2022年6月6日更新業種別M&A

名古屋の調剤薬局のM&A成功事例を解説!

全国的に調剤薬局のM&A成約件数は増加しています。名古屋エリアにおいても調剤薬局のM&A成約件数は増加しているので、本記事では名古屋エリアにおける調剤薬局のM&A成功事例、M&Aをスムーズに進めるためのポイントなどについて紹介します。

目次
  1. 名古屋の調剤薬局
  2. 名古屋の調剤薬局のM&A成功事例
  3. 調剤薬局業界がM&Aを行う目的
  4. 調剤薬局のM&Aをスムーズに行うための手段
  5. まとめ
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調剤薬局のM&A・事業承継

名古屋の調剤薬局

名古屋の調剤薬局

全国的に調剤薬局のM&Aの成約件数は増加しており、名古屋の調剤薬局についても例外ではありません。この記事では、名古屋エリアでの調剤薬局のM&Aの成功事例などを紹介します。

調剤薬局とは

調剤薬局とは、薬剤師が調剤を行って販売又は授与する場所と定義されています。調剤薬局の正式名称は「薬局」ですが、主に調剤を行うことから「調剤薬局」という呼び名が一般的に使用されています。

調剤薬局を新設するためには開設許可を受ける必要があります。無許可で調剤薬局をオープンすることはできません。

また、調剤業務は薬剤師の独占業務であるため、調剤薬局には薬剤師を常駐させなければなりません。

名古屋の調剤薬局の現状

東海エリアには、薬学部のある大学が多数あるため、地方に比べると薬剤師の数は比較的多くなっています。

しかし、名古屋エリアには病院の近くにある門前薬局だけでなく、駅前の病院など患者のニーズに応えた調剤薬局が多数あります。

薬剤師の数は調剤薬局数に比べると非常に少ないため、名古屋エリアでも慢性的な薬剤師不足になっています

このように、名古屋の調剤薬局業界では、薬学部の大学は多数あるのに薬剤師不足という都市部特有の問題に悩まされています。

名古屋のM&A事情

先ほども紹介したように、名古屋の調剤薬局でもM&Aの成約件数は増加していますが、その理由には薬剤師不足と経営戦略があります。

名古屋エリアでも慢性的な薬剤師不足になっており、薬剤師を確保するためにM&Aを行う事例が増えています。

また、事業規模の大きい調剤薬局では積極的なM&Aを行うことで顧客数を増やし、企業を成長させようとしています。

中小規模の調剤薬局については、調剤薬局業界での将来的な収益の減少が見込まれるため、売却益が得られるうちに売却しようとする経営者の方も多くなっています。

名古屋の調剤薬局のM&A成功事例

名古屋の調剤薬局のM&A成功事例

この章では、名古屋の調剤薬局のM&A成功事例を3つ紹介します。

1.ツルハHDによるB&D HDの完全子会社化

1つ目の事例は、ツルハHDによるドラッグストアB&D HDの完全子会社化です。B&D HDは愛知県内に65店舗のドラッグストアと調剤薬局を展開している企業で、2017年の売上高は約265億円でした。

今回の案件では、B&D HDの子会社である株式会社B&Dも連結子会社化しています。ツルハHDは、B&Dグループの買収により、中部地区におけるドミナント強化およびスケールメリットによるコスト削減が実現できるとしています
 

買収企業 ツルハHD
売却企業 B&D HD(春日井市)、株式会社B&D(名古屋市)
買収目的 ・中部地区におけるドミナント強化
・スケールメリットによるコスト削減

2.シップ東日本によるなごみ薬局の子会社化

2つ目の事例はシップヘルスケアファーマシー東日本株式会社による有限会社なごみ薬局の子会社化です。

なごみ薬局は、名古屋市で3店舗の調剤薬局を運営する会社です。本案件により経営の効率化が期待されています
 

買収企業 シップヘルスケアファーマシー東日本株式会社
売却企業 有限会社なごみ薬局(名古屋市)
買収目的 ・シナジー効果の獲得
・経営の効率化

3.ファーマHDによるミマツ薬品株式会社の完全子会社化

3つ目の事例は、メディカルシステムネットワークの子会社ファーマHDによる、ミマツ薬品株式会社の完全子会社化です。

ミマツ薬品株式会社は、名古屋地区で調剤薬局を10店舗運営している企業です。本案件でファーマHDは中部地区での事業規模を拡大しています
 

買収企業 ファーマHD
売却企業 ミマツ薬品株式会社(名古屋市)
買収目的 中部地区における事業規模の拡大、コスト削減

調剤薬局業界がM&Aを行う目的

調剤薬局業界がM&Aを行う目的

次は調剤薬局業界がM&Aを行う目的について紹介します。M&Aを行う目的はいくつかありますが、この記事では以下の5つについて解説します。

  1. 後継者問題の解決のため
  2. 薬剤師の人材不足の解決のため
  3. 廃業し地域医療に影響を与えないため
  4. 競争激化への対策のため
  5. 売却・譲渡益の獲得のため

1.後継者問題の解決

1つ目の目的は後継者問題の解決です。調剤薬局の経営者は、多くの中小企業と同様に高齢化しており、引退の年齢に差し掛かっています。

事業承継の方法には、親族内事業承継・親族外事業承継・M&Aによる事業承継での3つがあります。

調剤薬局の売り上げのほとんどは調剤報酬です。しかし、医療費抑制のために調剤報酬の点数は年々減少しています。

つまり、収益性が低下すると見込まれるため、積極的に調剤薬局を引き継ごうとする親族や従業員は、ほとんどいません

つまり、経営者の多くは後継者問題を抱えることになり、それを解決する手段としてM&Aによる事業承継が行われています。

2.薬剤師の人材不足の解決

2つ目の目的は薬剤師の人材不足の解決です。先ほど紹介したように全国的に薬剤師の数は不足しています。

名古屋のような都市部では、調剤薬局と薬剤師の比率が合わないという都市部特有の薬剤師不足問題を抱えています。

採用で薬剤師を確保することができないため、M&Aにより調剤薬局を買収して薬剤師を確保しようとするケースが増加しています

そのため、調剤薬局の売却案件のなかでも、薬剤師も引き継げる案件は取引金額が高くなる傾向があります。

3.廃業し地域医療に影響を与えない

3つ目の目的は廃業する必要がなくなり、地域医療に影響を与えなくて済むことです。

医薬分業が進んでいるため、調剤薬局は地域医療の中で重要な施設となってきています。地方のような調剤薬局が少ない地域では、調剤薬局の経営が赤字であったとしても、簡単に廃業することはできません

これを解決する手段としてM&Aがあり、株式譲渡によって売却すれば患者や医師に影響を与えず、経営者だけ変えることができ、廃業という最悪の選択を回避することができます。

4.競争激化への対策

4つ目の目的は競争激化での対策です。調剤報酬が減少しており、患者一人に対する単価は減少しています。

そのため、調剤薬局が将来的に生き残るためには、顧客数を増やすしかありません。調剤業務も行える大手チェーン店は、顧客数を拡大するために中小の調剤薬局を積極的に買収しています。

5.売却・譲渡益の獲得

5つ目の目的は売却・譲渡益の獲得です。M&Aによる取引価格は企業価値をもとに算出されます。

企業価値が高いと判断される要素には、事業規模が大きい・収益性がある・常駐している薬剤師の数が多いなどがあり、これらのうち1つでも低下すると売却益は減少します。

調剤薬局は将来的に収益性が低下すると見込まれているため、今のうちに売却して、多額の売却・譲渡益を獲得しておこうという経営者は増加してます

【関連】調剤薬局のM&Aは売り手も買い手もメリットがある?デメリットは?

調剤薬局のM&Aをスムーズに行うための手段

調剤薬局のM&A・事業承継
調剤薬局のM&A・事業承継
調剤薬局のM&Aをスムーズに行うための手段について

最後に調剤薬局のM&Aをスムーズに行うための手段について紹介します。スムーズに行うための手段はいくつかありますが、ここでは以下の3つについて紹介します。

  1. 医療関係・顧客の理解を得る
  2. M&A成立後のことを考える
  3. M&Aの専門家に相談する

1.医療関係・顧客の理解を得る

1つ目の方法は医療関係・顧客の理解を得ることです。先ほども紹介したように調剤薬局は地域医療で欠かせない施設となっています。

そのため、調剤薬局の経営者や担当薬剤師が変わる前は、医療関係者や患者に事前に告知する必要があります。

医療関係者や患者にはM&Aを行う1か月前には告知しておきましょう。取引実績のある医師については1か月よりも前に告知しておき、そのほかの医療関係者や患者の理解が得られるように協力してもらいましょう。

2.M&A成立後のことを考える

2つ目の方法はM&A成立後のことを考えることです。売却する調剤薬局の場合、M&Aが成立し、クロージングが行われると取引先や従業員にとって状況が大きく変化するため、取引先の業者や従業員からの理解を得る必要があります。

また、調剤薬局を買収する企業の場合、M&Aを行う目的を明確にし、M&A成立後のことを考える必要があります。一般的にM&Aには多額の資金がかかるため、M&Aに簡単に失敗することはできません。

買収後、どのようなシナジー効果を得たいのか、どのような調剤薬局を目指すのかを明確にしておくことでM&Aの成功確率を高めることができます。

3.M&Aの専門家に相談する

3つ目のポイントはM&Aの専門家に相談することです。M&Aを行うためには会社法や財務など幅広い知識が必要になります。

また、取引金額の交渉で両社が納得する条件を提示するためには、交渉の実績が必要になります。

M&A経験のない経営陣がM&Aを行っても失敗する確率が高くなるため、M&Aを行う際にはM&Aの専門家に相談しましょう。

まとめ

名古屋の調剤薬局M&A まとめ

今回は、名古屋における調剤薬局のM&A事例やM&Aを行う目的などを解説しました。

調剤薬局業界のM&Aは活況ですが、専門性の高い仲介会社に依頼し、スムーズに行うための手段を把握することでM&Aの成功確率を高めましょう。

【調剤薬局がM&Aを行う目的】

  1. 後継者問題の解決のため
  2. 薬剤師の人材不足の解決のため
  3. 廃業し地域医療に影響を与えないため
  4. 競争激化への対策のため
  5. 売却・譲渡益の獲得のため

【M&Aをスムーズに行うための方法】

  1. 医療関係・顧客の理解を得る
  2. M&A成立後のことを考える
  3. M&Aの専門家に相談する

薬局の譲渡や事業継承を行う際は、M&Aに関する知識や経験だけでなく、薬局業界に関して精通している必要があるため、M&Aの専門家に相談しながら進めていく必要があります。

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