2021年4月25日更新業種別M&A

医療法人の事業承継

医療法人の事業承継の際は、時代背景と共に患者のニーズを理解して経営指針を考える必要があり、それを見越した上で、事業承継やM&Aなどの経営戦略を遂行することが大切です。今回は、節税対策や出資持分の移転など事業承継を実施する上で重要な要素を解説します。

目次
  1. 医療法人とは?
  2. 医療法人を事業承継する方法
  3. 医療法人特有の税金対策
  4. 医療法人の事業承継で欠かせない「遺言状」
  5. 医療法人に対する出資持分の移転
  6. まとめ
  • 今すぐ買収ニーズを登録する
  • 公認会計士がM&Aをフルサポート まずは無料相談

【※メルマガ限定】プレミアムM&A案件情報、お役立ち情報をお届けします。

病院 医療法人のM&A・事業承継

医療法人とは?

医療法人とは?

近年、M&Aを実施する会社は急増しており、日本のM&A案件の数は年々増加しています。M&Aはもはや業界・業種を問わず行われている経営手法であり、病院やクリニックのような医療機関もM&Aを実施しています。ただし、病院やクリニックのM&Aは通常の会社とやり方が異なります。 

①医療法人の定義

病院と医療法人の定義について解説します。まず、病院の定義は「患者の病気やケガを治療し、収容する施設」です。一方、医療法人は「病院や診療所、介護施設などを開設・所有するための法人」のことです。

つまり、病院は医療法人の中の1つのカテゴリーで、治療・入院などを実施する施設自体をさします。一方、医療法人は病院のみならず診療や介護施設を開設・所有する経営母体をさしています。したがって、医療法人には病院の他にもさまざまな機関が該当します。

②医療法人の種類

また、医療法人は「財団法人」と「社団法人」にわけられます。「財団法人」と「社団法人」は、集団組織を形成する点では同じですが、詳細な目的が異なります。

「財団法人」は、自分の財産を他人や他の組織に任せたい時に結成する組織です。一方、「社団法人」は集団のニーズを追求するために結成する組織です。法人を立ち上げたいと考えている場合は、専門家に「財団法人にするべきか」「社団法人にするべきか」を相談するのが良いでしょう。

③医療業界の現状

ここでは、医療業界が抱える問題点について解説します。

  • 少子高齢化の影響
  • 人手不足

少子高齢化の影響

病院・クリニック業界の現状を語る上で欠かせないものが「少子高齢化」の影響です。増加する高齢者は、当然病気やケガなどのリスクが高いため、病院・クリニックのニーズが非常に高まっています。

しかし実際には、病院・クリニックを増やすだけでは解決できません。運営する上で従来通りのやり方が通じるわけではないからです。たとえば、高齢者が多い地域であれば、高齢者の増加と同時に懸念されている認知症の増加へも対応する必要があります。

認知症を完全に治癒できる方法がない今は、認知症患者の長期的なケア、つまり介護のニーズも増加していきます。しかし、病院・クリニック単体だけで介護サービスを提供することは困難です。

そのため、介護事業所と連携を取ったり、法人化することで、医療・介護など複合的なサービスを網羅した地域包括的なサービスを実施するケースが増えているのです。

人手不足

病院・クリニック業界における非常に厄介な問題が「人手不足」です。少子化も相まって、日本では医師が慢性的に不足しており、医療を必要としている高齢者の増加に反比例しています。

くわえて、医師の過酷な職場環境が明らかになり、医師になることを嫌厭する若者も増えています。特に、産婦人科や緊急科の医師不足は深刻で、病院・クリニックの存続自体が難しくなっているケースもあります。

また、地方の医師不足も問題になっています。少子化の影響もあって地方の人口自体が減っており、その地域にある病院やクリニックが廃業するケースが増加しています。中には、医療機関がなくなってしまった地域もあります。

さらに、医師以外にも看護師の不足も問題化しています。現在、日本の医療制度では、常勤の看護師1人が患者7人を受け持つ体制(7対1看護配置)を作ることで診療報酬を高く設定できるようになっています。その結果、7対1の比率が崩れないよう看護師の採用が激化しているのです。

しかし、新たな看護師の採用には、コストや時間がかかります。そのため、日々の診察をこなすだけで精一杯だという病院・クリニックでは採用自体が難しく、競争に敗れた場合は、人手の確保だけでなく収益面でも失敗してしまうのです。

これらの問題を解決するひとつの手段として、医療法人となって経営母体を安定させる方法をとるケースも増加しています。人手不足は今後も深刻化することが懸念されており、既存の病院・クリニックが存続する上でも解決しなければならない課題だといえるでしょう。

➃医療行為の法人化の背景

基本的に病院は個人でも運営が可能ですが、個人の力だけでは資金面で限界を迎えたり、複数の施設を抱えることが難しくなる可能性があります。

しかし、医療法人として法人化することで、経営をより安定化させることができるようになるのです。また、医療法人を立ち上げるのは、法人成りを目指す行為です。法人であると、節税できる上に社会的な信用も獲得出来ます。

なお、医療法人を立ち上げる際には、いくつかポイントがあります。まず、配当の分配が禁止されているため注意が必要です。株主が保有している議決権に対しても、1人1議決権までと数が決まっています。つまり、一般的なM&A手法が活用できません。

そのため医療法人では、金銭的な売買の利益よりも、精神面や平等を重視しています。医療法人の事業承継や相続に対しては税金が発生することにも注意しましょう。医療法人の事業承継は、一般的な事業承継とは若干ですが異なります。

※関連記事

病院/医療法人の事業譲渡・売却事例12選!おすすめ相談先は?

医療法人を事業承継する方法

医療法人を事業承継する方法

医療法人を事業承継する際は、以下の3つの方法が有効です。

  1. 親族内承継
  2. 親族外承継
  3. M&Aを活用した事業承継

①親族内承継

医療法人の事業承継において、最もスタンダードな形式が親族間での継承です。このような形式の事業承継は一般的な株式会社でも行われており、日本では大変馴染み深いやり方です。

しかし、近年では、職業選択の多様化や少子化の影響も相まって親族で継承しないケースも増加しています。また、そもそも後継者がいないというケースも増えています。

②親族外承継

親族への継承が減る一方、昨今増えているのが第三者への承継です。この場合、引退を考えている院長や経営者が、親族以外の従業員や外部の人材の中から適任者を見つけ、事業経営を継承します。

親族の場合、病院・クリニックの経営や業務について一から経営について教え込む必要があります。しかし、既に経営について熟知している適任者を後継者にすれば、そのような手間がなくなります。そのため、第三者への継承の方が円滑に事業継承できるのです。

③M&Aを活用した事業承継

親族にも自社内にも事業承継できる人がいない場合には、M&Aで売却するか廃業するかのどちらかを選択することもできます。最近は病院・クリニックがM&Aを行うケースも増えてきました。

M&Aであれば後継者がいなくても事業承継が可能です。そのため、後継者不在に悩む病院・クリニックにとっては非常に有効な手段となるでしょう。M&Aを実施する際には、その都度M&A仲介会社やアドバイザリーに実務をサポートしてもらうのがおすすめです。

M&A総合研究所では、豊富な知識と経験を持つアドバイザーがクロージングまでM&Aを丁寧にサポートいたます。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)M&Aに関して無料相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

※関連記事

医院継承の親子・親族承継のメリット・デメリットを解説【トラブル例あり】

事業承継の方法

病院・医療法人のM&A・事業承継ならM&A総合研究所

医療法人特有の税金対策

医療法人特有の税金対策

医療法人が事業承継を実施する際には、多くの対策が必要です。とりわけ、事業承継によって発生する税金対策は重要になってきます。

①純資産価額法のための節税対策

純資産価額法とは、対象となる医療法人がどれだけ資産を保有しているかを計算し、時価に換算して評価する方法です。純資産をどれほど保有しているかによって税金の金額が変動します。

したがって、純資産価額法を利用した場合には「会社の資産をいかに減らすか」が鍵となります。そのためには、金融機関からの借り入れにより、不動産を購入する対策が有効です

借り入れにより不動産を取得すると、3年経過する頃には資産ではなく相続税の評価額として計上されます。その結果、簿価と時価の差が大きくなり、株式の評価額も自動的に下がります。

したがって、医療法人の事業承継までに時間があるならば、3年以上の時間をかけて不動産を取得するのがベストです。また、建物の建築も効果的です。特に遊休地に立てる事で、不動産と同様に簿価と時価の金額差が生まれ、税金が安くなります。

他にも、役員が退職する際、退職金として一時的な損金を作る方法も有効です。特に役員への退職金は、多額であるケースが多いです。そのため、会社の純資産は大幅に減少します。

上記の対策をとると、医療法人を事業承継した際に税金が低くなります。医療法人に限らず、事業承継を実施した際は、経営にお金がかかります。今後の運営のためにも、可能な限り多くの資金を残しておくことが理想です。

②類似業種比準方式のための節税対策

類似業種比準方式とは、同じ業種の中で似ている企業との比較により評価する方法です。したがって、自社と似ている企業を探し出すことが絶対条件です。

医療法人の場合、同じ医療法人業界の中で経営方法や利益額が類似する企業と比較することで、退職金の増額により評価額を下げられます。同時に、生命保険への加入によって評価を下げることも可能です。

生命保険には多額の資金を必要とします。そのため、企業の評価を下げる際には非常に有効な方法です。

医療法人の事業承継で欠かせない「遺言状」

病院 医療法人のM&A・事業承継
病院 医療法人のM&A・事業承継
医療法人の事業承継で欠かせない「遺言状」

医療法人を事業承継する際には、紛争が起こらないように注意しなくてはなりません。医療法人の事業承継で発生する紛争として、1番多いのが「遺産トラブル」です。

遺産トラブルでは、医療法人を誰が事業承継するのか、その他の資産は誰の手に渡るのかが論点になってきます。これらのトラブルを避ける上で、遺言状の作成は非常に有効です。

遺言状とは?

遺言状とは、自分が死んだ後は誰に会社を継がせ、資産をどのように分配するのかなどを定めた物です。遺言状の効力は非常に強く、遺言状に書き記されている経営者の意向がほとんどのケースで尊重されます。

遺言状では、誰の手に医療法人が渡るのか、今後の経営は誰が引き受けるのかなどを明確に示しているため、医療法人の事業承継の際に問題が生じるリスクを軽減できます。

また、遺言状は、経営者自身が亡くなってからも、経営者の意向を反映できます。くわえて、医療法人の出資の持分については、後継者に承継されます。そのため、事業承継した後に、資金が無くなる状況には陥りません。

一方、遺言状でしか効力を持たない内容もあります。遺言執行者と後継人の指定は、遺言でのみ実施できます。また、遺産分割の細かい方法についても、遺言でのみ指定できます。

遺言状がない場合は、基本的に弁護士などを介して遺産を分配しますが、結果的にトラブルになりやすいため注意が必要です。医療法人の事業承継を行う際には、出来るだけ遺言状を作成しましょう。

※関連記事

相続における遺言とは?遺留分との優先順位も解説

相続と事業承継

医療法人に対する出資持分の移転

医療法人に対する出資持分の移転

医療法人の相続時には、贈与の形で出資持分を移転することができます。出資持分とは、経営者が引退時に保持している財産です。この出資持分が移転できないと、事業承継を実施しても財産を獲得できず、事業承継後の経営が難しくなります。

しかし、医療法人の事業承継では出資持分の移転が可能です。ただし、対策を忘れてしまうと、移転時に課される税金が多額になるので注意が必要です。

設立時には100万円程度の出資持分であったとしても、事業承継を行う際には何億円となっている可能性があります。したがって、相続時精算制度を利用して、なるべく早く対策することが重要です。

相続時精算制度とは?

相続時精算制度とは、贈与者が65歳以上であり、後継者が20歳以上の場合に適用される制度です。この制度を利用すると、控除額が累計2,500万円になり、税率は一律して20%となります。

これは通常の控除額よりもはるかに大きいので、贈与税の負担を考えずに医療法人を事業承継できます。仮に基礎控除額を超えてしまう贈与金額であっても、少ない支払いで事業承継することができるのです。

一方で、生前贈与の場合でも、相続発生時に課税対象となります。したがって、将来的に価値が下がる医療法人の事業承継でなければ、節税効果は見込めません。

上記の通り、医療法人の事業承継では、あらゆる税金対策を実施できます。医療法人の事業承継に限った話ではありませんが、単純に課税が少なくなる事はありません。

節税対策にはある程度のリスクや条件が伴い、事業承継後のビジョンについても考慮する必要があります。

まとめ

まとめ

医療法人では、今後も事業承継の需要が高まると予想されます。しかし、事業承継をしただけで経営が安定するわけではありません。時代背景と共に患者のニーズを理解して、医療法人としての経営指針を考える必要があります。

さまざまな問題を見越した上で、事業承継やM&Aなどの、経営戦略を遂行することが大切なのです。そして最優先すべきは患者の存在です。医療法人として事業承継した際には、現在抱えている患者に対して慎重に対応しましょう。

要点をまとめると下記になります。

・医療法人とは

 →医療法人とは、「病院や診療所、介護施設などを解説・所有するための法人」のこと

・医療業界が抱える問題点

 →少子高齢化の影響、人手不足

・医療法人を事業承継する方法

 →親族内承継、親族外承継、M&Aを活用した事業承継

・医療法人特有の税金対策

 →純資産価額法のための節税対策、類似業種比準方式のための節税対策

M&A・事業承継のご相談なら24時間対応のM&A総合研究所

M&A・事業承継のご相談は成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。

M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴

  1. 譲渡企業様完全成功報酬制
  2. 経験豊富なM&Aアドバイザーがフルサポート
  3. 最短3ヶ月という圧倒的なスピード成約
  4. 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
>>M&A総合研究所の強みの詳細はこちら

M&A総合研究所は、M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

>>【※国内最安値水準】M&A仲介サービスはこちら

【※メルマガ限定】プレミアムM&A案件情報、お役立ち情報をお届けします。

あなたにおすすめの記事

M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】

M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】

M&Aの特徴は手法ごとに異なります。昨今の日本では、M&Aが経営戦略として人気を集めており、実施件数が増加中です。経営課題の解決を図るべく、M&Aの前向きな検討をおすすめ...

買収とは?用語の意味やメリット・デメリット、M&A手法、買収防衛策も解説

買収とは?用語の意味やメリット・デメリット、M&A手法、買収防衛策も解説

買収には、友好的買収と敵対的買収とがあります。また、買収に用いられるM&Aスキーム(手法)は実にさまざまです。本記事では、買収の意味や行われる目的、メリット・デメリット、買収のプロセスや...

現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説

現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説

M&Aや投資の意思決定をするうえで、現在価値の理解は欠かせません。現在価値とは今後得られる利益の現時点での価値を表す指標であり、将来の利益を期待して行う取引・契約・投資で重要な概念です。...

関連する記事

税理士法人・会計事務所のM&A動向!買収・売却・事業承継の事例を紹介!

税理士法人・会計事務所のM&A動向!買収・売却・事業承継の事例を紹介!

税理士法人・会計事務所は、税理士法人の増加や経営者の高齢化などによって、M&Aが活発化してきている業界です。本記事では、税理士事務所・会計事務所のM&Aについて、動向や売却・買収...

商社業界のM&A動向!売却や買収の事例・実績とM&Aのメリットを解説!

商社業界のM&A動向!売却や買収の事例・実績とM&Aのメリットを解説!

さまざまな商品の流通をサポートする商社業界は、トレーディング需要の減少などにより、M&Aによる積極的な経営で打開を図る企業が増えています。本記事では、商社業界のM&A動向について...

老人ホームM&Aの動向!最近のトレンドは?買い手と売り手のメリットも

老人ホームM&Aの動向!最近のトレンドは?買い手と売り手のメリットも

日本の高齢化社会が進むにつれ、老人ホームの需要が高まると予想されています。同業種だけでなく異業種からの参入も増えており、業界内のM&Aが活性化しています。本記事では、老人ホームM&amp...

人気の記事
最新の記事

【※メルマガ限定】プレミアムM&A案件情報、お役立ち情報をお届けします。

病院 医療法人のM&A・事業承継
ご相談はこちら
(秘密厳守)