M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
2022年6月6日更新業種別M&A
介護施設事業のM&A・事業承継の最新事例45選!同業・異業種別に解説【2021年】
介護施設事業のM&Aを分析するにあたり、介護業界のM&A・事業承継事例を45件、集めました。併せてこの記事では、介護業界の市場動向とM&A動向、M&Aの相場や費用、M&Aのメリット、M&A仲介会社の選び方などについて解説します。
目次
介護業界のM&A・事業承継の現状と動向
まずは、介護業界の現状と市場動向を解説します。それを踏まえて、介護施設事業のM&A動向を見ていきましょう。
介護業界の現状・市場動向
超高齢社会である日本では、介護業界の市場は拡大傾向にあります。厚生労働省発表の「介護給付費等実態統計の概況」によると、2019(令和元)年における介護サービスの利用者は前年比で2.2%増加している状況です。
また、以前の介護事業は「在宅系介護」と「施設系介護」に大別されていましたが、現在はその中間的な事業として「サービス付き高齢者向け住宅」が提供され、利用者も増えています。その一方で、問題視されているのが、働き手の不足です。
厚生労働省によると、2020(令和2)年11月時点で介護事業における有効求人倍率は3.88倍で、慢性的な人手不足といえるでしょう。そこで厚生労働省は、2021(令和3)年度に介護報酬を0.7%引き上げると発表しており、労働者の処遇改善が期待されます。
また、社会保障給付費は増加の一途をたどり、社会保障を支える生産年齢人口が減っている状況です。2025年以降は生産年齢人口の減少がさらに増すと見られ、国は社会保障制度の見直しを行っています。
拡大する介護事業市場に魅力を感じ、新規参入する事業者の数が増加中です。したがって、現在、介護業界内は競争激化の事態に陥っており、競争に敗れ撤退・廃業する事業者も少なくありません。
介護業界のM&A・事業承継の動向
介護施設事業のM&Aは、介護保険法が施行された2000(平成12)年前後より活発化しています。例えば、1998(平成10)年、医療事務委託をコア事業に据えていたニチイ学館は、在宅介護サービスを担うヘルシーライフサービスの買収を発表しました。
また、1999(平成11)年には、人材派遣会社グッドウィル・グループが在宅介護サービスを行うコムスンとM&Aを実施しています。
グッドウィル・グループの傘下に入ったコムスンはM&A後に事業を急成長させており、2006(平成18)年に老人ホームを営む日本シルバーサービスを買収しました。介護業界では、約20年前よりM&Aが活発に実施されているのです。
最近は介護事業の需要拡大に伴い、異業種からの参入を目的としたM&A件数も増えています。M&Aを利用した介護事業への新規参入は、リスクが低く非常に効率的です。
一例としては、2009(平成21)年、ドラックストアを経営するココカラファインは、介護支援事業を経営するタカラケアとM&Aを実施して介護事業への参入を果たしました。
また、2013(平成25)年にはソニーフィナンシャルグループが、介護付老人ホームのシニア・エンタープライズとM&Aを実施しています。介護業界全体が活況の中、事業拡大や新規参入を目的とするM&Aが相次いで実施されているのです。
介護業界のM&A・事業承継の売却・譲渡案件
現在、M&A総合研究所が取り扱っている介護事業関連の売却・譲渡案件で公開可能なものを2件、掲示します。
- 大都市ターミナル駅近隣のサービス付き高齢者向け住宅150室の事業譲渡
- 保育園・老人ホームの譲渡
①大都市ターミナル駅近隣のサービス付き高齢者向け住宅150室の事業譲渡
事業譲渡案件は、下記のとおりです。
エリア | 中国・四国 |
---|---|
売上高 | 2億5,000万円〜5億円 |
営業利益 | 非公開 |
譲渡希望価額 | 希望なし |
売却理由 | 戦略の見直し |
詳細情報 | https://masouken.com/list/90 |
②保育園・老人ホームの譲渡
保育園・老人ホームの譲渡案件は、下記になります。
エリア | 近畿 |
---|---|
売上高 | 1億円〜2億5,000万円 |
営業利益 | 1,000万円〜5,000万円 |
譲渡希望価額 | 2億5,000万円〜5億円 |
売却理由 | 後継者不足 |
詳細情報 | https://masouken.com/list/26 |
介護施設事業のM&Aの相場と費用
介護事業のM&Aを検討する際に気になる要素として、相場や費用が挙げられます。そこで本章では、介護施設のM&A相場と費用をまとめました。
介護施設事業のM&A相場
介護施設事業のM&A相場は、首都圏で3,000万円〜1億円程度です。もちろん全てのM&Aが該当するわけではなく、介護事業の利益額や施設の所在地などによりM&Aの最終的な価額は変動します。
しかし、立地や利益額などによって若干異なるものの、大まかなM&A相場の把握は可能です。介護施設の大まかなM&A相場は、土地や施設などの合計金額(時価純資産額)に年間営業利益の数年分を加えた金額が1つの目安になります。
- 介護施設のM&A相場=時価純資産額+営業利益の3年〜5年分
時価純資産額が2,000万円、年間営業利益が1,000万円で3年分を考慮するケースでは、介護施設のM&A相場は以下です。
- 2,000万円+1,000万円×3年分=5,000万円
上記の計算式を活用して、介護施設のM&Aを実施する際は事前に相場を想定しましょう。上記の計算式よりも正確な売買価額が知りたい場合は、介護事業のM&Aに詳しいM&A仲介会社などの専門家に計算を依頼すれば算出してもらえます。
介護施設事業のM&Aに要する費用
M&Aは専門的な知識や経験を要するため、M&A仲介会社などの専門家に業務を依頼するのが一般的です。その際に手数料を支払いますが、手数料は段階や内容に応じて以下の7種類があります。
- 相談料:正式依頼前の相談時にかかる費用。無料であることが多い。
- 着手金:仲介契約を締結した時点で発生する。無料となるケースが増えている。
- 月額報酬:仲介契約後、毎月発生する顧問料。発生しない会社の方が多い。
- 中間報酬:M&A相手と基本合意契約を締結した時点で発生する。無料の会社も多い。
- 成功報酬:M&Aの成約時点で発生する。レーマン方式の料率表を基に算定することが多い。
- バリュエーション費:企業価値評価算定を依頼した場合の費用。成功報酬に含まれる会社もある。
- デューデリジェンス費:買収側が実施する売却側企業の精密調査に要する費用。買収側企業にのみ発生。
昨今は、完全成功報酬制のM&A仲介会社も多く、その会社は成功報酬以外の手数料が発生しません。いずれにしても、料金システムと依頼する場合の金額における目安は、事前相談の段階で確認し費用の算段をしたうえで業務を依頼しましょう。
介護業界でM&Aを行うメリット
ここでは、介護業界でM&Aを実施する場合のメリットを見ていきましょう。譲渡側と譲受側では立場が異なるので、それぞれに分けて掲示します。
譲渡側のメリット
介護事業を譲渡する側のメリットは、主に以下です。
- 後継者不在でも事業承継が実現し廃業も回避できる。
- 事業や会社が継続するので従業員の雇用も確保される。
- 経営者が負っていた債務や個人保証から解放される。
- 売却益を獲得できる。
- 大手傘下となれば財務が安定し業績向上が見込める。
- 大手の傘下は知名度向上により人材確保、利用者増加につながる。
- 譲受側がすでに介護事業を行っている場合、協業により人材の融通、施設の共用など事業の効率性が高まる。
譲受側のメリット
介護事業を譲受する側のメリットは、主に以下があります。
- 介護事業への新規参入を実現。
- 同業者であれば人材・施設の獲得によりスケールメリットが得られる。
- 事業規模の拡大・多角化・エリアシェア向上の実現。
介護施設事業のM&A仲介会社を選ぶ3つのポイント
介護業界でM&Aを行う際は、M&Aの手続きに詳しい仲介会社に相談しましょう。介護業界のM&Aに適したM&A仲介会社を選ぶポイントは、以下のとおりです。
- 介護業界のM&Aに詳しい
- 全国のM&A案件に対応している
- 料金体系がわかりやすい
自社に合った仲介会社を選ぶため、ぜひ確認してください。
①介護業界のM&Aに詳しい
M&Aを行う際、施設・サービスの利用者や取引先・従業員が混乱してしまうケースは珍しくありません。しかし、介護業界のM&A事情に詳しい専門家であれば、発生しやすいトラブルを未然に防いだうえで、多くの関係者が納得できるM&Aの実現を目指せます。
「M&Aについて詳しくない」「どの仲介会社に相談すればよいかわからない」と悩んでいる経営者は、介護業界のM&A成約実績を持つM&A仲介会社に相談しましょう。
②全国のM&A案件に対応している
地方に拠点を持つ介護施設の場合、M&Aを検討しているものの、周りに企業がほとんど存在しない状況に陥っている経営者もあります。そのため、M&A仲介会社を選ぶ際は、全国の案件に対応し、多くの買い手情報を持つところが良いでしょう。
全国から買い手を探せば、地方の会社でもM&Aを実現する可能性が向上します。したがって、規模を問わずに多くの案件を持つ仲介会社に相談し、M&A成功のチャンスを少しでも増やすことが肝要です。
③料金体系がわかりやすい
料金体系が複雑で細かい費用が複数発生する仲介会社では、いかなる部分でお金が発生するのかわからず安心して相談できません。M&A仲介会社を選ぶ際は、料金体系がわかりやすく料金発生のタイミングが明確な仲介会社を選びましょう。
最近は、M&A成立まで一切の料金が発生しない「完全成功報酬制」のシステムを取る仲介会社も増えています。しかし、仲介会社によっては相談料・着手金・中間金などが発生するところも依然として多いため、事前によく確認してください。
M&A仲介会社選びは、M&Aの成否を左右するため、慎重に行いましょう。
M&A仲介会社選びにお困りの際は、全国の中小企業におけるM&Aに数多く携わるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所では、M&Aに関する専門知識・経験の豊富なM&Aアドバイザーが、培ってきたノウハウを生かして相談時からクロージングまで丁寧に案件をフルサポートいたします。
また、通常は10カ月~1年以上かかるとされるM&Aを、最短3カ月でスピード成約する機動力も強みです。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります。)
無料相談を行っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
介護施設事業のM&A・事業承継まとめ
介護業界では市場規模が拡大しており、M&Aが盛んに実施されています。大きな意思決定であるM&Aには注意点も多いため、専門家を活用しましょう。本記事の概要は、以下のとおりです。
・介護施設事業のM&A相場
→首都圏で3,000万円〜1億円程度が1つの目安
・介護業界M&Aの仲介会社を選ぶ3つのポイント
→介護業界のM&Aに詳しい・全国のM&A案件に対応している・料金体系がわかりやすい
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。