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2022年6月6日更新会社・事業を売る
【企業価値100億超】会社売却・バイアウト成功事例10選!動向を解説
M&Aでは、企業価値100億円超の会社売却・バイアウトが行われる事例もあります。では、企業価値100億円超の会社売却・バイアウトが成立しているのはどのようなケースなのでしょうか。本記事では、企業価値100億円超の会社売却・バイアウト成功事例をご紹介します。
【企業価値100億超】会社売却・バイアウト成功事例10選!
企業価値100億円超で会社売却・バイアウトが行われた事例にはどのようなものがあるのでしょうか。この章では、そのなかから10事例をピックアップして紹介します。
【企業価値100億超会社売却・バイアウト成功事例10選】
- シャイアーと武田薬品工業の会社売却・バイアウト
- スピードウェイとセブン&アイ・ホールディングスの会社売却・バイアウト
- ZOZOとZホールディングスの会社売却・バイアウト
- 米ゼロックスと富士フイルムHDの会社売却・バイアウト
- ユニー・ファミリーマートHDと伊藤忠商事の会社売却・バイアウト
- LIXILビバとアークランドサカモトの会社売却・バイアウト
- シーズHDと米ジョンソン・エンド・ジョンソンの会社売却・バイアウト
- IndeedとリクルートHDの会社売却・バイアウト
- 朝日火災海上保険と楽天の会社売却・バイアウト
- DSGTとユニ・チャームの会社売却・バイアウト
1.シャイアーと武田薬品工業の会社売却・バイアウト
シャイアー
企業価値100億円超の会社売却・バイアウト成功事例1件目は、シャイアーと武田薬品工業の会社売却・バイアウトです。
アイルランドの製薬大手であるシャイアーは2018年、武田薬品工業へ会社売却・バイアウトを実施しました。武田薬品工業は事業領域を拡大し、海外での競争力を向上させる目的でシャイアーの買収を決定しています。
シャイアーにとっては、6.2兆円という高い企業価値評価を受けての会社売却・バイアウトとなったので、M&A価格としては成功だったといえるでしょう。
しかし、武田薬品工業にとっては負担の大きい勝負の買収となり、武田薬品工業がシャイアーを買収することを発表すると、武田薬品工業の株価は大幅に下落しています。
しかし、武田薬品工業は企業体質を変えて真のグローバル企業になるには、シャイアーの買収が必須であるとの判断でM&Aを行いました。
新薬開発には時間がかかるので、シャイアーによる武田薬品工業への会社売却・バイアウトの効果は株価にはまだ明確に表れてはいませんが、新型コロナウイルスへの対応などをスムーズに行えれば、高い成長性が期待できる状況と考えられます。
2.スピードウェイとセブン&アイ・ホールディングスの会社売却・バイアウト
スピードウェイ
企業価値100億円超の会社売却・バイアウト成功事例2件目は、スピードウェイとセブン&アイ・ホールディングスの会社売却・バイアウトです。
アメリカの石油会社であるマラソンペトロリアムは、2020年8月、スピードウェイをセブン&アイ・ホールディングスへ210億ドルで会社売却・バイアウトすることを発表しました。
スピードウェイは、コンビニエンスストア併設型のガソリンスタンドです。日本はすでにコンビニエンスストアが飽和状態にあり寡占も進んでいますが、アメリカではまだ成長の余地が大いにある状況です。
そこで、セブン&アイ・ホールディングスは成長の機会をアメリカに求めて買収を決定しましたが、課題も存在しています。
スピードウェイは、コンビニエンスストア併設型でガソリンスタンドを運営していますが、電気自動車が今後普及していくとガソリンスタンドの使用率が下がっていく可能性があります。
そのようなデメリットを加味したとしてもアメリカには大きな商機があると、セブン&アイ・ホールディングスは考えて買収を決断しています。
3.ZOZOとZホールディングスの会社売却・バイアウト
企業価値100億円超の会社売却・バイアウト成功事例3件目は、ZOZOとZホールディングスの会社売却・バイアウトです。
ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOは、2019年、ヤフーの親会社であるZホールディングスへ約4000億円で会社売却・バイアウトを行いました。
ヤフーの社長は、ZOZOを買収した理由をEC事業で高いシナジー効果が期待できるからと語っており、両社ともに運営しているECサイトはそれぞれターゲットとしてきた顧客層が違うので、協業することでより幅広い顧客層へアプローチできると考えています。
一方、ZOZOはそれまで業界を変えるような、革新的なアイディアを積極的に試していくことで急成長してきました。
しかし、ZOZOも企業価値が大きくなり、社会的な責任が大きく伴うようになってきたため、安定的に成長させていく段階に入ったことを会社売却・バイアウトに至った理由として挙げています。
また、ヤフーが本気でAmazonに勝つといった大きなビジョンを掲げていることも、会社売却・バイアウトに至ったきっかけのひとつだということを語っています。
4.米ゼロックスと富士フイルムHDの会社売却・バイアウト
米ゼロックス
企業価値100億円超の会社売却・バイアウト成功事例3件目は、米ゼロックスと富士フイルムHDの会社売却・バイアウトです。
2019年、米ゼロックスコーポレーションは、子会社の富士ゼロックス株式を富士フイルムホールディングスへ23億ドルで会社売却・バイアウトしました。
もともと富士フイルムHDは米ゼロックスを買収する予定でしたが、交渉が破談に終わったため、米ゼロックスコーポレーションの子会社である富士ゼロックスを買収することとし、米ゼロックスとのこじれてしまった関係の収束を図っています。
米ゼロックスは富士ゼロックスを会社売却・バイアウトした資金で、ヒューレッド・パッカードへ買収を打診しましたが、ヒューレッド・パッカード側は買収提案を拒否しています。
結果的に、富士フイルムHDは米ゼロックスの買収失敗で大きな痛手を受けましたが、米ゼロックスは富士ゼロックスの会社売却・バイアウトによって多額の売却資金を獲得しています。
5.ユニー・ファミリーマートHDと伊藤忠商事の会社売却・バイアウト
企業価値100億円超の会社売却・バイアウト成功事例5件目は、ユニー・ファミリーマートHDと伊藤忠商事の会社売却・バイアウトです。
ユニー・ファミリーマートHDは、2018年、伊藤忠商事からの株式公開買付けに賛同し、伊藤忠商事へ会社売却・バイアウトを実施しました。これにより、ユニー・ファミリーマートHDは伊藤忠商事の子会社となりました。
さらに2020年、伊藤忠商事は株式公開買付けにより、ファミリーマートを完全子会社化することを発表しています。
伊藤忠商事は、1998年からファミリーマートの筆頭株主として経営に関わってきましたが、2018年には意思決定の迅速化などを果たすために子会社化しました。
コンビニエンスストア事業の効率化やIT化などにより収益力の向上を目指し、2020年の完全子会社化に至っています。また、AIを使った新たな事業や、海外事業なども視野に入れています。
6.LIXILビバとアークランドサカモトの会社売却・バイアウト
アークランドサカモト
企業価値100億円超の会社売却・バイアウト成功事例6件目は、LIXILビバからアークランドサカモトへの会社売却・バイアウトです。
ホームセンターを営むLIXILビバは2020年、同業界のアークランドサカモトへ合計1,085億円で会社売却・バイアウトを実施しました。会社売却・バイアウトの内訳は、株式公開買付けが519億円、株式譲渡が566億円となっています。
株式譲渡の566億円は、アークランドが親会社のLIXILグループからLIXILビバに資金を渡し、LIXILビバがLIXILグループから自社株買いを行う形でのM&Aとなりました。
LIXILグループはコア事業に集中するため、シナジー効果の薄かったホームセンター事業を切り離すことを決断しています。
LIXILビバとアークランドサカモトは同じホームセンター業界ではありますが、出店地域がそれぞれ分かれており、まだ出店していない県も多いことから成長余地が多いと判断してM&Aに至っています。
このM&Aにより、LIXILビバとアークランドサカモトのグループは業界でのシェアを一気に高められることから、業界再編にも大きな影響を与えうるM&Aとなりました。
なお、LIXILビバは、2020年11月に社名を「ビバホーム」へと変更しています。
7.シーズHDと米ジョンソン・エンド・ジョンソンの会社売却・バイアウト
シーズHD
企業価値100億円超の会社売却・バイアウト成功事例7件目は、シーズHDと米ジョンソン・エンド・ジョンソンの会社売却・バイアウトです。
シーズ・ホールディングスは2019年1月、米ジョンソン・エンド・ジョンソンへ約2300億円での会社売却・バイアウトを完了させました。
シーズHDは「ドクターシーラボ」をはじめとした、高いブランド力を持ったスキンケア製品を販売しています。しかし、スキンケア製品の質は高いものの、海外展開には苦労していました。
一方、米ジョンソン・エンド・ジョンソンはアジア圏での販売拡大を模索していました。
そこで、シーズHDと米ジョンソン・エンド・ジョンソンは2016年に資本業務提携を結んで海外事業展開を強化することとなります。
さらに米ジョンソン・エンド・ジョンソンはシーズHDの買収によって、質の高いスキンケア製品のラインナップを拡充でき、中国などのアジアを中心とした海外事業展開をさらに強化できるとしています。
8.IndeedとリクルートHDの会社売却・バイアウト
リクルートHD
企業価値100億円超の会社売却・バイアウト成功事例8件目は、IndeedとリクルートHDの会社売却・バイアウトです。
アメリカのIndeed Inc.(Indeed社)は、2012年、リクルートホールディングスへ約10億ドルで会社売却・バイアウトを行いました。
Indeedは、数多くの求人情報から希望条件に合った求人情報を探すことができる求人検索エンジンです。リクルートHDは人材関連事業において世界で戦える企業となるために、海外企業を次々と買収していました。
なかでもIndeed社の買収は大規模であり、現在でもリクルートHDにとって重要な企業のひとつとなっています。
リクルートHDはIndeed社を買収した理由として、Indeed社が「世の中の人たちが仕事を得る手助けをする」という明確なビジョンを掲げていたことを挙げています。また、リクルートHDはビジョンが一致していたことも決め手となって買収を決断しています。
9.朝日火災海上保険と楽天の会社売却・バイアウト
企業価値100億円超の会社売却・バイアウト成功事例9件目は、朝日火災海上保険と楽天の会社売却・バイアウトです。
2018年、朝日火災海上保険は楽天へ約450億円で会社売却・バイアウトを行いました。楽天のコア事業は楽天市場ですが、M&Aにより金融分野の強化を次々と進めており、金融関連事業が売上の高い割合を占めてきています。
特に、近年の楽天は保険事業の強化を進めており、「楽天生命保険株式会社」「楽天インシュアランスプランニング株式会社」「楽天アンセル株式会社」「もっとぎゅっと少額短期保険株式会社」が楽天の傘下にあります。
楽天は朝日火災海上保険をグループに迎え入れることで、楽天のトラベル事業などとのシナジー効果獲得を図っています。
10.DSGTとユニ・チャームの会社売却・バイアウト
ユニ・チャーム
企業価値100億円超の会社売却・バイアウト成功事例10件目は、DSGTとユニ・チャームの会社売却・バイアウトです。
タイの大手紙おむつメーカーであるDSG 「International (Thailand) Public Company Limited」(DSGT)は2018年、ユニチャームへ5億3,000万ドルで会社売却・バイアウトを行いました。
DSGTは紙おむつの製造と販売で、東南アジアで高いシェアとブランド力を持っています。一方のユニ・チャームは2016年に策定した中期経営計画で、グローバル化をさらに加速させ高成長を図ることを掲げていました。
特に、アジアでの事業展開を積極的に進めてきた経緯があり、ユニ・チャームはDSGTを子会社化することで、東南アジアでのさらなる高成長を図っています。
【企業価値100億超】会社売却・バイアウトの動向
企業価値100億円超の会社売却・バイアウトですが、近年は以下のような動向がみられます。
【企業価値100億超会社売却・バイアウトの動向 】
- コロナ前は数多くのクロスオーバーM&Aが行われた
- コロナ後、大型M&Aはほぼなくなっている
- 国内のM&Aが中心となっている
1.コロナ前は数多くのクロスオーバーM&Aが行われた
新型コロナウイルスが広がる前は、クロスオーバーM&Aが活発に行われており、2018年における企業価値100億円超の会社売却・バイアウト件数は22件ありました。
企業価値100億円超の会社売却・バイアウト件数は40件ありますが、2018年でその半数以上を占めています。
一方、新型コロナウイルスが広まった2020年はクロスオーバーM&Aが大幅に減り、それに代わって日本国内でのM&Aが行われています。
2.コロナ後、大型M&Aはほぼなくなっている
2017年における企業価値100億円超の会社売却・バイアウト件数は75件で、2018年における企業価値100億円超の会社売却・バイアウト件数は15件減ったものの、60件ありました。
新型コロナウイルスの発生後、企業価値100億円超や企業価値1,000億円超の会社売却・バイアウト件数は減り、代わりに小型のM&Aが増えています。
しかし、M&A自体は好調であり、小型のM&A件数は年々増加を続けています。その要因としては、中小企業によるM&Aを用いた事業承継需要の増加などが挙げられます。
3.国内のM&Aが中心となっている
新型コロナウイルス発生前はクロスオーバーM&Aが活発に行われていましたが、新型コロナウイルス発生後は国内のM&Aが中心となっています。
特に、中小企業によるM&Aを用いた事業承継需要は増加し続けており、今後もまだ増えていくものとみられています。
会社売却・バイアウトを実行する際におすすめの相談先
会社売却・バイアウトは、規模が大きくなるほどM&Aの専門家によるサポートが重要になります。また、その専門家が規模の大きいM&A案件を経験したことがあるか、同業種のM&A支援を経験したことがあるかなども、選ぶ際のポイントになります。
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まとめ
新型コロナウイルスが広まる前は企業価値100億円超の会社売却・バイアウトが活発に行われていましたが、新型コロナウイルスが広まってからは、企業価値100億円超の会社売却・バイアウト件数は減少傾向にあります。
しかしながら、M&A自体は好調に推移しているので、実施を検討している場合は今後の業界動向を注視しておくとよいでしょう。
【企業価値100億円超の会社売却・バイアウト成功事例】
- シャイアーと武田薬品工業の会社売却・バイアウト
- スピードウェイとセブン&アイ・ホールディングスの会社売却・バイアウト
- ZOZOとZホールディングスの会社売却・バイアウト
- 米ゼロックスと富士フイルムHDの会社売却・バイアウト
- ユニー・ファミリーマートHDと伊藤忠商事の会社売却・バイアウト
- LIXILビバとアークランドサカモトの会社売却・バイアウト
- シーズHDと米ジョンソン・エンド・ジョンソンの会社売却・バイアウト
- IndeedとリクルートHDの会社売却・バイアウト
- 朝日火災海上保険と楽天の会社売却・バイアウト
- DSGTとユニ・チャームの会社売却・バイアウト
- コロナ前は数多くのクロスオーバーM&Aが行われた
- コロナ後、大型M&Aはほぼなくなっている
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。