉄鋼、石油化学、自動車などの工業が発展しています。産業の特徴として、化学や鉄鋼などの基礎素材型産業や輸送用機械などの組立型産業が集積しています。
M&A件数は、その年によって上下しますが、近年における中国・四国地方のM&Aは100件を超える件数となっています。
中国・四国地方の事業承継の現状
帝国データバンクの調査によると、中国地方の後継者不在率は59.3%、四国地方の後継者不在率は57.4%です。
中国地方については2014年の調査開始以来、初めて後継者不在率が6割を下回り、過去最低を記録したものの、中国地方では依然として高水準で、全国9エリアの中でも北海道に次ぐ2番目の高さです。特に、社長が60歳以上の企業では38.2%が後継者を確保できていない状況です。
四国地方の動向を見てみると、2011年から2023年にかけて8.4ポイント上昇したのに対し、「全国」では12.0ポイント減少しています。
全国的には、コロナ前から官民が協力して進めてきた事業承継の重要性が中小企業に広がり、さらにM&Aの普及や事業承継税制の見直し・拡充、金融機関による事業承継ファンドの設立など、多様な支援策が後押しし、後継者問題の改善が見られる地域もあります。しかし「四国」では、こうした施策の効果が十分に及んでいないことが窺えます。
参考:帝国データバンク「特別企画: 中国地方 後継者不在に関する企業の実態調査(2023 年) 」
帝国データバンク「特別企画 : 四国地区「後継者不在率」動向調査(2023 年) 」
中国・四国地方で見られるM&Aの最新動向
中国地方に含まれる各県のM&A動向をそれぞれ見ていきましょう。
広島県のM&Aの最新動向
自動車をはじめとした輸送機械器具製造業が中核産業となっており、第三次産業では生活関連サービス業・娯楽、複合サービス業が盛んです。レコフの調査によると、2022年の広島県のM&A件数は54件でした。
岡山県のM&Aの最新動向
産業構成比、産業集積の観点から、化学工業、輸送用機械器具製造業、食料品製造業の常用度が高いとされています。繊維工業は、90年と比較して事業者数及び従業員数が減少していますが、現在でも県内では重要な産業となっています。
レコフの調査によると、2022年の愛知県のM&A件数は38件でした。
鳥取県のM&Aの最新動向
強みとなっているのは漁業となっており、それらを活用する食料品製造業の重要度が高いとされています。そのほかの製造業では、電子部品・デバイス・電子回路製造業、パルプ・神・紙加工製造業の重要度も高くなっています。
レコフの調査によると、2022年の鳥取県のM&A件数は8件でした。
島根県のM&Aの最新動向
人口減少が進む中で、漁業などの第一次産業に強みがあり、水産品などの食料品製造業が中核産業の一つとなっています。そのほかには、鉄鋼業、電子部品・デバイス・電子回路製造業が、県内の経済の中核産業になっています。
レコフの調査によると、2022年の島根県のM&A件数は10件でした。
山口県のM&Aの最新動向
産業構成比、域外収支、労働生産性の面から、製造業が盛んな地域です。また、化学工業、石油製品・石炭製品製造業にも強みを持っています。M&A動向は、2006年の20件をピークに上下しており、2018年はトータルで9件となっています。
レコフの調査によると、2022年の山口県のM&A件数は16件でした。
香川県のM&Aの最新動向
総人口は1995年に102.7万人と最も多かったものの、2017年には96万人まで減少し、今後も減少傾向が続くと予測されています。地域の産業構造や域外からの収支を分析すると、主な中核産業は食料品製造業、輸送機器製造業、非鉄金属製造業です。また、第一次産業では漁業が主要な産業となっています。
レコフの調査によれば、2022年に香川県で行われたM&Aの件数は21件でした。
徳島県のM&Aの最新動向
徳島県の総人口は1960年に84.7万人とピークを迎えた後、2017年には74万人にまで減少し、今後も人口減少が予測されています。主要産業は、食料品製造業、化学工業、エレクトロニクス産業であり、県経済の柱となっています。また、漁業や耕種農業が外貨を稼ぐ重要な産業として位置づけられています。
レコフの調査では、2022年の徳島県におけるM&A件数は22件と過去最高を記録しました。
高知県のM&Aの最新動向
高知県の総人口は1960年にピークを迎え、2017年には71万人まで減少しており、今後も減少傾向が続く見通しです。主要な外貨獲得産業としては、農林水産業が広範にわたって重要な役割を果たしています。また、第二次産業では、食料品製造業やパルプ・紙製品、窯業・土石製品の製造業が経済を支える重要な分野となっています。
レコフの調査によれば、2022年の高知県におけるM&A件数は11件となっています。
愛媛県のM&Aの最新動向
愛媛県の総人口は1985年をピークに減少傾向が続き、2017年には136万人に達しています。今後もこの傾向は続くと予測されています。農林水産業全般が重要な外貨獲得産業であり、地域経済に大きく貢献しています。また、第二次産業ではパルプや紙製品、非鉄金属の製造業が地域特性を反映した重要な産業として位置づけられています。
レコフの調査によると、2022年における愛媛県のM&A件数は19件となりました。
中国・四国地方のM&A・会社売却・事業承継の今後の展望
中国・四国地方は、度重なる自然災害があり、それを理由に事業承継計画を策定せずにいる企業が多く、自然災害によってそれぞれの会社が被害を受けたことで、設備の故障や自社業務管理システムの不具合、故障によって事業承継が難しいとしている会社が多くみられます。
また、企業がこれまで培ってきた技術やノウハウ、貴重な人材や設備などを次世代に引き継ぐことが喫緊の課題と言われているのは、全国の中小企業に共通するもので、中国・四国地方の中小企業にも当てはまる事柄と言えるでしょう。
中国・四国地方のM&A・会社売却・事業承継の案件一覧
弊社M&A総合研究所が取り扱っている中国・四国地方のM&A・会社売却・事業承継の案件一覧をご紹介します。
【中国地方】業歴数十年以上の給食サービス事業
高齢者向け施設への提供のみでなく、学校給食など幅広く取引しています。進行期は2024年3月期比で、+2,000万円以上の営業利益で推移しています、
エリア | 中国・四国 |
売上高 | 5億円〜10億円 |
譲渡希望額 | 2億円(応相談) |
譲渡理由 | 自身での事業継続・拡大に限界を感じているため |
【創業100年を超える和紙製造メーカー】四国エリア/和紙製造(機械すき)
創業100年を超える老舗機械すき和紙メーカー(奉書紙、特殊和紙、非木材紙に対応)です。紙加工製品分野に需要のある海外へ事業展開することで、新たな収益源の確保を目指しています。
エリア | 中国・四国 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【中国地方/財務内容良好/業歴50年以上】学生用シャツ、学生服卸売業
大手卸や首都圏の販売店を主要販売先に持ち、安定した売上を計上しています。500坪ほどの自社倉庫を保有しており、納期に合わせて柔軟に対応可能です。
エリア | 中国・四国 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡理由 | 財務的理由、後継者不在(事業承継) |
【客室100室以上】四国×大型ホテル
インバウンド客・国内観光客ともに来訪が多い観光エリアにて、業歴50年以上を誇っています。客室100室以上で大規模宴会場もあり、団体観光客の受け入れも対応可能です。
エリア | 中国・四国 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継)、戦略の見直し |
中国・四国地方のM&A・会社売却・事業承継事例
中国・四国地方のM&A・会社売却・事業承継事例をピックアップしてご紹介します。
SOMPOケアによるエネルギア介護サービスのM&A・事業承継
2023年7月3日、SOMPOケア(東京都品川区)は、エネルギア介護サービス(広島県広島市)の全株式を取得し、手続きが完了したことにより同社を完全子会社化しました。また、これに伴い社名や代表者、各事業所の名称も変更されました。
SOMPOケアは、介護施設や高齢者向け住宅の運営、居宅サービスの提供を手がけています。一方、エネルギア介護サービスは、老人ホームやデイサービス、訪問看護、訪問介護、居宅介護支援などを提供しており、その最終株主は中国電力株式会社(9504)でした。
今回のM&Aを通じて、SOMPOケアと中国電力は中国地方における高齢者向け施設の開発などで連携を強化する見込みです。
フォーバルによる三知のM&A・事業承継
2023年5月2日、フォーバルは、三知(山口県光市)の全株式を2023年5月1日に取得し、完全子会社化しました。
フォーバルは主に中小企業を対象に、情報通信や経営に関するコンサルティング事業を展開しています。三知は、山口県光市を中心に、OA機器やオフィス家具の卸売を行い、保守メンテナンスからオフィスデザインの企画、設計、内装工事まで一貫して提供している企業です。
今回のM&Aは、フォーバルが中国地方における顧客基盤を広げ、同地域でのアイコン事業や中小企業向けコンサルティングサービスの展開を進めることを狙いとしています。加えて、三知は市役所や自治体などの公共機関とも取引があり、フォーバルが推進する「F-Japan」構想との相乗効果も期待されています。
サンドラッグによる大屋のM&A・事業承継
2022年9月1日、サンドラッグは、愛媛県西条市に本社を構える大屋の全株式を取得し、完全子会社化することを決定しました。
サンドラッグは、全国展開するドラッグストアチェーンを運営し、調剤薬局の経営やフランチャイズへの商品供給・経営指導など多岐にわたる事業を展開しています。大屋は、愛媛県と高知県を中心に「mac」というブランド名で50店舗以上のドラッグストアを運営する企業です。
このM&Aにより、サンドラッグは大屋に対して経営支援を行うことで、四国地方における事業展開を強化し、グループ全体としての経営基盤をより一層強固にすることを目指しています。
事業承継・M&A時におすすめの相談先
中国・四国地方での事業承継・M&A時におすすめの相談先を3つご紹介します。
金融機関
近年、金融機関がM&Aサポートに特化した専門部署を設置するケースが増加しています。特に、投資銀行や大手銀行がファイナンシャルアドバイザー(FA)として重要な役割を果たす場面が多く見られます。
M&Aを推進する際、金融機関は欠かせないパートナーです。特に買収側では資金調達が必要なため、金融機関との協議は不可欠で、通常は既存の取引銀行が最初の相談先となることが一般的です。
金融機関を利用するメリットとして、資金調達に関する専門的なアドバイスが得られることが挙げられます。例えば、事業承継時に親族や従業員が後継者となる場合、株式取得のための資金を確保するために金融機関の支援が役立ちます。
また、M&A専門部署を持つ金融機関では、他の専門家と連携して適切なアドバイザーを紹介することも可能です。
ただし、大手金融機関は主に大規模なM&Aに注力する傾向があり、中小規模の案件には対応しないこともあります。さらに、仲介ではなくアドバイザリー形式を採用しているため、手数料が高額になる可能性があることにも注意が必要です。
公的機関
最近では、公的機関でも事業承継やM&Aに関するサポート体制が整備されています。たとえば、「事業承継・引継ぎ支援センター」は、中小企業が直面する後継者不足などの課題に対して、専門的な支援を提供する窓口として機能しています。
このセンターでは、事業承継やM&Aに関する情報提供やアドバイスを行うほか、企業間のマッチング支援も実施しています。2021年4月に設立されてから、全国の拠点で専門家が無料で相談を受け付けており、広範囲な中小企業の承継問題に対応しています。
全国47都道府県に窓口が設けられているため、地方の企業も簡単に利用できるのが大きな利点です。さらに、政府が運営しているため、信頼性が高く、無料でアドバイスを受けられる点も大きな魅力となっています。M&A仲介会社や専門家の紹介も行われ、個人事業主の事業承継にも対応しています。
ただし、公的機関であるため、対応のスピードが遅い場合もあり、民間のM&A仲介会社と比較するとサポートの範囲に限界があることもあります。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業の買収や売却において専門的なサポートを提供する企業です。これらの会社は、売り手と買い手の双方と契約を結び、交渉の調整を行いながら、両者の利益を考慮して取引を進めていきます。最初の相談から、買収候補の選定、スケジュールの管理、企業価値の評価(バリュエーション)、書類作成まで、M&Aの一連のプロセスを一括してサポートします。
仲介会社は、売り手と買い手の条件や希望を調整し、双方が納得できる最適な取引条件を導き出す役割を担います。そのため、多くの候補企業の中から最適な相手を選び出し、成功率の高いM&Aを実現することが期待できます。
特にM&Aが初めての企業にとっても、仲介会社は安心してプロセスを進められるように、手厚いサポートを提供します。コミュニケーションを円滑にし、具体的なアドバイスを通じて交渉をスムーズに進行させるのが特徴です。
一方で、一部の仲介会社では、着手金や中間金が発生することがあり、費用面での負担が懸念されることがあります。費用を抑えたい場合は、成功報酬型を採用している企業を選ぶと良いでしょう。
中国・四国地方の事業承継向けの公的相談機関
中国・四国地方の事業承継向けの相談機関には以下の公的機関があります。
中国・四国経済産業局
中国・四国経済産業局は、それぞれ中国・四国地方における経済産業省を代表する機関で、経済産業施策の総合的な窓口機関となっています。事業承継支援における相談窓口も設けられており、事業承継における事業承継税制や国の策定でもある「中小企業経営承継円滑化に基づく金融支援措置」などについても、詳細が相談できる窓口になっています。
全国事業承継推進会議
全国事業承継推進会議は、中小企業庁が主催している会議で、国の事業承継支援施策について各地方で会議が行われています。中国・四国地方でも「地方ブロック会議」として、開催されており、事業承継ネットワークの各支援機関の連携強化や事業者の事業承継に対する意識醸成などを図るために開催されています。
中小企業基盤整備機構 中国・四国本部
中小企業基盤整備機構の中国本部は広島県にあり、四国本部は香川県にあります。事業承継に関する相談などを受け付けています。経営に関する相談にも応じており、事業承継相談や経営アドバイスを受けることができます。そのほかには、事業承継フォーラムも開催されており、事業承継への認識を高める活動もしています。
事業承継・引継ぎ支援センター(中国・四国各所)
事業承継・引継ぎ支援センターは各県に設置されており、中小企業や小規模事業者の事業承継の問題を解決するためにサポートを行っています。会社の売却を考えている場合や会社を買収しようと考えている場合に活用することができ、民間登録機関との連携によって、M&Aをサポートしてくれるサービスもあります。
事業承継ネットワーク(中国・四国各所)
事業承継ネットワークは各都道府県に拠点が設置されており、地方の自治体などと連携して、事業承継のサポートをしています。事業承継診断を活用したり、事業承継支援のニーズに合わせた専門家を紹介したりしています。主に、地域の商工会や商工会議所、金融機関などの支援を受けて事業が行われています。
中国・四国地方のM&A・会社売却・事業承継まとめ
中国・四国地方は、M&Aや会社売却、事業承継については災害の影響もあり、あまり進んでいないのが実情のようです。事業承継に関しても、災害によってこれまでの設備が使えなくなったなどの理由によって、現経営者の引退を機に廃業を選択する会社も多いです。
しかし、中小企業の廃業が進めば失業者が増え、地方内の経済にも大きな影響を与えます。今後は、会社売却やM&Aも視野に入れて、事業承継等の取り組むべきでしょう。
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